エルフさんが通ります
どこにでもいるんですね。人でなしって
「寒い!」
戦場へと到着するなり私は叫びます。
よく考えたら私のお気に入りのコートはボロボロですからね。今は里から持ってきた厚手のマントを羽織っていますがあまりにも寒いです。
雪国舐めてました。すいませんでした。
「そんな寒いですか?」
やたらともふもふとした格好をしたゼィハが不思議なものを見るかのように私を見てきます。
しばらくは雪国で過ごしていたせいなのか彼女の魔法のカバンはきちんと分厚いコートも入っていたのです。なんて準備のいい。
「これいります?」
ゼィハが私に手渡してきたのは小さな布切れ。しかし、なにか中に入っているのかほんわかと温かみがあります。
「あ、あったかい!」
「魔法道具ホッカイロンです。使い捨てですが多少暖かかくなりますよ」
ゼィハから数個ホッカイロンを受け取るとマントの中に貼り付けていきます。するとポカポカです!
「魔法道具ってすごいんですねぇ」
『ねぇ』
現代魔法である魔法道具でこれです。失われた魔法である古代魔法、古代魔導具といったものがどれだけすごいかとうことがわかるものです。
「古代魔導具は別名失われた技術とも呼ばれていますかね。今でこそ武器として利用されているものが大半ですがどうやら古代では全く違う使い方をしていて武器として使われていなかったようですし」
「使い手次第ってことですね」
ただ、ぽち。仮にお前が古代魔導具だったとしてもですね、お前はどう考えても武器としてしか使われてなかった気がするんですよね。
ゼィハのおかげで寒さを克服? した私は改めて周囲を観察します。
真っ黒な鎧で統一された集団、はおそらくは騎士。ドラクマの騎士団でしょう。かなりの数です。あと黒い服を着こんでスコップらしき物を持った一団。彼らもおそらくはドラクマの騎士団なんでしょう。
それらと少し離れたところで集まっているのは全く服装が統一されておらず四、五人でまとまりを作っています。こちらはおそらく冒険者達なんでしょうね。
「連携とかしないんですか?」
「はい、一般的に騎士団と冒険者達は別個で動くのが各国普通みたいですよ。中途半端な連携は互いの強みを潰しますので」
「強み?」
そんなものがあるのでしょうか?
「あります。まず騎士団ですが彼らは基本的に集団戦に特化したものです。なにより国を守るための力ですからね。個の力より軍としての力が強いものです。まぁ、中には特出した強さを持つ人もいます」
「ふむふむ」
確かに騎士団がバラバラに戦っているのは想像できませんね。
「対して冒険者達の強みというのは個の力、一人一人の技量にムラはありますが騎士以上の力を持ってる人もいます。ですがパーティでしか連携が取れないというのが難点ですが」
なるほど、確かに冒険者で統率された動きをしてるのはパーティごとかもしれませんね。
「納得です。どちらも長所があり短所もあるわけですね」
「ええ、ですが本音の部分は違います」
にっこりという音が聞こえるような笑顔をゼィハは浮かべます。しかも、この笑みは……
『あ、リリカと同じ悪いこと考えてる時の笑顔だ!』
そう、くーちゃんの指摘する通りゼィハの浮かべる笑顔は非常に悪いそう、言うならば悪役が浮かべるような笑顔です。にっこりという音の後ろにニタリという音が聞こえそうな笑顔なのです。
「……ちなみに本音って?」
笑顔が怖いゼィハに尋ねます。
「騎士団の本音としては盾です」
「盾?」
彼ら持ってるじゃないですか。凄く立派なやつを。
「ああ、違います違います」
私の見ている物に気付いたのかゼィハは手を振ります。
「あたしのいう盾というのは冒険者の事です」
「『冒険者が盾?』」
「はい、リリカさんはちゃんと見ていませんでしたが受付で契約した書類の報酬部分、あれは剣、槍、斧といった敵に接近して戦う職の方がもらえる報酬額が多いんですよ」
「え、そうだったの?」
知らなかった。一応、翻訳メガネをかけて流し読みしたけど気づきませんでした。だったら弓ではなく剣で登録すればよかったですね。
「でも死んだ場合や怪我をした場合は一切保証されません。これはちっちゃく書いてありますからね。しかも炙り出しです」
「冒険者ギルドもせこいなぁ」
炙り出しって、誰も火を持ちながら契約には来ないでしょうし実質的にはわからないじゃないですか。
「話を戻しますが、この報酬額が違うのは騎士団の思惑です。前線にでる冒険者を増やすための」
なるほど、考えがわかってきましたよ。
「つまり、前線に冒険者を集めて騎士団の被害を減らそうというわけですか」
報酬のために戦う冒険者を盾にして被害を減らし、弱ったところを一掃する。非常に理にかなった人でなしの戦法です。
「まぁ、集団で集まっていたら大規模魔法が飛んでくるんですけどね」
「……人でなしすぎませんか?」
戦場で長生きしたかったら騎士団の前には出ないようにしましょう、
戦場へと到着するなり私は叫びます。
よく考えたら私のお気に入りのコートはボロボロですからね。今は里から持ってきた厚手のマントを羽織っていますがあまりにも寒いです。
雪国舐めてました。すいませんでした。
「そんな寒いですか?」
やたらともふもふとした格好をしたゼィハが不思議なものを見るかのように私を見てきます。
しばらくは雪国で過ごしていたせいなのか彼女の魔法のカバンはきちんと分厚いコートも入っていたのです。なんて準備のいい。
「これいります?」
ゼィハが私に手渡してきたのは小さな布切れ。しかし、なにか中に入っているのかほんわかと温かみがあります。
「あ、あったかい!」
「魔法道具ホッカイロンです。使い捨てですが多少暖かかくなりますよ」
ゼィハから数個ホッカイロンを受け取るとマントの中に貼り付けていきます。するとポカポカです!
