エルフさんが通ります
同刻王城内
同刻王城内
「おい、皇帝は⁉︎」
「爆発は一体なんなんなんだ!」
場内は華やかなダンスをしていたとは思えないほど殺伐とした雰囲気そして非常に濃い血の匂いに包まれていた。
「あん? 何が起こったんだ?」
気絶していたカズヤが眼を覚ました時には下の階が見えるほどの大穴が開いており、壁には幾重にも亀裂がはしっていた。
「あらあら、ようやく起きたの〜?」
「主は姉御に感謝したほうがいい」
「うぅ、料理が……」
カズヤが視線を上げると少しばかり汚れたドレス、服を着たフィーとヴァン、そしてひっくり返った料理を悲しげな瞳で見つめるククの姿があった。
「なぁ、俺ダンス会場にいたはずなんだが?」
「ん〜? 場所は変わってないわよ?」
既に以前とは比べ物にならないほどの廃墟のような姿になった王城に戸惑うカズヤ。
「簡単に言うとね〜 リリカちゃんもどきが弾けたのよ〜」
「は?」
のほほんと告げるフィーの言葉にカズヤは間の抜けた声を上げる。
「だからリリカちゃんもどきが弾けたのよ〜」
「おかげで皇帝周囲にいた輩は絨毯のシミになった」
相変わらずの無表情でヴァンが指さしたのは消し飛んでいない絨毯の上に飛び散っている赤黒いシミだった。
「じゃ、皇帝は?」
「掴まれてた腕と左足持ってかれてた。治療してたし、ぎり生きてる? 」
「なんで疑問系なんだよ」
「興味なし」
「それよりカズヤ、聖剣抜いたほうがいいわよ〜」
黙ってカズヤとヴァンの話を聞いていたフィーが珍しく緊張したような声をだす。それを素早く感じ取ったヴァンは未だに啜り泣くククの首根っこを掴みカズヤの後ろへと退避した。
「どういうことだ?」
尋ねながら勇者の証たる聖剣を抜いたカズヤは片手に構え、周囲を警戒し、仲間を守るように一歩前に出る。
当然、突然剣を抜いたカズヤの姿を見てまだ混乱から立ち直っていない貴族たちは悲鳴をあげ逃げ惑う。
「多分、次がくるわよ〜 私の里の長老が『攻めるなら立ち向かう意思を折るほどに攻めるのじゃ! 』って名言があるくらいだし」 
「つまり?」
「あのリリカちゃんもどきを使ったのがリリカちゃんなら……」
フィーが言葉を紡いでいる最中に拳を構える。瞬時に魔力と闘気を纏い警戒レベルを上げる。
「必ず第二撃がくる!」
しゃべり終わると同時にフィーが拳を振るい魔力と闘気が混ぜ合わされた衝撃波が宙を疾る。それは廃墟と化し始めていた王城の壁に空いた穴から滑り込むようにして入ってきた銀の矢を捉える、が銀の矢は僅かに勢いを落としただけでまだ治療を施されている最中の皇帝へと迫った。
「だらっしゃぁぁぁぁぁぁ!」
雄叫びを上げながらカズヤが跳躍。フィーの衝撃波によりようやく視認できるほどの速さに落ちたとはいえそれでもかなりの速さである。しかし、カズヤはそれを不安定な体勢のまま聖剣を振り抜き両断する。
「あ、ばか〜」
フィーが声を上げた瞬間、銀の矢が光を放ち周囲に強力な風を巻き起こし室内だというのに巨大な竜巻が発生する。
「おぉぉぉぉ⁉︎」
当然ながら不安定な姿勢で斬撃を放ったカズヤは風に飲み込まれぐるぐると回される羽目になった。見れば周りの貴族や備え付けられている家具なども同じような有様であった。
しかし、ただの風だけではなく中から凄まじいまでの速度で何かが撃ち出され始めた。
「あら〜 これは危ないわ〜」
盾が飛び出したために無防備になったヴァンとククを守るために二人の前に出たフィーが撃ち出された何かを正確に拳で弾いていく。魔力と闘気で強化されているはずのフィーの拳にかなりの衝撃と僅かな痺れが走ることにフィーは眼を見開くがすぐに冷静に対処し始めた。
「これは魔石を融合さしたのかしら?」
首を傾げながらも振るう腕は止まらない。
竜巻から撃ち出されるものは全てリリカが使った土属性の魔石の魔法で生成された土の槍であり、竜巻も風属性の魔石の効果だ。無論、融合などさしたわけではなく竜巻が発生し、その中心で土の魔石が炸裂しただけの話であるがそんなことはフィーにはわからないわけだ。
「カズヤ〜 遊んでないで手伝って〜」
「むぅぅぅぅぅぅりぃぅぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
竜巻に遊ばれ続けるカズヤに声をかけたフィーであったがすぐにため息へと変わった。
(高速で回転しているカズヤはひたすらに竜巻と土魔法の餌食になってるから飛んでくる数が減ると考えるしかないかしら?)
