浮遊図書館の魔王様
第四十九話 第四階層 レキテンションあがりました①
最初にいた人数からすでに六分の一の数まで減った冒険者達は第四階層に上がるための階段を上がっていた。
しかし、彼らの顔には絶望の色は浮かんでおらず誰もが希望を持った顔だった。
「アリオンよ、次も頼むぜ」
「ああ、勇者がいれば次の階層も楽勝だぜ」
「違いない!」
冒険者は口々に勇者アリオンを讃え上機嫌だ。
アリオンは笑っているだけだがフランク、フォルトの表情は硬い。
「呑気なものです」
「全くだ。この四階層に辿り着くまでに残り人数が百五十を切ってるということがわかってないのか」
一階層ごとに約三百人の冒険者が脱落しているのだ。
この計算で行くと次の階層で全滅する可能性が出るのだ
流石にそれはないと思いたい。
「しかし、広いな」
フランクがぼそっと呟く。
すでに何度も登ったとてつもなく長い階段。
外から見た感じではここまで広い作りになっているようには見えなかった。
「恐らく魔法の力で中をかなり弄ってるんでしょう」
相変わらずニコニコと笑い、アリオンが気楽に言う。
確かに今までの階層を守護していた獣人種達を見ているとここの主はそれすらも容易くやりそうだ。
「だとしたらかなりの力を持つ主だな」
魔王と呼ばれる奴がここの主らしいが噂だけが一人歩きしているため真偽は定かではない。
だが、あれだけの強さを持つ獣人を配下に収めているこの図書館の主にフランクは多少の興味を覚え始めてきたのだ。
「おもしろい」
フランクは笑う。彼は楽しいことが大好きな人間だ。
この図書館の主はおもしろいと直感が告げている。
「フランク、余計なことを考えないでくださいね」
フランクの笑みに彼の行動のせいで一番に被害を被る副官であるフォルトがげんなりしながら釘を刺す。
そんなどうでもいいことを考えたり話したりしているうちにもうこの図書館に入って三回見てきた見た大きな扉が見えてきた。
「また化け物みたいな奴がいるんだろな」
なにげなく、しかし楽しげにフランクが言った言葉に誰も返事を返さない。
言われるまでもなく誰もがそれを理解しているからだ。
「さっきと一緒で叩き切ればいいだけですよ」
相変わらずにへらと笑いアリオンが告げ扉を蹴り飛ばした。
あり得ないほどの脚力で蹴りつけたのか轟音を響かせながら扉が弾け飛んだ。
大きな音を立てながら壊れた扉はフロアを転がって行った。
「なかなかに失礼なお客様です」
フロア内よりあからさまに不機嫌な声が響く。
警戒しながら中に入り声の主に視線を向ける。
フロアの真ん中には今までの階層と変わらずメイド服を着込んだ獣人種の女が立っていた。
「お初に失礼なお客様方。お初にお目にかかります。このフロア担当のレキと申します」
この図書館の主は獣人種が好きなんだろうか? 
