魔王さまは自由がほしい
マリアベルジュは魔王城を動かした
「ふむ」
魔王城、会議室にてマリベルジュは六死天全員に配布されている金の懐中時計が自分の指定した時間を示していることを確認し、自分が時間わ間違いないことを確認し独り言が溢れていた。
テーブルの上には幾つもの書類があるが彼女の几帳面な性格通りにきちんと整理整頓して置かれていた。
そんな中の一枚の書類を眺めながらマリベルジュはため息を零す。
書類の内容は魔王城運営に関する物である。巨大な一つの生命体である魔王城といえども生きているだけでそれ相応のコストがかかるものなのだ。
「はぁ」
それとは別にマリベルジュの頭を悩ませるもの。それが運営に関する書類以外のものである。俗に言う嘆願書である。
魔王城では月に一度嘆願書を募り、それを六死天一同で会議していくのだが。
「あいつら、バックれやがりましたね」
額に青筋が浮かび怒りでマリベルジュの身体から魔力が自然と溢れ出す。明確な怒気を纏った魔力が室内に満ちることでそこいら中の壁や天井にヒビがはいっていった。
というのも会議に来なければいけないはずの六死天が誰も来ていないからである。
「ハハハハハ、遅れたかね?」
軽快な笑い声と共にマリベルジュの横に魔方陣が展開されそこからカタカタと全身の骨を揺らしながらマントに小さな王冠を被った黄金のスケルトンたるファンファンニールが姿を現す。
「ええ、七分の遅刻ですが現状では些細な問題でしょう」
そんなファンファンニールの姿を横目で睨みながらマリアベルジュは手で席を勧める。
ファンファンニールは席に向かいながら他の席が空席なのを見るとカラカラと笑う。
「僕も大概だが他の六死天も大概だね」
「時間にルーズ過ぎます」
「ああ、ワインとキルルなら遅れると連絡を僕が受けたよ。つまり実質はコルデリアと桜だけなわけだね」
「そうですか」
ファンファンニールの言葉を聞き、マリアベルジュは再び金の懐中時計に眼を落とし時間を確認し、さらには自分のスケジュール手帳を開き何かを確認する。そして何かに眼を通したあとにスケジュール手帳を閉じた。
「魔王城、ヘルファニフス。桜の部屋とコルデリアの部屋への魔力の供給を止めなさい。あと彼女達の異界モニターにこの部屋に来ることを表示してください」
誰もいない天井に向かいマリアベルジュが声をかけると部屋が、いや、魔王城が身じろぎするかのように僅かに揺れる。
『ギョイニ』
どこからか声が響き揺れが止まる。その光景をファンファンニールが驚いたように見ていた。
「ヘルファニフスというのは?」
「魔王様が名付けた魔王城の名前です。最近ようやく魔王城が生きていることを知ったようでしたので」
「なるほど、だから意志が芽生えたのか」
魔王城が生きてると知ったソロティスが一番にしたのは名付けであった。そして上位のものが名前をつけるというのはモンスター、魔族には大きな意味がある。
「ええ、ある程度の年月を魔力にさらされ存在したものは魔族、あるいは悪魔になります。ですが普通は名無し。大した物にはなりません」
名前のない魔族、悪魔は大した力を持たない。だが名前をつけられた場合は別である。名前をつけられた魔族、悪魔はより上位のものへと変わり稀に意志を持つようになる。この魔王城ヘルファニフスのように。
「全く、我らが魔王様は無意識そういったことをなさる。それが楽しいのだがね」
楽しそうにファンファンニールは笑う。その言葉を聞きマリアベルジュも笑みを浮かべる。
「だからこそ仕えがいがあるのでしょう。」
「違いない」
ファンファンニールと共に笑いあっていると再び魔王城が揺れる。しかも先ほどよりも大きな揺れである。
「来ましたね」
マリアベルジュは二つの大きな魔力の塊がこの会議室に向かってきていることに気付いた。
