浮遊図書館の魔王様
第121話 聖なる武器を見ました
レクレが椅子に座り本を読み始めると同じ頃には剣戟の音が響き渡り始めた。
「むん!」
「ぴょん!」
レキと武蔵丸が再び剣と斧をぶつけ合う。金属が軋む音が幾度も響きそれに伴い二人の傷が少しづつ増えていた。
どちらの武器も重量級の武器のため細かな技が使えないためどうしても一撃だよりの攻撃になるのが原因だろう。
「やるぴょん! まさか私の聖聖斧、バルバルーラで砕けない剣とは! だけど武蔵丸も負けられないぴょん!」
そう告げる武蔵丸の目には今だ闘志が消えずに燃えていた。
「それはこちらも同じです。あなたを斬り捨て、あちらの方とも遊んでいただきます」
そう言うレキの眼には新しいおもちゃを手に入れたような愉悦の色が浮かび、その瞳はフレイムゴーレムと闘うゼシカを捉えていた。
「ならそれは叶わないぴょん」
「なぜです」
武蔵丸が自信をもって宣言する。それに対し、レキはいささか不機嫌そうな瞳を向ける。
「なに、簡単な事ぴょん」
武蔵丸は背中にしょっていた布に包まれた長物を手に取る。
「それは武器ですか?」
「いや、ちがうぴょん」
レキも剣を構え警戒する。だがそんなレキを前に武蔵丸は無防備に布を外していく。
「できることならこれを使わずに戦士として戦いたかったけど仕方ないぴょん」
残念そうに言いながら武蔵丸が聖斧を持つ右手と反対の左手に持っていた物は黄金に輝くパンだった。
「……食べ物で闘う気ですか?」
呆れとも取れるようなレキの声だがわかる人が聞けばかなりの怒気が含まれているのがわかっただろう。
「レキ殿、パンは武器にあらず、食べる物だぴょん」
今度は武蔵丸が呆れたような声を出した。
そしてそのパンを天にかかげる。
「これこそが! 我が女神タルメア様より与えられた聖なる武器、神が作りたもうた最強の食料!」
「食料だと……」
黄金に輝く食料を見ながらレキは絶句する。あんなものが聖なる武器なのかと。
「今から見してやるぴょん、食料の力を!」
叫ぶや否や、武蔵丸は食料を齧りだした。
『はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎』
観客、レキが疑問の声を上げる中、武蔵丸はひたすらにフランスパンを食べ続ける。それはもうガツガツと、
「げぷぅ…… 待たせたぴょん」
全て食べ終えた武蔵丸が再び聖斧を構えレキと対峙する。
すでにレキの額には青筋が見えるほどになっていた。
「……最後の食事は済みましたか? ええ、済んでなくても……」
殺します。という言葉を言い終わる前にレキが爆発的な加速を見せ、瞬きをする間も与えずに武蔵丸の懐に潜り込んだ。
「死なさい」
絶対零度の声でそう述べたレキが武蔵丸の首を目掛けて剣を振り上げた。
ギチン! っという音が響くと共にレキが轟音を立てながら吹き飛ばされた。そのまま数度リングをバウンドするがくるりと回転しリングの上を滑りようやく止まる。
「ごふっ」
レキが口を手で押さえ、軽く咳き込むと少量の血が手に付着していた。それを珍しげに見ながらレキはにたりと笑ういながら武蔵丸を見る。
武蔵丸はただ立っているだけだ。手を軽く振りかぶった状態で。
「まさか拳だけで、々と防がれると思っていませんでした」
「私もまさかあのタイミングで後ろに飛ぶなんてできると思ってなかったぴょん」
剣を振り上げた瞬間、パンがなくりフリーになった左拳が迫ってきた事を知ったレキは拳が当たる寸前で自分から後ろに飛び、威力を殺したのだ。
(しかし、後ろに飛び威力を殺してこれとは、恐ろしい)
戦いの場で食料を食べるというふざけた行為をした輩とは思えない攻撃だとレキは警戒をさらに強めた。
「ふふふ、私の食べた聖なる武器、神が作りたもうた食料は食べた者の身体能力を極限まで上げる武器、今の私は何よりも強いぴょん!」
そこにいたのは褐色だった肌は赤黒く変色しており、体も二周りほど小さくなっている厳ついアマゾネスではなく美少女化した武蔵丸だった
