エルフさんが通ります
この手を先に離すのはお前だ!
すっかり朝日が登り、パラディアンの国の人々が働き出す朝。
宿屋の一室ではひたすらに肉を打つ音が響き渡っていた。
同時に周囲に赤い華が咲き、ひたすらに鉄の匂いを撒き散らし、部屋を満たして行きます。
「いい加減に落ちてください!」
何度殴ってもひたすらにこちらに向かって拳を振るってくるマリーに寒気すら感じます。明らかに私よりマリーのほうが血を流しているはずなのになんで倒れないんですかね!
考えているとマリーの拳が風をねじ切るようにして放たれたのが見えた私は必死に首を捻り躱します。
轟! という音が耳元で鳴り必殺と呼べる一撃が通過します。
「後衛の癖にあなたも無駄にタフですね!」
呆れたような口調で言いながらも明らかに楽しんでいるような口調。
恐ろしいまでの前衛職の攻撃力。おそらくは手加減されているのでしょう。
そこはかとなくムカついてきたのでいいでしょう。
本来の闘い方をしてやりましょう!
ただ、握手した手は離しません。離したらなんだか負けた気がしますからね。
拳で闘うという選択肢を放棄。
即座に足技に切り替え抉るようにマリーの脛を狙います。
「っ⁉︎」
声にならない悲鳴とうのはこういうことを言うのでしょう。いつもなら足甲で守られている急所を打ち付けられ、マリーは血まみれの顔に涙を浮かべます。
「あ、あなた! 殴り合いで決着をつけるんじゃないんですの⁉︎」
「いいですか、マリー。世の中結果が全てなんです!」
私は素早く腰の魔法のカバンに手を入れると大量購入した安物ナイフを一本取り出し、振り上げると握手をしているマリーの腕に向かい振り下ろします。
「ちょ⁉︎」
鋭い声を上げながら私と握手をしていた手を離し、マリーは後ろに下がります。そのため、私の振り下ろしたナイフへ空を斬ります。
しかし、私の顔には笑み。
「離しましたね? 私の勝ちです」
「……あなたは本当に心のそこから外道ですよね」
『勝てばいいのじゃ! 敗者の言い分? 知らん! by長老(故)』
本当に長老の名言はためになりますね! 言葉だけは! 長老本体はいりませんけどね。
「まだやります? 握手して」
「もういいですわ。私の負けで、なにより面倒ですしよく考えたらお金になりませんもの」
そういい、マリーは闘う意思をなくしながらも手を出してきます。その手を私は凄まじく疑惑に満ちた瞳を向けます。
ナニヲタクランデイル
「……どうやったらあなたのような子供ができるのかエルフの教育方針に興味がでてきましたよ」
差し出してきた手を私が握り返す気配がないことにため息を付きながらマリーは手を下げます。
「まぁ、また縁があれば会うこともあるでしょう。その時はよろしくお願いしますね」
「その時には背中の聖剣、抜けてるといいですね」
私とマリーが笑い、朗らかな雰囲気になります。
コンコン
そんな雰囲気な中、控えめなノックの音が鳴り響きます。
自然、二人でその音のほうに目をやります。
「失礼します、うわぁ」
オドオドした様子で入ってきたバイトの少年が顔を顰め、なんとも言えない声を上げます。
まぁ、血塗れの女性が二人いたら驚きますよね。
「あの、おやっさんから様子見てこいと言われたんですけど……」
ああ、昨日の夜から暴れてましたからね。暴れる音がなくなったから様子を見に来させたわけですか。
自分で見に来ない辺りこの宿のマスターもなかなかに人として外道な気配がしますね。この子生贄扱いしてますし。
「大丈夫ですよ、和解しました」
「和解しましたの?」
私の笑顔での答えにマリーは頭に疑問符を浮かべながら首を傾げてました。
その言葉に少年はホッとしたような表情を浮かべます。
「よかった。ではこの部屋の修繕費なんですが……」
「戦略的撤退!」
私は叫びながら窓ガラスに向かい疾走! 頭を手で守りながらガラスを突き破り逃走を図ります。
「な、リリカ⁉︎」
マリーの驚いた声が後ろから聞こえますがその時には私の体はすでに宙にあります。身体を捻り、マリーが見えるようにすると私はマリーに見えるように親指を立て笑顔を浮かべます。
「マリー、ここは前衛職らしく私の盾になってね」
「ちょっ⁉︎ 関係なくないですの⁉︎」
「友達でしょう? 立て替えよろしく!」
「この、外道がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
徐々に遠くなる絶叫を聞きながら身体を回転。蜘蛛のように地面に穿い、衝撃を全身を使い地面へと受け流します。
『なんか大きな音がしたけど?』
ふわふわと言った感じでくーちゃんが私に近づいてきます。
別の部屋にいたのでやりとりを聞いてなかったのでしょうね。
私は身体を起こしながら伸びをします。
「さ、くーちゃん、雪見に行きましょうか」
『雪! 行くの!』
「ええ、ここから素早く撤収です」
私は宿屋を振り返らずにスタスタと歩きます。
ぐっぱい、マリー。また会う日まで。
宿屋の一室ではひたすらに肉を打つ音が響き渡っていた。
同時に周囲に赤い華が咲き、ひたすらに鉄の匂いを撒き散らし、部屋を満たして行きます。
「いい加減に落ちてください!」
何度殴ってもひたすらにこちらに向かって拳を振るってくるマリーに寒気すら感じます。明らかに私よりマリーのほうが血を流しているはずなのになんで倒れないんですかね!