一つは凄まじい速度で階段、廊下を駆けて来ており、もう一つは一直線にこの会議室に向け降下し続けていた。
「ファンファンニール、テーブルと椅子に結界を」
「はいはい」
マリアベルジュが構えを取りながら命令。すぐさまファンファンニールは指示に従い自身の魔法を使い テーブルと椅子をこれから起こるであろう破壊から守るべく一時的に異界化させる。これにより界を超えるような攻撃でなければテーブル、椅子を破壊できないようにしたのだ。
さらにファンファンニールは席から立ち上がると壁際まで退避した。
マリアベルジュの感知する魔力の塊が会議室に到達した瞬間、天井と会議室の扉が爆発する。
『マリアベルジュ!』
破砕さした天井からはいつもより巨大化した九本の尻尾を揺らし、さらにはそのすべての尾に黄金の魔力を纏わし、憤怒の形相を浮かべた桜が、扉を粉砕して入ってきたのは真紅の瞳をさらに赤く染め上げ吸血鬼特有の八重歯が鋭く光っていた。
「よくもわたしの楽しみの磔戦士ジュウジカーンを見るのを邪魔したね!」
「よくも私様が毎週楽しみにしていた人間界のドラマを見てる途中で消してくださりやがりましたわね!」
二人とも鬼気迫る勢いでと言っても一人は鬼なわけだがマリアベルジュに殺気を飛ばしながら詰め寄る。
「美人と美女がおっかないねぇ」
「譲りましょうか? ファンファンニール」
「……僕には美人二人は荷が重いよ」
桜に完膚なきまでに叩き潰されたことを思い出したのかファンファンニールは首を振り、さらには手を挙げ戦う意志がないことを表示する。
「だいたいあなた達二人が会議に出ればこんなことしなくて済んだのですよ。録画で済む話でしょう?」
理解できないとばかりにマリアベルジュが首を振るとその仕草に桜とコルデリアの額に青筋が浮かぶ。
『ああいうのはリアルタイムでみてこそ(なの!)ですわ!』
二人は叫ぶとコルデリアは兇刃を、桜は狂尾をマリアベルジュに向け振るい放った。
それは一切防御の構えを取っていなかったマリアベルジュにいとも容易く突き刺さり、マリアベルジュを会議室の壁へと軽々と叩きつけた。
「いたぁい!」
「くぅっ」
しかし、悲鳴を上げたのは攻撃を仕掛けた桜であり、細剣を振るったコルデリアだった。
見れば桜の九本の尾の内三本は引き千切られ、コルデリアの細剣を握っていない腕はあらぬ方向に曲がっていた。
「相変わらずズルいですわね。マリアベルジュ」
「不死の吸血鬼に言われるとは心外です」
憎々しげにコルデリアが告げるともうもうとあがる砂煙りの中から右腕がなく、胸に大穴が空いた状態のマリアベルジュが姿を現した。右腕はコルデリアの細剣に突き刺さりコルデリアの手にあるが、マリアベルジュの左手には桜の尻尾であろうものが三尾握られていた。いかに強靭な生命力を持つ魔族であろうと普通なら即死であるような傷であるがマリアベルジュの表情は一切歪んでいなかった。
「相変わらず桜の尻尾はえげつないですね。魔力で防御したんですがこれですし三本しか切れませんでした」
「うぅぅ、自慢の尻尾がぁ」
断ち切られたにも関わらず血も流れない三本の尻尾を寂しそうに見つめる桜。
「コルデリアもさすがですね。腕、取る気だったんですが」
「私様の細剣蹴り飛ばしておいてよく言いますね」
だらりと腕を垂らしながらもコルデリアは細剣から右の腕をとるとマリアベルジュに向け放り投げます。桜の三本の尾を手放しマリアベルジュは放物線を描き飛んでくる右腕を受け止める。
コルデリアの振るった細剣はマリアベルジュの腹に穴を開けたがその後にマリアベルジュは負った傷など無視するかのように蹴りを放ち細剣を振るい隙ができたコルデリアの腕を叩き折ったのだ。
「いえ、穴が空いたのは久しぶりですよ」
受け取った右腕の切断面を体の切断面につなげ合わせると途端に生きているかのように繋がっていきます。
