エルフさんが通ります
新たな世界の扉? 開いた記憶がございません
「王都、飽きた」
『あきたね~』
既に王都に居ついて一週間。
もはやここではやることがない。
ここの冒険者ギルドにも顔を出して依頼などを受けてみたけど、何、あのみんなのやる気。魔物が一瞬で狩りつくされるから全く私が狩れずにいるからストレスが溜まって仕方がないですね。
マリーはというと聖剣についていろいろと調べているみたいですし。
「暇ですね」
『だね~』
無意味な時間というのはこういうことを言うんでしょうか。
観光的なものはほぼ終ってしまいましたし、武器の整備、『旋風』も刃の傷がなくなり美しい刀身で戻ってきました。鍛冶師の力は凄いですね。
「これ以上することがないと退屈で死んでしまいますね」
『それはないけど……』
特に目的もなくフラフラと街を歩いていましたが目的がないとすぐに足が止まってしまいますね。
いっそのことマリーと別れて違うところを旅するのもいいかもしれません。
「雪というものが見たいですね。白くてふわふわしているんでしょう?」
『わたしも見たことないね〜』
何処に行ったら見れるんでしょうね雪。
急に見たくなってきましたよ雪。
よし、見に行こう! すぐ行こう雪!
「よし、くーちゃん! 行きますよ! 雪を見に!」
『うん! 楽しみだね!』
ふふふ、くーちゃんも嬉しそうですね。
そうと決まれば急いで準備と情報を集めなければ!
「なに考えているんですか」
「え?」
駆け出そうとした私の体が宙に浮かびぶらーんとぶら下がります。服が首に食い込んで苦しいです。
苦しみながらも後ろを振り返ると鬼の形相と言うべき顔をしたマリーの姿がありました。
なるほど。マリーに掴まれているから私の首は絞まって少しづつ意識が……遠の……い……
◇◇◇◇◇◇
気がつくとそこは一面に色とりどりの花が咲き乱れていました。
「はて、私はさっきまでくーちゃんと共に雪を見に行く計画を立てていたはずなんですけどね?」
こんな花ばかりの空間ではなく周りにはゴミのように人がいたと思うんですけど。
「それになんですかね? この川の色」
目の前にはおきな川が流れています。ただし、普通の水の色である透明ではなく微妙に川底が見える位の紫色の水が流れていますが。
……どう見ても毒の川にしか見えません。
しかし周りには誰もいないのが気になりますね。
「異界ですかね?」
極稀に私たちの住む世界とは違う世界に繋がることがあるという話を聞いたことがありますがここながそうなんですかね?
キョロキョロと周囲を見渡します。すると少し下流のところに何人かの人影が見えました。
「なんだちゃんと人がいるじゃないですか」
とりあえずあの人たちにここがどこか尋ねるとしましょう。
下流に向かい歩き始めると少しづつ近づいてきているため人影がはっきりと見えてきます。何かしているようですが私の目に付いたものは服装でした。全員白い服を着た子供だったのです。
「……」
不気味です。いえ、不気味以外の適切な言葉が全く出てきません。
しかもその子供がすすり泣きながら石ころを積み上げているのです。
なにかの邪教でしょうか? 人間の宗教は奥が深いですね。
とりあえず情報収集をするとしましょう。
「あのすいません、ここはどこですか?」
「……」
無視ですか……
いや、泣いてはいるんですけど。無視されるのは気分のいいものではありませんね。
「人の話はちゃんと聞きましょう!」
「あ……」
とりあえず話を聞かない元凶である積み石を蹴飛ばしてみました。
すると一度こちらを死んだ魚のような目で見てきますが再び石を広い積み上げるのを再開し始めました。
「まだ無視ですか」
なんとなく何をしても無視されるような気がしますので再度蹴り飛ばすのはやめておきました。
しかし、ここがまともな空間でないことはよく分りました。普通なら怒ります。
少なくとも私なら相手をぶっ飛ばす自信があります。
「どうしたものでしょうね」
何とかして元に戻りたいところですが方法が全く分りませんね。
川辺に座りため息を付きながらも仕方なしに見るものもないので石を積み上げている子供を眺めます。
あ~、まさか異世界でも退屈とは。
リーンリーン
「ん、何の音です?」
鈴の音のようなものが聞こえましたけど。
何処から聞こえたのかを確認するために周囲を見渡します。
「あ、あれですかね?」
何処から音が鳴り響いているかはわかりませんが行列がこちらのほうに向かい歩いてきています。
もしや出口のほうに向かうんですかね?
「しかし、服装のバラバラな行列ですね」
統一感がありませんね。
騎士であったり平民みたいな服装であったり、あ、あそこの人は貴族っぽいですね。ドワーフまでいます。
……なんなんですか、この行列は。
あ、エルフまでいますね。あの背の小ささ、うちの長老みたいですね。ハハハ、顔まで長老に……
「ってあれ長老だ!」
異様に小さい身長、無駄に長い金の髪、頭部には皿上のハゲ! 何処からどう見ても長老です。
しかしなぜ長老があんなわけの分らない行列に?
