浮遊図書館の魔王様
第123話 作りました
「はい、そこまで」
わたしは血塗れのレキの前に本を読みながら立つ。そんな血塗れのまま戦わす訳にはいかないし。その前に武蔵丸の方が死にそうだし。
「治癒魔法」
緑の光が武蔵丸を包み、とりあえず止血を行う。血色も少し良くなったしこれで死ぬことはないだろうし。
「……まだ、私は戦えます」
むすっとした表情を浮かべるレキだが、顔色は悪い。ちの流しすぎだね。苦笑を浮かべながらもレキにも治癒魔法をかける。
「……それで俺の御相手はどちらですかな?」
ゼシカが腰の刀と呼ばれる東の武器を構えながら問うてきた。こいつも戦闘狂か。
「あ〜わたし、わたし」
血塗れのレキを戦わすわけにもいかないししかたない。本を閉じ、それをレキに渡すことで無理やり下がらせる。
しぶしぶといった様子で後ろに下がるレキを見ながら魔法陣を幾つも展開を開始する。
「魔法使いなら使う前に切れば良い」
そう言葉を言い切るとわたしの眼前からゼシカが消える。いや、このレベルの人達の動きなんてわたしには全く見えないんだよね。
ギンっ! という音が響きそちらに瞳を向けるとゼシカが振るった狂刃を結界が阻んでいた。
「なんで、硬い防御魔法……」
刃を引き僅かに楽しげな声を上げるゼシカ。斬れないのが楽しいとか意味がわからないね。
「しかし、なぜそちらから攻撃してこないので?」
「新しい魔法を使うからね。時間がかかるよ。あと三分くらいかな?」
わたしの後ろに展開されている幾つもの魔法陣は新しい魔法の起動式だ。今回の魔法はなかなかに大掛かりな仕掛けにしてるから時間がかかるんだよね。
「ふむ、ならば俺もまだ剣技を試せるな」
ニヤリと笑うとゼシカは持っていた刀を鞘に収め、柄に手を添え姿勢を低くする。
「?」
あんな遠くからじゃ攻撃なんてできないだろうに。
「身体強化と魔力強化から繰り出す斬撃を受けよ」
再び姿がわたしの視界から掻き消え、またもギン!という音が響く。
「斬撃はきかないよ?」
「ここからさ」
結界に食い止められていたあ刃が細かな振動を開始し、徐々に結界を削り取るかのように刃が押し込まれ始めた。
「お?」
危機感を感じ後ろに一歩下がる。その瞬間、結界を刃が斬り裂き、わたしの前髪を切り裂いた。
攻撃はそれで止まらず、ゼシカは刃を引き戻すと素早く突きに転じる。
線の攻撃から点の攻撃になったことで余計に見えにくい。
ただただ、ガンガンと言う音だけが響く。
「突きでは貫けないようですね」
「人に刃物むけといてその感想?」
後ろに下がりながら冷静に感想を述べるゼシカを呆れながら見る。
「それでそちらの準備はできたのかな?」
「ん〜?」
気だる気な感じで後ろを見ると魔法陣は全て点滅していた。おー、起動完了してるね。今は待機状態になってるみたいだし。
「準備はできてるよ」
「ならば次はそちらが披露する番だな」
「武人だね」
わたしにはよくわからないけど。
「マーテ、なんでもいいから本頂戴」
「うい!」
マーテがテテテテと走りながら一冊の本を持ってきた。……よりにもよってまだ読みかけの本を。
「これでいいです?」
「……うん、ありがと」
マーテが褒められて嬉しそうな笑みを浮かべながら去っていく。しかたない、後で新しいのを買おう。
指先で後ろの魔法陣を触り、その指を動かすと魔法陣は指先にくっつくようについてくる。指先の魔法陣をマーテに持ってこさせた本に重ねると溶けるかのように本の中に消えていった。
「よしよし、上手く行った」
一つ目の魔法陣が本に入ったことを確認すると背後の魔法陣を片っ端から本に重ね続けていく。その度に本は魔法陣を飲み込んで行き、黒皮の表紙であった本が徐々に白く、透き通るように輝く本となっていった。
「完成」
そう呟いたわたしの掌の上には透き通り輝く本がクルクルと回りながら浮かんでいた。
「魔法を込めることに成功。これが人の手により作られた魔導書、名付けて私の作った理想の世界」
浮かぶ魔導書私の作った理想の世界を手にし、ページをめくる。そのページには魔法の起動式が絵かがれている。
「ではいくよ? 勇者様?」
わたしはにやりと勇者ゼシカに向かい笑いかける。それを挑戦て受け止めたのかゼシカも笑う
「こい」
全身からなんとも言えない威圧感を放ちながらゼシカは構える。これがレキのいう闘気とかいうやつかな。
「開け! 私の作った理想の世界!」
わたしの声が響き世界が一変する。
