エルフさんが通ります
バラバラになってください
「何する気だ?」
聖剣を構えながらカズヤが問いをしてきます。そんなカズヤを無視し、私も魔ノ華をカズヤへと向けます。
「ダンスの最後としましょう。首が跳ねたら運がなかったと思ってくださいね」
「笑顔でとんでもないことを言いやがるな」
『リリカ大丈夫なの?』
「ええ、大丈夫です」
魔力がまだ残っている感じはしますが先程のような高揚感は少し減りました。ですがやめる気はありませんがね。
「カズヤ」
「なんだよ」
「死なないでくださいね?」
「は?」
おそらく疑問の声を出したのは彼我の距離のせいでしょう。剣で戦うには遠く、距離を詰めるには一息の間がかかる微妙な長さ。だから私が剣を振るわないと考えているのかもしれません。実際には魔ノ華を伸ばし刺突を放てるのですが今回はそんなことをする気はありません。故に私はただ、魔ノ華を下から上へとただ振り上げる。
そしてその直後にカズヤの横の建物が削れるようにして倒壊します。
「な!」
驚く声を上げるカズヤを放ったまま建物は瓦礫へと変わり音を立てながら周囲に砂埃を撒き散らす。
「ズレましたね」
『リリカなにやったの⁉︎』
くーちゃんが興奮したかのように周囲を飛び回ります。そんなくーちゃんを押しのけ今度は横に魔ノ華を振るいます。
直感というのが働いたのかカズヤが慌て、地面に這いつくばるような姿勢をとります。
『なにやってんの?』
くーちゃんの疑問の答えは私の口からではなく周囲の建物が破壊という音を持って応えてくれました。私の振るった軌跡をなぞるかのようにして再び削れれたような痕を残し破壊されていきます。
「やはり練習が必要ですね」
ため息をつくと私は手にある魔ノ華へ視線をやります。そこにあるのは刀身が消失し、柄だけとなった魔ノ華でした。
『あれ?刃は?』
「ありますよ」
刀身が消失したわけではなく見えなくなるほどに細くなっただけなんですよ。その証拠に柄を持ち上げ刀身が下に来るようにするとキラキラと光ります。極最小の糸のようになった魔ノ華は一本ではなく複数の意図によって構成された鋼糸と呼ばれるものに変わったわけです。言わば鞭の上位互換なわけですが非常に使いにくいんですよね。
以前、魔ノ華が弓の形が取れると知った時から考えていんですよね。もし形状を自在に変えることができるのであれば、と。
ただし、弓へと形を変えた時とは違い魔力の減りが凄まじいことになっています。
「名前をつけるならば魔鋼糸というところでしょうか」
魔ノ華改めて振るえば破壊が伴うわけですがなかなか標的が小さいのか当たりません。私の魔力を吸い射程という制限から解き放たれた鋼糸が勇者を襲います。が、標的たるカズヤが躱すたびに周囲の建物が削れ、切り裂かれていきます。
「勇者さーん。あなたが避けると街が壊れていきますけどー」
私は魔ノ華を操る手を止めることなく勇者へと語りかけます。必死に逃げているカズヤは大量の汗をかきながら走り回る中、私の方を睨みつけるように見てきます。
「だったらこのわけのわからない攻撃をやめろ! なんとなく直感で避けてるけどなにかわからん!」
感覚で避けれるようなものでは無いんですがね。これが勇者の能力といったところでしょうか。
しかし、カズヤをいたぶって遊ぶのもそろそろやめにしないと私の中に溢れんばかりにあった魔力が凄まじい勢いで減っていってます。
「さくっとミンチ肉にしてあげます」
魔ノ華を振るい、さらには鋼糸が飛ぶ最中にさらに振るうことで鋼糸が複雑な動きを見せカズヤにかすり始めます。
「今度は避けれませんよ!」
魔ノ華を大きく振り上げ、すべての鋼糸を頭上に集め扇状に広げます。
「以前は魔ノ華を壁状にして倒して潰したことがありますが今度は糸です」
全てを切り裂く鋼糸を今注げる全魔力を注ぎ込み切断する。それが最良と判断しました。
「バラバラになってください」
叫び一気に全力の力で振り下ろします。鋼糸は唸りを上げ、勢いよく私の魔力を吸い、さらに血を求めるのようにして周辺を断ち切るための力を解放していきます。
