エルフさんが通ります

るーるー

というわけでカクカクシカジカエルエルフ

 マリーと共に宿に戻ったその深夜。
 私はベッドの上で材料を広げ薬作りに精をだしていました。きっちりと図った分量の材料を幾つもかき混ぜ、私でも使える生活魔法で火を起こし煮詰めて行きます。
 作る薬自体は以前にも作ったことがあるものばかりですが繊細な作業なため自然と無口になります。
 そこはくーちゃんも察してくれているのかこちらには声をかけてこずに宿のロビーに置いてあった新聞を読んでいました。
 ……精霊って新聞読むんですね。驚きです。
 調合の終えた薬を慎重に試験管に移し封をし、クスリ作りの工程を終了します。


「ふぅ」


 慣れているとはいってもやはり神経を削る作業です。慎重にやればやるほど疲れるものです。
出来上がった薬を軽く掲げ光に当てながら不純物がないかの確認を行いますが特に見当たらなかったので魔法のカバンマジックバックにしまいます。


『おわったー?』


私が薬を作り終えた事に気づいたくーちゃんが新聞から目を離し声をかけてきました。


「ええ、終わりましたよ。なかなかに疲れました」
『また売り物?』
「ハッハッハ、くーちゃんは面白いことを言いますね。売り物ならもっと適当に作ります」
『いや、売り物は真面目に作ろう?』


 自分で使う分ですからね。慎重にもなります。
 売り物ならきっちりと量を測ったりしませんよ。私が使うわけじゃないですしたにんがどうなろうと知ったことではありませんし。


『リリカが使うよう?』
「ええ、できれば使いたくありませんがね」


 作った薬は強力な物ですが使わないに越したことありません。あくまで緊急用です。


『また、なにか悪いことやる気?』
「そんなことしませんよ。観光ですよ観光ですよ。まだ一つきっちりと見てないところがありましたからね」
『リリカ、自覚ないと思うけど嘘着く時すごく口元が笑ってるんだよ?』


 それは自覚がありませんでした。以後気をつけましょう。
 ぽーかーふぇいすとやらを身につける必要がありますね。今度ギャンブルの街にでも行きましょう。


「さて、私は出かけますがくーちゃんはどうします?」


 魔法のカバンマジックバックから頭を覆う黒いフードの付いた外套を取り出し着込みながら尋ねます。


『暇だから行く〜』


 やはり新聞は楽しくなかったのかくーちゃんはニコニコしながら着いてきます。
 そんなくーちゃんを見て私は微笑みながら宿を後にするのでした。

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