浮遊図書館の魔王様
第四十四話 放り込みました
「だいぶ回復したな」
神官、魔法使いが治癒魔法を使っているのを見、フランクは呟く。大半の人は既に武器、防具の整備にはいっているようだった。
浮遊図書館に突入してからすでに半数である五百人が脱落している。
残りは三階層。
今後も先ほどのアルという少女と同等の力を持つ者がいる場合かなりきびしい、いや、絶望的な戦いになりそうだ。
「フランクさん」
その声に振り返ると副官のフォルトがこちらに向かってくるところだった。
「再出撃の準備が終わりました」
「おう」
フォルトに軽く返事をするとフランクはそちらに向かい歩き出す。
「ぐぇ!」
何かが落ちる音、そして悲鳴?みたいな声が聞こえたため後ろを見ると一人の男が痙攣するように倒れていた。
「さっきまでだれもいなかったよな?」
「はい、いませんでした」
自分の勘違いかと思ったフランクはフォルトに尋ねるがフォルトも同じように答える。
つまり何もなかった空間に突如現れた男。
どう考えても怪しい。
フランクとフォルトは剣を抜き警戒しつつ男に近づいていく。
近づき、顔が見えるようになると二人は驚愕で息を飲み、警戒を解き剣を再び鞘に戻す。
「こいつ、もしかして勇者アリオンじゃないか?」
「フランクさん、勇者がこんな情けない姿でのびているとはわたくし信じたくないです」
現実を見るのが嫌と言わんばかりにフォルトは目の前で気絶している男から視線を逸らした。
わからないでもないが
「オラ、起きろ! アリオン!」
声をかけながら鞘にしまった剣で頭をガスガスと殴る。
うめき声が聞こえるが起きる様子がないためフランクはひたすらに躊躇なく殴り続ける。
「痛いんだよ! ボクの頭はおもちゃじゃない!」
今まで無抵抗に殴られ続けた男が頭を押さえながら立ち上がる。軽く涙目だ。
「ああ、目が覚めたか」
「ん? なんでフランクがいるの?」
「お前こそどうやってきたんだよ」
フランクに尋ねられたアリオンがキョロキョロと周りを見渡し頭の上に疑問符を浮かべる。
「ここどこ?」
「浮遊図書館の第二階層だ」
「第二階層?」
いまだにアリオンは状況がわかっていないらしい。
しきりに唸りながら考えているし。
「そういえば他の連中はどうした?」
「いや、えーと」
フランクが訪ねた瞬間、アリオンの目が泳いだ。
いつも彼の周りには四人のパーティーメンバーがいるのだが見当たらない。
そんなアリオンを見、フランクは悟った。
こいつまた浮気しやがった。
昔からアリオンはモテた。なぜかわからないけどモテるのだ。彼のパーティーもどちらかといえば彼を追いかけ回すもとい、彼の側にいたいがために力をつけた女性の集まりだ。
はっきり言ってそこらへんの冒険者や騎士では相手にならないくらいの力を持っている。
「まぁ、いい。だがなんで第一階層から参加しなかった? お前が参加すれば第一、第二階層もここまで被害はでなかっただろうに」
女たらしでも勇者は勇者。
フランクや他の冒険者達も彼の性格はともかく力だけは認めているのだ。
「いやー乗り込むのに遅れて第一階層参加できなかったんだよ」
「乗り込むのに遅れた? じゃ、今までなにしてたんだよ」
フランクがそう尋ねるとアリオンは不思議そうな顔をする。
「いや、それが第一階層見に行ったらさ、部屋全体が大きな穴になってたから階段に行くのが無理だったから庭園で花に囲まれて寝てたんだけどね? 気づいたらここにいた」
「勇者のくせに遅刻とか……」
フォルトが呆れたような軽蔑するような目でアリオンを見る。
「まあ、ボクが来たから戦闘面は任せてくれていいよ〜」
そんなフォルトの視線など全く気付かずアリオンはヘラヘラと笑うのであった。
神官、魔法使いが治癒魔法を使っているのを見、フランクは呟く。大半の人は既に武器、防具の整備にはいっているようだった。
浮遊図書館に突入してからすでに半数である五百人が脱落している。
残りは三階層。
今後も先ほどのアルという少女と同等の力を持つ者がいる場合かなりきびしい、いや、絶望的な戦いになりそうだ。
「フランクさん」
その声に振り返ると副官のフォルトがこちらに向かってくるところだった。
「再出撃の準備が終わりました」
「おう」
フォルトに軽く返事をするとフランクはそちらに向かい歩き出す。
「ぐぇ!」
何かが落ちる音、そして悲鳴?みたいな声が聞こえたため後ろを見ると一人の男が痙攣するように倒れていた。
「さっきまでだれもいなかったよな?」
「はい、いませんでした」
自分の勘違いかと思ったフランクはフォルトに尋ねるがフォルトも同じように答える。
つまり何もなかった空間に突如現れた男。
どう考えても怪しい。
フランクとフォルトは剣を抜き警戒しつつ男に近づいていく。
近づき、顔が見えるようになると二人は驚愕で息を飲み、警戒を解き剣を再び鞘に戻す。
「こいつ、もしかして勇者アリオンじゃないか?」
「フランクさん、勇者がこんな情けない姿でのびているとはわたくし信じたくないです」
現実を見るのが嫌と言わんばかりにフォルトは目の前で気絶している男から視線を逸らした。
わからないでもないが
「オラ、起きろ! アリオン!」
声をかけながら鞘にしまった剣で頭をガスガスと殴る。
うめき声が聞こえるが起きる様子がないためフランクはひたすらに躊躇なく殴り続ける。
「痛いんだよ! ボクの頭はおもちゃじゃない!」
今まで無抵抗に殴られ続けた男が頭を押さえながら立ち上がる。軽く涙目だ。
「ああ、目が覚めたか」
「ん? なんでフランクがいるの?」
「お前こそどうやってきたんだよ」
フランクに尋ねられたアリオンがキョロキョロと周りを見渡し頭の上に疑問符を浮かべる。
「ここどこ?」
「浮遊図書館の第二階層だ」
「第二階層?」
いまだにアリオンは状況がわかっていないらしい。
しきりに唸りながら考えているし。
「そういえば他の連中はどうした?」
「いや、えーと」
フランクが訪ねた瞬間、アリオンの目が泳いだ。
いつも彼の周りには四人のパーティーメンバーがいるのだが見当たらない。
そんなアリオンを見、フランクは悟った。
こいつまた浮気しやがった。
昔からアリオンはモテた。なぜかわからないけどモテるのだ。彼のパーティーもどちらかといえば彼を追いかけ回すもとい、彼の側にいたいがために力をつけた女性の集まりだ。
はっきり言ってそこらへんの冒険者や騎士では相手にならないくらいの力を持っている。
「まぁ、いい。だがなんで第一階層から参加しなかった? お前が参加すれば第一、第二階層もここまで被害はでなかっただろうに」
女たらしでも勇者は勇者。
フランクや他の冒険者達も彼の性格はともかく力だけは認めているのだ。
「いやー乗り込むのに遅れて第一階層参加できなかったんだよ」
「乗り込むのに遅れた? じゃ、今までなにしてたんだよ」
フランクがそう尋ねるとアリオンは不思議そうな顔をする。
「いや、それが第一階層見に行ったらさ、部屋全体が大きな穴になってたから階段に行くのが無理だったから庭園で花に囲まれて寝てたんだけどね? 気づいたらここにいた」
「勇者のくせに遅刻とか……」
フォルトが呆れたような軽蔑するような目でアリオンを見る。
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