浮遊図書館の魔王様
第70話 知らないとこでわたしの趣味の危機でした
謁見の間の扉を蹴り開け、わたしは中に入る。
自然と大きな音をだしたわたしに中にいる人達の視線が集まるが無視。スタスタと歩き空席だった王座に座る。ユールとアトラ、さらにメイド姉妹が後ろに控えたところでようやく他の人たちはわたしが魔王であると認識したようだ。すぐに膝をつき首をたれる。
「緊急の要件と聞いたからそんな無駄なことはいいよ」
そう告げると皆が立ち上がる。
なんか見たことある顔もあるし見たことのない顔もいるね。
「じゃ、ユール進めて」
「わかりました」
わたしの言葉でユールは一歩前に出る。
これでユールに頼まれていた仕事の大半は終わりだ。
ユールに頼まれていた仕事それは、緊急会議への参加。それだけだった。
後のことは自分がやると言われたからわたしから何かをする気は特にない。
というかそんなものわたし抜きでやればいいのにね。そういうところはやっぱり王族で格式美というのを気にするんだよね。
「では緊急会議を始めます。内容はみなさんも情報を得ていると思いますが魔物の暴走についてです」
その場に一瞬で緊張が走る。どうやらここにいる皆は暴走の恐ろしさがわかっているみたいだ。
わたし以外は。
「流石に皆さんも暴走については理解しているようですので約さしていただきます。では現状の説明を冒険者ギルドよりカーノさん、騎士団よりゴラックさん、魔法騎士大臣カハネルさんよりしてもらいます」
「では冒険者ギルドよりの報告をさしていただきます。ここ一週間でゴブリンの発見報告、襲撃報告が続いています。そのためE.F.Dランクの冒険者にも被害が出ています」
そんなに続いてるのか。そう言えば黒衣の森の手前でもやたらと居たな。ギルドに報告するの忘れてたよ。
弱いとはいえ数で囲まれるとランクの低い冒険者達に辛い相手だしね。
「騎士団でも同様の報告を受けています。また、門を警備する騎士の話でも商人達がゴブリンの大群に遭遇していることが多数確認されています」
いたるとこにいるなゴブリン。さすが大量発生。でも小石で倒せるからいまいち緊張感がわかないんだよね。
「わたしからは特にはありません。お二人が言われていた通りです。補足としまして、時折普通のゴブリンよりも大きな魔物も多数目撃されています。さらには斥候としてだした兵達が大規模なゴブリンの軍勢が確認されています」
カハネルの言葉に再び周りがざわめく。
ゴブリンより大きいやつか小石で死ぬか試したいとこだけど大規模な軍勢か。
パンっとユールが軽くてを叩く。それだけでざわめいていたのが一瞬で静まる。これが王族の貫禄というやつか。
「では次に進みます。ベアトリス」
「うむ」
ベアトリスがユールの横に立つ。
「先程の話からすでに大規模な暴走が起きるのはわかったと思う。ではここからは予想される被害だが……」
やたらとお金の話で眠くなる。寝たら怒られるのは目に見えてるんだけどね。
「この街には外壁があるからこもっておれば被害はない。ただし被害がないのは今だけで今後は被害が続くことになるんじゃが」
「どういうこと?」
今は被害がでないけど今後はでる?
「外壁の外では農業もやっておるからのぅ、篭ってゴブリン共をやり過ごすだけなら農地は壊滅的な被害が出るじゃろうな」
なるほど。今は人に被害がでなくても農地が荒らされれば今後収穫予定の穀物はゼロになり食べる物がなくなるということか。
「また、篭ってしまった場合も商人達の行き来がなくなるため物資の入荷が止まるからの。ゴブリン共がどれほどの数がおるかしらんが先の見えない籠城戦となるだろう」
「ふーん」
本で読んだ程度の知識しかないけど籠城戦は精神的に辛い戦いらしいからね。いつ終わるかというのがわかってないとかなり辛い物らしい。
「よって我らのとる策は二つ、打って出るか。もしくは籠城するかだ」
ふーむ、わたしにはわからないな。どっちがいいかなんて。打って出た場合はかなり被害がでるんだろうし、でなきても後から被害がでる。
よし、
「わたしが薙ぎ払うというのは……」
「魔王様が細かな魔法制御ができるのであれば頼みますが?」
「むう」
細かい制御は無理だ。大雑把にしかできないし。
「戦闘は冒険者、騎士の量分だがどうじゃ?」
ベアトリスがカーノ、ゴラックに話を振るが二人とも難しそうな顔をしていた。
「冒険者、騎士を動員すれば撃退は可能でしょう。ただ、完全に農地を守り切るというのは不可能かと思います」
それはそうだろう。
完全に守り切るというのは無理だ。
「ふむ、街道を守るだけならばどうじゃ?」
「街道だけならば可能でしょう」
なぜ街道だけなんだろう?
