エルフさんが通ります
ゼィハの言葉を借りるなら
腕が六本となったヴィツーと対峙する私ですがあの腕非常に気持ち悪いです。やたらと筋肉らしきものがピクピクと動くのはすでに不快感を通り越し吐き気すら覚える代物です。
「魔法、ではないですよね」
「当然だ、これは全て俺の腕だ」
六本の丸太のような腕が全てで腕を組むという光景は圧巻としかいいようがありません。というか気持ち悪いです。
「となるとあなたは人間ではないんですか?」
「貴様も人間ではないだろう? 亜人」
「里ではその表現は差別だと習いましたが? となると魔族ですか?」
魔族。
それは知恵を手に入れた魔物だという話を聞いたことがあります。魔物特有の強暴性に知恵、知識などを手に入れた者のことをそう呼ぶらしいです。そして人間でも魔族でもない人型の生き物を差別用語として亜人と呼ぶこともあるそうです。他にはドワーフやマーメイドといった種族もたまに差別で亜人と呼ばれるそうです。
『ああ、魔族なぁ。あいつら首折ってもしなないからのぅ。面倒だから四肢を折って鎖で縛り上げて海に沈めたことがあるわい。死んだかどうかはしらんのぅ。by長老』
とは爺の言葉でしたかね? 話半分に聞いてましたがそれが本当なら非常に面倒です。
死ぬかどうかもわからない相手と戦うのは非常に疲れそうです。
「その通り、俺様は魔族。そこいらの下等生物などと一緒にするな。亜人」
「亜人亜人とうるさいですよ? ゼィハ、援護してください」
「あたし、今すぐ逃げたいんですけど」
背後に渋々といった様子で何かを構えるゼィハの気配を感じながら私は再び魔ノ華を構えます。
そして先に動いたのはヴィツーでした。大きく拳を振り上げ明らかに隙ができるにもかかわらず三本の拳を振り下ろします。私がその拳を交わすとあっさりとヴィツーは床を破壊。さらには壊した床が砲弾のようなスピードでこちらへと迫ります。
「敵を穿て!」
背後から聞こえたゼィハの声に私は呼応するように横に飛びます。すると私の横を黒い光が通り、こちらに飛来していた破片を軒並みに消し去りそのままヴィツーへと疾ります。
「お、これは一発で終わるんじゃ……」
あの黒い光の力はすでに見ています。かなりの破壊力ですし腕の二本くらいは抉れるでしょう。
「ふん!」
軽く息を吐いたように出た言葉と共に一本の腕が裏拳を放ち、風を抉るようにしたながら黒い閃光に叩きつけられました。一瞬だけ拮抗するように停止していましたがそれは本当に瞬きをする間のことで、やがて拮抗は傾き、振り抜かれた裏拳は容易く黒い閃光を霧散させます。
「……え」
ナイフを振るったままの姿勢のゼィハは絶句。それはもう無防備というしか他なくさらにはそんな隙をヴィツーが逃すわけなく。
「隙アリィィィ!」
床を踏み抜くほどの脚力でゼィハへと迫ったヴィツーは死神の鎌のごとくの鋭い一撃を水平にゼィハへと放ちます。
「ゼィハ! エルフの服着てるから大丈夫ですよ!」
「は? なにがげぇぶらぁはぉ⁉︎」
私の言葉には反応しましたがヴィツーの水平チョップには全く反応できていなかったゼィハはまともに胸に喰らい、体をくの字に曲げながら声をあげなが窓へと叩きつけられガラスを雨のように降らしながら外へ飛んで行きました。
『死んでないよね?』
「多分としか言いようがありませんね」
ゼィハの着ていた服が私の着ているエルフの服と同じ性能を持っているなら死にはしないでしょう。ガラスが頭にでも刺さらない限りは。
「次はお前だ、リリカ・エトロンシア」
言葉を放つ途中で音を立てながら姿がかき消えます。目では追いきれませんが私に影が落ちたところを見ると後ろに回られたようです。
体を捻るようにしてとりあえずは魔ノ華を背後に放ちます。
轟と音が鳴り魔ノ華と拳が接触した場所を中心に衝撃波のようなものが広がります周囲を破壊していきます。
軽く一歩後ろに下がり片手で持った魔ノ華の切っ先をヴィツーの顔へと向けます。それを直感とも呼べるレベルで危険に感じたのかヴィツーは慌てたように首を逸らします。
