異世界のサンタクロース

ノベルバユーザー338048

一話

さ、寒い。

もうダメ~。

誰か助けて。   

「おぎゃー(誰か助けてー)」

ん?

「おぎゃー(誰か助けてー)」

あれ?

私ちゃんと喋れてない!?

私、車とぶつかって......

そこから先が思い出せない......

ここは、病院なのかな?

でも、それにしたら寒過ぎる。

というか、風がしっかり吹いてるから中ってことはないだろう。

外にいるってことは......

どう言うこと?

しかも、私が発した言葉。

明らかに赤ちゃんの言葉だったよね?

もしかして、死んで異世界に来ちゃったの?

私が異世界転生なんて、信じられない。

友達とまだまだ話したいことあったのに。

私が不満だったことなんてそんなにないのに。

なんで私の自由を奪っちゃったの?

ビューー

寒い。

これじゃすぐ死んじゃう。

もしかしたら、もとの世界に戻れるかもしれないのに。

「おぎゃー(誰か助けてー)」

ザクザク、と足音が近づいてくる。

この音からして、雪が積もっているのだろう。

道理で寒いわけだ。

そんな事よりも、まずは近づいてきた人に助けてもらうことが先決だ。

「ぎやー(助けてー)」

続けて

「おぎゃー(誰か助けてー)」

その足跡は段々と近づいてきた。

ゆっくり、ゆっくり。

足音が近くまで来て止まったかと思うと、直ぐに私の体は持ち上がりました。

そっと、自分の胸のうちに抱き寄せてくれたその人は、立派なお髭を持ったお爺さんでした。


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