世界再生記
異世界生活始まります
第一印象は華。真っ赤に燃える太陽のように光輝く華だ。
大きく切れの長い灼眼はまるで宝石をはめ込んだかのように美しく、同色の赤髪はそれに負けないくらいまた美しい。
形の良い眉と鼻は見るものを惹き付け、スタイルはぼんきゅっぼん。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む、正に理想のスタイルだ。
そんなこの無の空間を乖離しかねない絶世の美少女がスベルの前、果てしなく続く水面の上に悠然と立っていた。
だが、それと同時に自分の軽率さに気づいた。
さっきの返事、この少女の可憐さに思わず頷いてしまったが、本音を言うと、世界を作るとか、モンスターを殺すだとか、そんな大変なこと、やりたくない。面倒だし、きつそうだ。ここは訂正を、
「ほ、本当ですか?ありがとうございます、主よ。」
あ、駄目だ、こんな笑顔を向けられたら断れない。
元光だった美少女は満面の笑顔でスベルの顔を覗き込む。
その笑顔がまたなんと美しいことか、こんな顔を向けられたら男たるもの、断るという概念を捨てざるを得ない。
こうなったらとことんまでやってやる!俄然やる気が出てきたぜ!モンスターだろうがモンスターロードだろうがまとめて倒してやる!この子と一緒なら何だってカモンだ!
スベルのなかで下心丸出しの炎が心に宿った。
「それでは早速最初の世界に行ってみましょう。」
「え、今から!?ちょっと待って、まだ心の準備が、」
「そうですか、ならちょっとだけ待ちますね。」
ああ、この子めっちゃキラキラしてる。俺がオーケーしただけでこんなに喜んでもらえるなんて、過去最高に嬉しい。
このまま死んでも、悔いは.....
絶対残るよな、せっかくこんな綺麗な女の子と仲良く、ってあれ、ちょっと待てよ、俺この子の名前知らないぞ、どうしよう名前も知らないで一緒に旅だなんて、それはおかしい、絶対におかしいよな、名前は知っておくべきだよな、
そうだ、これはコミュニケーションをとるために必要なことなんだ、下心なんて全く無いぞ。
「あ、あのさ、良ければなんだけど、その、君の名前を、教えてくれないかな?」
「え、私の名前ですか?そうですね、特にないのでできれば名前をつけてはくれないでしょうか、主。」
「え、無いの?」
「はい、私たち精霊は会話をするという概念がないので基本的に名前がないんです。」
「そ、そうなんだ。」
まず最初に、この子って精霊だったんだ。まあ、最初は光だったから人間ではないと分かってたけど、精霊ってあれだよな、自然に宿る魂的なもんだよな、この子確かに神秘的な部分があるからちょっと分かるかも。
でもそれよりも、だ。
名前を聞くだけだったはずなのに、名前をつけてだなんて、ハードル上がりすぎだろ!
人生十七年、ろくに女性と喋ったことがないスベルにとって、同い年ぐらいの女性の、しかも目を剥くほどの美少女の名付け親になるなんて、酷な話だ。
スベルの頭から蒸気が出ているのが目に見える。
でも彼女に頼まれたんだ、働かない頭をフル回転させて、最適解を見出してみせる。
「ヒカリ、なんてどうかな。」
単純な話だ、最初にあったときが光だったし、それに今もその美しさが光輝いているから、そういうことだ。
スベルは、彼女の表情を窺った。
「はい、良い名前だと思います。では今度から私の名前はヒカリ、ということで。」
良かった、笑ってくれた。咄嗟に思い付いた名前だったけど気に入ってくれたみたいで一安心だ。
「それではちょっと待ったことですし、出発といたしましょう。」
ヒカリは魔法の呪文のような言葉を呟きだした。すると、それに呼応するようにヒカリの回りを白い光が包み込んだ。恐らく冒険のための準備なんだろう。
それにしてもヒカリ、在り来たりだけど、我ながら良いセンスしてると思う。
ああ、美少女の名付け親だなんて、最初は緊張したけど、この優越感、たまんないな。
これでなに気兼ね無く冒険を始めることができる、モンスターなんていくらでもたお、せ、
「ちょっと待っ...」
出発する直前、スベルは気づいてしまった。自分が悪魔と戦う術を持っていないということに。慌ててヒカリの魔法を止めるように呼び掛けようとするが、少し遅かった。
ヒカリを包んでいた白い光はスベルの元まで広がり、声ごとこのフィンドブルから存在を消し去った。
大きく切れの長い灼眼はまるで宝石をはめ込んだかのように美しく、同色の赤髪はそれに負けないくらいまた美しい。
形の良い眉と鼻は見るものを惹き付け、スタイルはぼんきゅっぼん。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む、正に理想のスタイルだ。
そんなこの無の空間を乖離しかねない絶世の美少女がスベルの前、果てしなく続く水面の上に悠然と立っていた。
だが、それと同時に自分の軽率さに気づいた。
さっきの返事、この少女の可憐さに思わず頷いてしまったが、本音を言うと、世界を作るとか、モンスターを殺すだとか、そんな大変なこと、やりたくない。面倒だし、きつそうだ。ここは訂正を、
「ほ、本当ですか?ありがとうございます、主よ。」
あ、駄目だ、こんな笑顔を向けられたら断れない。
元光だった美少女は満面の笑顔でスベルの顔を覗き込む。
その笑顔がまたなんと美しいことか、こんな顔を向けられたら男たるもの、断るという概念を捨てざるを得ない。
こうなったらとことんまでやってやる!俄然やる気が出てきたぜ!モンスターだろうがモンスターロードだろうがまとめて倒してやる!この子と一緒なら何だってカモンだ!
