エルフさんが通ります
絶対に殺してやる!
「お?」
『リリカ⁉︎』
ちくりとした痛みと共に私の瞳は宙に血を吹き出し、音を出しながら回り舞う自分の腕を捉えました。
一応は私の腕は魔力がほとんどなかったとはいえエルフの服を着ていたので切り裂かれるとは考えてはいなかったのですが、実際はそうでもなかったようです。
やがて宙でクルクルと回っていた腕が血を撒き散らしながら床へと落下し、音が響きます。
そんな思考が停止していたような状況からちくりとした痛みからなんとも声では形容しがたい痛みを腕から感じた瞬間にようやく現実へと引き戻されます。
「イッタァァァァァァ⁉︎」
『おそ⁉︎ 反応めちゃくちゃ遅くない⁉︎』
切り取られた部分を退屈を塗りつぶす刺激を持つ手で押さえつけながら悲鳴をあげます。痛みのせいで集中力が途切れ、私の手にあった黒い剣は霧散、しかし、魔力は消失することはなく再び背中に羽根として顕現しているようです。
それを痛みに耐えながら確認し、そしてこんな痛みを与えてきた人物を睨みつけます。
「許しませんよ」
「許さないのは私のほうよ!」
呪詛の篭った視線を受け止めたのは巨大な剣を構え、切っ先を私へと向けてくるエルフ族長の孫ベシュ。その瞳は私と同じような呪詛が篭り、さらには殺意が見えます。
「なんですか針でもお尻に刺さりましたか? 瓦礫に潰されてそのまま死ねばよかったのに」
「やっぱりアンタだったのね! 瓦礫が落ちてくる前に目が覚めて避けたわよ! でも針だらけのまま座り込んで結果的に血まみれになったわよ!」
普通、お尻に針なんて刺さってたら気づくと思うんですがね。それも一本や二本の話ではなかったですし。
よく見れば足元にも血が垂れていますし本当に針が刺さったまま座り込んだんでしょう。
「起きた私は誓ったわ。絶対リリカをぶっ殺すって」
大剣、 巨大を討つ剣越しにベシュを見るとベシュの闘気と魔力が乗っているからかゆらゆらとベシュの姿が揺らめき陽炎のようです。
それほどにベシュが集中しているということでしょう。
「そうですか」
そんなベシュに短く言葉を返すと魔力の羽根の魔力放出を上げていきます。
「安心してくださいベシュ」
放出される魔力の量が増えたことによりさらに大きくなっていく魔力の羽根を操り、自身の体全てが武具になるように体に纏うようにしていきます。
「あなたは誰がなんと言おうと私と同じ目か、もしくはそれ以上の目にあってもらいます」
一応の勇者であったカズヤですら私には傷をつける、いや、それ以前に戦いにすらなりませんでした。
ですがこの昔からの縁がある目の前のエルフだけはいとも容易く軽々と私の腕を切り裂きやがりましたからね。
体全てが魔力の羽根の真紅の魔力に覆われ、鎧のような姿へと変わったのを確認した私は 巨大を討つ剣を構えるベシュへと向き直ります。
「あなたは羽根ではなくこの手でぶった切ってあげますよ。私の腕と同じように」
魔力を右腕に多めに流すように意識をしなおし、右手の手首辺りから真紅の魔力の刃を形成。
二、三度宙を切り具合を確かめます。
今までは武器ともち手は別にしていましたが腕と一体型で作り上げようとした試みはどうやら成功したようです。
加えて魔の欠片の魔力を全身に纏ったことによってそこいらにいる騎士なんかよりも防御力は跳ね上がっています。先程のように何もわからない間に体の一部を刈り取られるということはないでしょう。
『こわ!』
「もう完全に悪役ですよねぇ。ま、元から善とはいいがたいような方でしたけど」
「あのですね、これは善とか悪とか関係ないんですよ」
好き勝手にいうゼィハとくーちゃんに呆れてしまいます。
そう、これはもう昔からベシュと対峙した時の常に感じていた感覚。
理屈ではなく感情。
仲良くしたいではなくぶちのめしたい。
というかぶちのめす。
カズヤに向けていたお遊びの敵意なんてものではなく、私は完璧な純粋な殺意を込めてベシュへと右手の魔力の刃を構え、ベシュは巨大を討つ剣を無言で頭上に構えます。
「ヴァン」
「はっはい」
「とっとカズヤとククをつれてここを去ってください。消し飛ばされても文句は言わせませんよ?」
「了解!」
素直に返事をしたヴァンは素早くカズヤとククを抱え挙げると大穴に飛び込んでいき姿を消しました。
さ、これで邪魔者はいなくなりました。
「リリカ」
「ベシュ」
互いに名を呼び合います。
しかし、そこに親愛の感情など一切なく。
『絶対に殺してやる!』
ベシュが 巨大を討つ剣を手に私に向かい疾走を開始した瞬間、私も魔力の刃を振るい魔力による斬撃を飛ばすのでした。
