エルフさんが通ります
ドラゴンさん退治
くーちゃんに付与された風魔法に自身の魔力を流し込み先程と同じように暴風矢を量産していきます。
ただし、さっきとは違う矢を使用していますが。
ドラゴンさんはというと先程の爆発に警戒しているのか歩みを止めています。
好都合です。
暴風矢を施した一本に細工を施すにはね。
『来たよ!』
緊迫したくーちゃんの声が耳に入り、私は細工を辞め視線を前に戻します。
ドラゴンさんが大きく口を開けてこちらに迫って来ていました。
木を蹴り、後ろに下がりながら先程同様、暴風矢を撃ち込み続けます。やはり、鱗を貫通することはできませんが表面で拮抗しているせいなのかドラゴンさんは先に進めないようです。
当然、こちら側に近づけないのですから私はというとひたすらに暴風矢を叩きつけ続けます。しかし、さっきと違うのは同じ場所ではなく違う場所を狙っているのですが。
『リリカ! 動きが止まっているうちに逃げよう!』
「これじゃ、足止めにもなりません。なんらかのダメージを負わしてこちら側が手強い相手ということを知らしめないと必ず追って来ますよ」
答えながら私は矢を射続けます。
ドラゴンさんも体を動かしてくるので何本かの矢は後方に飛び去っていっています。しかし、予想通りです。
必要なとこれの矢は残っていますからね。
やがてドラゴンさんの体全体に矢が行き渡ったのを確認すると私は先程細工した弓矢を取り出します。
弓矢の先端に魔石をつけただけの簡単な仕掛けですが、先程の爆発が起こった状況を考えると恐ろしいことが起こるはずです。
「さぁ、ドラゴン退治です!」
『リリカ、やばいから! なんかきそう!』
くーちゃんが指差すのはドラゴンさんの口元。
なにやら紅いものがチラチラと見えますね。
「あれって……」
『ドラゴンブレスだぁぁ!』
くーちゃんの悲鳴とともにドラゴンさんの口から炎が花弁のように広がり、さらに巨大な爆発がドラゴンさんの体全体で巻き起こった。
「ギャァグワァ⁉︎」
驚いたような声を上げながらもドラゴンブレスを吐き続けるのを辞めたドラゴンさんだが、爆発は止まらない。爆発が起こる度に鱗が弾け飛び血飛沫が空を舞います。
「ああ、こちらの火種はいらなかったみたいですね」
用意していた弓矢を降ろし、私は今だ誘爆し続け、悲鳴を上げ続けるドラゴンさんを見つめます。
『な、なにしたの?』
「暴風矢で風を集めてそこにこの炎の魔石のついた弓矢で爆発させるつもりだったんですがね。さらに強力なドラゴンブレスをドラゴンさんが使って大きな爆発が起こってるんですよ」
その為に一箇所ではなく分散して矢を放ったわけですが。今や火だるまといっていいほどです。ドラゴンブレスがいかに強力だったかがわかりますね。
『でも、火が消えたらまた襲ってくるんじゃ』
「ええ、ですがああやって火だるまになってもらう以外の策は用意してました」
私は一本の矢を取り出しくーちゃんに見せます。
興味深そうに覗き込んできたくーちゃんに鏃をよく見えるようにします。
『先に穴が空いてる?』
「ええ、矢の筒部分自体も空洞になってます。これはエルフの里で拷問に使われる矢です。」
『ご、ごうもん⁉︎』
「ええ」
これは本来、拷問対象の体に突き刺し、少しづつ血を抜いていくという物です。そのため鏃には穴があいておりそこから流れ出た血は矢の空洞を通り少しづつ血を流して行くのです。
ようは苦しめて殺すためのものです。
「名前は「死の秒読み」という矢なんですがね。ドラゴンさんの鱗は硬いですからね。爆発で鱗を吹き飛ばすか爆発の力で無理やり突き刺すかしかなかったんですよ」
『エルフ、こわい! ごうもんこわい!』
爆発はすでに収まっており全てではありませんが何本かの矢は突き刺さっていますね。チョロチョロと赤黒い血が流れ出てますし地面に溜まっていますね。
しかし、困りました。思いのほか流れてる血の量がすくないですね。
体中から煙、そして鱗の弾け飛んだ部位からは肉の焦げた匂いと血の匂いを振る巻きながら、ドラゴンさんは私を見つめてきます。
「……」
ドラゴンさんはこちらに無言で視線をむけてきます。
あの、なにも言葉を発しないのは怖いんですけどね。もう攻撃手段がないわけですし。
やがて視線を私から外すとドラゴンさんは自分の鱗を掴み、いがゃぁぁぁ見てるだけでいたそうな行動をし、剥がした爪を私の方へと放り投げてきました。
「なんですこれ?」
私の目の前に放り出された鱗を拾い上げか屈むと吹き飛ばさんとせん風が吹き荒れました。
顔を腕で守りながらも風の発生源を見るとドラゴンさんが宙に浮かび、翼を羽ばたかせドラクマ山の方に飛び立って行く所でした。
しばらく呆然とドラゴンさんの飛び去る方向を眺めていました。
「見逃してもらったんですかねぇ」
あそこでブレス吐かれたらなす術なく死んだでしょうし。
『た、たすかったぁ』
力が抜けたのかヘナヘナと私の頭の上にへたり込みます。
見逃してもらえたのか認めてもらえたのか微妙な所ですが今は生きてることを喜びましょう。
