世界再生記
情報収集
「やっぱり情報収集といったらここ、町長邸に限ります。」
「え、いや、限りますって、普通こういう時って酒場とか人の多いとこに行って情報を集めるんじゃ....」
二人は通りすがりの人たちから情報を集めて、今現在ここに至る。
基本はヒカリが情報を聞き出してその通りに進んでいく。
と言っても集めた情報というのはモンスターロードについての情報ではなく、ここにつくための最短ルートだけだ。
そうここは、周りと比較してみれば一際目立つ巨大な建物、地球のもので例えるのならば、役場、を更に大きくしたような所だ。
けれどもここは公共の施設ではない、あくまで、ある人物の自宅。
「何を言ってるんですか。ここ一帯の最高権力者である町長こそが一番情報を持っているはず。ならば、そんなならず者の集まりに行くよりもここに来た方が何倍も確実で効率的です。」
「確かにそうだけどさ、なんか....」
「なんか、どうしたんですか?」
「いや、お偉いさんと話すのは緊張するなって。ただそう思っただけ。」
「またまた何を言っているんですか。主はこの世を統括する王なんですよ。立場上主の方が上、だからそれなりの威厳は出してください。」
「それもそうだけどさ、ほら、俺ってちょっと前まで普通の高校生だったわけじゃん、それにここの人たちみんな俺が王だなんて思ってないみたいだし、そこんとこは分かってくれよ。」
この異世界に来てからまだほんの数時間ほどしかたっていない。
それなのにいきなりこの街の町長、しかし町長と言ってもこの町は相当大きくて人も集まっているわけで、下手をすれば市長レベルかもしれない。
確かに町長は、何らかの情報を持っている可能性は高いが、それをこの街最高権力者が素直に教えてくれるもなのだろうか。
もし俺が町長の立場ならこんなどこの馬の骨ともわからない若造にそう易々と情報は渡さないな。
それに情報収集しているときに感じたのだが、どうやら街の人たちはスベルが王だということを知らない。本当にヒカリの言葉が妄言なのかと疑うほどに普通の人として接してくる。
いよいよ王としての権力も使えない以上、一気に不安が募る、けれどもヒカリの横顔は自信に満ち溢れていた。
「そんなことはどうでもいいのです。さあ、いざ突入です!」
「ちょ、ちょっと待ってよー!?」
ヒカリの女の子とは思えない怪力に引っ張られ、いやいや町長邸に入ることになった。
「いやはや、よくぞおいでなさいました旅のお二方。私はこの街を治めております。町長のハルカド・グス・ファインフトと申します。以後お見知りおきを。」
「こちらこそ、見ず知らずの、おれ...私たちを招き入れくださって、感謝してます。私の名前はアマタ・スベル。そしてこっちが従者のヒカリです。」
目の前には人の良さそうな老年期の男性が椅子に腰かけている。パッと見では分からなかったが、どうやらこの人が町長のようだ。手には紅茶の注がれた真っ白なカップを持ち、優雅さとおおらかさを感じさせる。
町長という名の威圧感は微塵もない。スベルにとっては極めて朗報だ。
そんな独特な落ち着いた雰囲気の彼が影響してか、二人は拍子抜けなほどに簡単にこの町長の元へと辿り着けていた。
まずは入り口、日本ならば検問所みたいなのが設けられて入念な検査があった後に入場が許可されるはずだが、ここの場合は警備員らしき人に軽く見られただけでオーケー。
次にエントランス、最初はたくさんのメイドがいたからビックリしたものの、執事らしき人に町長に用事があってきた、といったら待ち時間も無しにこうやって現状に至る。
全く警戒心がないのかもしくは警戒する必要がないのか、どちらにしても警備が薄い。
まあ、こちらにとっては好都合だけど、
「それで本日はですね。最近この街で.....」
「まあまあ、そんな慌てないでください、まずは一杯、紅茶でもどうですか?」
「いえ、結構です。最近この街で以前と比べて何か変わったなってことありますか?」
