エルフさんが通ります
叩いたら治るでしょうか?
物の焼ける匂いが周囲に満ちています。
空が明るくなりかけている中、私の周りには燻ったような火があり、時折、炭化した建物が音を立て崩れています。
「いい仕事をしました」
『いや、やりすぎだから……』
炭化した建物というのは当然ながらダークエルフの里であり、人的被害は奇跡的にゼロでしょう。まぁ、怪我人くらいはいるかもしれませんが人死にはでていませんからね。
ダークエルフ達が憎々しげに私を睨みつけながら里の中央である広場に集められています。しかし、瞳に浮かんでいるのは憎悪というより恐怖の色のほうが強いようです。これで一人でも人が死んでいたら憎悪のほうに寄っていたでしょうが。
「…… それでエルフが我らが里に何の用だ」
「あ、ようやく話をしてくれる気になりましたか?」
今まで頑なに話をする姿勢を見せていなかった一人毛色の違う服を着たダークエルフが話しかけてきてくれます。おそらくは彼がこの里の長にあたるんでしょう。
「しかし、よく考えたら私ここに何しに来たんですかね?」
「「ふざけてんのか⁉︎」」
首を傾げながら今更ながらに気づいたことを言うと殺気立った言葉をダークエルフ達から投げかけられました。
そんなみんなして怒らなくてもいいと思うんですが……
ただ、ほら。私は新しく手に入れた物で遊びたかっただけなんですよ。雷纏う戦車はなかなかにいい物でした。
「しいていうなら観光なんですが……」
周りを見渡すも目に映るのは煙が上がっている元建物の残骸ばかり。特に目を引くようなものはありません。
「……特に何もありませんね」
「「お前が潰したからだろうが!」」
またも怒鳴られます。
なんなんでしょう。知識の一族とか言われている割には凄い怒りっぽいんですけど。
『いきなりやってきて住処燃やされたら誰でもそうなるんじゃない?』
そういうものですかね?
改めてダークエルフの立場を自分に置き換えて考えてみます。いきなり現れたダークエルフに家を焼かれる私。
………… うん、ダークエルフの滅亡の未来しか思いつきませんね。むしろ殺る未来しかありません。譲歩はないです。
「しかし、精霊を連れているエルフがここまで戦闘狂いとは」
「あの精霊も闇精霊なのでは?」
『ちょ! リリカのせいでわたしも闇精霊扱いにされてる⁉︎』
ダークエルフ達がヒソヒソと話す声に反応したくーちゃんが瞳に涙を浮かべながら私に抗議をしてきます。
いやぁ、くーちゃん。あなたも大分無垢な精霊から染まってきたと思うんですがね。意外とこういうのは本人には自覚がないのかもしれませんが。
「そんなことより」
『ちょっと! そんなことってなに! かなり大事だよ!』
ギャーギャーと耳元で叫び回るくーちゃんを手で押しのけながら私は長老っぽい人へと視線を向けます。
「では少しばかりの知識をいただきたいですね。ちゃんと対価は払いますよ。こんな感じで」
言い終わると私はぽちを抜き放ち、瞬時に魔ノ華へと姿を変えると更に鋼糸状へと変化させると集落を取り囲むかならの樹齢の木へと振るいます。振るわれた鋼糸は大樹を瞬く間に切り裂いていきます。ゆっくりと倒れる大樹に向かい私は更に魔ノ華を振るい、大樹を木材へと変えていきます。
倒れ行く大樹は木材へと変えられ綺麗に整頓された状態で地面に落下していき、余すことなく家を作るための材料へと変わりました。
「これでどうです? エルフやダークエルフは森の民ですから材料さえあれば問題ないでしょう?」
「魔剣をそこまで使いこなすとは…… よかろう。交渉に応じよう。ただし、ある程度住む家ができてからだ」
「それでかまいませんよ」
にっこりと私は笑い了承します。
『なんでそんなに簡単に了承するの?』
「ん? ああ、こちらからも労働力を提供しようかと思いましてね」
訝しげな顔でくーちゃんが私を見てきます。まるで、私が悪いことを企んでいるような目で見てきていますがそんなことはありません。
業者台から飛び降り、魔ノ華を鞘へとしまい鼻歌を歌いながら私は雷纏う戦車の荷台の方へと回り込んでいきます。
そこで私は荷台に転がっている目当てのモノを掴み、力一杯引っ張りだします。
「ぐぇっ」
モノが首がしまったような声を出しが私は気にせず力を込めていきます。
「ゼィハ、気絶している場合ではありませんよ。さっさとあなたの人工古代魔導具の力を使ってください。あれならすぐに家くらい建てれるでしょ?」
「え、なに? ここは誰? あたしはどこ?」
地面に放り出され転がったモノであるゼィハは目を回しキョロキョロと周りを見渡しながら意味のわからないことをぼやいています。
とりあえず叩いたら治るでしょうか?