「なるほど、全身の筋肉を圧縮し、その小さな身体にトドメているわけですかそれは斬りがいがありそうです」
「説明が省けて助かるぴょん」
腕を組み、レキをバカにしたような表情を浮かべる武蔵丸、対してレキの口元には狂気の笑み。
ゆっくりとした動作で再び剣を構え脚力が爆発する。
再び先ほどの再現のごとくレキが剣を武蔵丸の左目を狙い突き上げる。
「なめるな! ぴょん!」
それを防ぐべく武蔵丸が右手で剣を殴りつけ、剣閃の軌道を逸らす。
すかさず剣を弾かれたレキが跳躍。剣を殴ったことで無防備になった顔面に第二の凶器となった膝蹴りを容赦無く叩き込む。
メリっという音が鳴り上がるが武蔵丸は怯むことなくまだ使っていなかった左手でレキの足を掴むと力任せにリングに叩きつけた。
「がひぁだ!」
よくわからない悲鳴を上げながら叩きつけられたレキを中心にリングにヒビが入り、一瞬で爆音を上げながら倒壊。
爆音に少し遅れた形で砂埃が宙を舞う。
その砂埃な中に銀閃を見た武蔵丸はレキの足を手放し後ろに下がった。
瞬間、武蔵丸が先ほどまでいた空間に砂埃を吹き飛ばしながら剣閃が走り抜ける。
「……お前、化け物かぴょん?」
武蔵丸が絶句したような声を上げる。その視線の先にはただ剣を振るい砂埃を切り裂き、見るものが身震いするような壮絶な笑みを浮かべる血塗れのレキの姿があった。
「ああ、血が……」
額から流れる血を手で拭いそれを美味しそうに舐めた。
しかし、血は止まらずにいくら手で拭おうとひたすらにレキの手を赤く染めていく。その手をジッと見つめていたレキであったが、
「ひっは……」
完全に瞳孔の開き切った瞳を武蔵丸に向け、持っていた大剣を振りかざし投擲。大剣は周囲の大気を唸らせながら武蔵丸に向かい直進する。
「なめるな! ぴょん!」
迫り来る大剣を聖斧にて払い落とす。上からの力で払い落とされた大剣は瓦礫と化したリングに突き刺さった。
「ひはぁ!」
レキが奇声を上げながら大剣に繋がる魔力糸力任せにを振るう。すると瓦礫から抜け出した大剣が宙に浮かび上がり、
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
レキの奇声、そして腕の振り下ろしに連動し武蔵丸のいる大地に向かい叩きつけられた。
瓦礫が音を立て砕け散り弾け飛んだ。それらの破片を躱しながら武蔵丸は跳躍する。
「むちゃくちゃだぴょん!」
武蔵丸の眼下には魔力をデタラメに振るい繋がる大剣が破壊の嵐を引き押しているレキの姿を捉えていた。
「にぃぃがぁぁぁすぅぅぅかぁぁぁぁぁぁ!」
魔力糸を横薙ぎに振るうことで遠心力を得た大剣が唸りを上げながら武蔵丸の真横に迫った。
逃げ場のない武蔵丸は聖斧と両腕を交差させ防御の構えをとった。次の瞬間、横からとんでもない衝撃が武蔵丸に襲いかかった。
「ぐぅ!」
空中という足場のない状況で耐えれるはずがなく、腕の骨が砕ける音を聞きながら今度は武蔵丸が叩きつけられた残っていたリングを残骸へと変える。再び土煙が上がる中、レキは魔力糸を操りひたすらに武蔵丸が落下した地点に剣を叩き込み続けた。それはもう容赦ないほどに、観客がドン引きするほどに。
しかし、突如としてレキが引き寄せられかのように土煙の中に飛び込んでいき、すぐに血を巻き散らかしながら飛び出してき、地面を転がった。
「調子にのるなぴょん!」
土煙が晴れた所には血塗れの武蔵丸がレキの大剣を掴み、腕を振りかぶった姿勢で立っていた。おそらくは大剣を掴み、それを引っ張ることでレキを引き寄せ、顔面を殴りつけたのだろう。
「お前のご自慢の武器は奪ったぴょん。勝ち目はないから降参するぴょん」
よろよろと立ち上がるレキを見ながら武蔵丸は冷淡な声で告げる。
「降参?」
再び顔を上げ、武蔵丸を見るレキの眼には疑問の色が浮かぶ。
「なぜ降参なんです? こんなに楽しいのに、それに……」
