浮遊図書館の魔王様
第四十三話 アルのやりすぎを見ました
「……やりすぎじゃないかな」
「ですね」
「です」
アルの戦いを見ながらわたし、アトラ、マーテはなんとも言えない表情を浮かべていた。
理由は言うまでもなく今の戦闘である。
いや、最後のは戦闘とすら呼べない蹂躙だ。
今も映す鏡から見える冒険者達は死屍累々と言う言葉がしっくりくるほどの惨状だ。
それほどまでにアルは最後に力の差を見せつけてしまったのだった。
「これは皇国側ももう終わりかな」
なんとなく気の毒だけど個人的には本を読む時間が増えて嬉しいのもかたしかだけど。
なんだろう? この不完全燃焼感は。
まだ、全部仕掛けを見てないからだろうか。
「うーん」
腕を組み考える。
「レクレ様、どうしたの?」
考え込むわたしを不思議そうにマーテが覗き見る。
なんとなく彼女の頭に手をやりわしゃわしゃと撫でるとくすぐったそうに目を閉じた。
「アル、ただいま戻りました!」
上機嫌な様子でアルが魔方陣よりでてくる。
「おつかれさま。怪我は……なさそうだね」
「当然!」
所々、メイド服が破れたりしてはいるが怪我はなさそうだしアルの体が凄いのかそれともメイド服が凄いのかわからなくなるね。
まあ、姉妹が着ているメイド服自体は普通なんだけどわたしが魔法で対物理、対魔法の強化をしてるからとんでもないものになっているが。
「あの手甲と足甲はどうだった?」
「うん! 使いやすかった!」
アルは手に装備している白銀の手甲を見せびらかすように動かした。
それは上々。無理矢理宝珠をつけた甲斐があったよ。もともとはアルの持ってたやつ装備にわたしが魔力で力ずくでつけたからどうなるかわからなかったけどうまく行ってよかったよ。
失敗したら何が起こるからわからないし。
「でも、アル、やりすぎだよ」
わたしは苦笑を浮かべながらアルに告げるとアルはダラダラと汗を流し始めた。
「まさか、一撃であんなになるとは思ってなかった」
わたしの視線から逃げるようにアルは明後日の方に視線を彷徨わす。
まぁ、宝珠の力を使うの初めてだったし仕方ないかな。
わたしが王座より立ち上がりアルの方に向かい歩く。
わたしが近づくにつれアルはビクっと肩を震わす。
ん〜怖がってる? いや、怒られると思ってるのか。
近づきアルの頭にゆっくりと手を置くとさっきマーテにやったようにワシャワシャと頭撫でる。
アルは驚いたような表情を浮かべるが怒られてないとわかると嬉しそうに尻尾が揺れる。
かわいい。
「ん?」
アルを撫でていると変な感触を感じる。アルを撫でていた手をまじまじと見るが何もない。
怪訝な顔をして見上げてくるアルになんでもないというように再び頭を撫でる。
しかし、まだなんとなく違和感を感じる。
手ではない。
ただ、なんなのかが全くわからない。
いや、違和感というか体内に異物がある感じなのか?
「アトラ、なにか感じる?」
後ろに控えるアトラに振り返り尋ねるが静かに首を振る。
「いえ、なにも」
アトラならわたしより感覚が鋭いからわかるかとおもったんだけど。
この浮遊図書館はわたしの体の一部のような物だ。この図書館の中で起こったことはなんとなくわかるような作りになっているのだ(完全にわかるわけではない)
だからこそ、ここで違和感を感じるということは何かが起こっているということになるわけなんだが。
「気になる」
気になったわたしは再び映す鏡で図書館内部を調べることにする。
第二階層、冒険者が治癒にあたっている。違和感なし。
第一階層、部屋全体が落とし穴になっている。違和感なし。
内部には特に違和感がない。ということは庭園部分か。
再び映す鏡を動かし今度は庭園部分を映しす。
「なんだあれ?」
綺麗な花々はいつも通り変わらないがその花に埋もれるかのように一人の男が横になっていた。
一見すると普通だ。
でもこいつを見てるとなんか凄い目がチカチカする。
「おお、珍しい。この魔力、勇者じゃないですか」
「勇者?」
アトラが珍しそうな声を出す。
勇者?