「こうなったらその糸ごとぶった切ってやるよ!」
開き直ったかのように襲いかかってくる魔ノ華の攻撃を睨みつけるようにしながら聖剣を構え、さらにそこに魔力を注ぎ込んでいくのがわかります。それに応えるかのように聖剣が白く眩く輝いていきます。
「消し飛ばせ! 勇者ビィィィィィム!」
叫びが力となり聖剣から光の閃光が放たれます。それは障害となっていた建物を容易く消し飛ばすと私の放った魔鋼糸に直撃。容易く消しとばします。しかし、それは魔ノ華の刃の一部でしかありません。消し飛ばされなかった魔鋼糸は未だ健在であり、それらは建物をあっさりと切断し大地に幾つもの亀裂を残していきます。
「うらぁ!」
大地にぶつかり振動が柄に伝わった瞬間、魔ノ華を今度はカズヤへ向け横薙ぎに払います。カズヤより横にあった魔鋼糸が獲物に群がるかのようにしてカズヤへ襲いかかります。
しかし、それは未だに勇者ビィィィィィムとやらを放っている聖剣に蹂躙される羽目となります。光の閃光を放ちながら聖剣を振り回すものですからこちらも冷や汗を流しながらこちらに迫る光の奔流を躱す羽目となりました。
「これで終わりです!」
聖剣からの光が小さくなったのを確認した私は最後の勝負をかけるべく動きます。
消し飛ばされても未だに魔鋼糸は健在。宙に舞う魔鋼糸と魔ノ華につながっている魔鋼糸に残りの魔力を全て注ぎ込み黒く輝く剣先と呼んでいいものかわからないですがその全部をカズヤへ照準を定めます。
「今度こそ消し飛べ! リリカビィィィィィム(小)! 乱れ撃ち!」
瞬間、今度は黒い光が弾けます。ただし勇者のように一つではなく魔鋼糸の一つ一つから幾つもの黒い閃光が放たれます。
「数、多⁉︎」
カズヤの視界いっぱいにおそらくは黒い光が広がっていることでしょう。まぁ、容赦なんてしないわけなんですが。爆音が幾度も鳴りその度にカズヤの身が宙を舞いますがそれでも魔鋼糸はリリカビィィィィィム(小)は魔ノ華に魔力が残っている限り放ち続け文字通り破壊の雨を降らし続けるのでした。
聖剣を構えながらカズヤが問いをしてきます。そんなカズヤを無視し、私も魔ノ華をカズヤへと向けます。
「ダンスの最後としましょう。首が跳ねたら運がなかったと思ってくださいね」
「笑顔でとんでもないことを言いやがるな」
『リリカ大丈夫なの?』
「ええ、大丈夫です」
魔力がまだ残っている感じはしますが先程のような高揚感は少し減りました。ですがやめる気はありませんがね。
「カズヤ」
「なんだよ」
「死なないでくださいね?」
「は?」
おそらく疑問の声を出したのは彼我の距離のせいでしょう。剣で戦うには遠く、距離を詰めるには一息の間がかかる微妙な長さ。だから私が剣を振るわないと考えているのかもしれません。実際には魔ノ華を伸ばし刺突を放てるのですが今回はそんなことをする気はありません。故に私はただ、魔ノ華を下から上へとただ振り上げる。
そしてその直後にカズヤの横の建物が削れるようにして倒壊します。
「な!」
驚く声を上げるカズヤを放ったまま建物は瓦礫へと変わり音を立てながら周囲に砂埃を撒き散らす。
「ズレましたね」
『リリカなにやったの⁉︎』
くーちゃんが興奮したかのように周囲を飛び回ります。そんなくーちゃんを押しのけ今度は横に魔ノ華を振るいます。
直感というのが働いたのかカズヤが慌て、地面に這いつくばるような姿勢をとります。
『なにやってんの?』
くーちゃんの疑問の答えは私の口からではなく周囲の建物が破壊という音を持って応えてくれました。私の振るった軌跡をなぞるかのようにして再び削れれたような痕を残し破壊されていきます。
「やはり練習が必要ですね」
ため息をつくと私は手にある魔ノ華へ視線をやります。そこにあるのは刀身が消失し、柄だけとなった魔ノ華でした。
『あれ?刃は?』
「ありますよ」
刀身が消失したわけではなく見えなくなるほどに細くなっただけなんですよ。その証拠に柄を持ち上げ刀身が下に来るようにするとキラキラと光ります。極最小の糸のようになった魔ノ華は一本ではなく複数の意図によって構成された鋼糸と呼ばれるものに変わったわけです。言わば鞭の上位互換なわけですが非常に使いにくいんですよね。