そしてわずかの間に切断面が全く分からないほど綺麗になり切られていたとは思えないほどの腕が姿を見せました。
「相変わらずにズルいですね。そのスライムの体」
コルデリアの言葉に微笑みながら胸に空いた大穴を軽く撫でると腕同様に大穴が空いていたとは思えないほどだ。
マリアベルジュの種族はスライムである。ただし、魔界において変異種と呼ばれる類のスライムである。
そしてスライムとは人間界では最弱と呼ばれる種族ではあるが魔界では龍に匹敵する最強種である。
能力自体は人間界のスライムと変わりはない。だが、魔界のスライムは暴食であり、なんでも食べる。さらにはスライムの特性である食べた物の特性を得るという能力も健在であり、人間界のスライムよりより強力に凶悪に成長するのだ。
「さて、服に穴が空いてしまいましたね」
その魔界の最強種の集大成たるスライムが自身の穴の空いたり破れたりし、扇情的な物へと変わった自身のメイド服を見下しながら呟く。
そんな彼女を痛みを堪えながらも桜とコルデリアは警戒する。
「まぁ、いいでしょう」
警戒する二人など瞳に入れることなくマリアベルジュは自身の席に戻り座る。
「安心なさい。尻尾三尾と腕一本で等価にしてあげますよ」
「うぅ……」
「仕方ありませんね」
マリアベルジュにすでに戦う気がないということがわかった二人は渋々といった様子で席に着く。
二人が席に着いたのを確認するとマリアベルジュは小さく頷く。
「ワインとキルルは遅れてくるとのことです。ですので今回の六死天会議最大の問題を話すとしましょう」
ごくりっと誰かが唾を飲み込む音が聞こえる。もちろん喉などないファンファンニールではないが。
「今年の魔王軍の旅行をどこに行くかを!」
マリアベルジュの背後に備え付けられた異界モニターに『魔王軍旅行!』とデカデカと表示されるのであった。
魔王城、会議室にてマリベルジュは六死天全員に配布されている金の懐中時計が自分の指定した時間を示していることを確認し、自分が時間わ間違いないことを確認し独り言が溢れていた。
テーブルの上には幾つもの書類があるが彼女の几帳面な性格通りにきちんと整理整頓して置かれていた。
そんな中の一枚の書類を眺めながらマリベルジュはため息を零す。
書類の内容は魔王城運営に関する物である。巨大な一つの生命体である魔王城といえども生きているだけでそれ相応のコストがかかるものなのだ。
「はぁ」
それとは別にマリベルジュの頭を悩ませるもの。それが運営に関する書類以外のものである。俗に言う嘆願書である。
魔王城では月に一度嘆願書を募り、それを六死天一同で会議していくのだが。
「あいつら、バックれやがりましたね」
額に青筋が浮かび怒りでマリベルジュの身体から魔力が自然と溢れ出す。明確な怒気を纏った魔力が室内に満ちることでそこいら中の壁や天井にヒビがはいっていった。
というのも会議に来なければいけないはずの六死天が誰も来ていないからである。
「ハハハハハ、遅れたかね?」
軽快な笑い声と共にマリベルジュの横に魔方陣が展開されそこからカタカタと全身の骨を揺らしながらマントに小さな王冠を被った黄金のスケルトンたるファンファンニールが姿を現す。
「ええ、七分の遅刻ですが現状では些細な問題でしょう」
そんなファンファンニールの姿を横目で睨みながらマリアベルジュは手で席を勧める。
ファンファンニールは席に向かいながら他の席が空席なのを見るとカラカラと笑う。
「僕も大概だが他の六死天も大概だね」
「時間にルーズ過ぎます」
「ああ、ワインとキルルなら遅れると連絡を僕が受けたよ。つまり実質はコルデリアと桜だけなわけだね」
「そうですか」
ファンファンニールの言葉を聞き、マリアベルジュは再び金の懐中時計に眼を落とし時間を確認し、さらには自分のスケジュール手帳を開き何かを確認する。そして何かに眼を通したあとにスケジュール手帳を閉じた。