まったりとした雰囲気でお茶のお誘いをしてくる町長。だが、スベルはその申し出をさらっと断り、町長は訝しげな表情だ。
「変わったこと、ですか、そうですね、あなたたちが来たこととか。」
「ん....それはなしということで、他に何かないですか?」
「他に、ですか....そうですね....あ、そう言えば、最近この街周辺のモンスターの数が増加したという情報がありました。あとついでに紅茶でもどうですか?」
「紅茶は結構です。それより!!その話詳しく聞かせてください!」
ピンポイントすぎる町長の情報に、紅茶の誘いなんかきっぱり断って、凄まじい剣幕で顔を近づけた。
町長はぎょっとして危うく紅茶のカップを落としそうになっていた。
今探しているのはモンスターロード、そして今聞いたのがモンスターの増加報告、この響きを聞いて、疑わしいと思わないやつがいるだろうか。
どちらにしろ何かの手がかりになる可能性大だ。
調べてみる価値はある。
「そ、それに関しては私も耳に挟んだくらいの情報しか持っていないのです。あまり期待しないでください。」
「そう、ですか....」
スベルはぐったりと肩を落とした。
せっかく見つけたと思った情報が不発に終わり、また一からやり直しだ、といっても、ここより情報網が豊かな所なんて....
「しかし、私もこの街を治める長、その道に詳しい者の一人や二人知っています。どうです?私と取引をしませんか?もし条件を飲めるとしたらその者たちを教えて上げましょう。」
町長は急に強気に出て条件を出してきた。
その内容がどういうものなのか、空気が張り詰め、緊張が走る。
「っ....その条件とは?」
「ふっふっふ、それは至極簡単、そう!紅茶のお誘いです。」
「乗った。」
次なる情報への道は確保できた。
「それでは詳細はこの用紙に記しておきました。お急ぎのようですので、お楽しみの時間はまた今度、楽しみにしてますよ。」
「はい、ありがとうございました。」
二人は紙を手にして、町長邸を後にした。
「え、いや、限りますって、普通こういう時って酒場とか人の多いとこに行って情報を集めるんじゃ....」
二人は通りすがりの人たちから情報を集めて、今現在ここに至る。
基本はヒカリが情報を聞き出してその通りに進んでいく。
と言っても集めた情報というのはモンスターロードについての情報ではなく、ここにつくための最短ルートだけだ。
そうここは、周りと比較してみれば一際目立つ巨大な建物、地球のもので例えるのならば、役場、を更に大きくしたような所だ。
けれどもここは公共の施設ではない、あくまで、ある人物の自宅。
「何を言ってるんですか。ここ一帯の最高権力者である町長こそが一番情報を持っているはず。ならば、そんなならず者の集まりに行くよりもここに来た方が何倍も確実で効率的です。」
「確かにそうだけどさ、なんか....」
「なんか、どうしたんですか?」
「いや、お偉いさんと話すのは緊張するなって。ただそう思っただけ。」
「またまた何を言っているんですか。主はこの世を統括する王なんですよ。立場上主の方が上、だからそれなりの威厳は出してください。」
「それもそうだけどさ、ほら、俺ってちょっと前まで普通の高校生だったわけじゃん、それにここの人たちみんな俺が王だなんて思ってないみたいだし、そこんとこは分かってくれよ。」
この異世界に来てからまだほんの数時間ほどしかたっていない。
それなのにいきなりこの街の町長、しかし町長と言ってもこの町は相当大きくて人も集まっているわけで、下手をすれば市長レベルかもしれない。
確かに町長は、何らかの情報を持っている可能性は高いが、それをこの街最高権力者が素直に教えてくれるもなのだろうか。
もし俺が町長の立場ならこんなどこの馬の骨ともわからない若造にそう易々と情報は渡さないな。
それに情報収集しているときに感じたのだが、どうやら街の人たちはスベルが王だということを知らない。本当にヒカリの言葉が妄言なのかと疑うほどに普通の人として接してくる。
