浮遊図書館の魔王様
第117話 lvあっぷしました
晴天の空を紙片が舞う。
そして同時ビリアラも飛ぶ。
「……しつこい」
紙を紙魔法で操りながらビリアラは下を見るとピンクの服の集団が追いかけてきていた。
「姫のために足止めを!」
「足止めを!」
「はぁ……」
上空の鳥を追いながら下のピンク服を見てビリアラはため息をついた。
先程は軽く紙魔法で吹き飛ばして見たが全く数が減らない。手加減したとはいえ考えられないタフさだ。
「なんらかの特殊能力ですかね」
勇者シールのことを知らないビリアラは勇者が増産されていることを知らない。吹き飛ばされても新たに投入されているため数は全く変わってない。
「向こう側からの攻撃も厄介です」
下からピンクの服の集団がひたすらに色々と投げてきているし躱してはいるけど何より数が多い。
「どうしましょうか」
ビリアラは頭を悩ませる。
移動に使っている紙を攻撃あるいは防御に回せば多少は楽になるだろうが移動力が下がる。
「なにより紙に限りがありますし」
現在ビリアラが使っている紙は文庫本三冊分。
圧倒するなら大量の紙が必要だ。
「とりあえず、紙の補充ですね」
真下に本屋があることを確認したビリアラはすぐに紙魔法を解除。今までビリアラを飛ばしていた物がただの紙となり宙をヒラヒラと舞う。さらにビリアラは重力に従い落下を始める。すぐさまにビリアラは紙魔法を再度使用し自分を包み込むように球体を作り上げる。 あっという間に紙の球体が作られ、ビリアラの体を包んだまま真下の本屋に直撃した。
屋根を砕き、轟音を撒き散らしながらも球体は無傷(本屋は壊滅的被害)で着地。球体をただの紙に戻したビリアラはすぐに手元の紙鎖状にし、そこいらじゅうの本に向かいばら撒きくっついた物を片っ端から引っ張った。すると本がスルスルと解けバラバラのページになると鎖に張り付き、鎖が厚みを増した。
「ざっと三百冊分…… これで十分ですかね」
手元に戻った大きくなった鎖を見てビリアラは満足そうにする。瞬時に鎖をただの紙に戻し自身の周りを旋回さし、自動迎撃の構えをとった。
「姫のためにぃぃぃ!」
奇声を上げながら飛びかかってきたピンク服に対し紙魔法で槌を作り(さすがに牽制用ではないので剣はやめた)射出。放たれた槌はピンク服の腹に直撃し、軽々と吹き飛ばす。
「ここはやりにくい」
周囲に旋回さしていた紙に魔力を送り一気に周辺の瓦礫を弾き飛ばした。
すっきりとした空間をビリアラは一気に駆け、廃墟と化した本屋から飛び出した。
「いた! あいつだ!」
廃墟から飛び出した瞬間にピンク服に発見された。
「縫い付ける!」
ビリアラの声で紙の剣がすぐさま形成され瞬く間に射出される。高速で飛来した剣を躱すこともできずに寸分の狂いなくピンク服の足に突き刺さり地面に縫い付けた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
甲高い悲鳴を聞きながらビリアラはすぐさま壁を蹴り上げ屋根の上に登る。
「あそこだ!」
声のほうの上がるほうにビリアラが視線を向けると多数のピンク服が目に入った。
「……きりがない」
上空の鳥を追うと今度は下のピンク服が攻撃をしてくる。しかし、下のピンク服に応戦すると今度は上の鳥を見失いそうになるのだ。
「同時にやる!」
周囲を旋回さしていた紙を再び剣の形状に変化させると上下に同時に放った。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!』
下から悲鳴が、上では鳥の破裂音が耳に入る。それを確認することなくビリアラは疾走を再開する。
(まだ二羽しか潰してない)
顔にはでてないがビリアラは心中で焦る。このゲーム現状では一人しかいないビリアラが圧倒的に不利からだ。そしてなにより、
「ゲームのステージが大きすぎる」
これが密閉された空間ならばビリアラは圧倒的とも言える数の紙魔法の紙片をばら撒くことにより敵、そして目標の位置を完全に理解した上で紙魔法て作り上げた武器を放ち続けるだけで勝利することができただろう。
だが、現状行われているゲームのステージはライブラリの街全体と大きく紙片をばら撒き、鳥や敵の位置を把握することは不可能だ。
「はぁ……」
ビリアラは深くため息をつく。
勝つ方法はある。但しそれはビリアラのびがくというかそういうものに反するのだ。
ビリアラが思考を進めている間にも勇者達の質が上がってきたのか魔法が混じり始めてきていた。
「仕方ない。マーテのように負けるわけにはいきません」