『リリカ⁉︎』
ちくりとした痛みと共に私の瞳は宙に血を吹き出し、音を出しながら回り舞う自分の腕を捉えました。
一応は私の腕は魔力がほとんどなかったとはいえエルフの服を着ていたので切り裂かれるとは考えてはいなかったのですが、実際はそうでもなかったようです。
やがて宙でクルクルと回っていた腕が血を撒き散らしながら床へと落下し、音が響きます。
そんな思考が停止していたような状況からちくりとした痛みからなんとも声では形容しがたい痛みを腕から感じた瞬間にようやく現実へと引き戻されます。
「イッタァァァァァァ⁉︎」
『おそ⁉︎ 反応めちゃくちゃ遅くない⁉︎』
切り取られた部分を退屈を塗りつぶす刺激を持つ手で押さえつけながら悲鳴をあげます。痛みのせいで集中力が途切れ、私の手にあった黒い剣は霧散、しかし、魔力は消失することはなく再び背中に羽根として顕現しているようです。
それを痛みに耐えながら確認し、そしてこんな痛みを与えてきた人物を睨みつけます。
「許しませんよ」
「許さないのは私のほうよ!」
呪詛の篭った視線を受け止めたのは巨大な剣を構え、切っ先を私へと向けてくるエルフ族長の孫ベシュ。その瞳は私と同じような呪詛が篭り、さらには殺意が見えます。
「なんですか針でもお尻に刺さりましたか? 瓦礫に潰されてそのまま死ねばよかったのに」
「やっぱりアンタだったのね! 瓦礫が落ちてくる前に目が覚めて避けたわよ! でも針だらけのまま座り込んで結果的に血まみれになったわよ!」
普通、お尻に針なんて刺さってたら気づくと思うんですがね。それも一本や二本の話ではなかったですし。
よく見れば足元にも血が垂れていますし本当に針が刺さったまま座り込んだんでしょう。
「起きた私は誓ったわ。絶対リリカをぶっ殺すって」
大剣、 巨大を討つ剣越しにベシュを見るとベシュの闘気と魔力が乗っているからかゆらゆらとベシュの姿が揺らめき陽炎のようです。
それほどにベシュが集中しているということでしょう。
「そうですか」
そんなベシュに短く言葉を返すと魔力の羽根の魔力放出を上げていきます。
「安心してくださいベシュ」
放出される魔力の量が増えたことによりさらに大きくなっていく魔力の羽根を操り、自身の体全てが武具になるように体に纏うようにしていきます。
「あなたは誰がなんと言おうと私と同じ目か、もしくはそれ以上の目にあってもらいます」
一応の勇者であったカズヤですら私には傷をつける、いや、それ以前に戦いにすらなりませんでした。
ですがこの昔からの縁がある目の前のエルフだけはいとも容易く軽々と私の腕を切り裂きやがりましたからね。
体全てが魔力の羽根の真紅の魔力に覆われ、鎧のような姿へと変わったのを確認した私は 巨大を討つ剣を構えるベシュへと向き直ります。
「あなたは羽根ではなくこの手でぶった切ってあげますよ。私の腕と同じように」
魔力を右腕に多めに流すように意識をしなおし、右手の手首辺りから真紅の魔力の刃を形成。
二、三度宙を切り具合を確かめます。
今までは武器ともち手は別にしていましたが腕と一体型で作り上げようとした試みはどうやら成功したようです。
加えて魔の欠片の魔力を全身に纏ったことによってそこいらにいる騎士なんかよりも防御力は跳ね上がっています。先程のように何もわからない間に体の一部を刈り取られるということはないでしょう。
『こわ!』
「もう完全に悪役ですよねぇ。ま、元から善とはいいがたいような方でしたけど」
「あのですね、これは善とか悪とか関係ないんですよ」
好き勝手にいうゼィハとくーちゃんに呆れてしまいます。
そう、これはもう昔からベシュと対峙した時の常に感じていた感覚。
理屈ではなく感情。
仲良くしたいではなくぶちのめしたい。
というかぶちのめす。
カズヤに向けていたお遊びの敵意なんてものではなく、私は完璧な純粋な殺意を込めてベシュへと右手の魔力の刃を構え、ベシュは巨大を討つ剣を無言で頭上に構えます。
「ヴァン」
「はっはい」
「とっとカズヤとククをつれてここを去ってください。消し飛ばされても文句は言わせませんよ?」
「了解!」
素直に返事をしたヴァンは素早くカズヤとククを抱え挙げると大穴に飛び込んでいき姿を消しました。
さ、これで邪魔者はいなくなりました。
「リリカ」
「ベシュ」
互いに名を呼び合います。
しかし、そこに親愛の感情など一切なく。
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