浮遊図書館の魔王様
第四十話第 一階層マーテの頑張りみました
浮遊図書館、謁見の間。
「……筋肉ぱねぇ」
わたしは映す鏡にてマーテと冒険者達の戦い見終わり、王座に深々と座りか直しながら呟いた。
「なにあれ? 魔法で強化とかしてるわけじゃないのになんであんな力がでるの?」
魔法を使わないであの巨大金ダライを受けとめるとかどんな筋力してるんだよ。魔法なしでの戦いなら絶対に戦いたくない類の人種だ。なにより暑苦しそうだし。
「あれもおそらく人という種を極め抜いた一つの形なんですかねぇ? なりたいとは思いませんが」
紅茶のお代わりを入れながらアトラが感心しているような呆れているような微妙な声を出しながら答える。
もし、あれが人類の最終的な姿ならわたしは死を選ぶよ。
だってテカテカ軍団の中には女の人もいて惜しげも無く胸を晒してるけどもうあれ胸じゃないよ。筋肉だよ。これが以前本で読んだ脳筋と言うやつなんだろうか。
そんなことを考えていると目の前に魔法陣が現れ、徐々にマーテの姿が現れる。
「おかえり、マーテ」
「ただいまです。レクレさま」
とりあえず映す鏡で見ている感じでは怪我をしている感じはなかったけど、改めて戻ってきたマーテを見てホッとする。
でも、あんまり元気がなさそうだ。
「元気がなさそうだけどどうしたの?」
「……あんまり減らせませんでした」
しょんぼりした様子のマーテ。頭上の耳も心なしかしょんぼりとしている感じだ。
「まあ、言いつけ通りに死ぬような罠はなかったからあんな物じゃないかな?」
探査魔法で調べた感じでは脱落したの百八十三人。怪我をしている人はいるが全員生きている。
多分、罠を殺傷力がバリバリのやつ仕掛けてたらもっと蹴散らせていただろうし。
「だから最後の手段を使おうと思います」
「最後の手段?」
「はい、使ってもいいですか?」
あんだけ罠仕掛けてまだ残してたのか。
うちのマーテちゃんは用意周到です。
マーテはポケットをゴソゴソとしながら一つのボタン(骸骨のマークが付いてる)を取り出した。
「なんのボタン?」
「見てて、見てて」
マーテにそう言われたため再びわたしは映す鏡を見つめ直す。
「最後の罠でポイントゲットです!」
カチっといあちマーテが髑髏のボタンを押した音が耳に入った瞬間、巨大な金ダライが再び動き始めた。
「は⁉︎」
わたしが驚きの声を上げる間に徐々に金ダライが沈んで行く様が映し出され冒険者達の悲鳴が耳に入る。
「マーテ、なにしたの?」
「さっき押したのスイッチは床を脆くなる魔法を発動ささはさためのスイッチです。百人以上乗ってたら確実に床が抜けます」
やたら興奮したように頬を赤く染めながらマーテが教えてくれる。
なるほど金ダライが沈んでるんじゃなくて床に立っていた冒険者全員が落ちていっていたわけか。
なんてえげつない。
「落とし穴深そうだね。死ぬんじゃないの?」
すでに映す鏡には金ダライが全く見えなくなっている。映っているのはただの真っ暗な穴だけだ。なにかにぶつかった音すら響かない。
「この落とし穴は水脈に繋がってますから死ぬことはないです。多分、きっと、おそらく」
「……それはよかった」
なんとも信用できないようなマーテの言葉を聞きながらかなりの高さだから鞭打ちくらいの衝撃はあるんじゃないだろうか、とわたしは考えながらアトラから受け取った紅茶をすすったのだった。
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