わたしは血塗れのレキの前に本を読みながら立つ。そんな血塗れのまま戦わす訳にはいかないし。その前に武蔵丸の方が死にそうだし。
「治癒魔法」
緑の光が武蔵丸を包み、とりあえず止血を行う。血色も少し良くなったしこれで死ぬことはないだろうし。
「……まだ、私は戦えます」
むすっとした表情を浮かべるレキだが、顔色は悪い。ちの流しすぎだね。苦笑を浮かべながらもレキにも治癒魔法をかける。
「……それで俺の御相手はどちらですかな?」
ゼシカが腰の刀と呼ばれる東の武器を構えながら問うてきた。こいつも戦闘狂か。
「あ〜わたし、わたし」
血塗れのレキを戦わすわけにもいかないししかたない。本を閉じ、それをレキに渡すことで無理やり下がらせる。
しぶしぶといった様子で後ろに下がるレキを見ながら魔法陣を幾つも展開を開始する。
「魔法使いなら使う前に切れば良い」
そう言葉を言い切るとわたしの眼前からゼシカが消える。いや、このレベルの人達の動きなんてわたしには全く見えないんだよね。
ギンっ! という音が響きそちらに瞳を向けるとゼシカが振るった狂刃を結界が阻んでいた。
「なんで、硬い防御魔法……」
刃を引き僅かに楽しげな声を上げるゼシカ。斬れないのが楽しいとか意味がわからないね。
「しかし、なぜそちらから攻撃してこないので?」
「新しい魔法を使うからね。時間がかかるよ。あと三分くらいかな?」
わたしの後ろに展開されている幾つもの魔法陣は新しい魔法の起動式だ。今回の魔法はなかなかに大掛かりな仕掛けにしてるから時間がかかるんだよね。
「ふむ、ならば俺もまだ剣技を試せるな」
ニヤリと笑うとゼシカは持っていた刀を鞘に収め、柄に手を添え姿勢を低くする。
「?」
あんな遠くからじゃ攻撃なんてできないだろうに。
「身体強化と魔力強化から繰り出す斬撃を受けよ」
再び姿がわたしの視界から掻き消え、またもギン!という音が響く。
「斬撃はきかないよ?」
「ここからさ」
結界に食い止められていたあ刃が細かな振動を開始し、徐々に結界を削り取るかのように刃が押し込まれ始めた。
「お?」
危機感を感じ後ろに一歩下がる。その瞬間、結界を刃が斬り裂き、わたしの前髪を切り裂いた。
攻撃はそれで止まらず、ゼシカは刃を引き戻すと素早く突きに転じる。
線の攻撃から点の攻撃になったことで余計に見えにくい。
ただただ、ガンガンと言う音だけが響く。
「突きでは貫けないようですね」
「人に刃物むけといてその感想?」
後ろに下がりながら冷静に感想を述べるゼシカを呆れながら見る。
「それでそちらの準備はできたのかな?」
「ん〜?」
気だる気な感じで後ろを見ると魔法陣は全て点滅していた。おー、起動完了してるね。今は待機状態になってるみたいだし。
「準備はできてるよ」
「ならば次はそちらが披露する番だな」
「武人だね」
わたしにはよくわからないけど。
「マーテ、なんでもいいから本頂戴」
「うい!」
マーテがテテテテと走りながら一冊の本を持ってきた。……よりにもよってまだ読みかけの本を。
「これでいいです?」
「……うん、ありがと」
マーテが褒められて嬉しそうな笑みを浮かべながら去っていく。しかたない、後で新しいのを買おう。
指先で後ろの魔法陣を触り、その指を動かすと魔法陣は指先にくっつくようについてくる。指先の魔法陣をマーテに持ってこさせた本に重ねると溶けるかのように本の中に消えていった。
「よしよし、上手く行った」
一つ目の魔法陣が本に入ったことを確認すると背後の魔法陣を片っ端から本に重ね続けていく。その度に本は魔法陣を飲み込んで行き、黒皮の表紙であった本が徐々に白く、透き通るように輝く本となっていった。
「完成」
そう呟いたわたしの掌の上には透き通り輝く本がクルクルと回りながら浮かんでいた。
「魔法を込めることに成功。これが人の手により作られた魔導書、名付けて私の作った理想の世界」
浮かぶ魔導書私の作った理想の世界を手にし、ページをめくる。そのページには魔法の起動式が絵かがれている。
「ではいくよ? 勇者様?」
わたしはにやりと勇者ゼシカに向かい笑いかける。それを挑戦て受け止めたのかゼシカも笑う
「こい」
全身からなんとも言えない威圧感を放ちながらゼシカは構える。これがレキのいう闘気とかいうやつかな。
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