畑とかの方が大事な気がするんだけど。
わたしの顔をみてベアトリスが苦笑する。
「農地が荒らされた場合でも街道があれば多少の物流がのこるんじゃよ。荒れた道を進むことはかなりの苦行じゃからな」
だから国を作った時に道に関する許可の書類が多かったのか。納得納得。
「なにより街道がなくなったら困るのは魔王様じゃぞ?」
「なんでわたしが困るの?」
わたしご飯食べなくでも本があれば死なない体なんだけと?
「なに、単純じゃよ。街道がなくなり物流が止まると一番に止まるものはなんじゃと思う?」
「それは……娯楽品とかじゃないかな?」
娯楽品はなくても死ぬことはないけど食べ物は食べないと死んでしまうからね。それに商人は利に重きを置くから売れない娯楽品を大量に持ってくるより確実に捌けて利益のでる食料をもってくるだろう。
「では、本はどこに入ると思う?」
本はどこに入るかって? そりゃ娯楽品……
「⁉︎」
ガタっと大きな音を立てて立ち上がる。
謁見の間にいる全員が何事かとこちらを見る。
ユール、ベアトリス、カハネルにいたってはため息を付いたり苦笑を浮かべていた。
「ゴ……」
「「「ゴ……?」」」
「ゴブリン共を殲滅だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
腹のそこから叫んだ。
自然と大きな音をだしたわたしに中にいる人達の視線が集まるが無視。スタスタと歩き空席だった王座に座る。ユールとアトラ、さらにメイド姉妹が後ろに控えたところでようやく他の人たちはわたしが魔王であると認識したようだ。すぐに膝をつき首をたれる。
「緊急の要件と聞いたからそんな無駄なことはいいよ」
そう告げると皆が立ち上がる。
なんか見たことある顔もあるし見たことのない顔もいるね。
「じゃ、ユール進めて」
「わかりました」
わたしの言葉でユールは一歩前に出る。
これでユールに頼まれていた仕事の大半は終わりだ。
ユールに頼まれていた仕事それは、緊急会議への参加。それだけだった。
後のことは自分がやると言われたからわたしから何かをする気は特にない。
というかそんなものわたし抜きでやればいいのにね。そういうところはやっぱり王族で格式美というのを気にするんだよね。
「では緊急会議を始めます。内容はみなさんも情報を得ていると思いますが魔物の暴走についてです」
その場に一瞬で緊張が走る。どうやらここにいる皆は暴走の恐ろしさがわかっているみたいだ。
わたし以外は。
「流石に皆さんも暴走については理解しているようですので約さしていただきます。では現状の説明を冒険者ギルドよりカーノさん、騎士団よりゴラックさん、魔法騎士大臣カハネルさんよりしてもらいます」
「では冒険者ギルドよりの報告をさしていただきます。ここ一週間でゴブリンの発見報告、襲撃報告が続いています。そのためE.F.Dランクの冒険者にも被害が出ています」
そんなに続いてるのか。そう言えば黒衣の森の手前でもやたらと居たな。ギルドに報告するの忘れてたよ。
弱いとはいえ数で囲まれるとランクの低い冒険者達に辛い相手だしね。
「騎士団でも同様の報告を受けています。また、門を警備する騎士の話でも商人達がゴブリンの大群に遭遇していることが多数確認されています」
いたるとこにいるなゴブリン。さすが大量発生。でも小石で倒せるからいまいち緊張感がわかないんだよね。
「わたしからは特にはありません。お二人が言われていた通りです。補足としまして、時折普通のゴブリンよりも大きな魔物も多数目撃されています。さらには斥候としてだした兵達が大規模なゴブリンの軍勢が確認されています」
カハネルの言葉に再び周りがざわめく。
ゴブリンより大きいやつか小石で死ぬか試したいとこだけど大規模な軍勢か。
パンっとユールが軽くてを叩く。それだけでざわめいていたのが一瞬で静まる。これが王族の貫禄というやつか。
「では次に進みます。ベアトリス」
「うむ」
ベアトリスがユールの横に立つ。
「先程の話からすでに大規模な暴走が起きるのはわかったと思う。ではここからは予想される被害だが……」
やたらとお金の話で眠くなる。寝たら怒られるのは目に見えてるんだけどね。
「この街には外壁があるからこもっておれば被害はない。ただし被害がないのは今だけで今後は被害が続くことになるんじゃが」
「どういうこと?」
今は被害がでないけど今後はでる?