そう思い私は苦笑を浮かべるのでした。
ただし、さっきとは違う矢を使用していますが。
ドラゴンさんはというと先程の爆発に警戒しているのか歩みを止めています。
好都合です。
暴風矢を施した一本に細工を施すにはね。
『来たよ!』
緊迫したくーちゃんの声が耳に入り、私は細工を辞め視線を前に戻します。
ドラゴンさんが大きく口を開けてこちらに迫って来ていました。
木を蹴り、後ろに下がりながら先程同様、暴風矢を撃ち込み続けます。やはり、鱗を貫通することはできませんが表面で拮抗しているせいなのかドラゴンさんは先に進めないようです。
当然、こちら側に近づけないのですから私はというとひたすらに暴風矢を叩きつけ続けます。しかし、さっきと違うのは同じ場所ではなく違う場所を狙っているのですが。
『リリカ! 動きが止まっているうちに逃げよう!』
「これじゃ、足止めにもなりません。なんらかのダメージを負わしてこちら側が手強い相手ということを知らしめないと必ず追って来ますよ」
答えながら私は矢を射続けます。
ドラゴンさんも体を動かしてくるので何本かの矢は後方に飛び去っていっています。しかし、予想通りです。
必要なとこれの矢は残っていますからね。
やがてドラゴンさんの体全体に矢が行き渡ったのを確認すると私は先程細工した弓矢を取り出します。
弓矢の先端に魔石をつけただけの簡単な仕掛けですが、先程の爆発が起こった状況を考えると恐ろしいことが起こるはずです。
「さぁ、ドラゴン退治です!」
『リリカ、やばいから! なんかきそう!』
くーちゃんが指差すのはドラゴンさんの口元。
なにやら紅いものがチラチラと見えますね。
「あれって……」
『ドラゴンブレスだぁぁ!』
くーちゃんの悲鳴とともにドラゴンさんの口から炎が花弁のように広がり、さらに巨大な爆発がドラゴンさんの体全体で巻き起こった。
「ギャァグワァ⁉︎」
驚いたような声を上げながらもドラゴンブレスを吐き続けるのを辞めたドラゴンさんだが、爆発は止まらない。爆発が起こる度に鱗が弾け飛び血飛沫が空を舞います。
「ああ、こちらの火種はいらなかったみたいですね」
用意していた弓矢を降ろし、私は今だ誘爆し続け、悲鳴を上げ続けるドラゴンさんを見つめます。
『な、なにしたの?』
「暴風矢で風を集めてそこにこの炎の魔石のついた弓矢で爆発させるつもりだったんですがね。さらに強力なドラゴンブレスをドラゴンさんが使って大きな爆発が起こってるんですよ」
その為に一箇所ではなく分散して矢を放ったわけですが。今や火だるまといっていいほどです。ドラゴンブレスがいかに強力だったかがわかりますね。
『でも、火が消えたらまた襲ってくるんじゃ』
「ええ、ですがああやって火だるまになってもらう以外の策は用意してました」
私は一本の矢を取り出しくーちゃんに見せます。
興味深そうに覗き込んできたくーちゃんに鏃をよく見えるようにします。
『先に穴が空いてる?』
「ええ、矢の筒部分自体も空洞になってます。これはエルフの里で拷問に使われる矢です。」
『ご、ごうもん⁉︎』
「ええ」
これは本来、拷問対象の体に突き刺し、少しづつ血を抜いていくという物です。そのため鏃には穴があいておりそこから流れ出た血は矢の空洞を通り少しづつ血を流して行くのです。
ようは苦しめて殺すためのものです。
「名前は「死の秒読み」という矢なんですがね。ドラゴンさんの鱗は硬いですからね。爆発で鱗を吹き飛ばすか爆発の力で無理やり突き刺すかしかなかったんですよ」
『エルフ、こわい! ごうもんこわい!』
爆発はすでに収まっており全てではありませんが何本かの矢は突き刺さっていますね。チョロチョロと赤黒い血が流れ出てますし地面に溜まっていますね。
しかし、困りました。思いのほか流れてる血の量がすくないですね。
体中から煙、そして鱗の弾け飛んだ部位からは肉の焦げた匂いと血の匂いを振る巻きながら、ドラゴンさんは私を見つめてきます。
「……」
ドラゴンさんはこちらに無言で視線をむけてきます。
あの、なにも言葉を発しないのは怖いんですけどね。もう攻撃手段がないわけですし。
やがて視線を私から外すとドラゴンさんは自分の鱗を掴み、いがゃぁぁぁ見てるだけでいたそうな行動をし、剥がした爪を私の方へと放り投げてきました。
「なんですこれ?」
私の目の前に放り出された鱗を拾い上げか屈むと吹き飛ばさんとせん風が吹き荒れました。
顔を腕で守りながらも風の発生源を見るとドラゴンさんが宙に浮かび、翼を羽ばたかせドラクマ山の方に飛び立って行く所でした。
しばらく呆然とドラゴンさんの飛び去る方向を眺めていました。
「見逃してもらったんですかねぇ」
あそこでブレス吐かれたらなす術なく死んだでしょうし。
『た、たすかったぁ』
力が抜けたのかヘナヘナと私の頭の上にへたり込みます。
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