私はまだ武器を失ってない。とレキの口が動くのを悪寒とともに武蔵丸は見たのだった。
「むん!」
「ぴょん!」
レキと武蔵丸が再び剣と斧をぶつけ合う。金属が軋む音が幾度も響きそれに伴い二人の傷が少しづつ増えていた。
どちらの武器も重量級の武器のため細かな技が使えないためどうしても一撃だよりの攻撃になるのが原因だろう。
「やるぴょん! まさか私の聖聖斧、バルバルーラで砕けない剣とは! だけど武蔵丸も負けられないぴょん!」
そう告げる武蔵丸の目には今だ闘志が消えずに燃えていた。
「それはこちらも同じです。あなたを斬り捨て、あちらの方とも遊んでいただきます」
そう言うレキの眼には新しいおもちゃを手に入れたような愉悦の色が浮かび、その瞳はフレイムゴーレムと闘うゼシカを捉えていた。
「ならそれは叶わないぴょん」
「なぜです」
武蔵丸が自信をもって宣言する。それに対し、レキはいささか不機嫌そうな瞳を向ける。
「なに、簡単な事ぴょん」
武蔵丸は背中にしょっていた布に包まれた長物を手に取る。
「それは武器ですか?」
「いや、ちがうぴょん」
レキも剣を構え警戒する。だがそんなレキを前に武蔵丸は無防備に布を外していく。
「できることならこれを使わずに戦士として戦いたかったけど仕方ないぴょん」
残念そうに言いながら武蔵丸が聖斧を持つ右手と反対の左手に持っていた物は黄金に輝くパンだった。
「……食べ物で闘う気ですか?」
呆れとも取れるようなレキの声だがわかる人が聞けばかなりの怒気が含まれているのがわかっただろう。
「レキ殿、パンは武器にあらず、食べる物だぴょん」
今度は武蔵丸が呆れたような声を出した。
そしてそのパンを天にかかげる。
「これこそが! 我が女神タルメア様より与えられた聖なる武器、神が作りたもうた最強の食料!」
「食料だと……」
黄金に輝く食料を見ながらレキは絶句する。あんなものが聖なる武器なのかと。
「今から見してやるぴょん、食料の力を!」
叫ぶや否や、武蔵丸は食料を齧りだした。
『はぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎』
観客、レキが疑問の声を上げる中、武蔵丸はひたすらにフランスパンを食べ続ける。それはもうガツガツと、
「げぷぅ…… 待たせたぴょん」
全て食べ終えた武蔵丸が再び聖斧を構えレキと対峙する。
すでにレキの額には青筋が見えるほどになっていた。
「……最後の食事は済みましたか? ええ、済んでなくても……」
殺します。という言葉を言い終わる前にレキが爆発的な加速を見せ、瞬きをする間も与えずに武蔵丸の懐に潜り込んだ。
「死なさい」
絶対零度の声でそう述べたレキが武蔵丸の首を目掛けて剣を振り上げた。
ギチン! っという音が響くと共にレキが轟音を立てながら吹き飛ばされた。そのまま数度リングをバウンドするがくるりと回転しリングの上を滑りようやく止まる。
「ごふっ」
レキが口を手で押さえ、軽く咳き込むと少量の血が手に付着していた。それを珍しげに見ながらレキはにたりと笑ういながら武蔵丸を見る。
武蔵丸はただ立っているだけだ。手を軽く振りかぶった状態で。
「まさか拳だけで、々と防がれると思っていませんでした」
「私もまさかあのタイミングで後ろに飛ぶなんてできると思ってなかったぴょん」
剣を振り上げた瞬間、パンがなくりフリーになった左拳が迫ってきた事を知ったレキは拳が当たる寸前で自分から後ろに飛び、威力を殺したのだ。
(しかし、後ろに飛び威力を殺してこれとは、恐ろしい)
戦いの場で食料を食べるというふざけた行為をした輩とは思えない攻撃だとレキは警戒をさらに強めた。
「ふふふ、私の食べた聖なる武器、神が作りたもうた食料は食べた者の身体能力を極限まで上げる武器、今の私は何よりも強いぴょん!」
そこにいたのは褐色だった肌は赤黒く変色しており、体も二周りほど小さくなっている厳ついアマゾネスではなく美少女化した武蔵丸だった
