エルフさんが通ります
力こそパワーなんですね
体の傷は治りましたが魔力まで回復したわけではありません。普通なら魔力がない状態での戦闘行為などは無謀としか言いようがないでしょう。そう、普通なら。
「魔華解放」
脈打つように魔ノ華が胎動。それを確認し私は魔ノ華の刀身を返し自分へ刃が向くように持ち替えます。
これからやることを考え少しだけ冷や汗を感じながらも覚悟を決めて魔ノ華の刃を私の体に突き刺します。
『リリカ⁉︎』
「大丈夫です」
確かに焦りますよね。自分で刃を自分にさしたんですから。ですがこれが魔ノ華の新たな能力。
魔華解放。
魔ノ華が喰らった魔の欠片を自身の体の中に取り込むことで強制的に力を得るという能力です。
あの子供、アルガンテロアが言う資格とはおそらくは魔の欠片を保有しているかどうかだったのでしょう。
突き刺していた魔ノ華を引き抜くと自身の体に魔力と力が満ちていくことがよくわかります。そして魔ノ華を刺した場所を中心に私の白い肌が褐色へと変わっていきます。やがて全身の肌が褐色へと変わり終えると私自身の体がかなり変わっているのがより実感できます。
「力が上がってますね」
外見は変わっていないと言ってもは肌の色が変わっただけにも関わらずおそらくは膂力と体に満ちる魔力が凄まじく上がっています。おかけで悪食を使っている時に出ている魔力の羽が自然に背中に現れ、轟々と音を立てながら動いています。さらに比較するなら以前なら強化魔法を使って行っていたことが今の身体能力ならば魔法なしでできるでしょう。
「まずは試しますか」
魔力が回復しつつあるといっても未だ不十分。だったら力だけで戦うまでです。
判断し、決断。
今までなら跳躍時も軽く魔力で強化していたのですが今回は肉体の力のみで跳びます。強化魔法を使っていた時と変わらない跳躍を見せた肉体に私自身が驚きながらぶつかり合う化け物二体に肉薄します。
「一回死ね」
「「なに?」」
笑顔を浮かべながらただただなんの技を使うわけでもなく力任せに魔ノ華を振るいます。もともと大した技術なんて持ってあるわけでないんですからね。
唸り風を抉りながら魔ノ華は弧を描きます。漆黒の刃が聖剣を、ヴィツーの腕を捉えそれらを操る化け物二人をただただ純粋な力のみで吹き飛ばします。なんの抵抗もなく振り抜かれた魔ノ華は二人を平等にふきとばし、建物を幾重にも破壊しながら勢いよく飛んでいきます。
「なるほど、力の強い奴が力のみで戦う理由がわかりますね」
力があると確かに小手先の技術に頼るのがバカらしくなるというのがよくわかります。ただ振るっただけであれですし。
「エルフがぁ! 邪魔をするな!」
瓦礫を吹き飛ばし腕を振り回しながら私に向かってくるヴィツーに私は冷めた目を向けます。先ほどまではかなり恐ろしい拳でしたがね。
迫る拳を片手で受け止めます。軽く手が震え、周りは衝撃を受けたかのように瓦礫を吹き飛ばし足が地面にわずかに沈みますが受け止めた私は何も問題はありません。
反対の手に握る魔ノ華を振り上げ降ろす。それだけの動作で先程まで斬ることすら難しかったヴィツーの腕をあっさりと切断します。ヴィツーの顔には驚き、同時に怖気付いたように後ろ下がります。それを私は笑みを浮かべながら追撃、力任せに魔ノ華を振り回し、その度にヴィツーの体の一部が弾け飛んでいきます。
「ああ、そういえば勇者がこんな技使ってましたね」
恐怖に歪んだ表情を浮かべたヴィツーの反撃を遊び半分で捌きながら私は魔ノ華の切っ先をヴィツーへと向けます。刀身を伸ばすと判断したのかヴィツーは回避をするべく体を動かします。
私の意図を理解したのか魔ノ華が切っ先にどす黒い魔力を収束さし始めます。
さて、あとはカッコよく技名を叫ぶだけですが…… どうしましょうかね。向こうが勇者だから勇者ビームなわけですし、そうなるとエルフビーム? んーそれはナンセンスですね。エルフ、ビームとやら撃てませんし。となると私の名前ですかね
暫くの逡巡の後に私は目標に対して再び照準を合わせ、
「リリカビーム!
私の掛け声と共に魔力が螺旋を描きながら切っ先から放たれます。
それは先程まで勇者が何度も放っていたそれであり、真逆に位置するようなものでした。勇者が白く輝く魔力の奔流であるのに対して私の放ったものは暗い黒。聖剣と魔剣の 構図を表すような全く正反対のものでした。
刀身が伸びるよりも速く迫る魔力の塊は回避行動を取っていたヴィツーの体の一部を容易くさしたる抵抗もなく吹き飛ばします。
「なぁぁぁぁぁに⁉︎」
「あ、まだ終わってませんよ?」
確かにヴィツーの体をリリカビームが貫きましたがまだ黒の奔流は放たれ続けているんですから。
私は魔ノ華の柄を横に振ります。当然放たれていたリリカビームは角度を変え、まだ無事であったヴィツーの体を飲み込み始めます。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「耳障りですね」
さらに角度を調節し声が出る喉を吹き飛ばします。すでに死に体となっているヴィツーですが再生が始まりません。勇者との戦いで再生しすぎたんですかね?
