浮遊図書館の魔王様
第十九話 宣戦布告されました
「あの浮遊城は叩き潰す! わたし一人の財を使ってもだ!」
貴族達があつまる部屋の中、バァース子爵の声が無駄に響く。
レキに折られた足はすでに魔法で完治されており、両足でしっかりと立っていた。
「つまり、戦を起こすと? 戦力が全く検討がつかない相手と?」
ジロリとバァースを初老の男性が睨みつけた。
無言の圧力、部屋にいる人全員が息を飲む。
「あの城が他国に奪われる前に我が国で手に入れておかなければ」
バァースは怯えたような声絞り出す。
「まあ、よい。貴公が独断で動いたことはまだ許そう。だが、勝手に宣戦布告をするとはどういうことだ?」
「貴族がばかにさるたのですよ⁉︎ そこは引けません」
「そこにはバァース卿に同意いたします。ウフクス卿」
そういうと別の男が立ち上がり告げる。
「ほう、トリルアン卿も戦争派かね」
ウフクスと呼ばれた初老の男はトリルアンに視線をよこす。
「はい、独断はどうかと思いましたがあの浮遊城を制圧し手に入れることはメリットがあります」
「確かに未知の魔法は価値がある。ただ、此度の目的は書物の回収、それのみだったはずだ」
ウフクスとしてはただ書物を取り替えせればよかったのだ。
未知とは恐ろしい
それをウフクスは今までの戦で十分に理解している。それを理解しているのはこの会議室にいる三十二人の内何人いるものか。
だが、武人として血がたぎるのも確か、
「他のものも戦に賛成なのか?」
「ウフクス卿が参られるのならば」
周りの者の目には決意の意思があった。
「ならば貴族三十二門は出陣する」
『はい! 必ずや勝利を』
室内が狂気的ともいえる熱意に包まれる。
「わっちは遠慮さしていただくです」
そんな中だからこそ冷静な、冷めたような声が響いた。
全員がその声の主に視線を向ける。
視線をむけられたのは東洋のキモノと呼ばれる布を幾つも合わせた服を着こなし、黒髪をいじっている女性だった。
「出陣しないと? ベアトリス卿」
ベアトリスと呼ばれた女性は気だるげな眼を向ける。やる気などが全く感じられない瞳がウフクスを捉える。
「はいです。わっち、ベアトリス・ラ・フュール、フュール家は浮遊城に関わる気は一切ありませんゆえに」
「それはどうしてかな?」
「貴族三十二門の内三十一もの家の者が出陣するのですよ? わっちのような弱小貴族なんぞ参戦しなくてもよろしいかと思いまして。それに王命でもありませんし」
本当に興味がなさそうにベアトリスは告げる。
ウフクスは値踏みをするようにベアトリスを眺めるが彼女は変わらず髪をいじるだけだった。
ベアトリスの一族は情報のフュール家と呼ばれ貴族からも平民からも忌み嫌われている。いかなる情報も差別なくお金で売るからだ。
そのフュール家が動かない。それは情報が全く集まっていないか、もしくは情報を得て考えた結果動かないかということだ。
だが、すでに賽は投げられた。
「ならば我らのみで浮遊城を手に入れるのみ。手に入れたものは後で分配すればよい」
そう告げるとウフクスは立ち上がり、
「三日後、浮遊城に攻め込む。皆の者、戦の支度をせい」
その言葉を皮切りに急ぎ足で貴族が会議室から出て行く。ウフクスも立ち上がり会議室から出ようとし、扉が閉まる寸前、
「ご武運を、ウフクス卿」
ベアトリスが薄く笑いながら言葉を投げかけた。
その次の日ファンガルム皇国の一部の貴族が浮遊城に対し宣戦布告を行った
貴族達があつまる部屋の中、バァース子爵の声が無駄に響く。
レキに折られた足はすでに魔法で完治されており、両足でしっかりと立っていた。
「つまり、戦を起こすと? 戦力が全く検討がつかない相手と?」
ジロリとバァースを初老の男性が睨みつけた。
無言の圧力、部屋にいる人全員が息を飲む。
「あの城が他国に奪われる前に我が国で手に入れておかなければ」
バァースは怯えたような声絞り出す。
「まあ、よい。貴公が独断で動いたことはまだ許そう。だが、勝手に宣戦布告をするとはどういうことだ?」
「貴族がばかにさるたのですよ⁉︎ そこは引けません」
「そこにはバァース卿に同意いたします。ウフクス卿」
そういうと別の男が立ち上がり告げる。
「ほう、トリルアン卿も戦争派かね」
ウフクスと呼ばれた初老の男はトリルアンに視線をよこす。
「はい、独断はどうかと思いましたがあの浮遊城を制圧し手に入れることはメリットがあります」
「確かに未知の魔法は価値がある。ただ、此度の目的は書物の回収、それのみだったはずだ」
ウフクスとしてはただ書物を取り替えせればよかったのだ。
未知とは恐ろしい
それをウフクスは今までの戦で十分に理解している。それを理解しているのはこの会議室にいる三十二人の内何人いるものか。
だが、武人として血がたぎるのも確か、
「他のものも戦に賛成なのか?」
「ウフクス卿が参られるのならば」
周りの者の目には決意の意思があった。
「ならば貴族三十二門は出陣する」
『はい! 必ずや勝利を』
室内が狂気的ともいえる熱意に包まれる。
「わっちは遠慮さしていただくです」
そんな中だからこそ冷静な、冷めたような声が響いた。
全員がその声の主に視線を向ける。
視線をむけられたのは東洋のキモノと呼ばれる布を幾つも合わせた服を着こなし、黒髪をいじっている女性だった。
「出陣しないと? ベアトリス卿」
ベアトリスと呼ばれた女性は気だるげな眼を向ける。やる気などが全く感じられない瞳がウフクスを捉える。
「はいです。わっち、ベアトリス・ラ・フュール、フュール家は浮遊城に関わる気は一切ありませんゆえに」
「それはどうしてかな?」
「貴族三十二門の内三十一もの家の者が出陣するのですよ? わっちのような弱小貴族なんぞ参戦しなくてもよろしいかと思いまして。それに王命でもありませんし」
本当に興味がなさそうにベアトリスは告げる。
ウフクスは値踏みをするようにベアトリスを眺めるが彼女は変わらず髪をいじるだけだった。
ベアトリスの一族は情報のフュール家と呼ばれ貴族からも平民からも忌み嫌われている。いかなる情報も差別なくお金で売るからだ。
そのフュール家が動かない。それは情報が全く集まっていないか、もしくは情報を得て考えた結果動かないかということだ。
だが、すでに賽は投げられた。
「ならば我らのみで浮遊城を手に入れるのみ。手に入れたものは後で分配すればよい」
そう告げるとウフクスは立ち上がり、
「三日後、浮遊城に攻め込む。皆の者、戦の支度をせい」
その言葉を皮切りに急ぎ足で貴族が会議室から出て行く。ウフクスも立ち上がり会議室から出ようとし、扉が閉まる寸前、
「ご武運を、ウフクス卿」
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