私は拳を作りながらそんなことを考えるのでした。
空が明るくなりかけている中、私の周りには燻ったような火があり、時折、炭化した建物が音を立て崩れています。
「いい仕事をしました」
『いや、やりすぎだから……』
炭化した建物というのは当然ながらダークエルフの里であり、人的被害は奇跡的にゼロでしょう。まぁ、怪我人くらいはいるかもしれませんが人死にはでていませんからね。
ダークエルフ達が憎々しげに私を睨みつけながら里の中央である広場に集められています。しかし、瞳に浮かんでいるのは憎悪というより恐怖の色のほうが強いようです。これで一人でも人が死んでいたら憎悪のほうに寄っていたでしょうが。
「…… それでエルフが我らが里に何の用だ」
「あ、ようやく話をしてくれる気になりましたか?」
今まで頑なに話をする姿勢を見せていなかった一人毛色の違う服を着たダークエルフが話しかけてきてくれます。おそらくは彼がこの里の長にあたるんでしょう。
「しかし、よく考えたら私ここに何しに来たんですかね?」
「「ふざけてんのか⁉︎」」
首を傾げながら今更ながらに気づいたことを言うと殺気立った言葉をダークエルフ達から投げかけられました。
そんなみんなして怒らなくてもいいと思うんですが……
ただ、ほら。私は新しく手に入れた物で遊びたかっただけなんですよ。雷纏う戦車はなかなかにいい物でした。
「しいていうなら観光なんですが……」
周りを見渡すも目に映るのは煙が上がっている元建物の残骸ばかり。特に目を引くようなものはありません。
「……特に何もありませんね」
「「お前が潰したからだろうが!」」
またも怒鳴られます。
なんなんでしょう。知識の一族とか言われている割には凄い怒りっぽいんですけど。
『いきなりやってきて住処燃やされたら誰でもそうなるんじゃない?』
そういうものですかね?
改めてダークエルフの立場を自分に置き換えて考えてみます。いきなり現れたダークエルフに家を焼かれる私。
………… うん、ダークエルフの滅亡の未来しか思いつきませんね。むしろ殺る未来しかありません。譲歩はないです。
「しかし、精霊を連れているエルフがここまで戦闘狂いとは」
「あの精霊も闇精霊なのでは?」
『ちょ! リリカのせいでわたしも闇精霊扱いにされてる⁉︎』
ダークエルフ達がヒソヒソと話す声に反応したくーちゃんが瞳に涙を浮かべながら私に抗議をしてきます。
いやぁ、くーちゃん。あなたも大分無垢な精霊から染まってきたと思うんですがね。意外とこういうのは本人には自覚がないのかもしれませんが。
「そんなことより」
『ちょっと! そんなことってなに! かなり大事だよ!』
ギャーギャーと耳元で叫び回るくーちゃんを手で押しのけながら私は長老っぽい人へと視線を向けます。
「では少しばかりの知識をいただきたいですね。ちゃんと対価は払いますよ。こんな感じで」
言い終わると私はぽちを抜き放ち、瞬時に魔ノ華へと姿を変えると更に鋼糸状へと変化させると集落を取り囲むかならの樹齢の木へと振るいます。振るわれた鋼糸は大樹を瞬く間に切り裂いていきます。ゆっくりと倒れる大樹に向かい私は更に魔ノ華を振るい、大樹を木材へと変えていきます。
倒れ行く大樹は木材へと変えられ綺麗に整頓された状態で地面に落下していき、余すことなく家を作るための材料へと変わりました。
「これでどうです? エルフやダークエルフは森の民ですから材料さえあれば問題ないでしょう?」
「魔剣をそこまで使いこなすとは…… よかろう。交渉に応じよう。ただし、ある程度住む家ができてからだ」
「それでかまいませんよ」
にっこりと私は笑い了承します。
『なんでそんなに簡単に了承するの?』
「ん? ああ、こちらからも労働力を提供しようかと思いましてね」
訝しげな顔でくーちゃんが私を見てきます。まるで、私が悪いことを企んでいるような目で見てきていますがそんなことはありません。
業者台から飛び降り、魔ノ華を鞘へとしまい鼻歌を歌いながら私は雷纏う戦車の荷台の方へと回り込んでいきます。
そこで私は荷台に転がっている目当てのモノを掴み、力一杯引っ張りだします。
「ぐぇっ」
モノが首がしまったような声を出しが私は気にせず力を込めていきます。
「ゼィハ、気絶している場合ではありませんよ。さっさとあなたの人工古代魔導具の力を使ってください。あれならすぐに家くらい建てれるでしょ?」
「え、なに? ここは誰? あたしはどこ?」
地面に放り出され転がったモノであるゼィハは目を回しキョロキョロと周りを見渡しながら意味のわからないことをぼやいています。
とりあえず叩いたら治るでしょうか?
私は拳を作りながらそんなことを考えるのでした。
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