エルフさんが通ります
げ、元気な方ですね
シェリー、アリエルの後ろをついて行きながら私は薄暗い廊下を歩きます。
廊下は横がガラス張りになっていますから外が見えるんですが、見たことのない景色です。というか森です。
ただわかるのはドラクマ周辺じゃないということだけですかね。だって雪ありませんし。
「答えれたらでいいんですが、ここはどの辺りになるのでしょう?」
「ここは屋敷の廊下になります」
「……そうですか」
答える気なさそうですねぇ。屋敷ってことくらいわかってるんですが。
『え、ここお屋敷だったの?』
訂正します。わからない妖精もいました。
そんなくーちゃんの言葉が聞こえたのかシェリーがくすりと笑った気配がしました。
「アリエル、おそらくリリカはそんなことを聞いているわけではなないと思うわよ?」
「存じています。いわゆるメイドジョークですわ」
ニコリとも笑わずにアリエルが答えます。昔のオドオドしていたメイドはどこにいったのでしょう? さみしいものですね、
「こちらはザナンカンド法国ですよ」
「あ、やっぱりドラクマではないんですね」
ドラクマどころか真逆でしたよ。そりゃ雪もなくなりますよね。
「あまり驚かないんですね」
私が驚かないことが気になるのかアリエルが私に視線を投げかけて来ます。
「ま、いろいろ聞きたいことさありますけどね。古代魔法が使える理由とか、ここがなにをするものなのかとか」
考え始めたらキリがありますん。それに今から会わされるお父様とやら。
黒いものの匂いがプンプンと漂ってるわけですよね。
楽しそうだからいいんですけど。
「ふふ、まぁ、私から答えれることは少ないですが……」
笑い、そして歩みを止めたシェリーの前には扉。しかも特になんの変哲もない普通の扉です。
「お父様に気に入られれば教えていただけますよ」
「あ〜面倒だからいいや」
教えてもらうために媚を売るのは私のやり方じゃないですしね。
欲しい物は奪い取りましょう。
「お父様、参りました」
シェリーが扉をノックすると中から「入れ」という渋い声が聞こえてきました。
その声を聞くとなぜかシェリーは一歩後ろに下がり、代わりにアリエルが前へ。
『なんで交代するの?』
くーちゃんと同様の疑問が私の頭に浮かべている中、シェリーはしぃーと言わんばかりに口元に指を持っていきます。仕方なしに様子を見ることにしているとアリエルはドアノブを回し扉を開けます。
すると
「いぇぇぇぇい!我が愛しいマイエンジェル! シェリーたぁぁぁぁぁん!」
変態が宙に飛んでいました。
それも極めて高度な編隊です。なぜ高度というと空中で服を脱いでいたからです。
鍛えられた肉体が下着一枚を残して晒され、扉を開けたアリエルへと迫ります。
『あ、だから変わったのか』
「ええ、変態には困ったものです」
「しっ!」
アリエルへ向かって飛んでいった変態はアリエルの短い声と共に繰り出された拳を顔面に叩き込まれ、人体が上げてはいけないような音を立て、吹き飛ばされると床を掃除するかのように転がって行きます。
「痛い! 部屋の掃除してないからあちこちあるいろんな物が俺の柔肌を攻撃してきて痛い!」
変態が殴られた顔面よりも身体を心配していることに唖然としているとアリエルが音もなく歩み寄り手を差し出します。
「大丈夫ですか? お父様」
「ああ、ありがとうアリエル。でも吹き飛ばしたのは君だからね?」
「ごきげんよう、お父様」
ドレスの裾をつまみ華麗に一礼するシェリーを見て変態は頬を緩めます。
「ああ、マイエンジェル! ついにお父さんと結婚してくれる気に……」
「潰すぞ、豚野郎」
気の狂ったような発言をして来た変態ににっこりと笑顔を浮かべ、表情とは真逆の暴言をシェリーは吐き出しました。
しかし、変態は全く応えた様子はなく両手を広げて向かいいれるようにしています。
「全く、恥ずかしがり屋なのは死んだ母さんにそっくりだな! さぁ、恥ずかしがらずにパバの胸に飛び込んでおいで!」
すでに一人称が怪しくなってる変態。
「寝言は寝ていってくださいまし。アリエル」
「はい、お嬢様」
シェリーの言葉にアリエルは掴んでいた変態の腕をねじり上げ、見ているこっちが痛さを感じるような音を鳴らして来ます。
「いい! いいよ! アリエル! だがまだまだ! 愛が足りないよ! いたいだけだよ!」
明らかにヤバイ音が鳴り響いていますが変態は笑顔を、いえ、恍惚とした笑みを浮かべながら抗議をして来ています。
『こわい…… あれ、こわい……』
くーちゃんはというと初めて見る真の変態に身体をガタガタと震わしながら私の服のポケットに隠れてしまいました。
私も初めて見る真の変態に一歩後ろに下がってしまいました。
「ああ、リリカさん。こちらの方が黒の軍勢のリーダーであるお父様です」
「こ、この変態が……」
ニコニコと笑顔で変態を紹介してきたシェリーと今だアリエルに腕を拗られ続けている変態を交互に見ます。
「ああ、いいよ! いいよぉぉぉ! アリエルちゃぁぁぁぁん!」
気持ち悪い声を上げ嬉しそうにしているお父様。
「ああ、早まったかもしれません」
早速、黒の軍勢に入ったことを公開し始めた私をよそに明らかに嬉しそうな悲鳴を上げ続ける声が部屋中に響き渡り、次いで骨の折れる音が聞こえたのでした。