今の所全部のフロアが獣人種だし。
そんなことを考えながらもフランクは警戒する。
今までも見た目で判断できないくらいの強さを持った子供ばかりだったからだ。
レキが名乗り両腰に下げた二本の剣の内の一振りを左手一本で軽々と抜く。
鞘から抜き放たれた剣は乾いた金属音を放ち、白銀の刃が姿を表す。
その剣を見た時、フォルト、フランク、アリオンが怪訝な顔をしていた。
彼女が抜いた剣は刃が完全に潰されており斬るための武器ではなかったからだ。
「その武器は?」
「ええ、我が魔王さまにいただいたものです」
いかにも不服そうにレキは告げる。
「私が本気を出すと浮遊図書館が沈みかねないからこっちで戦うようにと言われまして。この武器では斬ることができませんから不満です」
心底がっかりした様子でレキは肩を落とす。
「ですが……」
左手に持った剣を真っ直ぐにアリオンに突きつける。
その顔には場違いな笑みが浮かんでいた。
「全力で戦えるのはいい事です」
レキを見ていた全員が体を震わせる。
ただ、そこに立っているだけの獣人の少女から放たられる圧力に動けなくなる。
「大丈夫です。殺しはしません。ただ、」
唐突に圧力が消え少女が笑う。楽しそうに愉快そうに。
新しいおもちゃを与えられた子供のように。
「骨折くらいは覚悟してください」
微笑むレキの瞳には「いつ斬ろうかな?」という狂気の色が見え隠れしていた。
「今までで一番くるってるんじゃないですか?」
恐る恐るといった様子でフォルトが口を挟む。
そんな言葉にもレキは全く動じずニコニコと笑う。
ふとフランクはその笑顔に見覚えがあるような気がした。
「アリオンと同じような笑顔だな」
「一緒にするのやめてください」
嫌そうな顔をしながらアリオンはフランクの言葉を否定した。
「いや、あの笑顔おまえといっしょだよ」
「違いますって、それに」
話している途中で風が奔る、
即座に光剣を両の手に作成、交差させ眼前に構え防御の姿勢をとる。
次の瞬間凄まじい衝撃が上から身体に走った。
足に力を入れ踏ん張るが上からの圧力の方が強く石畳なはビビが入るほどだった。
「ここまで狂ってはないと思うんですが」
言葉を続けながら眼前を見ると楽しそうに口を歪め、剣を振り下ろした姿勢のレキの姿があった。
残り冒険者 158/1000
しかし、彼らの顔には絶望の色は浮かんでおらず誰もが希望を持った顔だった。
「アリオンよ、次も頼むぜ」
「ああ、勇者がいれば次の階層も楽勝だぜ」
「違いない!」
冒険者は口々に勇者アリオンを讃え上機嫌だ。
アリオンは笑っているだけだがフランク、フォルトの表情は硬い。
「呑気なものです」
「全くだ。この四階層に辿り着くまでに残り人数が百五十を切ってるということがわかってないのか」
一階層ごとに約三百人の冒険者が脱落しているのだ。
この計算で行くと次の階層で全滅する可能性が出るのだ
流石にそれはないと思いたい。
「しかし、広いな」
フランクがぼそっと呟く。
すでに何度も登ったとてつもなく長い階段。
外から見た感じではここまで広い作りになっているようには見えなかった。
「恐らく魔法の力で中をかなり弄ってるんでしょう」
相変わらずニコニコと笑い、アリオンが気楽に言う。
確かに今までの階層を守護していた獣人種達を見ているとここの主はそれすらも容易くやりそうだ。
「だとしたらかなりの力を持つ主だな」
魔王と呼ばれる奴がここの主らしいが噂だけが一人歩きしているため真偽は定かではない。
だが、あれだけの強さを持つ獣人を配下に収めているこの図書館の主にフランクは多少の興味を覚え始めてきたのだ。
「おもしろい」
フランクは笑う。彼は楽しいことが大好きな人間だ。
この図書館の主はおもしろいと直感が告げている。
「フランク、余計なことを考えないでくださいね」
フランクの笑みに彼の行動のせいで一番に被害を被る副官であるフォルトがげんなりしながら釘を刺す。
そんなどうでもいいことを考えたり話したりしているうちにもうこの図書館に入って三回見てきた見た大きな扉が見えてきた。
「また化け物みたいな奴がいるんだろな」
なにげなく、しかし楽しげにフランクが言った言葉に誰も返事を返さない。
言われるまでもなく誰もがそれを理解しているからだ。
「さっきと一緒で叩き切ればいいだけですよ」
相変わらずにへらと笑いアリオンが告げ扉を蹴り飛ばした。
あり得ないほどの脚力で蹴りつけたのか轟音を響かせながら扉が弾け飛んだ。
大きな音を立てながら壊れた扉はフロアを転がって行った。
「なかなかに失礼なお客様です」
フロア内よりあからさまに不機嫌な声が響く。
警戒しながら中に入り声の主に視線を向ける。
フロアの真ん中には今までの階層と変わらずメイド服を着込んだ獣人種の女が立っていた。
「お初に失礼なお客様方。お初にお目にかかります。このフロア担当のレキと申します」
この図書館の主は獣人種が好きなんだろうか? 