いよいよ王としての権力も使えない以上、一気に不安が募る、けれどもヒカリの横顔は自信に満ち溢れていた。
「そんなことはどうでもいいのです。さあ、いざ突入です!」
「ちょ、ちょっと待ってよー!?」
ヒカリの女の子とは思えない怪力に引っ張られ、いやいや町長邸に入ることになった。
「いやはや、よくぞおいでなさいました旅のお二方。私はこの街を治めております。町長のハルカド・グス・ファインフトと申します。以後お見知りおきを。」
「こちらこそ、見ず知らずの、おれ...私たちを招き入れくださって、感謝してます。私の名前はアマタ・スベル。そしてこっちが従者のヒカリです。」
目の前には人の良さそうな老年期の男性が椅子に腰かけている。パッと見では分からなかったが、どうやらこの人が町長のようだ。手には紅茶の注がれた真っ白なカップを持ち、優雅さとおおらかさを感じさせる。
町長という名の威圧感は微塵もない。スベルにとっては極めて朗報だ。
そんな独特な落ち着いた雰囲気の彼が影響してか、二人は拍子抜けなほどに簡単にこの町長の元へと辿り着けていた。
まずは入り口、日本ならば検問所みたいなのが設けられて入念な検査があった後に入場が許可されるはずだが、ここの場合は警備員らしき人に軽く見られただけでオーケー。
次にエントランス、最初はたくさんのメイドがいたからビックリしたものの、執事らしき人に町長に用事があってきた、といったら待ち時間も無しにこうやって現状に至る。
全く警戒心がないのかもしくは警戒する必要がないのか、どちらにしても警備が薄い。
まあ、こちらにとっては好都合だけど、
「それで本日はですね。最近この街で.....」
「まあまあ、そんな慌てないでください、まずは一杯、紅茶でもどうですか?」
「いえ、結構です。最近この街で以前と比べて何か変わったなってことありますか?」
まったりとした雰囲気でお茶のお誘いをしてくる町長。だが、スベルはその申し出をさらっと断り、町長は訝しげな表情だ。
「変わったこと、ですか、そうですね、あなたたちが来たこととか。」
「ん....それはなしということで、他に何かないですか?」
「他に、ですか....そうですね....あ、そう言えば、最近この街周辺のモンスターの数が増加したという情報がありました。あとついでに紅茶でもどうですか?」
「紅茶は結構です。それより!!その話詳しく聞かせてください!」
ピンポイントすぎる町長の情報に、紅茶の誘いなんかきっぱり断って、凄まじい剣幕で顔を近づけた。
町長はぎょっとして危うく紅茶のカップを落としそうになっていた。
今探しているのはモンスターロード、そして今聞いたのがモンスターの増加報告、この響きを聞いて、疑わしいと思わないやつがいるだろうか。
どちらにしろ何かの手がかりになる可能性大だ。
調べてみる価値はある。
「そ、それに関しては私も耳に挟んだくらいの情報しか持っていないのです。あまり期待しないでください。」
「そう、ですか....」
スベルはぐったりと肩を落とした。
せっかく見つけたと思った情報が不発に終わり、また一からやり直しだ、といっても、ここより情報網が豊かな所なんて....
「しかし、私もこの街を治める長、その道に詳しい者の一人や二人知っています。どうです?私と取引をしませんか?もし条件を飲めるとしたらその者たちを教えて上げましょう。」
町長は急に強気に出て条件を出してきた。
その内容がどういうものなのか、空気が張り詰め、緊張が走る。
「っ....その条件とは?」
「ふっふっふ、それは至極簡単、そう!紅茶のお誘いです。」
「乗った。」
次なる情報への道は確保できた。
「それでは詳細はこの用紙に記しておきました。お急ぎのようですので、お楽しみの時間はまた今度、楽しみにしてますよ。」
「はい、ありがとうございました。」
二人は紙を手にして、町長邸を後にした。
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