考えているとマリーの拳が風をねじ切るようにして放たれたのが見えた私は必死に首を捻り躱します。
轟! という音が耳元で鳴り必殺と呼べる一撃が通過します。
「後衛の癖にあなたも無駄にタフですね!」
呆れたような口調で言いながらも明らかに楽しんでいるような口調。
恐ろしいまでの前衛職の攻撃力。おそらくは手加減されているのでしょう。
そこはかとなくムカついてきたのでいいでしょう。
本来の闘い方をしてやりましょう!
ただ、握手した手は離しません。離したらなんだか負けた気がしますからね。
拳で闘うという選択肢を放棄。
即座に足技に切り替え抉るようにマリーの脛を狙います。
「っ⁉︎」
声にならない悲鳴とうのはこういうことを言うのでしょう。いつもなら足甲で守られている急所を打ち付けられ、マリーは血まみれの顔に涙を浮かべます。
「あ、あなた! 殴り合いで決着をつけるんじゃないんですの⁉︎」
「いいですか、マリー。世の中結果が全てなんです!」
私は素早く腰の魔法のカバンに手を入れると大量購入した安物ナイフを一本取り出し、振り上げると握手をしているマリーの腕に向かい振り下ろします。
「ちょ⁉︎」
鋭い声を上げながら私と握手をしていた手を離し、マリーは後ろに下がります。そのため、私の振り下ろしたナイフへ空を斬ります。
しかし、私の顔には笑み。
「離しましたね? 私の勝ちです」
「……あなたは本当に心のそこから外道ですよね」
『勝てばいいのじゃ! 敗者の言い分? 知らん! by長老(故)』
本当に長老の名言はためになりますね! 言葉だけは! 長老本体はいりませんけどね。
「まだやります? 握手して」
「もういいですわ。私の負けで、なにより面倒ですしよく考えたらお金になりませんもの」
そういい、マリーは闘う意思をなくしながらも手を出してきます。その手を私は凄まじく疑惑に満ちた瞳を向けます。
ナニヲタクランデイル
「……どうやったらあなたのような子供ができるのかエルフの教育方針に興味がでてきましたよ」
差し出してきた手を私が握り返す気配がないことにため息を付きながらマリーは手を下げます。
「まぁ、また縁があれば会うこともあるでしょう。その時はよろしくお願いしますね」
「その時には背中の聖剣、抜けてるといいですね」
私とマリーが笑い、朗らかな雰囲気になります。
コンコン
そんな雰囲気な中、控えめなノックの音が鳴り響きます。
自然、二人でその音のほうに目をやります。
「失礼します、うわぁ」
オドオドした様子で入ってきたバイトの少年が顔を顰め、なんとも言えない声を上げます。
まぁ、血塗れの女性が二人いたら驚きますよね。
「あの、おやっさんから様子見てこいと言われたんですけど……」
ああ、昨日の夜から暴れてましたからね。暴れる音がなくなったから様子を見に来させたわけですか。
自分で見に来ない辺りこの宿のマスターもなかなかに人として外道な気配がしますね。この子生贄扱いしてますし。
「大丈夫ですよ、和解しました」
「和解しましたの?」
私の笑顔での答えにマリーは頭に疑問符を浮かべながら首を傾げてました。
その言葉に少年はホッとしたような表情を浮かべます。
「よかった。ではこの部屋の修繕費なんですが……」
「戦略的撤退!」
私は叫びながら窓ガラスに向かい疾走! 頭を手で守りながらガラスを突き破り逃走を図ります。
「な、リリカ⁉︎」
マリーの驚いた声が後ろから聞こえますがその時には私の体はすでに宙にあります。身体を捻り、マリーが見えるようにすると私はマリーに見えるように親指を立て笑顔を浮かべます。
「マリー、ここは前衛職らしく私の盾になってね」
「ちょっ⁉︎ 関係なくないですの⁉︎」
「友達でしょう? 立て替えよろしく!」
「この、外道がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
徐々に遠くなる絶叫を聞きながら身体を回転。蜘蛛のように地面に穿い、衝撃を全身を使い地面へと受け流します。
『なんか大きな音がしたけど?』
ふわふわと言った感じでくーちゃんが私に近づいてきます。
別の部屋にいたのでやりとりを聞いてなかったのでしょうね。
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