「魔王城、ヘルファニフス。桜の部屋とコルデリアの部屋への魔力の供給を止めなさい。あと彼女達の異界モニターにこの部屋に来ることを表示してください」
誰もいない天井に向かいマリアベルジュが声をかけると部屋が、いや、魔王城が身じろぎするかのように僅かに揺れる。
『ギョイニ』
どこからか声が響き揺れが止まる。その光景をファンファンニールが驚いたように見ていた。
「ヘルファニフスというのは?」
「魔王様が名付けた魔王城の名前です。最近ようやく魔王城が生きていることを知ったようでしたので」
「なるほど、だから意志が芽生えたのか」
魔王城が生きてると知ったソロティスが一番にしたのは名付けであった。そして上位のものが名前をつけるというのはモンスター、魔族には大きな意味がある。
「ええ、ある程度の年月を魔力にさらされ存在したものは魔族、あるいは悪魔になります。ですが普通は名無し。大した物にはなりません」
名前のない魔族、悪魔は大した力を持たない。だが名前をつけられた場合は別である。名前をつけられた魔族、悪魔はより上位のものへと変わり稀に意志を持つようになる。この魔王城ヘルファニフスのように。
「全く、我らが魔王様は無意識そういったことをなさる。それが楽しいのだがね」
楽しそうにファンファンニールは笑う。その言葉を聞きマリアベルジュも笑みを浮かべる。
「だからこそ仕えがいがあるのでしょう。」
「違いない」
ファンファンニールと共に笑いあっていると再び魔王城が揺れる。しかも先ほどよりも大きな揺れである。
「来ましたね」
マリアベルジュは二つの大きな魔力の塊がこの会議室に向かってきていることに気付いた。
一つは凄まじい速度で階段、廊下を駆けて来ており、もう一つは一直線にこの会議室に向け降下し続けていた。
「ファンファンニール、テーブルと椅子に結界を」
「はいはい」
マリアベルジュが構えを取りながら命令。すぐさまファンファンニールは指示に従い自身の魔法を使い テーブルと椅子をこれから起こるであろう破壊から守るべく一時的に異界化させる。これにより界を超えるような攻撃でなければテーブル、椅子を破壊できないようにしたのだ。
さらにファンファンニールは席から立ち上がると壁際まで退避した。
マリアベルジュの感知する魔力の塊が会議室に到達した瞬間、天井と会議室の扉が爆発する。
『マリアベルジュ!』
破砕さした天井からはいつもより巨大化した九本の尻尾を揺らし、さらにはそのすべての尾に黄金の魔力を纏わし、憤怒の形相を浮かべた桜が、扉を粉砕して入ってきたのは真紅の瞳をさらに赤く染め上げ吸血鬼特有の八重歯が鋭く光っていた。
「よくもわたしの楽しみの磔戦士ジュウジカーンを見るのを邪魔したね!」
「よくも私様が毎週楽しみにしていた人間界のドラマを見てる途中で消してくださりやがりましたわね!」
二人とも鬼気迫る勢いでと言っても一人は鬼なわけだがマリアベルジュに殺気を飛ばしながら詰め寄る。
「美人と美女がおっかないねぇ」
「譲りましょうか? ファンファンニール」
「……僕には美人二人は荷が重いよ」
桜に完膚なきまでに叩き潰されたことを思い出したのかファンファンニールは首を振り、さらには手を挙げ戦う意志がないことを表示する。
「だいたいあなた達二人が会議に出ればこんなことしなくて済んだのですよ。録画で済む話でしょう?」
理解できないとばかりにマリアベルジュが首を振るとその仕草に桜とコルデリアの額に青筋が浮かぶ。
『ああいうのはリアルタイムでみてこそ(なの!)ですわ!』
二人は叫ぶとコルデリアは兇刃を、桜は狂尾をマリアベルジュに向け振るい放った。