「外壁の外では農業もやっておるからのぅ、篭ってゴブリン共をやり過ごすだけなら農地は壊滅的な被害が出るじゃろうな」
なるほど。今は人に被害がでなくても農地が荒らされれば今後収穫予定の穀物はゼロになり食べる物がなくなるということか。
「また、篭ってしまった場合も商人達の行き来がなくなるため物資の入荷が止まるからの。ゴブリン共がどれほどの数がおるかしらんが先の見えない籠城戦となるだろう」
「ふーん」
本で読んだ程度の知識しかないけど籠城戦は精神的に辛い戦いらしいからね。いつ終わるかというのがわかってないとかなり辛い物らしい。
「よって我らのとる策は二つ、打って出るか。もしくは籠城するかだ」
ふーむ、わたしにはわからないな。どっちがいいかなんて。打って出た場合はかなり被害がでるんだろうし、でなきても後から被害がでる。
よし、
「わたしが薙ぎ払うというのは……」
「魔王様が細かな魔法制御ができるのであれば頼みますが?」
「むう」
細かい制御は無理だ。大雑把にしかできないし。
「戦闘は冒険者、騎士の量分だがどうじゃ?」
ベアトリスがカーノ、ゴラックに話を振るが二人とも難しそうな顔をしていた。
「冒険者、騎士を動員すれば撃退は可能でしょう。ただ、完全に農地を守り切るというのは不可能かと思います」
それはそうだろう。
完全に守り切るというのは無理だ。
「ふむ、街道を守るだけならばどうじゃ?」
「街道だけならば可能でしょう」
なぜ街道だけなんだろう?
畑とかの方が大事な気がするんだけど。
わたしの顔をみてベアトリスが苦笑する。
「農地が荒らされた場合でも街道があれば多少の物流がのこるんじゃよ。荒れた道を進むことはかなりの苦行じゃからな」
だから国を作った時に道に関する許可の書類が多かったのか。納得納得。
「なにより街道がなくなったら困るのは魔王様じゃぞ?」
「なんでわたしが困るの?」
わたしご飯食べなくでも本があれば死なない体なんだけと?
「なに、単純じゃよ。街道がなくなり物流が止まると一番に止まるものはなんじゃと思う?」
「それは……娯楽品とかじゃないかな?」
娯楽品はなくても死ぬことはないけど食べ物は食べないと死んでしまうからね。それに商人は利に重きを置くから売れない娯楽品を大量に持ってくるより確実に捌けて利益のでる食料をもってくるだろう。
「では、本はどこに入ると思う?」
本はどこに入るかって? そりゃ娯楽品……
「⁉︎」
ガタっと大きな音を立てて立ち上がる。
謁見の間にいる全員が何事かとこちらを見る。
ユール、ベアトリス、カハネルにいたってはため息を付いたり苦笑を浮かべていた。
「ゴ……」
「「「ゴ……?」」」
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