浮遊図書館の魔王様
第124話 格式美とやらに乗ってみました
空間が、時間が、世界が歪む。
わたしの作った魔法、私の作った理想郷が世界を侵食する。
「これは……」
刀を構え、もゼシカは観察をしながらも警戒を怠らないようだ。 
「ようこそ、わたしの世界へ」
わたしは微笑み優雅に礼をする。
「……随分と歪んだ世界だな」
ゼシカぎ皮肉を言い、一変した世界をわたしは楽しげに見つめる。
空に浮かぶ太陽は三つ、それぞれが色を変え点滅していたりしている。空も色が次々に変わっていくがどれ一つとしてまとめな空の色はない。
「世界が歪んであるわけじゃないわ」
「観客や女神共はどうした?」
「歪めたのはわたしと貴方を含めた二人の空間よ。あちらとは隔絶した空間よ」
まぁ、向こうからはこちらが見えてるんだろうけどね。
「で、このへんな世界を作るだけがこの魔法の効果か?」
「まさか、ところで……」
わたしは愉快に笑い、ゼシカの足元を眺める。
「そこの地面は溶岩《• •》じゃなかったかな?」
「なに?」
怪訝な顔をしたゼシカの足元が一瞬に赤く染まる。
「なっ!」
履いていた靴が一瞬にして煙を上げはじめたのでゼシカは一瞬で後ろに飛び下がった。
「頭上注意、星が煌めくよ」
そう言いながらわたしはゆっくりと右手を下ろす。するとその軌道を沿うように煌きが落ちる。その下にいるゼシカ目掛けて。
「ちぃ」
即座に抜き放った刃で迫りくる煌きをゼシカは切り払う。が、刃で切り払える質量ではないはずだ
煌きを捉えた刃がギシギシと悲鳴を上げながらも両断する。
「擬似的にとはいえ本で読んだやつで作った物では本物には及ばないのかな」
私の作った理想郷はわたしの想像したものをこの作り上げた空間に限定的に作り上げる魔法。
先程ゼシカにぶつけたのは本で得た知識を元に作り上げた隕石と呼ばれる星の欠片だ。普通ならば切り裂くことなどは不可能だ。たが所詮は想像から作り出された物。本物と同じようにはいかないのだ。
「厄介な!」
地面に着地したゼシカが地を駆けこちらに迫る。はやいな。
「そこの土は襲う!」
わたしが宣言した通り、ゼシカが駆ける大地が振動、一瞬で大きな壁を左右に作り、挟み込むかのようにゼシカに向かい迫りはじめた。
「あああああああああああ!」
迫る壁に対してゼシカは出鱈目に刀を振るい切り裂いた。
おのれ〜これだから魔力強化ってやつは!
小手先の技では止まらない。さすが勇者、ならば!
「質より量! そしてどっちも備えた質量で押し潰す!」
わたしの頭上に幾つもの煌きが集まりそれら全てをゼシカに向け掃射する。名付けて!
「隕石暴雨!」
煌きがすぐさま輝きに変わりこちらに迫るゼシカを狙い撃つ。
しかし、ゼシカもそれを読んでいたのかゼシカは今までよりさらに加速する。今まで手を抜いていやがったな。
ゼシカがかわした隕石はすぐに大地に大きな穴を作り上げ、熱した土を周囲に降らす。これだ!
「土よ! 形を取り敵を迎撃せよ!」
私の作った理想郷ならばこの空間を維持するだけの魔力で幾らでも魔法を使える。たがらゴーレムも作り放題だ!
「一気に圧倒しろ!」
わたしの叫びと剣閃の閃きが はしるのは全く同じだった。だがいかにハイスペック勇者と言えども数十のゴーレムを一撃で、切り裂くことはできないようで馬鹿みたいなスピードで駆けていた足が止まる。
「よし、一気に押し潰す!」
ゴーレムと隕石を次から次に生み出しゼシカに向かい特攻させる。隕石でゴーレムが吹き飛んでるがお構いなしだ!
とある本でも言っていた。『勝てば官軍負ければ賊軍』って! 意味はわからないが勝てばいいのだ。
「フハハハハハハ」
ここは一つ魔王ぽく高笑いをしてみた。
しかし、笑ってばかりもいられない。
「だってあのゼシカって人おかしいよ……」
普通ならば隕石だけで片が着くだろう。切り捨てられた。
普通ならば壁に挟まれたならば片が着くだろう。切り捨てられた!