現にカズヤには幾つもの土魔法が直撃し、どうして死なないのかわからないほどのダメージを負っているのだがまだまだ元気そうな? 悲鳴が上がっていたがフィーは無視していた。
「姉御、周りがやばい」
「そうなのよねぇ〜」
フィーが守っているのはあくまで自分と後ろのヴァンとククである。土魔法は当然ながらフィーだけを狙っているわけではなく周囲に無差別に破壊の弾丸を撃ち出しているのだ。別に狙っているわけではないのだろうが数が多い。逃げる輩は背中から土の槍が突き刺さり、騎士の類も盾などを貫通され逃げようと立ち向かおうと大差のない惨状が広がっているのである。
「皇帝死んだ?」
「多分ね〜」
土の槍は治療を受けていた皇帝すら容赦なく貫き、床に固定していた。周りを守るようにしていた騎士たちも幾つもの槍が突き刺さりおびただしい量の血が床に水溜まりを作っているところを見ると絶命ていることだろう。
「これ以上無駄に被害を出すのもね〜 ヴァンくん少しだけ守れる?」
「少しなら」
槍を弾きながらフィーは確認を取るとヴァンは腰から二本のナイフを取り出すことで答えた。
「なら任すわね〜」
軽く言うとフィーは今まで高速で動かしていた腕を止め、足を踏み出し一気に加速。自身に向かい飛んでくる槍のみを拳で打ち砕いていく。
(魔石は時間経過でとまるんだけど手早く止めるなら砕くのが一番よね〜)
破壊の雨が降り注ぐ中、フィーの周りだけが何事もなかったかのように槍が弾けとび、砕けていく。
あと数歩で竜巻というところでフィーは大きく拳を振りかぶり、さらには魔力と闘気集中させる。
「これで終わり!」
解き放たれた拳から圧縮された魔力と闘気が放たれ竜巻へと向かう。しかし、それは予期せぬ妨害者に防がれることとなった。
「コバァァァダだだ⁉︎」
「あ、わすれてたわ〜」
圧縮された魔力と闘気は竜巻に巻き込まれ高速で回転するカズヤの腹に見事に突き刺さり、カズヤを巻き込んだまま竜巻を突き破り中心点へと向かう。
砲弾と化したカズヤが中心で魔法を発生さしている魔石を叩き壊し、竜巻と土魔法の槍が一斉に解除される。
「あああああああああ!」
しかし、カズヤは止まらず、崩壊しかかっていた壁に叩きつけられ血反吐を吐き、衝撃で壊れた壁と悲鳴とともに夜の空を飛ぶ羽目となったのだった。
そして、皇帝が死んだ混乱に陥る前に緑の髪の女がメイドを従えながら楽しげに皇帝の持つ杖を奪ったことに気づくものは誰もいなかった。
「おい、皇帝は⁉︎」
「爆発は一体なんなんなんだ!」
場内は華やかなダンスをしていたとは思えないほど殺伐とした雰囲気そして非常に濃い血の匂いに包まれていた。
「あん? 何が起こったんだ?」
気絶していたカズヤが眼を覚ました時には下の階が見えるほどの大穴が開いており、壁には幾重にも亀裂がはしっていた。
「あらあら、ようやく起きたの〜?」
「主は姉御に感謝したほうがいい」
「うぅ、料理が……」
カズヤが視線を上げると少しばかり汚れたドレス、服を着たフィーとヴァン、そしてひっくり返った料理を悲しげな瞳で見つめるククの姿があった。
「なぁ、俺ダンス会場にいたはずなんだが?」
「ん〜? 場所は変わってないわよ?」
既に以前とは比べ物にならないほどの廃墟のような姿になった王城に戸惑うカズヤ。
「簡単に言うとね〜 リリカちゃんもどきが弾けたのよ〜」
「は?」
のほほんと告げるフィーの言葉にカズヤは間の抜けた声を上げる。