以前、魔ノ華が弓の形が取れると知った時から考えていんですよね。もし形状を自在に変えることができるのであれば、と。
ただし、弓へと形を変えた時とは違い魔力の減りが凄まじいことになっています。
「名前をつけるならば魔鋼糸というところでしょうか」
魔ノ華改めて振るえば破壊が伴うわけですがなかなか標的が小さいのか当たりません。私の魔力を吸い射程という制限から解き放たれた鋼糸が勇者を襲います。が、標的たるカズヤが躱すたびに周囲の建物が削れ、切り裂かれていきます。
「勇者さーん。あなたが避けると街が壊れていきますけどー」
私は魔ノ華を操る手を止めることなく勇者へと語りかけます。必死に逃げているカズヤは大量の汗をかきながら走り回る中、私の方を睨みつけるように見てきます。
「だったらこのわけのわからない攻撃をやめろ! なんとなく直感で避けてるけどなにかわからん!」
感覚で避けれるようなものでは無いんですがね。これが勇者の能力といったところでしょうか。
しかし、カズヤをいたぶって遊ぶのもそろそろやめにしないと私の中に溢れんばかりにあった魔力が凄まじい勢いで減っていってます。
「さくっとミンチ肉にしてあげます」
魔ノ華を振るい、さらには鋼糸が飛ぶ最中にさらに振るうことで鋼糸が複雑な動きを見せカズヤにかすり始めます。
「今度は避けれませんよ!」
魔ノ華を大きく振り上げ、すべての鋼糸を頭上に集め扇状に広げます。
「以前は魔ノ華を壁状にして倒して潰したことがありますが今度は糸です」
全てを切り裂く鋼糸を今注げる全魔力を注ぎ込み切断する。それが最良と判断しました。
「バラバラになってください」
叫び一気に全力の力で振り下ろします。鋼糸は唸りを上げ、勢いよく私の魔力を吸い、さらに血を求めるのようにして周辺を断ち切るための力を解放していきます。
「こうなったらその糸ごとぶった切ってやるよ!」
開き直ったかのように襲いかかってくる魔ノ華の攻撃を睨みつけるようにしながら聖剣を構え、さらにそこに魔力を注ぎ込んでいくのがわかります。それに応えるかのように聖剣が白く眩く輝いていきます。
「消し飛ばせ! 勇者ビィィィィィム!」
叫びが力となり聖剣から光の閃光が放たれます。それは障害となっていた建物を容易く消し飛ばすと私の放った魔鋼糸に直撃。容易く消しとばします。しかし、それは魔ノ華の刃の一部でしかありません。消し飛ばされなかった魔鋼糸は未だ健在であり、それらは建物をあっさりと切断し大地に幾つもの亀裂を残していきます。
「うらぁ!」
大地にぶつかり振動が柄に伝わった瞬間、魔ノ華を今度はカズヤへ向け横薙ぎに払います。カズヤより横にあった魔鋼糸が獲物に群がるかのようにしてカズヤへ襲いかかります。
しかし、それは未だに勇者ビィィィィィムとやらを放っている聖剣に蹂躙される羽目となります。光の閃光を放ちながら聖剣を振り回すものですからこちらも冷や汗を流しながらこちらに迫る光の奔流を躱す羽目となりました。
「これで終わりです!」
聖剣からの光が小さくなったのを確認した私は最後の勝負をかけるべく動きます。
消し飛ばされても未だに魔鋼糸は健在。宙に舞う魔鋼糸と魔ノ華につながっている魔鋼糸に残りの魔力を全て注ぎ込み黒く輝く剣先と呼んでいいものかわからないですがその全部をカズヤへ照準を定めます。
「今度こそ消し飛べ! リリカビィィィィィム(小)! 乱れ撃ち!」
瞬間、今度は黒い光が弾けます。ただし勇者のように一つではなく魔鋼糸の一つ一つから幾つもの黒い閃光が放たれます。
「数、多⁉︎」
カズヤの視界いっぱいにおそらくは黒い光が広がっていることでしょう。まぁ、容赦なんてしないわけなんですが。爆音が幾度も鳴りその度にカズヤの身が宙を舞いますがそれでも魔鋼糸はリリカビィィィィィム(小)は魔ノ華に魔力が残っている限り放ち続け文字通り破壊の雨を降らし続けるのでした。
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