今の所全部のフロアが獣人種だし。
そんなことを考えながらもフランクは警戒する。
今までも見た目で判断できないくらいの強さを持った子供ばかりだったからだ。
レキが名乗り両腰に下げた二本の剣の内の一振りを左手一本で軽々と抜く。
鞘から抜き放たれた剣は乾いた金属音を放ち、白銀の刃が姿を表す。
その剣を見た時、フォルト、フランク、アリオンが怪訝な顔をしていた。
彼女が抜いた剣は刃が完全に潰されており斬るための武器ではなかったからだ。
「その武器は?」
「ええ、我が魔王さまにいただいたものです」
いかにも不服そうにレキは告げる。
「私が本気を出すと浮遊図書館が沈みかねないからこっちで戦うようにと言われまして。この武器では斬ることができませんから不満です」
心底がっかりした様子でレキは肩を落とす。
「ですが……」
左手に持った剣を真っ直ぐにアリオンに突きつける。
その顔には場違いな笑みが浮かんでいた。
「全力で戦えるのはいい事です」
レキを見ていた全員が体を震わせる。
ただ、そこに立っているだけの獣人の少女から放たられる圧力に動けなくなる。
「大丈夫です。殺しはしません。ただ、」
唐突に圧力が消え少女が笑う。楽しそうに愉快そうに。
新しいおもちゃを与えられた子供のように。
「骨折くらいは覚悟してください」
微笑むレキの瞳には「いつ斬ろうかな?」という狂気の色が見え隠れしていた。
「今までで一番くるってるんじゃないですか?」
恐る恐るといった様子でフォルトが口を挟む。
そんな言葉にもレキは全く動じずニコニコと笑う。
ふとフランクはその笑顔に見覚えがあるような気がした。
「アリオンと同じような笑顔だな」
「一緒にするのやめてください」
嫌そうな顔をしながらアリオンはフランクの言葉を否定した。
「いや、あの笑顔おまえといっしょだよ」
「違いますって、それに」
話している途中で風が奔る、
即座に光剣を両の手に作成、交差させ眼前に構え防御の姿勢をとる。
次の瞬間凄まじい衝撃が上から身体に走った。
足に力を入れ踏ん張るが上からの圧力の方が強く石畳なはビビが入るほどだった。
「ここまで狂ってはないと思うんですが」
言葉を続けながら眼前を見ると楽しそうに口を歪め、剣を振り下ろした姿勢のレキの姿があった。
残り冒険者 158/1000
「浮遊図書館の魔王様」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
6,571
-
2.9万
-
-
165
-
59
-
-
61
-
22
-
-
1.2万
-
4.7万
-
-
5,013
-
1万
-
-
5,073
-
2.5万
-
-
9,627
-
1.6万
-
-
8,090
-
5.5万
-
-
2,412
-
6,662
-
-
3,135
-
3,383
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
9,294
-
2.3万
-
-
3,521
-
5,226
-
-
6,119
-
2.6万
-
-
1,285
-
1,419
-
-
2,845
-
4,948
-
-
6,614
-
6,954
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,028
-
2.9万
-
-
315
-
800
-
-
6,161
-
3.1万
-
-
65
-
152
-
-
3,630
-
9,417
-
-
1,856
-
1,560
-
-
11
-
4
-
-
105
-
364
-
-
2,931
-
4,405
-
-
2,605
-
7,282
-
-
9,139
-
2.3万
-
-
2,787
-
1万
-
-
4,871
-
1.7万
-
-
2,388
-
9,359
-
-
561
-
1,070
-
-
71
-
145
コメント