それは一切防御の構えを取っていなかったマリアベルジュにいとも容易く突き刺さり、マリアベルジュを会議室の壁へと軽々と叩きつけた。
「いたぁい!」
「くぅっ」
しかし、悲鳴を上げたのは攻撃を仕掛けた桜であり、細剣を振るったコルデリアだった。
見れば桜の九本の尾の内三本は引き千切られ、コルデリアの細剣を握っていない腕はあらぬ方向に曲がっていた。
「相変わらずズルいですわね。マリアベルジュ」
「不死の吸血鬼に言われるとは心外です」
憎々しげにコルデリアが告げるともうもうとあがる砂煙りの中から右腕がなく、胸に大穴が空いた状態のマリアベルジュが姿を現した。右腕はコルデリアの細剣に突き刺さりコルデリアの手にあるが、マリアベルジュの左手には桜の尻尾であろうものが三尾握られていた。いかに強靭な生命力を持つ魔族であろうと普通なら即死であるような傷であるがマリアベルジュの表情は一切歪んでいなかった。
「相変わらず桜の尻尾はえげつないですね。魔力で防御したんですがこれですし三本しか切れませんでした」
「うぅぅ、自慢の尻尾がぁ」
断ち切られたにも関わらず血も流れない三本の尻尾を寂しそうに見つめる桜。
「コルデリアもさすがですね。腕、取る気だったんですが」
「私様の細剣蹴り飛ばしておいてよく言いますね」
だらりと腕を垂らしながらもコルデリアは細剣から右の腕をとるとマリアベルジュに向け放り投げます。桜の三本の尾を手放しマリアベルジュは放物線を描き飛んでくる右腕を受け止める。
コルデリアの振るった細剣はマリアベルジュの腹に穴を開けたがその後にマリアベルジュは負った傷など無視するかのように蹴りを放ち細剣を振るい隙ができたコルデリアの腕を叩き折ったのだ。
「いえ、穴が空いたのは久しぶりですよ」
受け取った右腕の切断面を体の切断面につなげ合わせると途端に生きているかのように繋がっていきます。
そしてわずかの間に切断面が全く分からないほど綺麗になり切られていたとは思えないほどの腕が姿を見せました。
「相変わらずにズルいですね。そのスライムの体」
コルデリアの言葉に微笑みながら胸に空いた大穴を軽く撫でると腕同様に大穴が空いていたとは思えないほどだ。
マリアベルジュの種族はスライムである。ただし、魔界において変異種と呼ばれる類のスライムである。
そしてスライムとは人間界では最弱と呼ばれる種族ではあるが魔界では龍に匹敵する最強種である。
能力自体は人間界のスライムと変わりはない。だが、魔界のスライムは暴食であり、なんでも食べる。さらにはスライムの特性である食べた物の特性を得るという能力も健在であり、人間界のスライムよりより強力に凶悪に成長するのだ。
「さて、服に穴が空いてしまいましたね」
その魔界の最強種の集大成たるスライムが自身の穴の空いたり破れたりし、扇情的な物へと変わった自身のメイド服を見下しながら呟く。
そんな彼女を痛みを堪えながらも桜とコルデリアは警戒する。
「まぁ、いいでしょう」
警戒する二人など瞳に入れることなくマリアベルジュは自身の席に戻り座る。
「安心なさい。尻尾三尾と腕一本で等価にしてあげますよ」
「うぅ……」
「仕方ありませんね」
マリアベルジュにすでに戦う気がないということがわかった二人は渋々といった様子で席に着く。
二人が席に着いたのを確認するとマリアベルジュは小さく頷く。
「ワインとキルルは遅れてくるとのことです。ですので今回の六死天会議最大の問題を話すとしましょう」
ごくりっと誰かが唾を飲み込む音が聞こえる。もちろん喉などないファンファンニールではないが。
「今年の魔王軍の旅行をどこに行くかを!」
マリアベルジュの背後に備え付けられた異界モニターに『魔王軍旅行!』とデカデカと表示されるのであった。
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