「魔法道具ってすごいんですねぇ」
『ねぇ』
現代魔法である魔法道具でこれです。失われた魔法である古代魔法、古代魔導具といったものがどれだけすごいかとうことがわかるものです。
「古代魔導具は別名失われた技術とも呼ばれていますかね。今でこそ武器として利用されているものが大半ですがどうやら古代では全く違う使い方をしていて武器として使われていなかったようですし」
「使い手次第ってことですね」
ただ、ぽち。仮にお前が古代魔導具だったとしてもですね、お前はどう考えても武器としてしか使われてなかった気がするんですよね。
ゼィハのおかげで寒さを克服? した私は改めて周囲を観察します。
真っ黒な鎧で統一された集団、はおそらくは騎士。ドラクマの騎士団でしょう。かなりの数です。あと黒い服を着こんでスコップらしき物を持った一団。彼らもおそらくはドラクマの騎士団なんでしょう。
それらと少し離れたところで集まっているのは全く服装が統一されておらず四、五人でまとまりを作っています。こちらはおそらく冒険者達なんでしょうね。
「連携とかしないんですか?」
「はい、一般的に騎士団と冒険者達は別個で動くのが各国普通みたいですよ。中途半端な連携は互いの強みを潰しますので」
「強み?」
そんなものがあるのでしょうか?
「あります。まず騎士団ですが彼らは基本的に集団戦に特化したものです。なにより国を守るための力ですからね。個の力より軍としての力が強いものです。まぁ、中には特出した強さを持つ人もいます」
「ふむふむ」
確かに騎士団がバラバラに戦っているのは想像できませんね。
「対して冒険者達の強みというのは個の力、一人一人の技量にムラはありますが騎士以上の力を持ってる人もいます。ですがパーティでしか連携が取れないというのが難点ですが」
なるほど、確かに冒険者で統率された動きをしてるのはパーティごとかもしれませんね。
「納得です。どちらも長所があり短所もあるわけですね」
「ええ、ですが本音の部分は違います」
にっこりという音が聞こえるような笑顔をゼィハは浮かべます。しかも、この笑みは……
『あ、リリカと同じ悪いこと考えてる時の笑顔だ!』
そう、くーちゃんの指摘する通りゼィハの浮かべる笑顔は非常に悪いそう、言うならば悪役が浮かべるような笑顔です。にっこりという音の後ろにニタリという音が聞こえそうな笑顔なのです。
「……ちなみに本音って?」
笑顔が怖いゼィハに尋ねます。
「騎士団の本音としては盾です」
「盾?」
彼ら持ってるじゃないですか。凄く立派なやつを。
「ああ、違います違います」
私の見ている物に気付いたのかゼィハは手を振ります。
「あたしのいう盾というのは冒険者の事です」
「『冒険者が盾?』」
「はい、リリカさんはちゃんと見ていませんでしたが受付で契約した書類の報酬部分、あれは剣、槍、斧といった敵に接近して戦う職の方がもらえる報酬額が多いんですよ」
「え、そうだったの?」
知らなかった。一応、翻訳メガネをかけて流し読みしたけど気づきませんでした。だったら弓ではなく剣で登録すればよかったですね。
「でも死んだ場合や怪我をした場合は一切保証されません。これはちっちゃく書いてありますからね。しかも炙り出しです」
「冒険者ギルドもせこいなぁ」
炙り出しって、誰も火を持ちながら契約には来ないでしょうし実質的にはわからないじゃないですか。
「話を戻しますが、この報酬額が違うのは騎士団の思惑です。前線にでる冒険者を増やすための」
なるほど、考えがわかってきましたよ。
「つまり、前線に冒険者を集めて騎士団の被害を減らそうというわけですか」
報酬のために戦う冒険者を盾にして被害を減らし、弱ったところを一掃する。非常に理にかなった人でなしの戦法です。
「まぁ、集団で集まっていたら大規模魔法が飛んでくるんですけどね」
「……人でなしすぎませんか?」
戦場で長生きしたかったら騎士団の前には出ないようにしましょう、
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