走るのを止めたビリアラに向かい色とりどりの魔法が殺到するがビリアラは紙魔法で瞬時に迎撃、更に反撃で紙の剣をこれでもかという位に叩き込んだ。
悲鳴と土煙が上がる中、ビリアラは紙魔法で操る紙に込める魔力を増やす。それにより周囲を旋回していた紙が徐々に白からインクが滲むかのごとくに漆黒に染まる。
「紙魔法lv2」
漆黒の紙が旋回を止めビリアラの横に集まり形を作り始める。それは徐々に人の形を形成し始める。
「紙がまだ足りないようです」
漆黒の紙で剣を瞬時に作り上げると記憶にある本屋の建物に向かい放つ。
風を切り裂くような音を響かせながら漆黒の剣が本屋に直撃し、爆音を撒き散らしながら中の本が唯の紙片となり宙を踊る。
「あれだけあれば十分でしょう」
宙を舞う紙片に向け手を翳す。ビリアラが再び紙魔法で紙を集め魔力を注ぎ片っ端から漆黒に染め上げ、その紙がさらに隣の人型注ぎ込まれていった。
「二体ですか、まぁまぁですね」
そう告げたビリアラの横には紙で作られた漆黒の人影が膝をついていた。
「これで十分でしょう。鳥を捕まえピンク服はまぁ、動けないようにしてください」
漆黒の人影は軽く頷くと一体はピンクの服の集団に向かい、もう一体は上空を飛ぶ鳥の方に跳躍する。そんな漆黒の影達を見送りながらビリアラは不敵な笑みを浮かべる。
「牽制用ですが」
そう言い漆黒の剣をビリアラは手にする。そしてその剣を軽くリングの方に向かい放り投げる。
「女神が側にいるのです。死にはしないでしょ」
そういい風を切り裂き続ける刃をビリアラは見送ったのだった。
そして同時ビリアラも飛ぶ。
「……しつこい」
紙を紙魔法で操りながらビリアラは下を見るとピンクの服の集団が追いかけてきていた。
「姫のために足止めを!」
「足止めを!」
「はぁ……」
上空の鳥を追いながら下のピンク服を見てビリアラはため息をついた。
先程は軽く紙魔法で吹き飛ばして見たが全く数が減らない。手加減したとはいえ考えられないタフさだ。
「なんらかの特殊能力ですかね」
勇者シールのことを知らないビリアラは勇者が増産されていることを知らない。吹き飛ばされても新たに投入されているため数は全く変わってない。
「向こう側からの攻撃も厄介です」
下からピンクの服の集団がひたすらに色々と投げてきているし躱してはいるけど何より数が多い。
「どうしましょうか」
ビリアラは頭を悩ませる。
移動に使っている紙を攻撃あるいは防御に回せば多少は楽になるだろうが移動力が下がる。
「なにより紙に限りがありますし」
現在ビリアラが使っている紙は文庫本三冊分。
圧倒するなら大量の紙が必要だ。
「とりあえず、紙の補充ですね」
真下に本屋があることを確認したビリアラはすぐに紙魔法を解除。今までビリアラを飛ばしていた物がただの紙となり宙をヒラヒラと舞う。さらにビリアラは重力に従い落下を始める。すぐさまにビリアラは紙魔法を再度使用し自分を包み込むように球体を作り上げる。 あっという間に紙の球体が作られ、ビリアラの体を包んだまま真下の本屋に直撃した。
屋根を砕き、轟音を撒き散らしながらも球体は無傷(本屋は壊滅的被害)で着地。球体をただの紙に戻したビリアラはすぐに手元の紙鎖状にし、そこいらじゅうの本に向かいばら撒きくっついた物を片っ端から引っ張った。すると本がスルスルと解けバラバラのページになると鎖に張り付き、鎖が厚みを増した。
「ざっと三百冊分…… これで十分ですかね」
手元に戻った大きくなった鎖を見てビリアラは満足そうにする。瞬時に鎖をただの紙に戻し自身の周りを旋回さし、自動迎撃の構えをとった。
「姫のためにぃぃぃ!」
奇声を上げながら飛びかかってきたピンク服に対し紙魔法で槌を作り(さすがに牽制用ではないので剣はやめた)射出。放たれた槌はピンク服の腹に直撃し、軽々と吹き飛ばす。
「ここはやりにくい」
周囲に旋回さしていた紙に魔力を送り一気に周辺の瓦礫を弾き飛ばした。
すっきりとした空間をビリアラは一気に駆け、廃墟と化した本屋から飛び出した。
「いた! あいつだ!」
廃墟から飛び出した瞬間にピンク服に発見された。
「縫い付ける!」
ビリアラの声で紙の剣がすぐさま形成され瞬く間に射出される。高速で飛来した剣を躱すこともできずに寸分の狂いなくピンク服の足に突き刺さり地面に縫い付けた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
甲高い悲鳴を聞きながらビリアラはすぐさま壁を蹴り上げ屋根の上に登る。
「あそこだ!」
声のほうの上がるほうにビリアラが視線を向けると多数のピンク服が目に入った。
「……きりがない」
