エルフさんが通ります

るーるー

シャチク作りました

「目的は勇者です。他の何をおいても勇者さえ消し飛ばせばそれで全て解決するのです」


 全てを弓矢にオールボゥで矢を作り、それらに魔力を込めて先ほどと同じくらいの破壊力を持つ物を作り上げていきます。


『リリカ、本気で山壊す気なんじゃないよね?』
「ふぅ、くーちゃん。私が何でもかんでも壊して解決するようなエルフに見えますか?」
『見えるよ⁉︎ 今ままで散々潰してきてるからね!』
「自分の胸に手を当ててよく考えてみてください!」


 すごく噛みつかれました。
 胸に手を当てるとか…… 嫌味ですか! 私に胸がないことに対しての嫌がらせですか!


「二人とも大きな勘違いをしていますね」
「え、どこか勘違いする要素がありましたか?」
「私が吹き飛ばしたくて吹き飛ばすわけないじゃないですか。それは結果論ですよ。強いていうならば……」
「言うならば?」
「目の前に邪魔なものがあったからぶっ飛ばしただけです」
「『余計タチ悪いわ!』」


 頭を叩かれました。
 それも結構な強さで。
 別に二人には迷惑かけてないからいいと思んですけどね。


「十分迷惑かけられてるんですが⁉︎ ダークエルフの里で自分がしたことをもう忘れましたか!」
「シャチク作りました」
「略しすぎでしょぉぉぉぉぉ!」


 本当のことなのに怒られました。ひどい話ですね?


「とりあえずです。今は目の前の敵を殲滅することが私たちの共通の目的だと思いませんか?」
「私たち? あきらかにあなた個人でしょ!」
『わたしたち巻き込まれただけじゃん!』


 ふう、この二人はまだわかっていなかったようですね。


「いいですか? 我がエルフの里のジジイは言いました。『手を取るなら共犯者じゃ。なんで? 共犯者は仲間じゃないから裏切っても心が痛まんじゃろ? by長老』」
『エルフにはまともな人はいないの‼︎』
「いえ、私が結構まともだと思うんですが……」
「リリカさん、それはそれで絶望的ですよ」


 なんかエルフに対する風当たりがひどく強い気がします。
 しかし、今はそこを気にしている場合ではありません。仲間の一人をぶち殺された四天王達が動揺しながらも勇者へと攻撃を開始したからです。


「まさか口上の途中で攻撃してくるとは!」
「貴様それでも勇者なの!」
「……抹殺」
「ハイヨロコンデハイヨロコンデ」
「俺じゃねぇ! しかもあきらかに口上の途中で攻撃してきやがったのはそっちの方だろうが!」


 それぞれの武器、魔力をふるいながら疲労した勇者へと襲いかかっていきます。


 私が狙ったということはどうやらバレてはいないようです。勘が悪いのか感知する感知する力が低いのかはよくわかりませんがね。
 逆にオリハルドラゴンは完全に置いてきぼりを食らっているようでどうすればいいかがよくわかっていないようです。
 ふむ、オリハルドラゴンさえ殺されなければこちらとしては問題ないんですよね。
 つまり、あれオリハルドラゴンを私が殺してしまえば問題がなくなるということですね。


「ゼィハ、幻想義手イマジンハンドで私に武器をどんどん渡していってください。くーちゃんは風の魔力を」
「ほ、ほんとに勇者をやる気ですか?」
「いえ、せっかく四天王とやら、今は三人になりましたが彼等とシャチクが抑えてくれてるわけですし、今の内に元凶であるオリハルドラゴンを潰した方が早いでしょ?」
「ドラゴンは天災みたいなもんなんですよ⁉︎」


 なんでそんな泣きそうな顔をしているかはわかりませんがあなた、今までも十分に天災規模の物事に巻き込まれているんですからね? むしろあなたが使っている幻想義手イマジンハンドもえげつないくらいの代物なんですからね?


「まぁ、やりたくないというなら別にいいですが……」
「実家に帰らしてもらいます!」


 なんか喧嘩した夫婦みたいなことを言ってますがどうやら本気で帰るようですね。


「残念ですね。オリハルドラゴンを倒せば貴重な鉱石であるオリハルコンが取り放題だというのに」


 ギリギリ聞こえるような声で背中を向け、山を降りようとしていたゼィハの背中に向けて声を投げかけてやります。


「まぁ? ゼィハがいらないというのであれはあの死体は私がまるまる頂きますよ。さぞ高く売れるでしょうね」
『高く? 果物たくさん買える?』
「そりゃ山盛りですよ。食べ放題です」
『はいはい! わたし頑張ります! 全力でがんばります!』


 あっさりと堕ちましたね。食べ物で釣られる精霊は素直でよろしい。
 さてもう一人の方はと……


「何をしているのです! リリカさん! 早くオリハルドラゴンを倒しますよ! 報酬は6:4です」
『なんて速さ⁉︎』


 いつの間に元の場所に戻ったのか自分の魔法のカバンマジックバックから大量の武器を取り出し次々と地面に刺していっています。
 わかっていたとはいえなんとも変わり身が早いダークエルフに私は苦笑しながら次々配置されていく武器を手に取るのでした。

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