スベルのなかで下心丸出しの炎が心に宿った。
「それでは早速最初の世界に行ってみましょう。」
「え、今から!?ちょっと待って、まだ心の準備が、」
「そうですか、ならちょっとだけ待ちますね。」
ああ、この子めっちゃキラキラしてる。俺がオーケーしただけでこんなに喜んでもらえるなんて、過去最高に嬉しい。
このまま死んでも、悔いは.....
絶対残るよな、せっかくこんな綺麗な女の子と仲良く、ってあれ、ちょっと待てよ、俺この子の名前知らないぞ、どうしよう名前も知らないで一緒に旅だなんて、それはおかしい、絶対におかしいよな、名前は知っておくべきだよな、
そうだ、これはコミュニケーションをとるために必要なことなんだ、下心なんて全く無いぞ。
「あ、あのさ、良ければなんだけど、その、君の名前を、教えてくれないかな?」
「え、私の名前ですか?そうですね、特にないのでできれば名前をつけてはくれないでしょうか、主。」
「え、無いの?」
「はい、私たち精霊は会話をするという概念がないので基本的に名前がないんです。」
「そ、そうなんだ。」
まず最初に、この子って精霊だったんだ。まあ、最初は光だったから人間ではないと分かってたけど、精霊ってあれだよな、自然に宿る魂的なもんだよな、この子確かに神秘的な部分があるからちょっと分かるかも。
でもそれよりも、だ。
名前を聞くだけだったはずなのに、名前をつけてだなんて、ハードル上がりすぎだろ!
人生十七年、ろくに女性と喋ったことがないスベルにとって、同い年ぐらいの女性の、しかも目を剥くほどの美少女の名付け親になるなんて、酷な話だ。
スベルの頭から蒸気が出ているのが目に見える。
でも彼女に頼まれたんだ、働かない頭をフル回転させて、最適解を見出してみせる。
「ヒカリ、なんてどうかな。」
単純な話だ、最初にあったときが光だったし、それに今もその美しさが光輝いているから、そういうことだ。
スベルは、彼女の表情を窺った。
「はい、良い名前だと思います。では今度から私の名前はヒカリ、ということで。」
良かった、笑ってくれた。咄嗟に思い付いた名前だったけど気に入ってくれたみたいで一安心だ。
「それではちょっと待ったことですし、出発といたしましょう。」
ヒカリは魔法の呪文のような言葉を呟きだした。すると、それに呼応するようにヒカリの回りを白い光が包み込んだ。恐らく冒険のための準備なんだろう。
それにしてもヒカリ、在り来たりだけど、我ながら良いセンスしてると思う。
ああ、美少女の名付け親だなんて、最初は緊張したけど、この優越感、たまんないな。
これでなに気兼ね無く冒険を始めることができる、モンスターなんていくらでもたお、せ、
「ちょっと待っ...」
出発する直前、スベルは気づいてしまった。自分が悪魔と戦う術を持っていないということに。慌ててヒカリの魔法を止めるように呼び掛けようとするが、少し遅かった。
ヒカリを包んでいた白い光はスベルの元まで広がり、声ごとこのフィンドブルから存在を消し去った。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
3
-
-
439
-
-
238
-
-
124
-
-
2
-
-
35
-
-
314
-
-
39
-
-
93
コメント