掌伐士ルーフェイグ
STORY1 タケキとエール
【イクスパーム】
タケキ・チクマは、真っ暗闇の背景でそんな名前らしきコトバを聞く夢を見る事なんて何度もあった。
時は令和19年。オートバランサーシクルという自転車の進化版を駆り、近代地球の路面を滑って通学していた。
それも、遅刻ギリギリで校門を潜り抜けるたちの悪い性格だから、通学生徒の指導教員のマサムラは、毎度タケキを更生し続けていた。
こんな遅刻騒動は定番中の定番だった。
施錠で固めたはずの屋上門戸を抜ける秘策で屋上階でサボる生徒がいた。
ミキト・イツキ。女子に人気の日本人が混成ユニット韓流スター、『イルハン・ネオ』の一人で『ミーク』の芸名でメディアの顔になっている時の人物だ。
「よし……っと。ここ、こうやって入らないと屋上入れないんだよな」
タケキがぶつくさ言って昼休みの屋上を満喫しだした。
「俺のオアシスに不法侵入して来るな」
「何を。って今更言っても仕方ないか。あんた、不法侵入ってコトバ好きだね」
「そういうタケキこそ、サキナの事告ったん?」
「アノ子は無理無理。入れるスキすらない。諦めるさ」
「俺はアイドルだからご法度なんでな」
「イイね、そっちの立場になりたいさ」
「芸能なんて狭き門。給料取ったらどうでもイイよ、あんな所」
「逆に僕は行きたいな、ガッコサボれるし」
「俺は学校とステージをサボってるんだよ、このオアシスでな」
「それ、モテる存在のセリフ? イヤだね、世間を知ってまーす……というやつ」
突然の事だった。中学校の屋上に巨大な闇の穴が空いたなんて2人は知る由もなくそんな所へと吸引されては怪奇現象は瞬時に消えて去った。
2人は、知らず知らずのうちに別の次元空間へと異世界トリップしたのだった。
『イクスパーム、イクスパームイクスパーム、イク……』
脳裏を駆け巡るイクスパームのコトバが襲っては、タケキは目を覚ました。
「ここは、どこ? ン、なんだこのタケノコか判らん突起物?」
興味を持って人差し指で突き刺してみせた。
ひょいとタケノコよりもゴム製ボールのようなそれは地面の内部から這い出てきた。
「裸? 裸の女? だと」
這い出てきたのが上半身一糸まとわぬ姿の女子。すかさず身を両腕で胸元を隠し出す。
そして、間合いを詰めてはタケキの左頬を力強く叩き出した。
「てぇ! 悪気ないんだぜ、僕は何が何だか知らないんだから」
「アナタ……この世界の危険分子。早く出ていけ‼」
「事情も知らないんだぜ。そんな事言われたってこの場所、見た事ないんだしな」
疑念を湧いてか、瞳を覗き込む女。
「んー。んーんー。アナタ、セルゼイス人じゃない。出ていけとは失言だった。着る物を頂戴する。着替えたい」
「あ、あっ、気……遣えなくて悪い。ホラ、上着やるよ」
「遠慮なく頂戴します。私はエリセー。愛称はエール。アナタは?」
「僕はタケキ・チクマ。どうやら地球に近い環境の異世界か?」
「セルゼイスの住民は、このアースに来てはならない。タケキという男、アウトレースか? どうやら私はイクスパームを召喚してしまったようだ」
タケキは耳障りな単語らしきモノに敏感に反応した。
「それだよ、ソレ。イクスパームって何なんだよ‼」
「アナザーアースから来たアナザー生産のイクスパームと呼応出来るネイティブイクスパームの事を指す。アナタはネイティブの戦士だ」
話が読めない語りに頭痛を発したタケキ。語りの整理が追いつけないから頭を抑えるしかなかった。
「んー。あのさぁ、イクスパームって、戦士の称号? 戦う敵さんとか一体誰よ?」
「相手はアースを手中に収める軍隊。既にアナザー生産のイクスパームがパームモーターを駆って私たちアーシエルを殲滅し、アース占領作戦で乗っ取る」
「どこかのファンタジーSF小説か何かか? それはともかく、このアースの乗っ取りを阻止したいんだろ」
「それに対抗するには敵機のパームモーターを鹵獲せねば話にならない。戦士……イクスパームならば応戦可能か?」
「テキキ? まさかこの異世界で言うロボット……なのか? そいつ、掻っ攫えたらマジすげえぞ。エール、僕は是非とも応戦させていただくぜ」
「アナタって、戦争莫迦なの? ヒトの男ってよく判らないわ?」
エールはそう言って、両手を挙げて呆れたのだった。
アース世紀157年、氷冷の刻……そういう時代の異世界アースの戦争物語が幕を開く少し前の頃ーーーー。
