魔人に就職しました。

ミネラル・ウィンター

第74話 関係

 

 その刀のは真っ黒で金色のバッテンマークの装飾そうしょくさやは全体的に赤色で黒い雲模様もようがいくつかある。
 それが坂下 翔の愛刀。末殺ウラゴケ
 刀身が80cmあり、刀の種類としては太刀に分類される。
 その刀は鎌倉時代に作られた名刀。当時は妖刀とも呼ばれた事もある刀だ。


「なぜキサマが!!持っている!」


 スパーダの腰に差してある刀を指差し、ペェスタは叫んだ。
 だが、翻訳魔法を掛けられてる訳でもないスパーダにはペェスタの言葉はわからない。
 ただ視線や仕草から、刀を気にしているという事はわかる。


『この刀が、どうかしたのか?人間』


 スパーダは挑発の意味も込めて、その刀を見せつけるようにゆっくり抜いた。
 彼は怒っているが、いたって冷静だ。
 理由はわからないが、相手はこの刀に何かあるようだ。
 刀という武器を知っているというのは、個人的に気になるが今はそんな事はどうでもいい。


「キサマぁぁぁ!!」


 案の定、ペェスタは怒りに従い行動した。
 大振りで隙だらけの考えなしの攻撃。
 だがスパーダは、その攻撃をあえて刀で受け止めた。
 カケルという強者がやられれている以上、油断はできない。先ほどの挙動を見るた所、目の前のこいつはどうやら魔法を使うようだ。
 ならば、最初の狙いは喉。魔法という武器が使われる前にを壊す。


「はぁぁぁぁ!!」

『!!』


 スパーダの刀とペェスタの魔剣がぶつかる。
 スパーダはペェスタの喉を、具現化した殺気で生成した左手で狙うつもりだ。
 慎重に警戒した上で、想定外の事が起きたようにいくつか対策した上で、スパーダはペェスタ攻撃仕掛けようとする。
 だが―――


「『!!?』」


 突如としてスパーダとペェスタに異変が起こる。
 突如として頭が痛みだし、受け取りたくもない情報が強制的に流れ込む。
 お互いにお互いの記憶が筒抜けになったような奇妙な感覚。

 スパーダは攻撃を中断して、すぐにペェスタから距離を取る。
 思わず、脳がないアンデッドのスパーダも頭を押さえる。


「何だ・・・今の記憶は!?」

『今のは、こいつの・・・ッ!』


 お互いに何が起きたかわからない。
 だが、何かしら記憶のようなものが流れ込んで来た。


「今の記憶は一体・・・その剣といい・・・まさかキサマが!?」

『今の・・・記憶は・・・まさかこいつは・・・』

「得たいの知れない亡者が!!《不屈の輝き/タフネス・グリッター》!《大輝の矢/ライト・アロー・グランデ》!」


 ペェスタは自分の防御力をあげる魔法を唱えた後、光属性の攻撃魔法をスパーダに放つ。
 その魔法はスパーダに当たれば致命的だ。

 アンデッドは共通して光属性が大きな弱点だ。
 かつて光属性の魔法は対アンデッド用として生まれた。
 既存の属性。闇属性の化身であるアンデッドに対抗するために生まれた神の力を再現した力。
 神聖な属性はアンデッドの魂を焼き付くす。


『・・・私の刀と奴の剣を合わせた時、あれは見えた』


 スパーダは迫ってくる大きな光の矢を見ながら、先ほどの現象について考えていた。
 アンデッドの弱点が光属性だということはスパーダも知っている。
 あれを食らえばひとたまりもない。だが、スパーダに焦りはない。冷静に迫ってくる光の矢を見ていた。


(・・・試してみるか)