「だからリリカちゃんもどきが弾けたのよ〜」
「おかげで皇帝周囲にいた輩は絨毯のシミになった」
相変わらずの無表情でヴァンが指さしたのは消し飛んでいない絨毯の上に飛び散っている赤黒いシミだった。
「じゃ、皇帝は?」
「掴まれてた腕と左足持ってかれてた。治療してたし、ぎり生きてる? 」
「なんで疑問系なんだよ」
「興味なし」
「それよりカズヤ、聖剣抜いたほうがいいわよ〜」
黙ってカズヤとヴァンの話を聞いていたフィーが珍しく緊張したような声をだす。それを素早く感じ取ったヴァンは未だに啜り泣くククの首根っこを掴みカズヤの後ろへと退避した。
「どういうことだ?」
尋ねながら勇者の証たる聖剣を抜いたカズヤは片手に構え、周囲を警戒し、仲間を守るように一歩前に出る。
当然、突然剣を抜いたカズヤの姿を見てまだ混乱から立ち直っていない貴族たちは悲鳴をあげ逃げ惑う。
「多分、次がくるわよ〜 私の里の長老が『攻めるなら立ち向かう意思を折るほどに攻めるのじゃ! 』って名言があるくらいだし」 
「つまり?」
「あのリリカちゃんもどきを使ったのがリリカちゃんなら……」
フィーが言葉を紡いでいる最中に拳を構える。瞬時に魔力と闘気を纏い警戒レベルを上げる。
「必ず第二撃がくる!」
しゃべり終わると同時にフィーが拳を振るい魔力と闘気が混ぜ合わされた衝撃波が宙を疾る。それは廃墟と化し始めていた王城の壁に空いた穴から滑り込むようにして入ってきた銀の矢を捉える、が銀の矢は僅かに勢いを落としただけでまだ治療を施されている最中の皇帝へと迫った。
「だらっしゃぁぁぁぁぁぁ!」
雄叫びを上げながらカズヤが跳躍。フィーの衝撃波によりようやく視認できるほどの速さに落ちたとはいえそれでもかなりの速さである。しかし、カズヤはそれを不安定な体勢のまま聖剣を振り抜き両断する。
「あ、ばか〜」
フィーが声を上げた瞬間、銀の矢が光を放ち周囲に強力な風を巻き起こし室内だというのに巨大な竜巻が発生する。
「おぉぉぉぉ⁉︎」
当然ながら不安定な姿勢で斬撃を放ったカズヤは風に飲み込まれぐるぐると回される羽目になった。見れば周りの貴族や備え付けられている家具なども同じような有様であった。
しかし、ただの風だけではなく中から凄まじいまでの速度で何かが撃ち出され始めた。
「あら〜 これは危ないわ〜」
盾が飛び出したために無防備になったヴァンとククを守るために二人の前に出たフィーが撃ち出された何かを正確に拳で弾いていく。魔力と闘気で強化されているはずのフィーの拳にかなりの衝撃と僅かな痺れが走ることにフィーは眼を見開くがすぐに冷静に対処し始めた。
「これは魔石を融合さしたのかしら?」
首を傾げながらも振るう腕は止まらない。
竜巻から撃ち出されるものは全てリリカが使った土属性の魔石の魔法で生成された土の槍であり、竜巻も風属性の魔石の効果だ。無論、融合などさしたわけではなく竜巻が発生し、その中心で土の魔石が炸裂しただけの話であるがそんなことはフィーにはわからないわけだ。
「カズヤ〜 遊んでないで手伝って〜」
「むぅぅぅぅぅぅりぃぅぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
竜巻に遊ばれ続けるカズヤに声をかけたフィーであったがすぐにため息へと変わった。
(高速で回転しているカズヤはひたすらに竜巻と土魔法の餌食になってるから飛んでくる数が減ると考えるしかないかしら?)
