エルフさんが通ります
おめでとー
「魔界に通じる」
「穴?」
「はい、それがアルガンテロアと交わした契約ですから」
なぜか私がそう言うとみんなして難しそうな顔をしています。ゼィハだけ瞳を輝かしているような気がしますがね。
誰もが沈黙し、なにも言葉を発しない気まずい空間の中、空気を読むという機能が欠如しているであろうゼィハが興奮したように顔を赤くしながらゼィハがわざわざ手を挙げています。その姿を見たアルは愉快そうに笑いながら「ではゼィハくん」と指名します。
「どうして魔界に通じる道を?」
「帰るためさ」
「帰る?」
「ああ、僕の生まれはここではなく魔界だからね」
それ初耳なんですがね。でもそれがどう違うか全くわかりませんがね。
「となると上位魔族⁉︎」
ククが驚愕の声を上げるとともに緊張がはしると全員がいつでも戦闘ができるようにと身構えています。
それに対してアルは違う違うと言わんばかりに手を振ります。
「僕が魔王ではなく魔神だからだよ」
そんな緊張感などを笑い飛ばしながらアルは告げます。サラッと言いましたが魔族よりタチが悪そうですよね。響き的に。
「魔神⁉︎」
字が変わっただけじゃないですか。どこに驚くところがあるんでしょうか?
というか驚きすぎてみんなの警戒度が下がってる感じです。
「まさか魔界からこっちに遊びにきている間にこちらで言うところの初代勇者に切り刻まれるとは思っていなかったからね」
いやーまいったまいったと言いながらアルは朗らかに笑い頭をかいています。
魔の欠片の力を完全に引き出せた今でこそわかりますがアルの魂の力は馬鹿げた性能です。それを切り裂き、封印したと言う初代の勇者もよほど強かったんでしょう。
「ではあなたは人類に復讐をしようと?」
「復讐? なんで?」
いつの間にかアルが発っしていた濃密な魔力にあてられたのか怯えながら尋ねたククに不思議そうな顔をしたアルが答えを返します。
「僕は別に恨んじゃいないさ。なにせ魔神はほぼ不死みたいなもんだからね。そうそうに死なない。そりゃ魂を別けられても死なないくらいさ。むしろ恨みよりも尊敬の念のほうが強いよ」
確かにアルからは別に憎しみとか殺意といった暗い感じは受けませんでしたからね。どちらかというと楽しんでいるというような感じでしょうか? 見ていて面白いものを眺めているような感覚でした。
「僕がリリカに魔界に通じる穴を開けてもらうのは単純に帰るため。それだけのためさ。別にこの世界に攻め入ろうってわけじゃないから安心するといい」
『そうなの?』
「らしいですよ」
凄い疑いの目でくーちゃんが見てきます。なぜでしょうか? 疑いの目を向けられているのはアルのはずなのに私が疑われているような感覚になります。
「それに君にとっても悪い話ではないんだよ精霊くん」
『なんでわたしに悪い話じゃないの?』
「なんでって気づいてないの?」
くーちゃんが聞き返してきたことに非常に驚いたような顔をした後に私の方に視線を向けてきます。そのアルの視線につられるようにしてくーちゃんも私へと視線を向けてきます。
「確証はないですがくーちゃん、あなたは今闇属性よりの精霊になりかけてるんですよ」
『え?』
というさなってるんですけどね。
「おそらくは私の持っている魔の欠片の影響でしょうね。その証拠にあなたの羽根は今や光沢を放つ黒に変わっていますよ」
『えぇぇぇぇぇ⁉︎ わたしの風の上位精霊になる夢はぁぁぁぁぁ⁉︎』
絶句しているくーちゃんから一転。頭を抱えながら大きな悲鳴のような声をあげながら私の頭を揺さぶってきます。
「まあ、悪いことばかりではないさ。魔界へと繋がる道ができたならば僕の魂の影響を受けた君なら大精霊クラスにすぐになることもできるさ。それほどに魔界の魔力は濃いからね」
『大精霊⁉︎ 大精霊かぁ』
慰めるかのように告げたアルの言葉、大精霊と聞いた瞬間にくーちゃんは私の頭を揺さぶるのをやめ、なにやら思案しているようです。
やがて顔に緩んだ笑みを浮かべたところを見ると満更ではないようです。
『大精霊、いいかもしれない』
「よかったねー」
意外とちょろかったですね。
「ただまあ、魔界に行くための道を作るのは魔神である僕以外が試みるのは初めてのことだ。どうなるかはわからないけどね。リリカもそれで承諾したわけだし」
再び私の方をみんなが見てきたので頷いておきます。
だって初めてすることって失敗するとしても楽しいですからね。
被害はどうする? さぁ? 誰かがなんとかしてくれるんじゃないんですか? 魔神がいるわけですし神様あたりが。
「なにしろ別空間へ通じる道を作るわけだ。生半可な魔力では足りない。だから僕は僕の魂である魔の欠片を、というか魔力をリリカに対価として払うわけさ。魔界に戻れば人間達とは違い永遠に等しい時間がある。それでゆっくりと魔力を取り戻せばいいわけなんだからね」
死なない存在なわけですからね。私達とは考えるスケールが違いますね。人はもちろん長寿であるエルフの寿命ですら瞬きをする間の出来事なんでしょうね。
「そういうわけでおめでとう!この世界の諸君! 僕がこの世界を滅ぼす気がない今、世界は君たちによって守られたわけだ」
「おめでとー」
パチパチと音を立てながら魔神アルは笑顔で賞賛の拍手を送っているので私もそれに習い同じように? 適当に拍手を送くるのでした。
「穴?」
「はい、それがアルガンテロアと交わした契約ですから」
なぜか私がそう言うとみんなして難しそうな顔をしています。ゼィハだけ瞳を輝かしているような気がしますがね。
誰もが沈黙し、なにも言葉を発しない気まずい空間の中、空気を読むという機能が欠如しているであろうゼィハが興奮したように顔を赤くしながらゼィハがわざわざ手を挙げています。その姿を見たアルは愉快そうに笑いながら「ではゼィハくん」と指名します。
「どうして魔界に通じる道を?」
「帰るためさ」
「帰る?」
「ああ、僕の生まれはここではなく魔界だからね」
それ初耳なんですがね。でもそれがどう違うか全くわかりませんがね。
「となると上位魔族⁉︎」
ククが驚愕の声を上げるとともに緊張がはしると全員がいつでも戦闘ができるようにと身構えています。
それに対してアルは違う違うと言わんばかりに手を振ります。
「僕が魔王ではなく魔神だからだよ」
そんな緊張感などを笑い飛ばしながらアルは告げます。サラッと言いましたが魔族よりタチが悪そうですよね。響き的に。
「魔神⁉︎」
字が変わっただけじゃないですか。どこに驚くところがあるんでしょうか?