「突き刺され」
私のイメージ通りに魔ノ華の黒い刃は一気に伸び先ほどまでヴィツーの頭があった虚空を貫き背後の壁へと突き刺さります。
「なんで躱すんです?」
「攻撃を躱すのは本能だろ」
ふむ、死なないんだから避ける必要はない気がするんですが。
とりあえず片手で持っていた魔ノ華の柄を両手で持ち再び全身を強化魔法で覆い力一杯柄に力をかけます。
当然、壁に突き刺さったままの魔ノ華の刀身が私が力を入れるのに比例するかのようにして壁を切り裂きながらヴィツーの肩へと迫りますがそれはその巨体からは意外ともいえる素早さを発揮したヴィツーは容易く避けます。
すかさず魔ノ華を元の大きさへと戻し距離を詰め、デタラメに魔ノ華で斬りつけます。巨大な腕は間合いを詰められると振り回すことができずに無用の長物へと成り下がります。それに気づいたのかヴィツーは六本の腕全てを盾のようにして私の斬撃を受け止めています。
「それそれそれそれ!」
ひたすらに魔ノ華の刃を振るい打ち付けますが硬質な音が鳴るだけで傷一つ付きません。
硬いのを相手にし続けるのは面倒ですねぇ。なにより斬れないのはストレスが溜まります。
そう考え、あることが思い浮かんだのですぐに行動に移します。斬撃を繰り出し続けている魔ノ華を片手に持ち直し空いた方の手を魔法のカバンへと突っ込み目的のものを引き出し、魔力を流し込みそれをその場に置き後方に大きく跳躍。
「くーちゃん! こっちに!」
『な、なにするの⁉︎』
慌てたように私の元に来るくーちゃんを急ぎ掴むとヴィツーがまだ腕を盾のようにしていることを確認し、魔ノ華を振るい背後に残りが心許なくなった魔力で穴を開けます。
「ゼィハの言葉を借りるならエルフ大爆破です!」
開けた穴から逃げる瞬間に私は魔力をヴィツーの前に設置した私の姿そっくりとなった『どこでも自爆くん』へと送り込み不気味に膨れ上がる自分の姿を確認するとカジノから脱出します。
すぐ後にゼィハお手製の魔法道具どこでも自爆くんが火を噴き、カジノの上層を完膚なきまでに消し去ったのでした。
「魔法、ではないですよね」
「当然だ、これは全て俺の腕だ」
六本の丸太のような腕が全てで腕を組むという光景は圧巻としかいいようがありません。というか気持ち悪いです。
「となるとあなたは人間ではないんですか?」
「貴様も人間ではないだろう? 亜人」
「里ではその表現は差別だと習いましたが? となると魔族ですか?」
魔族。
それは知恵を手に入れた魔物だという話を聞いたことがあります。魔物特有の強暴性に知恵、知識などを手に入れた者のことをそう呼ぶらしいです。そして人間でも魔族でもない人型の生き物を差別用語として亜人と呼ぶこともあるそうです。他にはドワーフやマーメイドといった種族もたまに差別で亜人と呼ばれるそうです。
『ああ、魔族なぁ。あいつら首折ってもしなないからのぅ。面倒だから四肢を折って鎖で縛り上げて海に沈めたことがあるわい。死んだかどうかはしらんのぅ。by長老』
とは爺の言葉でしたかね? 話半分に聞いてましたがそれが本当なら非常に面倒です。
死ぬかどうかもわからない相手と戦うのは非常に疲れそうです。
「その通り、俺様は魔族。そこいらの下等生物などと一緒にするな。亜人」
「亜人亜人とうるさいですよ? ゼィハ、援護してください」
「あたし、今すぐ逃げたいんですけど」
背後に渋々といった様子で何かを構えるゼィハの気配を感じながら私は再び魔ノ華を構えます。
そして先に動いたのはヴィツーでした。大きく拳を振り上げ明らかに隙ができるにもかかわらず三本の拳を振り下ろします。私がその拳を交わすとあっさりとヴィツーは床を破壊。さらには壊した床が砲弾のようなスピードでこちらへと迫ります。
「敵を穿て!」
背後から聞こえたゼィハの声に私は呼応するように横に飛びます。すると私の横を黒い光が通り、こちらに飛来していた破片を軒並みに消し去りそのままヴィツーへと疾ります。