 スパーダは迫り来る光の矢を、具現化した殺気の斬撃で相殺する。
 それと同時に、スパーダはペェスタに向かっていった。


「なに!」


 魔法が相殺されるという現象は珍しくもない。
 火属性の魔法と水属性の魔法が衝突し、相殺するなんて事はよくあることだ。
 だが、属性の中でも異端な光属性。さらに上位クラスの魔法を相殺される事はほとんどない。
 なぜなら闇属性の魔法を使えるのは魔物だけだ。それにペェスタが使うような上位の闇属性魔法を使える魔物自体が少ない。
 その事からペェスタは光属性の魔法が相殺されるなど、滅多に体験したことはなかった。


「ぐっ!」


 突っ込んできたスパーダのわざとらしい切りつけをペェスタは剣で防ぐ。
 スパーダの目的は剣を合わせる事なのでこれ以上するつもりはない。


「『!?』」


 たった数秒。つばぜり合いをしていると、先ほどと同じ現象が起きた。
 お互いの記憶がする。
 ペェスタはスパーダの記憶を、スパーダはペェスタの記憶を互いに見た。








 ペェスタは王国付近の辺境の村に生まれた。


「ほら、サスケ!こっちだ!!」


 その村は一見普通の村だ。農業を中心としたありふれた村に見える。
 だが、その村には秘密があった。
 その村の人だけが知り、他所の者には隠さなければいけない秘密。


「いくぞ!サスケ!」


 それは一匹のを飼っている事だった。

 幼いペェスタに、サスケと呼ばれる一匹のスライム。
 それは透き通った水色の普通のスライムだ。


「かあさん!帰ったよ!」

「お帰りペェスタ。サスケもお帰り」

 ―――プルン


 サスケとペェスタが産まれた時から一緒だ。
 感覚としては犬が一番近いだろうか。
 ずっと一緒だった2人はとても仲が良かった。遊ぶ時はもちろん、寝るときも常に2人は一緒に過ごしてきた。
 村の住人もその光景を微笑ましく見守っていた。


「そういえば、母さん。あの剣はなんなの?」


 幼いペェスタは唐突に家に飾ってある剣について母親に聞いた。
 どうして飾ってあるかわからない剣。時々村にはくるハンターが持っている剣より細く、すこし変わった形をしている。
 柄は真っ黒で金色のバッテンマークの装飾あって、鞘は全体的に赤色で黒い雲模様がいくつかある。
 ふと目に入った際になんとなく、母親に尋ねたのだ。


「あれはね。私達のの剣なの」

「ご先祖様の?」

「ええ。私達のご先祖様はとても強かったわ。誰も勝てない。世界で一番強い人だったのよ?」

「世界で一番!?すごい! 」

「ええ。とってもすごい人だった。でも死んでしまった」

「ええ!?世界で一番強いのに死んじゃったの?」

「うん。どうして死んでしまったかはわからないけどね」


 ペェスタの母親は少しだけ話した。
 その剣と、その剣の持ち主だった人物についての事は彼女の血縁者が代々語り継いで来た話だ。
 母親はまだ子供のペェスタに、全てを教える訳にはいかなかった。だからこそ、簡単に教えた。


「ならさ!もし僕が王国の戦士になれたらその剣、僕が使ってもいい?」


 幼いペェスタの当初の夢は、王国に使える戦士になることだった。
 実際に見たことはないが、村の大人達から王国の戦士についてに聞いたペェスタは王国の戦士に憧れた。
 王国の為に使え、王国を守る為に戦い、民の為に剣を取る。
 そんな王国の戦士の話しを聞いたペェスタが王国の戦士に憧れるのは必然だった。


「そうね。なれたらね」

「やった!約束だよ!」


 幼いペェスタは将来的に珍しい剣が貰えると聞いて、嬉しそうに跳び跳ねる。
 母親が流した感じに、返事をしたことに気がついてなかった。

 そして、数年の月日が経つ。
 14になったペェスタは1人。王国で暮らす事を決めた。
 サスケや母親を村に残し、王国の戦士になるために王国の剣術指南をしている施設に通う為だ。

 だが彼が王国に行く直前に、村を魔物が襲ったのだ。


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