というか驚きすぎてみんなの警戒度が下がってる感じです。
「まさか魔界からこっちに遊びにきている間にこちらで言うところの初代勇者に切り刻まれるとは思っていなかったからね」
いやーまいったまいったと言いながらアルは朗らかに笑い頭をかいています。
魔の欠片の力を完全に引き出せた今でこそわかりますがアルの魂の力は馬鹿げた性能です。それを切り裂き、封印したと言う初代の勇者もよほど強かったんでしょう。
「ではあなたは人類に復讐をしようと?」
「復讐? なんで?」
いつの間にかアルが発っしていた濃密な魔力にあてられたのか怯えながら尋ねたククに不思議そうな顔をしたアルが答えを返します。
「僕は別に恨んじゃいないさ。なにせ魔神はほぼ不死みたいなもんだからね。そうそうに死なない。そりゃ魂を別けられても死なないくらいさ。むしろ恨みよりも尊敬の念のほうが強いよ」
確かにアルからは別に憎しみとか殺意といった暗い感じは受けませんでしたからね。どちらかというと楽しんでいるというような感じでしょうか? 見ていて面白いものを眺めているような感覚でした。
「僕がリリカに魔界に通じる穴を開けてもらうのは単純に帰るため。それだけのためさ。別にこの世界に攻め入ろうってわけじゃないから安心するといい」
『そうなの?』
「らしいですよ」
凄い疑いの目でくーちゃんが見てきます。なぜでしょうか? 疑いの目を向けられているのはアルのはずなのに私が疑われているような感覚になります。
「それに君にとっても悪い話ではないんだよ精霊くん」
『なんでわたしに悪い話じゃないの?』
「なんでって気づいてないの?」
くーちゃんが聞き返してきたことに非常に驚いたような顔をした後に私の方に視線を向けてきます。そのアルの視線につられるようにしてくーちゃんも私へと視線を向けてきます。
「確証はないですがくーちゃん、あなたは今闇属性よりの精霊になりかけてるんですよ」
『え?』
というさなってるんですけどね。
「おそらくは私の持っている魔の欠片の影響でしょうね。その証拠にあなたの羽根は今や光沢を放つ黒に変わっていますよ」
『えぇぇぇぇぇ⁉︎ わたしの風の上位精霊になる夢はぁぁぁぁぁ⁉︎』
絶句しているくーちゃんから一転。頭を抱えながら大きな悲鳴のような声をあげながら私の頭を揺さぶってきます。
「まあ、悪いことばかりではないさ。魔界へと繋がる道ができたならば僕の魂の影響を受けた君なら大精霊クラスにすぐになることもできるさ。それほどに魔界の魔力は濃いからね」
『大精霊⁉︎ 大精霊かぁ』
慰めるかのように告げたアルの言葉、大精霊と聞いた瞬間にくーちゃんは私の頭を揺さぶるのをやめ、なにやら思案しているようです。
やがて顔に緩んだ笑みを浮かべたところを見ると満更ではないようです。
『大精霊、いいかもしれない』
「よかったねー」
意外とちょろかったですね。
「ただまあ、魔界に行くための道を作るのは魔神である僕以外が試みるのは初めてのことだ。どうなるかはわからないけどね。リリカもそれで承諾したわけだし」
再び私の方をみんなが見てきたので頷いておきます。
だって初めてすることって失敗するとしても楽しいですからね。
被害はどうする? さぁ? 誰かがなんとかしてくれるんじゃないんですか? 魔神がいるわけですし神様あたりが。
「なにしろ別空間へ通じる道を作るわけだ。生半可な魔力では足りない。だから僕は僕の魂である魔の欠片を、というか魔力をリリカに対価として払うわけさ。魔界に戻れば人間達とは違い永遠に等しい時間がある。それでゆっくりと魔力を取り戻せばいいわけなんだからね」
死なない存在なわけですからね。私達とは考えるスケールが違いますね。人はもちろん長寿であるエルフの寿命ですら瞬きをする間の出来事なんでしょうね。
「そういうわけでおめでとう!この世界の諸君! 僕がこの世界を滅ぼす気がない今、世界は君たちによって守られたわけだ」
「おめでとー」
パチパチと音を立てながら魔神アルは笑顔で賞賛の拍手を送っているので私もそれに習い同じように? 適当に拍手を送くるのでした。
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