タケキ・チクマは、真っ暗闇の背景でそんな名前らしきコトバを聞く夢を見る事なんて何度もあった。
時は令和19年。オートバランサーシクルという自転車の進化版を駆り、近代地球の路面を滑って通学していた。
それも、遅刻ギリギリで校門を潜り抜けるたちの悪い性格だから、通学生徒の指導教員のマサムラは、毎度タケキを更生し続けていた。
こんな遅刻騒動は定番中の定番だった。
施錠で固めたはずの屋上門戸を抜ける秘策で屋上階でサボる生徒がいた。
ミキト・イツキ。女子に人気の日本人が混成ユニット韓流スター、『イルハン・ネオ』の一人で『ミーク』の芸名でメディアの顔になっている時の人物だ。
「よし……っと。ここ、こうやって入らないと屋上入れないんだよな」
タケキがぶつくさ言って昼休みの屋上を満喫しだした。
「俺のオアシスに不法侵入して来るな」
「何を。って今更言っても仕方ないか。あんた、不法侵入ってコトバ好きだね」
「そういうタケキこそ、サキナの事告ったん?」
「アノ子は無理無理。入れるスキすらない。諦めるさ」
「俺はアイドルだからご法度なんでな」
「イイね、そっちの立場になりたいさ」
「芸能なんて狭き門。給料取ったらどうでもイイよ、あんな所」
「逆に僕は行きたいな、ガッコサボれるし」
「俺は学校とステージをサボってるんだよ、このオアシスでな」
「それ、モテる存在のセリフ? イヤだね、世間を知ってまーす……というやつ」
突然の事だった。中学校の屋上に巨大な闇の穴が空いたなんて2人は知る由もなくそんな所へと吸引されては怪奇現象は瞬時に消えて去った。
2人は、知らず知らずのうちに別の次元空間へと異世界トリップしたのだった。
『イクスパーム、イクスパームイクスパーム、イク……』
脳裏を駆け巡るイクスパームのコトバが襲っては、タケキは目を覚ました。
「ここは、どこ? ン、なんだこのタケノコか判らん突起物?」
興味を持って人差し指で突き刺してみせた。
ひょいとタケノコよりもゴム製ボールのようなそれは地面の内部から這い出てきた。
「裸? 裸の女? だと」
這い出てきたのが上半身一糸まとわぬ姿の女子。すかさず身を両腕で胸元を隠し出す。
そして、間合いを詰めてはタケキの左頬を力強く叩き出した。
「てぇ! 悪気ないんだぜ、僕は何が何だか知らないんだから」
「アナタ……この世界の危険分子。早く出ていけ‼」
「事情も知らないんだぜ。そんな事言われたってこの場所、見た事ないんだしな」
疑念を湧いてか、瞳を覗き込む女。
「んー。んーんー。アナタ、セルゼイス人じゃない。出ていけとは失言だった。着る物を頂戴する。着替えたい」
「あ、あっ、気……遣えなくて悪い。ホラ、上着やるよ」
「遠慮なく頂戴します。私はエリセー。愛称はエール。アナタは?」
「僕はタケキ・チクマ。どうやら地球に近い環境の異世界か?」
「セルゼイスの住民は、このアースに来てはならない。タケキという男、アウトレースか? どうやら私はイクスパームを召喚してしまったようだ」
タケキは耳障りな単語らしきモノに敏感に反応した。
「それだよ、ソレ。イクスパームって何なんだよ‼」
「アナザーアースから来たアナザー生産のイクスパームと呼応出来るネイティブイクスパームの事を指す。アナタはネイティブの戦士だ」
話が読めない語りに頭痛を発したタケキ。語りの整理が追いつけないから頭を抑えるしかなかった。
「んー。あのさぁ、イクスパームって、戦士の称号? 戦う敵さんとか一体誰よ?」
「相手はアースを手中に収める軍隊。既にアナザー生産のイクスパームがパームモーターを駆って私たちアーシエルを殲滅し、アース占領作戦で乗っ取る」
「どこかのファンタジーSF小説か何かか? それはともかく、このアースの乗っ取りを阻止したいんだろ」
「それに対抗するには敵機のパームモーターを鹵獲せねば話にならない。戦士……イクスパームならば応戦可能か?」
「テキキ? まさかこの異世界で言うロボット……なのか? そいつ、掻っ攫えたらマジすげえぞ。エール、僕は是非とも応戦させていただくぜ」
「アナタって、戦争莫迦なの? ヒトの男ってよく判らないわ?」
エールはそう言って、両手を挙げて呆れたのだった。
アース世紀157年、氷冷の刻……そういう時代の異世界アースの戦争物語が幕を開く少し前の頃ーーーー。
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