現にカズヤには幾つもの土魔法が直撃し、どうして死なないのかわからないほどのダメージを負っているのだがまだまだ元気そうな? 悲鳴が上がっていたがフィーは無視していた。
「姉御、周りがやばい」
「そうなのよねぇ〜」
フィーが守っているのはあくまで自分と後ろのヴァンとククである。土魔法は当然ながらフィーだけを狙っているわけではなく周囲に無差別に破壊の弾丸を撃ち出しているのだ。別に狙っているわけではないのだろうが数が多い。逃げる輩は背中から土の槍が突き刺さり、騎士の類も盾などを貫通され逃げようと立ち向かおうと大差のない惨状が広がっているのである。
「皇帝死んだ?」
「多分ね〜」
土の槍は治療を受けていた皇帝すら容赦なく貫き、床に固定していた。周りを守るようにしていた騎士たちも幾つもの槍が突き刺さりおびただしい量の血が床に水溜まりを作っているところを見ると絶命ていることだろう。
「これ以上無駄に被害を出すのもね〜 ヴァンくん少しだけ守れる?」
「少しなら」
槍を弾きながらフィーは確認を取るとヴァンは腰から二本のナイフを取り出すことで答えた。
「なら任すわね〜」
軽く言うとフィーは今まで高速で動かしていた腕を止め、足を踏み出し一気に加速。自身に向かい飛んでくる槍のみを拳で打ち砕いていく。
(魔石は時間経過でとまるんだけど手早く止めるなら砕くのが一番よね〜)
破壊の雨が降り注ぐ中、フィーの周りだけが何事もなかったかのように槍が弾けとび、砕けていく。
あと数歩で竜巻というところでフィーは大きく拳を振りかぶり、さらには魔力と闘気集中させる。
「これで終わり!」
解き放たれた拳から圧縮された魔力と闘気が放たれ竜巻へと向かう。しかし、それは予期せぬ妨害者に防がれることとなった。
「コバァァァダだだ⁉︎」
「あ、わすれてたわ〜」
圧縮された魔力と闘気は竜巻に巻き込まれ高速で回転するカズヤの腹に見事に突き刺さり、カズヤを巻き込んだまま竜巻を突き破り中心点へと向かう。
砲弾と化したカズヤが中心で魔法を発生さしている魔石を叩き壊し、竜巻と土魔法の槍が一斉に解除される。
「あああああああああ!」
しかし、カズヤは止まらず、崩壊しかかっていた壁に叩きつけられ血反吐を吐き、衝撃で壊れた壁と悲鳴とともに夜の空を飛ぶ羽目となったのだった。
そして、皇帝が死んだ混乱に陥る前に緑の髪の女がメイドを従えながら楽しげに皇帝の持つ杖を奪ったことに気づくものは誰もいなかった。
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