廊下は横がガラス張りになっていますから外が見えるんですが、見たことのない景色です。というか森です。
ただわかるのはドラクマ周辺じゃないということだけですかね。だって雪ありませんし。
「答えれたらでいいんですが、ここはどの辺りになるのでしょう?」
「ここは屋敷の廊下になります」
「……そうですか」
答える気なさそうですねぇ。屋敷ってことくらいわかってるんですが。
『え、ここお屋敷だったの?』
訂正します。わからない妖精もいました。
そんなくーちゃんの言葉が聞こえたのかシェリーがくすりと笑った気配がしました。
「アリエル、おそらくリリカはそんなことを聞いているわけではなないと思うわよ?」
「存じています。いわゆるメイドジョークですわ」
ニコリとも笑わずにアリエルが答えます。昔のオドオドしていたメイドはどこにいったのでしょう? さみしいものですね、
「こちらはザナンカンド法国ですよ」
「あ、やっぱりドラクマではないんですね」
ドラクマどころか真逆でしたよ。そりゃ雪もなくなりますよね。
「あまり驚かないんですね」
私が驚かないことが気になるのかアリエルが私に視線を投げかけて来ます。
「ま、いろいろ聞きたいことさありますけどね。古代魔法が使える理由とか、ここがなにをするものなのかとか」
考え始めたらキリがありますん。それに今から会わされるお父様とやら。
黒いものの匂いがプンプンと漂ってるわけですよね。
楽しそうだからいいんですけど。
「ふふ、まぁ、私から答えれることは少ないですが……」
笑い、そして歩みを止めたシェリーの前には扉。しかも特になんの変哲もない普通の扉です。
「お父様に気に入られれば教えていただけますよ」
「あ〜面倒だからいいや」
教えてもらうために媚を売るのは私のやり方じゃないですしね。
欲しい物は奪い取りましょう。
「お父様、参りました」
シェリーが扉をノックすると中から「入れ」という渋い声が聞こえてきました。
その声を聞くとなぜかシェリーは一歩後ろに下がり、代わりにアリエルが前へ。
『なんで交代するの?』
くーちゃんと同様の疑問が私の頭に浮かべている中、シェリーはしぃーと言わんばかりに口元に指を持っていきます。仕方なしに様子を見ることにしているとアリエルはドアノブを回し扉を開けます。
すると
「いぇぇぇぇい!我が愛しいマイエンジェル! シェリーたぁぁぁぁぁん!」
変態が宙に飛んでいました。
それも極めて高度な編隊です。なぜ高度というと空中で服を脱いでいたからです。
鍛えられた肉体が下着一枚を残して晒され、扉を開けたアリエルへと迫ります。
『あ、だから変わったのか』
「ええ、変態には困ったものです」
「しっ!」
アリエルへ向かって飛んでいった変態はアリエルの短い声と共に繰り出された拳を顔面に叩き込まれ、人体が上げてはいけないような音を立て、吹き飛ばされると床を掃除するかのように転がって行きます。
「痛い! 部屋の掃除してないからあちこちあるいろんな物が俺の柔肌を攻撃してきて痛い!」
変態が殴られた顔面よりも身体を心配していることに唖然としているとアリエルが音もなく歩み寄り手を差し出します。
「大丈夫ですか? お父様」
「ああ、ありがとうアリエル。でも吹き飛ばしたのは君だからね?」
「ごきげんよう、お父様」
ドレスの裾をつまみ華麗に一礼するシェリーを見て変態は頬を緩めます。
「ああ、マイエンジェル! ついにお父さんと結婚してくれる気に……」
「潰すぞ、豚野郎」
気の狂ったような発言をして来た変態ににっこりと笑顔を浮かべ、表情とは真逆の暴言をシェリーは吐き出しました。
しかし、変態は全く応えた様子はなく両手を広げて向かいいれるようにしています。
「全く、恥ずかしがり屋なのは死んだ母さんにそっくりだな! さぁ、恥ずかしがらずにパバの胸に飛び込んでおいで!」
すでに一人称が怪しくなってる変態。
「寝言は寝ていってくださいまし。アリエル」
「はい、お嬢様」
シェリーの言葉にアリエルは掴んでいた変態の腕をねじり上げ、見ているこっちが痛さを感じるような音を鳴らして来ます。
「いい! いいよ! アリエル! だがまだまだ! 愛が足りないよ! いたいだけだよ!」
明らかにヤバイ音が鳴り響いていますが変態は笑顔を、いえ、恍惚とした笑みを浮かべながら抗議をして来ています。
『こわい…… あれ、こわい……』
くーちゃんはというと初めて見る真の変態に身体をガタガタと震わしながら私の服のポケットに隠れてしまいました。
私も初めて見る真の変態に一歩後ろに下がってしまいました。
「ああ、リリカさん。こちらの方が黒の軍勢のリーダーであるお父様です」
「こ、この変態が……」
ニコニコと笑顔で変態を紹介してきたシェリーと今だアリエルに腕を拗られ続けている変態を交互に見ます。
「ああ、いいよ! いいよぉぉぉ! アリエルちゃぁぁぁぁん!」
気持ち悪い声を上げ嬉しそうにしているお父様。
「ああ、早まったかもしれません」
早速、黒の軍勢に入ったことを公開し始めた私をよそに明らかに嬉しそうな悲鳴を上げ続ける声が部屋中に響き渡り、次いで骨の折れる音が聞こえたのでした。
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