上空の鳥を追うと今度は下のピンク服が攻撃をしてくる。しかし、下のピンク服に応戦すると今度は上の鳥を見失いそうになるのだ。
「同時にやる!」
周囲を旋回さしていた紙を再び剣の形状に変化させると上下に同時に放った。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!』
下から悲鳴が、上では鳥の破裂音が耳に入る。それを確認することなくビリアラは疾走を再開する。
(まだ二羽しか潰してない)
顔にはでてないがビリアラは心中で焦る。このゲーム現状では一人しかいないビリアラが圧倒的に不利からだ。そしてなにより、
「ゲームのステージが大きすぎる」
これが密閉された空間ならばビリアラは圧倒的とも言える数の紙魔法の紙片をばら撒くことにより敵、そして目標の位置を完全に理解した上で紙魔法て作り上げた武器を放ち続けるだけで勝利することができただろう。
だが、現状行われているゲームのステージはライブラリの街全体と大きく紙片をばら撒き、鳥や敵の位置を把握することは不可能だ。
「はぁ……」
ビリアラは深くため息をつく。
勝つ方法はある。但しそれはビリアラのびがくというかそういうものに反するのだ。
ビリアラが思考を進めている間にも勇者達の質が上がってきたのか魔法が混じり始めてきていた。
「仕方ない。マーテのように負けるわけにはいきません」
走るのを止めたビリアラに向かい色とりどりの魔法が殺到するがビリアラは紙魔法で瞬時に迎撃、更に反撃で紙の剣をこれでもかという位に叩き込んだ。
悲鳴と土煙が上がる中、ビリアラは紙魔法で操る紙に込める魔力を増やす。それにより周囲を旋回していた紙が徐々に白からインクが滲むかのごとくに漆黒に染まる。
「紙魔法lv2」
漆黒の紙が旋回を止めビリアラの横に集まり形を作り始める。それは徐々に人の形を形成し始める。
「紙がまだ足りないようです」
漆黒の紙で剣を瞬時に作り上げると記憶にある本屋の建物に向かい放つ。
風を切り裂くような音を響かせながら漆黒の剣が本屋に直撃し、爆音を撒き散らしながら中の本が唯の紙片となり宙を踊る。
「あれだけあれば十分でしょう」
宙を舞う紙片に向け手を翳す。ビリアラが再び紙魔法で紙を集め魔力を注ぎ片っ端から漆黒に染め上げ、その紙がさらに隣の人型注ぎ込まれていった。
「二体ですか、まぁまぁですね」
そう告げたビリアラの横には紙で作られた漆黒の人影が膝をついていた。
「これで十分でしょう。鳥を捕まえピンク服はまぁ、動けないようにしてください」
漆黒の人影は軽く頷くと一体はピンクの服の集団に向かい、もう一体は上空を飛ぶ鳥の方に跳躍する。そんな漆黒の影達を見送りながらビリアラは不敵な笑みを浮かべる。
「牽制用ですが」
そう言い漆黒の剣をビリアラは手にする。そしてその剣を軽くリングの方に向かい放り投げる。
「女神が側にいるのです。死にはしないでしょ」
そういい風を切り裂き続ける刃をビリアラは見送ったのだった。
「浮遊図書館の魔王様」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,571
-
2.9万
-
-
165
-
59
-
-
61
-
22
-
-
1.2万
-
4.7万
-
-
5,013
-
1万
-
-
5,073
-
2.5万
-
-
9,627
-
1.6万
-
-
8,090
-
5.5万
-
-
2,412
-
6,662
-
-
3,135
-
3,383
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
9,294
-
2.3万
-
-
3,521
-
5,226
-
-
6,119
-
2.6万
-
-
1,285
-
1,419
-
-
2,845
-
4,948
-
-
6,614
-
6,954
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,028
-
2.9万
-
-
315
-
800
-
-
6,161
-
3.1万
-
-
65
-
152
-
-
3,630
-
9,417
-
-
1,856
-
1,560
-
-
11
-
4
-
-
105
-
364
-
-
2,931
-
4,405
-
-
2,605
-
7,282
-
-
9,139
-
2.3万
-
-
2,787
-
1万
-
-
4,871
-
1.7万
-
-
2,388
-
9,359
-
-
561
-
1,070
-
-
71
-
145
コメント