エルフさんが通ります
大精霊には変なのしかいないんですか?
『やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! いたぁぁぁぁぁぁぁぁい!』
吹き抜けとなった宿の上から甲高い声、というか悲鳴が落ちてきます。
その声は聞いている限り徐々に大きくなっていることからその音の発生源は近づいてきているのでしょう。
頭上に作り上げた大きな穴を見上げると黒い点が眼に入り、時間がたつと共に大きくなり私の頭上に影を落とし始めました。
『くるよ』
『くるくる』
『すごいはやさでくるよー』
精霊たちが慌てたように周囲を飛び回ります。その姿は幻想的ではありますがどこか焦っているように見えます。
それは私に落ちる影が多きくなるほどによくわかるものでした。
「なにがくるんです?」
疑問に思ったゼィハが精霊たちに尋ねます。私も精霊たちの方へと向き直ると精霊たちは慌てながらも大きな声で言いました。
『だいせいれいさまがおちてくるよ』
「「はっ?」」
二人同時に間抜けな声が出ました。いや、だしたのはきっとゼィハだけのはずです。私は出してません多分。
そんなふうに現実逃避をしていると背後で何か大きなものが叩き付けられる様な轟音が響き、更には大樹を揺らします。
「おぉ!?」
思ったよりも大きな揺れが起こったことにより姿勢を崩しかけた私はたたらを踏むハメとなります。ゼィハのほうを見ると同じように倒れそうになりながらもなんとか立っていました。
『わきゃー』
『きゃー』
悲鳴と言う割には楽しそうな声を上げながら生じた風に吹き飛ばされるようにして精霊たちは姿を開いた穴から外へと飛ばされていきました。そんな精霊たちに手を振っていると後ろから獣と間違えそうなほどに低い唸り声のようなうめき声が聞こえてきました。
『あぁぁぁぁぁぁぁ、背中うったぁぁぁぁぁぁ!』
声を荒げながらゴロゴロと転がりまわる、先程の精霊たちの話からしたら大精霊らしきもののようですが、はっきりいって見苦しい物この上ないものでした。
「てぃ」
あまりに転がりまわるものでしたからこちら側に転がってきたタイミングで蹴りを腹に叩き込みます。
『ふぐぅ!』
腹にめりこんだせいで体をくの字に曲げ、くぐもった声を上げる大精霊。それ跨ぐようにして顔を覗きこむと何が起きたのかわからないといった様子で眼を白黒さしていました。
「いつまでもそこに転がっていては迷惑なんですが」
『あ、その、すいません!』
「別に謝って欲しいわけじゃないんですよ? とりあえず邪魔なんです」
『わ、わっかりましたぁ!』
何故か怯えたように碧の瞳に涙を浮べながら大精霊は立ち上がると直立不動の姿勢をとります。なんで自分より身長の低い子供に怯えているんでしょうか?
「で、あなた大精霊なんです?」
『え、ぼくのことしらないんですか?』
大精霊=みんなが知ってると言う認識ですか。キョトンとした表情は確かに愛らしいものではありますが私は特に何も感じませんね。
『ぼくは鋼の大精霊メルルっていうんだよ』
知らない? と言わんばかりに私の顔を覗きこんできますが知らないものは知らないんですよね。しかし、鋼ときましたか、大精霊って属性でなりたっているかと思っていましたが違うようです。今まで見た大精霊が炎の大精霊イフリュートとくーちゃんから聞いた風の大精霊セフィリアの情報しかありませんからね。
「知りません」
「あたしも知りません」
『ハガネの大精霊なんて初めて聞いたよ?』
『うう、やっぱり新参者の大精霊は知名度が低いんだよぅ』
私、ゼィハ、くーちゃん三人それぞれにきっぱりと知らない宣言をされると嘆くように自嘲気味に笑います。
「大精霊も世知辛そうですね~」
というか知名度って言われても私は他の大精霊の名前も知らないですからね。
『でもでも! 大精霊として至らないぼくでありますが毎日がんばってます!』
よくわかりませんが握り拳を作り気合を入れているようです。
ふむ、なんとなくアホな子の感じがしますが同じようなアホな子のイフリュートよりもなんだか好感が持てます。
「で、大精霊がこんなとこで何をしてるんです?」
『そうなんですよ! ここは水の都なんで水の大精霊であるアクリア様がいらっしゃるはずなんですが姿がお見えにならないのでお待ちしていたところなんですが、いきなり下から魔力の塊を叩き込まれたものでして』
「あー」
『ちゃんとアクリア様がいない間は精霊たちと対話したり精霊の挌をあげたりと大精霊としての仕事をきっちりとしていたんですが、突然のことに驚きました』
この様子では誰が攻撃をしたかまではわかっていないようです。事故とはいえ大精霊に攻撃してしまったことは触れずに隠しておくことにしましょう。
『ところで、そちらに倒れているのはこちらの宿の店員さんだったと思うだけど?』
『「「あ」」』