普通ならばゴーレムに囲まれたならば片が着くだろう。やっぱり切り捨てられた!!
普通、というか強くても隕石とゴーレムの数で押せば片が着くだろう⁉︎ 切り捨てながら走りはじめた⁉︎
「とことん規格外だよ…… 勇者ってのは」
げんなりするよ。
「まおぉぉぉぉぉぉ!」
いやいやいや、身体中を血に染めながらも雄叫びを上げながら刀を振り回しながらゴーレムや隕石を切り裂いてる貴方の方が魔王だよ。
仕方ない、格式美とやらにたまにはわたしも乗っかろう。
「おお、勇者よ! 死んでしまうとは情けない!」
「お前が死ねぇぇぇ!」
あ、これ、王様の台詞だったっけ?
狂刃がわたしの結界と触れ合い、反発するかのように薄青い光が生じる。さっきは斬り裂けたみたいだけどどうやら刀がボコボコに歪んでるせいか斬り裂けないみたいだ。
「いや、格式美? みたいなの貴方達好きでしょ? 合わせましょうよ!」
「隕石やゴーレムを馬鹿みたいに使ってくるやつにそんなことできるか!」
血走った目で言ってくる。ふむ、意外と追い詰めちゃったかな?
でも格式美に乗るって決めちゃったし、
「とりあえず、魔剣ぽいのを作ってと……」
結界がゼシカの攻撃を止めている間にとりあえず本で読んで物を頭に浮かべ剣を創り上げる。右手に収まった細剣状の魔剣を軽く振るう。それだけで馬鹿みたいに魔力の風が吹き荒れ、容易くゼシカを吹き飛ばした。
「なっ!」
「おー」
ゼシカが驚き、わたしは感嘆の声を上げる。軽く振るっただけでこれか。
「今日はわたし拘りますよ」
全身に纏う魔力を何時もの一般人並みの魔法レベルから剣を使うに最適な身体強化のレベルを跳ね上げる。これで剣技は使えないけど剣は使える半端な剣士の出来上がり。
「お前、自分が規格外だと言われないか?」
「わたしは普通ですよ?」
訝しげな表情を浮かべながら振るわせてくるゼシカの刀を首を傾げながら細剣で弾く。さすが魔力強化! いつもより魔力を多めに流してるから刀の軌跡は見える見える。あとはそれに合わせて、
「流せばいい」
ギン!っという音と共に刀を細剣の刃の上を滑らすようにし、受け流す。
姿勢を崩したゼシカに対し、素早く細剣を引き戻し、
「ハァァァァァァァァ!」
突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて蹴って突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて蹴って突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて殴って突いて突いて突いて突いて突きまくった。
だけどやたらと硬い! 突き刺さるどころか弾いてきてるし。たまに刺さってはいるけど致命傷には程遠い。
化け物だ。
「まだ! まだ勇者は倒れない」
「しつこすぎるとモテませんよ?」
なにより飽きてきた。パパッと決めてしまおう。わたしは後ろに下がり細剣を後ろに引きながら構える。
「風魔法」
唱えた風魔法で細剣を覆い貫通力を高める。これであの体を貫く。
「次で決着だ」
歪んだ刀を無理やりに鞘に入れ構えるゼシカ。全身の魔力を刀に注いでいるのか刀が魔力密度のせいで歪んで見えるよ。
「いざ!」
そうは呟くと共にゼシカが駆ける。わたしは……駆けない。
構えていた細剣を指揮するように振り下ろす。
「かかったな! 隕石ゴーレムを喰らえ!」
「なにぃ⁉︎」
初めからまともに勝負などするか! いや、少しは細剣でしたけど飽きたし。
あの居合という技の構造状、最強の一撃は初めの知覚できないほどの速度の攻撃飲み! だったら無駄に使わせればいい。
「はかりやがったなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
次々と落下してくるゴーレムを必死に切り捨てるゼシカであったが最後の魔力を居合に使い切ってしまっては斬り続けることは不可能だろう。
斬撃音が止まり、ただただ、ゴーレムが落下し続ける音がなり響く。