「こんなものですかね」
支えがなくなったかのように下半身だけになったヴィツーは音を立てて倒れます。あれだけてこずらせていた奴がこの有様とは。力とは凄いものですね。
「力こそパワーなんですね」
『それ同じだよね?』
なんにせよいいものを手に入れました。未だに黒々とした魔力を過剰に発する魔ノ華を私は嬉しげなは見ながら鞘へと収めるのでした。
「魔華解放」
脈打つように魔ノ華が胎動。それを確認し私は魔ノ華の刀身を返し自分へ刃が向くように持ち替えます。
これからやることを考え少しだけ冷や汗を感じながらも覚悟を決めて魔ノ華の刃を私の体に突き刺します。
『リリカ⁉︎』
「大丈夫です」
確かに焦りますよね。自分で刃を自分にさしたんですから。ですがこれが魔ノ華の新たな能力。
魔華解放。
魔ノ華が喰らった魔の欠片を自身の体の中に取り込むことで強制的に力を得るという能力です。
あの子供、アルガンテロアが言う資格とはおそらくは魔の欠片を保有しているかどうかだったのでしょう。
突き刺していた魔ノ華を引き抜くと自身の体に魔力と力が満ちていくことがよくわかります。そして魔ノ華を刺した場所を中心に私の白い肌が褐色へと変わっていきます。やがて全身の肌が褐色へと変わり終えると私自身の体がかなり変わっているのがより実感できます。
「力が上がってますね」
外見は変わっていないと言ってもは肌の色が変わっただけにも関わらずおそらくは膂力と体に満ちる魔力が凄まじく上がっています。おかけで悪食を使っている時に出ている魔力の羽が自然に背中に現れ、轟々と音を立てながら動いています。さらに比較するなら以前なら強化魔法を使って行っていたことが今の身体能力ならば魔法なしでできるでしょう。
「まずは試しますか」
魔力が回復しつつあるといっても未だ不十分。だったら力だけで戦うまでです。
判断し、決断。
今までなら跳躍時も軽く魔力で強化していたのですが今回は肉体の力のみで跳びます。強化魔法を使っていた時と変わらない跳躍を見せた肉体に私自身が驚きながらぶつかり合う化け物二体に肉薄します。
「一回死ね」
「「なに?」」
笑顔を浮かべながらただただなんの技を使うわけでもなく力任せに魔ノ華を振るいます。もともと大した技術なんて持ってあるわけでないんですからね。
唸り風を抉りながら魔ノ華は弧を描きます。漆黒の刃が聖剣を、ヴィツーの腕を捉えそれらを操る化け物二人をただただ純粋な力のみで吹き飛ばします。なんの抵抗もなく振り抜かれた魔ノ華は二人を平等にふきとばし、建物を幾重にも破壊しながら勢いよく飛んでいきます。
「なるほど、力の強い奴が力のみで戦う理由がわかりますね」
力があると確かに小手先の技術に頼るのがバカらしくなるというのがよくわかります。ただ振るっただけであれですし。
「エルフがぁ! 邪魔をするな!」
瓦礫を吹き飛ばし腕を振り回しながら私に向かってくるヴィツーに私は冷めた目を向けます。先ほどまではかなり恐ろしい拳でしたがね。
迫る拳を片手で受け止めます。軽く手が震え、周りは衝撃を受けたかのように瓦礫を吹き飛ばし足が地面にわずかに沈みますが受け止めた私は何も問題はありません。
反対の手に握る魔ノ華を振り上げ降ろす。それだけの動作で先程まで斬ることすら難しかったヴィツーの腕をあっさりと切断します。ヴィツーの顔には驚き、同時に怖気付いたように後ろ下がります。それを私は笑みを浮かべながら追撃、力任せに魔ノ華を振り回し、その度にヴィツーの体の一部が弾け飛んでいきます。
「ああ、そういえば勇者がこんな技使ってましたね」
恐怖に歪んだ表情を浮かべたヴィツーの反撃を遊び半分で捌きながら私は魔ノ華の切っ先をヴィツーへと向けます。刀身を伸ばすと判断したのかヴィツーは回避をするべく体を動かします。
私の意図を理解したのか魔ノ華が切っ先にどす黒い魔力を収束さし始めます。
さて、あとはカッコよく技名を叫ぶだけですが…… どうしましょうかね。向こうが勇者だから勇者ビームなわけですし、そうなるとエルフビーム? んーそれはナンセンスですね。エルフ、ビームとやら撃てませんし。となると私の名前ですかね
暫くの逡巡の後に私は目標に対して再び照準を合わせ、
「リリカビーム!
私の掛け声と共に魔力が螺旋を描きながら切っ先から放たれます。
それは先程まで勇者が何度も放っていたそれであり、真逆に位置するようなものでした。勇者が白く輝く魔力の奔流であるのに対して私の放ったものは暗い黒。聖剣と魔剣の 構図を表すような全く正反対のものでした。
刀身が伸びるよりも速く迫る魔力の塊は回避行動を取っていたヴィツーの体の一部を容易くさしたる抵抗もなく吹き飛ばします。
「なぁぁぁぁぁに⁉︎」
「あ、まだ終わってませんよ?」
確かにヴィツーの体をリリカビームが貫きましたがまだ黒の奔流は放たれ続けているんですから。
私は魔ノ華の柄を横に振ります。当然放たれていたリリカビームは角度を変え、まだ無事であったヴィツーの体を飲み込み始めます。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
「耳障りですね」
さらに角度を調節し声が出る喉を吹き飛ばします。すでに死に体となっているヴィツーですが再生が始まりません。勇者との戦いで再生しすぎたんですかね?
「こんなものですかね」
支えがなくなったかのように下半身だけになったヴィツーは音を立てて倒れます。あれだけてこずらせていた奴がこの有様とは。力とは凄いものですね。
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コメント
くあ
褐色になった、、ちょっとショック