鋼の大精霊メルルが指差したのは白目を向きながら泡を吹き倒れているニナの姿があったのでした。
吹き抜けとなった宿の上から甲高い声、というか悲鳴が落ちてきます。
その声は聞いている限り徐々に大きくなっていることからその音の発生源は近づいてきているのでしょう。
頭上に作り上げた大きな穴を見上げると黒い点が眼に入り、時間がたつと共に大きくなり私の頭上に影を落とし始めました。
『くるよ』
『くるくる』
『すごいはやさでくるよー』
精霊たちが慌てたように周囲を飛び回ります。その姿は幻想的ではありますがどこか焦っているように見えます。
それは私に落ちる影が多きくなるほどによくわかるものでした。
「なにがくるんです?」
疑問に思ったゼィハが精霊たちに尋ねます。私も精霊たちの方へと向き直ると精霊たちは慌てながらも大きな声で言いました。
『だいせいれいさまがおちてくるよ』
「「はっ?」」
二人同時に間抜けな声が出ました。いや、だしたのはきっとゼィハだけのはずです。私は出してません多分。
そんなふうに現実逃避をしていると背後で何か大きなものが叩き付けられる様な轟音が響き、更には大樹を揺らします。
「おぉ!?」
思ったよりも大きな揺れが起こったことにより姿勢を崩しかけた私はたたらを踏むハメとなります。ゼィハのほうを見ると同じように倒れそうになりながらもなんとか立っていました。
『わきゃー』
『きゃー』
悲鳴と言う割には楽しそうな声を上げながら生じた風に吹き飛ばされるようにして精霊たちは姿を開いた穴から外へと飛ばされていきました。そんな精霊たちに手を振っていると後ろから獣と間違えそうなほどに低い唸り声のようなうめき声が聞こえてきました。
『あぁぁぁぁぁぁぁ、背中うったぁぁぁぁぁぁ!』
声を荒げながらゴロゴロと転がりまわる、先程の精霊たちの話からしたら大精霊らしきもののようですが、はっきりいって見苦しい物この上ないものでした。
「てぃ」
あまりに転がりまわるものでしたからこちら側に転がってきたタイミングで蹴りを腹に叩き込みます。
『ふぐぅ!』
腹にめりこんだせいで体をくの字に曲げ、くぐもった声を上げる大精霊。それ跨ぐようにして顔を覗きこむと何が起きたのかわからないといった様子で眼を白黒さしていました。
「いつまでもそこに転がっていては迷惑なんですが」
『あ、その、すいません!』
「別に謝って欲しいわけじゃないんですよ? とりあえず邪魔なんです」
『わ、わっかりましたぁ!』
何故か怯えたように碧の瞳に涙を浮べながら大精霊は立ち上がると直立不動の姿勢をとります。なんで自分より身長の低い子供に怯えているんでしょうか?
「で、あなた大精霊なんです?」
『え、ぼくのことしらないんですか?』
大精霊=みんなが知ってると言う認識ですか。キョトンとした表情は確かに愛らしいものではありますが私は特に何も感じませんね。
『ぼくは鋼の大精霊メルルっていうんだよ』
知らない? と言わんばかりに私の顔を覗きこんできますが知らないものは知らないんですよね。しかし、鋼ときましたか、大精霊って属性でなりたっているかと思っていましたが違うようです。今まで見た大精霊が炎の大精霊イフリュートとくーちゃんから聞いた風の大精霊セフィリアの情報しかありませんからね。
「知りません」
「あたしも知りません」
『ハガネの大精霊なんて初めて聞いたよ?』
『うう、やっぱり新参者の大精霊は知名度が低いんだよぅ』
私、ゼィハ、くーちゃん三人それぞれにきっぱりと知らない宣言をされると嘆くように自嘲気味に笑います。
「大精霊も世知辛そうですね~」
というか知名度って言われても私は他の大精霊の名前も知らないですからね。
『でもでも! 大精霊として至らないぼくでありますが毎日がんばってます!』
よくわかりませんが握り拳を作り気合を入れているようです。
ふむ、なんとなくアホな子の感じがしますが同じようなアホな子のイフリュートよりもなんだか好感が持てます。
「で、大精霊がこんなとこで何をしてるんです?」
『そうなんですよ! ここは水の都なんで水の大精霊であるアクリア様がいらっしゃるはずなんですが姿がお見えにならないのでお待ちしていたところなんですが、いきなり下から魔力の塊を叩き込まれたものでして』
「あー」
『ちゃんとアクリア様がいない間は精霊たちと対話したり精霊の挌をあげたりと大精霊としての仕事をきっちりとしていたんですが、突然のことに驚きました』
この様子では誰が攻撃をしたかまではわかっていないようです。事故とはいえ大精霊に攻撃してしまったことは触れずに隠しておくことにしましょう。
『ところで、そちらに倒れているのはこちらの宿の店員さんだったと思うだけど?』
『「「あ」」』
鋼の大精霊メルルが指差したのは白目を向きながら泡を吹き倒れているニナの姿があったのでした。
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