「勝てば官軍負ければ賊軍、あとで作者調べないとね」
そんな場違いなことを考えながらわたしは決着のついた私の作った理想郷を解除するのであった。
わたしの作った魔法、私の作った理想郷が世界を侵食する。
「これは……」
刀を構え、もゼシカは観察をしながらも警戒を怠らないようだ。 
「ようこそ、わたしの世界へ」
わたしは微笑み優雅に礼をする。
「……随分と歪んだ世界だな」
ゼシカぎ皮肉を言い、一変した世界をわたしは楽しげに見つめる。
空に浮かぶ太陽は三つ、それぞれが色を変え点滅していたりしている。空も色が次々に変わっていくがどれ一つとしてまとめな空の色はない。
「世界が歪んであるわけじゃないわ」
「観客や女神共はどうした?」
「歪めたのはわたしと貴方を含めた二人の空間よ。あちらとは隔絶した空間よ」
まぁ、向こうからはこちらが見えてるんだろうけどね。
「で、このへんな世界を作るだけがこの魔法の効果か?」
「まさか、ところで……」
わたしは愉快に笑い、ゼシカの足元を眺める。
「そこの地面は溶岩《• •》じゃなかったかな?」
「なに?」
怪訝な顔をしたゼシカの足元が一瞬に赤く染まる。
「なっ!」
履いていた靴が一瞬にして煙を上げはじめたのでゼシカは一瞬で後ろに飛び下がった。
「頭上注意、星が煌めくよ」
そう言いながらわたしはゆっくりと右手を下ろす。するとその軌道を沿うように煌きが落ちる。その下にいるゼシカ目掛けて。
「ちぃ」
即座に抜き放った刃で迫りくる煌きをゼシカは切り払う。が、刃で切り払える質量ではないはずだ
煌きを捉えた刃がギシギシと悲鳴を上げながらも両断する。
「擬似的にとはいえ本で読んだやつで作った物では本物には及ばないのかな」
私の作った理想郷はわたしの想像したものをこの作り上げた空間に限定的に作り上げる魔法。
先程ゼシカにぶつけたのは本で得た知識を元に作り上げた隕石と呼ばれる星の欠片だ。普通ならば切り裂くことなどは不可能だ。たが所詮は想像から作り出された物。本物と同じようにはいかないのだ。
「厄介な!」
地面に着地したゼシカが地を駆けこちらに迫る。はやいな。
「そこの土は襲う!」
わたしが宣言した通り、ゼシカが駆ける大地が振動、一瞬で大きな壁を左右に作り、挟み込むかのようにゼシカに向かい迫りはじめた。
「あああああああああああ!」
迫る壁に対してゼシカは出鱈目に刀を振るい切り裂いた。
おのれ〜これだから魔力強化ってやつは!
小手先の技では止まらない。さすが勇者、ならば!
「質より量! そしてどっちも備えた質量で押し潰す!」
わたしの頭上に幾つもの煌きが集まりそれら全てをゼシカに向け掃射する。名付けて!
「隕石暴雨!」
煌きがすぐさま輝きに変わりこちらに迫るゼシカを狙い撃つ。
しかし、ゼシカもそれを読んでいたのかゼシカは今までよりさらに加速する。今まで手を抜いていやがったな。
ゼシカがかわした隕石はすぐに大地に大きな穴を作り上げ、熱した土を周囲に降らす。これだ!
「土よ! 形を取り敵を迎撃せよ!」
私の作った理想郷ならばこの空間を維持するだけの魔力で幾らでも魔法を使える。たがらゴーレムも作り放題だ!
「一気に圧倒しろ!」
わたしの叫びと剣閃の閃きが はしるのは全く同じだった。だがいかにハイスペック勇者と言えども数十のゴーレムを一撃で、切り裂くことはできないようで馬鹿みたいなスピードで駆けていた足が止まる。
「よし、一気に押し潰す!」
ゴーレムと隕石を次から次に生み出しゼシカに向かい特攻させる。隕石でゴーレムが吹き飛んでるがお構いなしだ!
とある本でも言っていた。『勝てば官軍負ければ賊軍』って! 意味はわからないが勝てばいいのだ。
「フハハハハハハ」
ここは一つ魔王ぽく高笑いをしてみた。
しかし、笑ってばかりもいられない。
「だってあのゼシカって人おかしいよ……」
普通ならば隕石だけで片が着くだろう。切り捨てられた。
普通ならば壁に挟まれたならば片が着くだろう。切り捨てられた!
