浮遊図書館の魔王様
第94話 街で噂の犯人に会いました
「おいしい」
「うまうま〜」
本通りをマーテと二人で先程買ったサンライズを食べながら歩く。サクサク感がたまらない。
歩きながらも周りを観察しているが奇抜な格好の人は変わらず多い。
「ああいう服も最近できたお店で売ってるのかな?」
「う〜わかんない」
ライブラリもかなり大きな街になってるからどこになにがあるか全くわからなくなったからな〜(元から本屋の場所しかわからない)
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「悲鳴⁉︎」
マーテの耳がピコンと動き的確に悲鳴が聞こえた方向に視線を向けていた。
その方向にわたしも視線を向けるとマーテの首元を掴み手繰り寄せる。
「跳ぶよ」
「跳ぶ?」
瞬時に次元魔法を発動。一気に空高くに移動。相変わらず次元魔法を使うとマーテがぐったりするけど緊急事態だ。
「あれかな?」
落下中に人集りができている場所を発見したし、その真上に次元魔法で移動。
重力に従い落下し始めたので再び次元魔法を使用し地面に着地しる。
「俺ノォォォォォ名はぁぁぁぁぁぁぁぁゲホゲホ! じゃ、ジャァァァァァァァック」
でか! 声がでかい!
地上に着地した瞬間にバカなみたいな声が耳に入る。
人集りの真ん中にいるあの下着一枚とマントをつけている奴が噂の変態かな?
「あれは?」
「ああ、いきなり何かで女性の服を切りつけたんだよ」
はい決定。
でもこれだけ騒ぎになってるなら騎士団がくると思うんだけど。
「そこまでです! 変質者!」
聞き慣れた声が耳に入る。そちらを向くと数人の騎士を連れたカハネルが変質者に向かって行くところだった。途中、わたしがいることに気付いたのかこちらを見て目を見開いていた。うむ、お勤めご苦労。
「女性ばかり狙う悪辣な行為! 被害を受けた同じ女性として、騎士団として許せません! 捕らえなさい!」
カハネルの号令で騎士が剣を抜き変質者に向かい駆け出した。訓練されているのかかなり速い。
「笑止ぃぃぃぃぃ!」
再び奇声を上げながら変質者は両手を閃かす。なんか金属みたいな輝きが見えたけど。
シュン! シュン!
変質者は左右の手を振り、騎士達の横を通過。
すると騎士達が手にしていた剣が真っ二つに切り裂かれた。
魔法の気配は全くなかったのにどうやったんだろ?
「ふは! 俺の魔鋏・フランとディアに切れないものはない!」
鋏⁉︎ 鋏で剣を斬ったの?
でもたしかに変質者の両手には小さな鋏が収まってるけどあれで?
「くっ! この!」
騎士の一人が切られた剣を投げ捨て変質者に掴みかかろうとする。わたしなら嫌だ。下着一枚のやつに掴みかかるなんて。
「ふん」
変質者は軽く鼻で笑うと再び左右の手を振るう。
それだけで騎士の鎧はバラバラと音を立て地面に落ちた。あれ鉄製だよね?
「なっ! 鉄の鎧を切り裂いただと⁉︎」
あ、やっぱり鉄だった。
「お前らのような野郎の服を斬ってもつまらないのだよ! 見るなら女性がいいものだ」
「貴様!」
変質者の言葉にカハネルは顔を真っ赤にしながらも怒りを露わにしている。
本当に女性の敵だな、アレは。
今まで野次馬を決め込んでいた人達が我先にと逃げ出していた。今や広場には騎士団とわたし、そして気を失っているマーテだけになった。
「にゅ〜」
「あ、目が覚めた?」
抱えていたマーテが呻きながらも目を覚ましたので地面に立たす。フラフラとしながらももマーテは一人で立った。偉い偉い。
少しするとハッとした表情を浮かべ周りをキョロキョロとし始めた。
「レクレさま! 変質者は!」
「あれ」
わたしは騎士の鎧を軽々と切り裂く変質者を指差した。
瞬間、マーテが跳んだ。
一瞬で変質者まで跳ぶと全身を使い回転、回し蹴りを頭に叩き込もうとしていた。
「変質者、かくご!」
「ふむ、可愛い子は好きだぞ!」
マーテの回し蹴りを軽々と右腕一本で軽々と防ぎ、反撃するかのように左手が閃いた。
マーテは地面に着地するとすぐに後ろに下がり距離をとった。
「良い動きだし良い蹴りだ。だが軽い」
「むー!」
蹴りを軽いと言われマーテは唸る。
普通に考えれば子供であるマーテなんだから体重などを考慮すれざ軽いのは仕方ないだろう。
「マーテ! 下がりなさい! この変質者は私が!」
カハネルが剣を構え変質者にジリジリと間合いを図るように歩み寄る。
カハネルの言葉を無視しマーテが再び攻撃しようとしたのか小さく一歩踏み出した。瞬間、
「にゅ?」
マーテが小さな疑問の声をだした。
マーテの纏っていたメイド服が下着だけを残しビリビリに破けたのだ。凹凸のない体が下着共々さらされる。
「#^$'*%#=!!」
声に鳴らない悲鳴を上げてマーテは胸元を隠ししゃがみこんだ。うちの子に何てことを!
「眼福、眼福、だがあと五年たってから出直したまえ」
「この!」
変質者がマーテのほうに向いている隙を狙いカハネルが一気に詰め寄り剣を振るう。
「女性は武器ではなくもっと美しさを磨きたまえ!」
カハネルが振り下ろした剣を左手の鋏で受け止め右の鋏を変質者は振るう。
「く!」
即座に後ろに下がったカハネルだったが一瞬で鎧とその下に着込んでいた服の胸元が切り裂かれていた。
あの鋏、切れ味がおかしすぎる気がするんだけど。
「レクレ! 貴方も手伝いなさいよ!」
顔を真っ赤にし胸元を手で隠しながらカハネルが今だにサンライズを頬張っているわたしに対して怒鳴る。
さっき騎士団に任せろって言ってたじゃん。
理不尽だ。
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