「お、これは一発で終わるんじゃ……」
あの黒い光の力はすでに見ています。かなりの破壊力ですし腕の二本くらいは抉れるでしょう。
「ふん!」
軽く息を吐いたように出た言葉と共に一本の腕が裏拳を放ち、風を抉るようにしたながら黒い閃光に叩きつけられました。一瞬だけ拮抗するように停止していましたがそれは本当に瞬きをする間のことで、やがて拮抗は傾き、振り抜かれた裏拳は容易く黒い閃光を霧散させます。
「……え」
ナイフを振るったままの姿勢のゼィハは絶句。それはもう無防備というしか他なくさらにはそんな隙をヴィツーが逃すわけなく。
「隙アリィィィ!」
床を踏み抜くほどの脚力でゼィハへと迫ったヴィツーは死神の鎌のごとくの鋭い一撃を水平にゼィハへと放ちます。
「ゼィハ! エルフの服着てるから大丈夫ですよ!」
「は? なにがげぇぶらぁはぉ⁉︎」
私の言葉には反応しましたがヴィツーの水平チョップには全く反応できていなかったゼィハはまともに胸に喰らい、体をくの字に曲げながら声をあげなが窓へと叩きつけられガラスを雨のように降らしながら外へ飛んで行きました。
『死んでないよね?』
「多分としか言いようがありませんね」
ゼィハの着ていた服が私の着ているエルフの服と同じ性能を持っているなら死にはしないでしょう。ガラスが頭にでも刺さらない限りは。
「次はお前だ、リリカ・エトロンシア」
言葉を放つ途中で音を立てながら姿がかき消えます。目では追いきれませんが私に影が落ちたところを見ると後ろに回られたようです。
体を捻るようにしてとりあえずは魔ノ華を背後に放ちます。
轟と音が鳴り魔ノ華と拳が接触した場所を中心に衝撃波のようなものが広がります周囲を破壊していきます。
軽く一歩後ろに下がり片手で持った魔ノ華の切っ先をヴィツーの顔へと向けます。それを直感とも呼べるレベルで危険に感じたのかヴィツーは慌てたように首を逸らします。
「突き刺され」
私のイメージ通りに魔ノ華の黒い刃は一気に伸び先ほどまでヴィツーの頭があった虚空を貫き背後の壁へと突き刺さります。
「なんで躱すんです?」
「攻撃を躱すのは本能だろ」
ふむ、死なないんだから避ける必要はない気がするんですが。
とりあえず片手で持っていた魔ノ華の柄を両手で持ち再び全身を強化魔法で覆い力一杯柄に力をかけます。
当然、壁に突き刺さったままの魔ノ華の刀身が私が力を入れるのに比例するかのようにして壁を切り裂きながらヴィツーの肩へと迫りますがそれはその巨体からは意外ともいえる素早さを発揮したヴィツーは容易く避けます。
すかさず魔ノ華を元の大きさへと戻し距離を詰め、デタラメに魔ノ華で斬りつけます。巨大な腕は間合いを詰められると振り回すことができずに無用の長物へと成り下がります。それに気づいたのかヴィツーは六本の腕全てを盾のようにして私の斬撃を受け止めています。
「それそれそれそれ!」
ひたすらに魔ノ華の刃を振るい打ち付けますが硬質な音が鳴るだけで傷一つ付きません。
硬いのを相手にし続けるのは面倒ですねぇ。なにより斬れないのはストレスが溜まります。
そう考え、あることが思い浮かんだのですぐに行動に移します。斬撃を繰り出し続けている魔ノ華を片手に持ち直し空いた方の手を魔法のカバンへと突っ込み目的のものを引き出し、魔力を流し込みそれをその場に置き後方に大きく跳躍。
「くーちゃん! こっちに!」
『な、なにするの⁉︎』
慌てたように私の元に来るくーちゃんを急ぎ掴むとヴィツーがまだ腕を盾のようにしていることを確認し、魔ノ華を振るい背後に残りが心許なくなった魔力で穴を開けます。
「ゼィハの言葉を借りるならエルフ大爆破です!」
開けた穴から逃げる瞬間に私は魔力をヴィツーの前に設置した私の姿そっくりとなった『どこでも自爆くん』へと送り込み不気味に膨れ上がる自分の姿を確認するとカジノから脱出します。
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