浮遊図書館の魔王様
第五話 読みました
寮に帰ったわたしはまず自分の部屋の前で愕然とした。
「扉なくなってる……」
ええ、影も形もありませんでしたよ。
「朝にご主人が起きなかったからファス監察官が吹っ飛ばしたじゃないですか」
「そうだった」
アトラに言われ思い出す。今思い出してもなかなかに怖い。あれの拳が我が身に飛んできたらただではすまなかっただろう。
「まぁ、開ける手間が省けてラッキーと考えよう」
「我がご主人ながら前向きすぎる」
アトラのぼやきは聞き流し、わたしは部屋の中に踏み出す。
部屋の中は一面本だらけで足場も少ない。わたしは空いてる隙間に足を伸ばし、唯一本が置いてないベッドに座り込む。
「さて、お待ちかねの時間だ」
わたしの興味はすでにリーニャから譲ってもらった魔導書に向きっぱなしだ。
「ご主人、本当に読むんですか? 魔導書ですよ? 危ないですよ?」
魔導書のアトラがいうと全くと言っていいほど説得力がない。
「アトラだって魔導書でしょ?」
「僕は無害な魔導書なので」
魔導書に無害も有害もない
「無害も有害も、読んだ人の自己責任だと思うよ? わたしは」
魔導書と知らずに読んだ人で被害にあったなら不幸だとは思けど、魔導書とわかってうえで読んだ人間が読み被害にあった場合は完全に自己責任だと思うし。
「ま、大丈夫でしょ。アトラみたいな無害な魔導書もいるんだし。なにより」
アトラを見ながらわたしは言葉を区切り、おそらくは嬉しそうな顔を浮かべながら、
「まだ見たことのない本。それはきっと未知という刺激をわたしに与えてくれると思うんだ」
そう告げる。
「ご主人は本当に本が好きですね」
呆れたような口調でアトラが言ってくるけど、わたしにとっては褒め言葉である。
「わたしは本を愛してるよ」
そう言い、わたしは白い魔導書を開く。
リーニャの言うとおり確かに魔導書は白紙だった。だがなんらかの魔力が動いているのがわかった
「ご主人も資格がないということですかね?」
アトラのそんな声が聞こえたがわたしは無視する。
アトラには見えていないようだが文字がじわじわと浮かんできたからだ。
『こんにちは! 資格あるものよ』
なんかフレンドリーだなぁ。
『いや、喋る人がいないと退屈でねぇ』
頭の中を読んでいるのか文字が消え、わたしの思ったことに対しての返答に変わる。
「これ、なんの魔導書?」
「ご主人?」
口に出した質問にアトラが反応する。
まぁ、文字が見えないみたいだしね。
「アトラには見えないだろうけど、文字がでてる」
「え⁉︎ てことはご主人は資格があったんですね!」
資格、そう、一体何が読めるようになる条件なんだろう?
『んーとね。説明が長くなるからこっちに来てもらうよ』
魔導書がそう言った次の瞬間、膨大な魔力が発生するのを感じた。
「なっ」
その魔力がわたしを包み意識を遠のかせようとしている
……ま、ず……レジスト……間に合わ……
意識が完全に遠のく寸前、アトラが焦ったように「ご主人!」と言ってたような気がした。
「扉なくなってる……」
ええ、影も形もありませんでしたよ。
「朝にご主人が起きなかったからファス監察官が吹っ飛ばしたじゃないですか」
「そうだった」
アトラに言われ思い出す。今思い出してもなかなかに怖い。あれの拳が我が身に飛んできたらただではすまなかっただろう。
「まぁ、開ける手間が省けてラッキーと考えよう」
「我がご主人ながら前向きすぎる」
アトラのぼやきは聞き流し、わたしは部屋の中に踏み出す。
部屋の中は一面本だらけで足場も少ない。わたしは空いてる隙間に足を伸ばし、唯一本が置いてないベッドに座り込む。
「さて、お待ちかねの時間だ」
わたしの興味はすでにリーニャから譲ってもらった魔導書に向きっぱなしだ。
「ご主人、本当に読むんですか? 魔導書ですよ? 危ないですよ?」
魔導書のアトラがいうと全くと言っていいほど説得力がない。
「アトラだって魔導書でしょ?」
「僕は無害な魔導書なので」
魔導書に無害も有害もない
「無害も有害も、読んだ人の自己責任だと思うよ? わたしは」
魔導書と知らずに読んだ人で被害にあったなら不幸だとは思けど、魔導書とわかってうえで読んだ人間が読み被害にあった場合は完全に自己責任だと思うし。
「ま、大丈夫でしょ。アトラみたいな無害な魔導書もいるんだし。なにより」
アトラを見ながらわたしは言葉を区切り、おそらくは嬉しそうな顔を浮かべながら、
「まだ見たことのない本。それはきっと未知という刺激をわたしに与えてくれると思うんだ」
そう告げる。
「ご主人は本当に本が好きですね」
呆れたような口調でアトラが言ってくるけど、わたしにとっては褒め言葉である。
「わたしは本を愛してるよ」
そう言い、わたしは白い魔導書を開く。
リーニャの言うとおり確かに魔導書は白紙だった。だがなんらかの魔力が動いているのがわかった
「ご主人も資格がないということですかね?」
アトラのそんな声が聞こえたがわたしは無視する。
アトラには見えていないようだが文字がじわじわと浮かんできたからだ。
『こんにちは! 資格あるものよ』
なんかフレンドリーだなぁ。
『いや、喋る人がいないと退屈でねぇ』
頭の中を読んでいるのか文字が消え、わたしの思ったことに対しての返答に変わる。
「これ、なんの魔導書?」
「ご主人?」
口に出した質問にアトラが反応する。
まぁ、文字が見えないみたいだしね。
「アトラには見えないだろうけど、文字がでてる」
「え⁉︎ てことはご主人は資格があったんですね!」
資格、そう、一体何が読めるようになる条件なんだろう?
『んーとね。説明が長くなるからこっちに来てもらうよ』
魔導書がそう言った次の瞬間、膨大な魔力が発生するのを感じた。
「なっ」
その魔力がわたしを包み意識を遠のかせようとしている
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