「なるほど、全身の筋肉を圧縮し、その小さな身体にトドメているわけですかそれは斬りがいがありそうです」
「説明が省けて助かるぴょん」
腕を組み、レキをバカにしたような表情を浮かべる武蔵丸、対してレキの口元には狂気の笑み。
ゆっくりとした動作で再び剣を構え脚力が爆発する。
再び先ほどの再現のごとくレキが剣を武蔵丸の左目を狙い突き上げる。
「なめるな! ぴょん!」
それを防ぐべく武蔵丸が右手で剣を殴りつけ、剣閃の軌道を逸らす。
すかさず剣を弾かれたレキが跳躍。剣を殴ったことで無防備になった顔面に第二の凶器となった膝蹴りを容赦無く叩き込む。
メリっという音が鳴り上がるが武蔵丸は怯むことなくまだ使っていなかった左手でレキの足を掴むと力任せにリングに叩きつけた。
「がひぁだ!」
よくわからない悲鳴を上げながら叩きつけられたレキを中心にリングにヒビが入り、一瞬で爆音を上げながら倒壊。
爆音に少し遅れた形で砂埃が宙を舞う。
その砂埃な中に銀閃を見た武蔵丸はレキの足を手放し後ろに下がった。
瞬間、武蔵丸が先ほどまでいた空間に砂埃を吹き飛ばしながら剣閃が走り抜ける。
「……お前、化け物かぴょん?」
武蔵丸が絶句したような声を上げる。その視線の先にはただ剣を振るい砂埃を切り裂き、見るものが身震いするような壮絶な笑みを浮かべる血塗れのレキの姿があった。
「ああ、血が……」
額から流れる血を手で拭いそれを美味しそうに舐めた。
しかし、血は止まらずにいくら手で拭おうとひたすらにレキの手を赤く染めていく。その手をジッと見つめていたレキであったが、
「ひっは……」
完全に瞳孔の開き切った瞳を武蔵丸に向け、持っていた大剣を振りかざし投擲。大剣は周囲の大気を唸らせながら武蔵丸に向かい直進する。
「なめるな! ぴょん!」
迫り来る大剣を聖斧にて払い落とす。上からの力で払い落とされた大剣は瓦礫と化したリングに突き刺さった。
「ひはぁ!」
レキが奇声を上げながら大剣に繋がる魔力糸力任せにを振るう。すると瓦礫から抜け出した大剣が宙に浮かび上がり、
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
レキの奇声、そして腕の振り下ろしに連動し武蔵丸のいる大地に向かい叩きつけられた。
瓦礫が音を立て砕け散り弾け飛んだ。それらの破片を躱しながら武蔵丸は跳躍する。
「むちゃくちゃだぴょん!」
武蔵丸の眼下には魔力をデタラメに振るい繋がる大剣が破壊の嵐を引き押しているレキの姿を捉えていた。
「にぃぃがぁぁぁすぅぅぅかぁぁぁぁぁぁ!」
魔力糸を横薙ぎに振るうことで遠心力を得た大剣が唸りを上げながら武蔵丸の真横に迫った。
逃げ場のない武蔵丸は聖斧と両腕を交差させ防御の構えをとった。次の瞬間、横からとんでもない衝撃が武蔵丸に襲いかかった。
「ぐぅ!」
空中という足場のない状況で耐えれるはずがなく、腕の骨が砕ける音を聞きながら今度は武蔵丸が叩きつけられた残っていたリングを残骸へと変える。再び土煙が上がる中、レキは魔力糸を操りひたすらに武蔵丸が落下した地点に剣を叩き込み続けた。それはもう容赦ないほどに、観客がドン引きするほどに。
しかし、突如としてレキが引き寄せられかのように土煙の中に飛び込んでいき、すぐに血を巻き散らかしながら飛び出してき、地面を転がった。
「調子にのるなぴょん!」
土煙が晴れた所には血塗れの武蔵丸がレキの大剣を掴み、腕を振りかぶった姿勢で立っていた。おそらくは大剣を掴み、それを引っ張ることでレキを引き寄せ、顔面を殴りつけたのだろう。
「お前のご自慢の武器は奪ったぴょん。勝ち目はないから降参するぴょん」
よろよろと立ち上がるレキを見ながら武蔵丸は冷淡な声で告げる。
「降参?」
再び顔を上げ、武蔵丸を見るレキの眼には疑問の色が浮かぶ。
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