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浮遊図書館の魔王様

るーるー

第74話 ライブラリ防衛しました③

 わたしとカハネルがハリセンにて応酬を繰り広げていると戦場に変化が現れた。


「カハネル様が想定していた第二ライン突破されました!」
「ほら! カハネル。君が指揮を取らないから突破されたよ! はやく指揮をとらないと!」
「この……人の邪魔をしておいてぬけぬけと!」


 額に青筋を浮かべながらもカハネルは戦場のほうに視線を戻した。


「まぁ、良くも悪くも敵は混乱した状態です。魔法使い、弓兵で攻撃し続けなさい」


 今までと同じように素早くカハネルは指示をだす。しかし、先ほどと違い弓や魔法が放たられることはなかった。


「なにをしているのです! 早く攻撃を再開しなさ……」


 怒りながら街門上に展開されていた兵、冒険者のほうに振り向きカハネルは言葉を止めた。
 それが気になりわたしもカハネルと同じように振り返る。


「なにこれ?」


 わたしとカハネルが振り返って見たもの。それは何故か膝を抱えている人や四つん這いになり涙をながしている魔法使い達の姿だった。


「カハネル、なにか厳しい命令でもしたの?」
「してませんわ! というか貴女も私の横にいたでしょう!」


 そう、聞いている感じでは特に命令に不備はなかったように感じたんだけど。
 少し近づいてみるとなにやらブツブツ言ってるみたいだ。
 近づいて聞いてみるかな。


「なんなんだよ・・・・・・あの規格外は」
「俺たちの努力をあざ笑う位の魔法とかふざけてる」
「あれが天才ってやつなんですかね」


 おーみなさん、自信を失ってらっしゃる。
 わたしが規格外とかそんなバカな。


「いや、貴女は十分に規格外ですよ? 火魔法〈ファイヤーボール〉を数十個同時展開したり魔法を作ったりは凡人はしませんわよ?」
「・・・・・・そうなんだ?」


 衝撃の新事実ってやつだね!
 つまり、わたしは・・・・・・


「天才!?」
「キラキラした目でこっちを見るんじゃないですわ!」
「この人は自覚さしたらいけないタイプじゃな」


 ひどい言われようだ。自覚さしたのは君たちだろうに。


「でもこれじゃ魔法使いたちが使い物にならないよ?」
「魔法使いはただでさえプライド高いから余計にですわ。この戦いに彼らはもう期待できないでしょう」


 魔法使いは全滅というか戦える状態じゃないポンコツ状態だし。弓兵の攻撃は盾持ちゴブリンには効果をさほどだしていないからね。


「よし、ここはわたしがサクッと殺ろう」


 うん、これで解決するね。
 わたしもこれで試したい魔法が使えるし、みんな戦わなくても勝てるし!


「ちょっと待つのじゃ! 魔王様がサクッと本気を出したら地形が変わる!」


 ちょっとウキウキしながら前にでるとガシっとベアトリスがわたしの右肩を掴む。


「そうです! ここまで街道を整備するのにかなりのお金と時間がかかったんですから! 街道がなければスムーズに物資の輸送ができませんのよ」


 さらにカハネルが左肩を掴んできた。
 いや、結構痛いんだけど。カハネルにいたっては目が本気というかやばい。


「大丈夫だよ! わたしの新魔法なら街道を壊さずにいけるよ!」
「……一応聞きますがどういった魔法を使う気ですか?」


 不安そうな表情を浮かべるカハネル、ベアトリスとは違いわたしは満面の笑みを浮かべる。今度作った魔法はかなりの自信作だからね! 


「新しく作った魔法だから名前はないけど爆発系の……」
「「却下! 却下!」」


 言ってる途中で遮られた。そういえば爆発系の魔法はなぜか魔法学園でも不評だったな。
 さらに言い返そうとするとわたしとカハネルの間に大きな音を立てながら木《•》が突き刺さった。


  「なにこれ? どこから?」


 疑問符を浮かべながらも進軍するゴブリン達のほうを見ると上空に黒い点がいくつもあることに気づいた。
 あれは……なんだ?
 しばらく見ているとこちらにむかい飛んで来てるようで徐々に黒いものが大きくなってきた。
 途中でなにか気づいたわたしはすぐさま空中の黒い点に向かい火魔法ファイヤーボールを立て続けに放つ。
 空中で次々に爆音が響く。


「ちょっと! レクレなにしてるんですの!」
「わたしはいいけどこのままだとまずいよ?」


 カハネルと話しながらも火魔法ファイヤーボールを放ち続ける。
 あ、全部は無理だ。多すぎるし。


 再び大きな音を立てながらあちらこちらに岩や木が空から降ってくる。今のところはけが人がいないのは幸いだ。


「細かい戦術とかは無理でもこんなことはできるんだね」
「どういうことですの?」


 いまだに状況を理解できてないのかカハネルが尋ねてくる。


「ゴブリン共は岩や木を手当たり次第にこちらに投げ続けてるんだ」


 カハネルと言い合ってる間に大分進んできたんだろう。奴らが物を投げつけこちらが被害を受ける距離まで接近を許したわけだし。


「とりあえず、魔法使い達を動かさないと……」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」


 話している最中に悲鳴が上がる。
 視線を向けると足を抑えた魔法使いが涙を流してる。足は変な方向に曲がってた。


「動かないとああなるよ?」


 わたしの言葉に危機感を覚えた魔法使い達が一斉に動き始めた。

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