御伽噺じゃなくて本当にいたんだ。
「ええ、この光の魔力明らかに勇者ですよ」
勇者か〜。まあ、わたし一応魔王だし。魔王がいるんだから勇者もいるか。
でもこいつ寝てるし。仕事してないじゃん。
使い道のない勇者とかこれに国はお金だしてるのか。
さて、こいつなんか使い道ないかな。
ふとそこに勇者じゃないけどわたしに天啓が下った。
使えない勇者を使い冒険者達の士気は上げ且つ、発破がかけられるであろう策が思いついたのだ。
「アトラ、転移魔法の準備を」
「了解、ご主人」
アトラが返事し準備に取り掛かる。
わたしは笑顔でアトラを見送る。その姿をなぜかアトラとマーテは震えながら見ていた。
後にマーテ達に聞くとその時のわたしの笑顔は寒気のするような笑顔だったという。
残り冒険者480/1000
「ですね」
「です」
アルの戦いを見ながらわたし、アトラ、マーテはなんとも言えない表情を浮かべていた。
理由は言うまでもなく今の戦闘である。
いや、最後のは戦闘とすら呼べない蹂躙だ。
今も映す鏡から見える冒険者達は死屍累々と言う言葉がしっくりくるほどの惨状だ。
それほどまでにアルは最後に力の差を見せつけてしまったのだった。
「これは皇国側ももう終わりかな」
なんとなく気の毒だけど個人的には本を読む時間が増えて嬉しいのもかたしかだけど。
なんだろう? この不完全燃焼感は。
まだ、全部仕掛けを見てないからだろうか。
「うーん」
腕を組み考える。
「レクレ様、どうしたの?」
考え込むわたしを不思議そうにマーテが覗き見る。
なんとなく彼女の頭に手をやりわしゃわしゃと撫でるとくすぐったそうに目を閉じた。
「アル、ただいま戻りました!」
上機嫌な様子でアルが魔方陣よりでてくる。
「おつかれさま。怪我は……なさそうだね」
「当然!」
所々、メイド服が破れたりしてはいるが怪我はなさそうだしアルの体が凄いのかそれともメイド服が凄いのかわからなくなるね。
まあ、姉妹が着ているメイド服自体は普通なんだけどわたしが魔法で対物理、対魔法の強化をしてるからとんでもないものになっているが。
「あの手甲と足甲はどうだった?」
「うん! 使いやすかった!」
アルは手に装備している白銀の手甲を見せびらかすように動かした。
それは上々。無理矢理宝珠をつけた甲斐があったよ。もともとはアルの持ってたやつ装備にわたしが魔力で力ずくでつけたからどうなるかわからなかったけどうまく行ってよかったよ。
失敗したら何が起こるからわからないし。
「でも、アル、やりすぎだよ」
わたしは苦笑を浮かべながらアルに告げるとアルはダラダラと汗を流し始めた。
「まさか、一撃であんなになるとは思ってなかった」
わたしの視線から逃げるようにアルは明後日の方に視線を彷徨わす。
まぁ、宝珠の力を使うの初めてだったし仕方ないかな。
わたしが王座より立ち上がりアルの方に向かい歩く。
わたしが近づくにつれアルはビクっと肩を震わす。
ん〜怖がってる? いや、怒られると思ってるのか。
近づきアルの頭にゆっくりと手を置くとさっきマーテにやったようにワシャワシャと頭撫でる。
アルは驚いたような表情を浮かべるが怒られてないとわかると嬉しそうに尻尾が揺れる。
かわいい。
「ん?」
アルを撫でていると変な感触を感じる。アルを撫でていた手をまじまじと見るが何もない。
怪訝な顔をして見上げてくるアルになんでもないというように再び頭を撫でる。
しかし、まだなんとなく違和感を感じる。
手ではない。
ただ、なんなのかが全くわからない。
いや、違和感というか体内に異物がある感じなのか?
「アトラ、なにか感じる?」
後ろに控えるアトラに振り返り尋ねるが静かに首を振る。
「いえ、なにも」
アトラならわたしより感覚が鋭いからわかるかとおもったんだけど。
この浮遊図書館はわたしの体の一部のような物だ。この図書館の中で起こったことはなんとなくわかるような作りになっているのだ(完全にわかるわけではない)
だからこそ、ここで違和感を感じるということは何かが起こっているということになるわけなんだが。
「気になる」
気になったわたしは再び映す鏡で図書館内部を調べることにする。
第二階層、冒険者が治癒にあたっている。違和感なし。
第一階層、部屋全体が落とし穴になっている。違和感なし。
内部には特に違和感がない。ということは庭園部分か。
再び映す鏡を動かし今度は庭園部分を映しす。
「なんだあれ?」
綺麗な花々はいつも通り変わらないがその花に埋もれるかのように一人の男が横になっていた。
一見すると普通だ。
でもこいつを見てるとなんか凄い目がチカチカする。
「おお、珍しい。この魔力、勇者じゃないですか」
「勇者?」
アトラが珍しそうな声を出す。
勇者?
御伽噺じゃなくて本当にいたんだ。
「ええ、この光の魔力明らかに勇者ですよ」
勇者か〜。まあ、わたし一応魔王だし。魔王がいるんだから勇者もいるか。
でもこいつ寝てるし。仕事してないじゃん。
使い道のない勇者とかこれに国はお金だしてるのか。
さて、こいつなんか使い道ないかな。
ふとそこに勇者じゃないけどわたしに天啓が下った。
使えない勇者を使い冒険者達の士気は上げ且つ、発破がかけられるであろう策が思いついたのだ。
「アトラ、転移魔法の準備を」
「了解、ご主人」
アトラが返事し準備に取り掛かる。
わたしは笑顔でアトラを見送る。その姿をなぜかアトラとマーテは震えながら見ていた。
後にマーテ達に聞くとその時のわたしの笑顔は寒気のするような笑顔だったという。
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