普通ならばゴーレムに囲まれたならば片が着くだろう。やっぱり切り捨てられた!!
普通、というか強くても隕石とゴーレムの数で押せば片が着くだろう⁉︎ 切り捨てながら走りはじめた⁉︎
「とことん規格外だよ…… 勇者ってのは」
げんなりするよ。
「まおぉぉぉぉぉぉ!」
いやいやいや、身体中を血に染めながらも雄叫びを上げながら刀を振り回しながらゴーレムや隕石を切り裂いてる貴方の方が魔王だよ。
仕方ない、格式美とやらにたまにはわたしも乗っかろう。
「おお、勇者よ! 死んでしまうとは情けない!」
「お前が死ねぇぇぇ!」
あ、これ、王様の台詞だったっけ?
狂刃がわたしの結界と触れ合い、反発するかのように薄青い光が生じる。さっきは斬り裂けたみたいだけどどうやら刀がボコボコに歪んでるせいか斬り裂けないみたいだ。
「いや、格式美? みたいなの貴方達好きでしょ? 合わせましょうよ!」
「隕石やゴーレムを馬鹿みたいに使ってくるやつにそんなことできるか!」
血走った目で言ってくる。ふむ、意外と追い詰めちゃったかな?
でも格式美に乗るって決めちゃったし、
「とりあえず、魔剣ぽいのを作ってと……」
結界がゼシカの攻撃を止めている間にとりあえず本で読んで物を頭に浮かべ剣を創り上げる。右手に収まった細剣状の魔剣を軽く振るう。それだけで馬鹿みたいに魔力の風が吹き荒れ、容易くゼシカを吹き飛ばした。
「なっ!」
「おー」
ゼシカが驚き、わたしは感嘆の声を上げる。軽く振るっただけでこれか。
「今日はわたし拘りますよ」
全身に纏う魔力を何時もの一般人並みの魔法レベルから剣を使うに最適な身体強化のレベルを跳ね上げる。これで剣技は使えないけど剣は使える半端な剣士の出来上がり。
「お前、自分が規格外だと言われないか?」
「わたしは普通ですよ?」
訝しげな表情を浮かべながら振るわせてくるゼシカの刀を首を傾げながら細剣で弾く。さすが魔力強化! いつもより魔力を多めに流してるから刀の軌跡は見える見える。あとはそれに合わせて、
「流せばいい」
ギン!っという音と共に刀を細剣の刃の上を滑らすようにし、受け流す。
姿勢を崩したゼシカに対し、素早く細剣を引き戻し、
「ハァァァァァァァァ!」
突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて蹴って突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて蹴って突いて突いて突いて突いて突いて突いて突いて殴って突いて突いて突いて突いて突きまくった。
だけどやたらと硬い! 突き刺さるどころか弾いてきてるし。たまに刺さってはいるけど致命傷には程遠い。
化け物だ。
「まだ! まだ勇者は倒れない」
「しつこすぎるとモテませんよ?」
なにより飽きてきた。パパッと決めてしまおう。わたしは後ろに下がり細剣を後ろに引きながら構える。
「風魔法」
唱えた風魔法で細剣を覆い貫通力を高める。これであの体を貫く。
「次で決着だ」
歪んだ刀を無理やりに鞘に入れ構えるゼシカ。全身の魔力を刀に注いでいるのか刀が魔力密度のせいで歪んで見えるよ。
「いざ!」
そうは呟くと共にゼシカが駆ける。わたしは……駆けない。
構えていた細剣を指揮するように振り下ろす。
「かかったな! 隕石ゴーレムを喰らえ!」
「なにぃ⁉︎」
初めからまともに勝負などするか! いや、少しは細剣でしたけど飽きたし。
あの居合という技の構造状、最強の一撃は初めの知覚できないほどの速度の攻撃飲み! だったら無駄に使わせればいい。
「はかりやがったなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
次々と落下してくるゴーレムを必死に切り捨てるゼシカであったが最後の魔力を居合に使い切ってしまっては斬り続けることは不可能だろう。
斬撃音が止まり、ただただ、ゴーレムが落下し続ける音がなり響く。
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