エルフさんが通ります

るーるー

いくら美少女といっても多すぎですよね

 私は自分・・が吹き飛ぶのを確認するとゆっくりと瞳を開きます。


「爆破確認。あっさりとひっかかりましたね」
『え、えげつない。リリカえげつないよぉ!』


 気を失っていたくーちゃんも眼を覚まし、私のしていることを知るや否や私のことをえげつないえげつないと連呼しています。
 今、私とくーちゃんがいる場所はシェリーのいる最上階らしき場所より二つほどしたのフロア。大穴を駆け上がっている途中でそちらに入り、そこからゼィハに頼み作ってもらっていたどこでも自爆くんを操作してシェリーへと突撃さしたわけです。
 ゼィハお手製のどこでも自爆くんを使いシェリーと戦ってみたわけですがどうもシェリーはどこでも自爆くんと私の見分けがつかないようですね。
 もし対峙するのが私ならば魔剣を持っている奴に対して普通の剣を持って立つなんてことをするわけないというのに。というか普通魔ノ華マノハナで戦ってないから気づくと思ったんですがね。


「えげつないといいますがこれは戦いです。しかも相手は自称とはいえ魔王なんですよ?」
『それはそうなんだけど』
「そもそも魔王という輩に対して正攻法で戦う理由なんて微塵もありません」


 そう、昔の本を読んでいて思いましたがなぜ歴代の勇者達はまともに正面から正々堂々とかいいながら戦ったんでしょうかね?
 相手は魔王。つまりは悪い奴な訳なんですからまともに戦ってやる必要なんてないですしね。


『じゃあどうやって戦う気なの?』
「こうします」


 私は魔法のカバンマジックバックの中にしまっておいたゼィハから受け取ったどこでも自爆くんを次々に取り出しばら撒いていきます。


『……これどうする気?』
「ん? 全部突撃さしますが?」


 どこでも自爆くんに私の魔力を分け与え、私の姿と同じものになったのを確認しながらくーちゃんの質問に答えてあげます
 何を当たり前のことを聞いてきているんでしょうか? どこでも自爆くんは自爆することで発生する魔力で攻撃する魔法道具マジックアイテムなわけなんですから突っ込ませて爆発させるに決まってるじゃないですか。なにより爆発して痛いのはあちらだけであり私は微塵も痛くないのですから採用するしかありませんよね。


『リリカってまともに戦わないよね?』


 何気に失礼なことを言われている気がしますね。


「くーちゃん、私にとっての戦いとは二種類あります」
『二つ?』


 わざわざくーちゃんの目の前にわかるように指を二本立てながら言葉を続けます。


「一つ目は楽に戦える戦い。二つ目は面倒な戦いです」
『わかりやすすぎなかいかなぁ⁉︎
 』


 この世の真理だと思うんですがくーちゃんはそう思わないようです。


「楽に戦えるのにわざわざ面倒な事をしながら戦うというほうがどうかと思いますよ?」


 楽ができるときは楽をするべきなんですよ。


「はい、準備完了と」


 用意したどこでも自爆くんに魔力を注ぎ込み終わり、見渡す限りに大量の私の姿をしたどこでも自爆くんが見えます。


「いくら美少女といっても多すぎですよね」
『こわい! なんかリリカが一杯なのは言いようのない恐怖を感じるよ! というか気持ち悪いよ!』


 …… この精霊は本当に私の契約精霊なんでしょうか? 契約主に対してのこの暴言。
 まぁ、今は放っておきましょう。


「ではアリエル軍団に対抗してリリカ軍団、出撃!」


 私の号令と共に大量の私の形をとったどこでも自爆くんたちが上に空いた大穴に向かい跳躍していくのでした。

コメント

コメントを書く

「現代アクション」の人気作品

書籍化作品