だが、これはチャンスです。
「この誰もいない空間なら積年の恨みを果たすチャンスです」
どこかわかりませんがここは完全に外界とは拒絶されている様子。
つまりここで行ったことは外には漏れない。
やったことがバレナイ。すなわち完全犯罪です。
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
私は雄たけびを上げながら一気に駆け出します。
もちろん死んだ魚の瞳をした長老に向かってです。
勢いをつけて走りますが長老は一切反応を示しません。
行列に向かい跳躍。
勢いの付いた私はとどまることを知らずに完全無欠に寸分違わず長老の頭に吸い込まれるように美しい美脚を叩き込み、鈍い音を響かせながら御老体を宙高くに跳ね上げました。
あ…… 全く回避をしようとしませんでしたね。
私の知ってる長老ならば絶対に避けれると思ったんですが…… つまりこの長老は長老の形をした別人なんでしょうか?
「別人殺っちゃいましたか?」
ぐしゃっと何かがつぶれたような音を耳に捕らえながら着地した私はおそらくは肉塊になっているだろう長老? に視線を向けます。
明らかに死ぬような角度で攻撃は入りましたが相手は長老? 飛び掛ってきてもおかしくありませんからね。警戒しておくにこしたことはありません。
しばらく警戒しているとゆっくりと長老? が起き上がりました。
そして私の方に向かい瞳を向けてきます。
「ひぃ!」
瞳を向けられた私は無様な悲鳴を漏らしました。
長老? が私に向けてきた眼。
あの殺意が軽く混じったような瞳を浮べれるのは長老でしかありえません!
「リィィィィィィィィィィリィィィィィィィィィィカァァァァァァァッァァァァァ!」
ほら、怨嗟の声を上げて凄まじい形相でこちらに走ってきますよ。
あの爺、まだ戦えますね!
「老体は労わらんかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「上等です! 今度こそ棺桶に叩き込んでやります!」
私に拳を振りかぶってきた長老に対し私も構えた拳を振りかざし死に底ないに殴りかかったのでした。
『あきたね~』
既に王都に居ついて一週間。
もはやここではやることがない。
ここの冒険者ギルドにも顔を出して依頼などを受けてみたけど、何、あのみんなのやる気。魔物が一瞬で狩りつくされるから全く私が狩れずにいるからストレスが溜まって仕方がないですね。
マリーはというと聖剣についていろいろと調べているみたいですし。
「暇ですね」
『だね~』
無意味な時間というのはこういうことを言うんでしょうか。
観光的なものはほぼ終ってしまいましたし、武器の整備、『旋風』も刃の傷がなくなり美しい刀身で戻ってきました。鍛冶師の力は凄いですね。
「これ以上することがないと退屈で死んでしまいますね」
『それはないけど……』
特に目的もなくフラフラと街を歩いていましたが目的がないとすぐに足が止まってしまいますね。
いっそのことマリーと別れて違うところを旅するのもいいかもしれません。
「雪というものが見たいですね。白くてふわふわしているんでしょう?」
『わたしも見たことないね〜』
何処に行ったら見れるんでしょうね雪。
急に見たくなってきましたよ雪。
よし、見に行こう! すぐ行こう雪!
「よし、くーちゃん! 行きますよ! 雪を見に!」
『うん! 楽しみだね!』
ふふふ、くーちゃんも嬉しそうですね。
そうと決まれば急いで準備と情報を集めなければ!
「なに考えているんですか」
「え?」
駆け出そうとした私の体が宙に浮かびぶらーんとぶら下がります。服が首に食い込んで苦しいです。
苦しみながらも後ろを振り返ると鬼の形相と言うべき顔をしたマリーの姿がありました。
なるほど。マリーに掴まれているから私の首は絞まって少しづつ意識が……遠の……い……
◇◇◇◇◇◇
気がつくとそこは一面に色とりどりの花が咲き乱れていました。
「はて、私はさっきまでくーちゃんと共に雪を見に行く計画を立てていたはずなんですけどね?」
こんな花ばかりの空間ではなく周りにはゴミのように人がいたと思うんですけど。
「それになんですかね? この川の色」
目の前にはおきな川が流れています。ただし、普通の水の色である透明ではなく微妙に川底が見える位の紫色の水が流れていますが。
……どう見ても毒の川にしか見えません。
しかし周りには誰もいないのが気になりますね。
「異界ですかね?」
極稀に私たちの住む世界とは違う世界に繋がることがあるという話を聞いたことがありますがここながそうなんですかね?
キョロキョロと周囲を見渡します。すると少し下流のところに何人かの人影が見えました。
「なんだちゃんと人がいるじゃないですか」
とりあえずあの人たちにここがどこか尋ねるとしましょう。
下流に向かい歩き始めると少しづつ近づいてきているため人影がはっきりと見えてきます。何かしているようですが私の目に付いたものは服装でした。全員白い服を着た子供だったのです。
「……」
不気味です。いえ、不気味以外の適切な言葉が全く出てきません。
しかもその子供がすすり泣きながら石ころを積み上げているのです。
なにかの邪教でしょうか? 人間の宗教は奥が深いですね。
とりあえず情報収集をするとしましょう。
「あのすいません、ここはどこですか?」
「……」
無視ですか……
いや、泣いてはいるんですけど。無視されるのは気分のいいものではありませんね。
「人の話はちゃんと聞きましょう!」
「あ……」
とりあえず話を聞かない元凶である積み石を蹴飛ばしてみました。
すると一度こちらを死んだ魚のような目で見てきますが再び石を広い積み上げるのを再開し始めました。
「まだ無視ですか」
なんとなく何をしても無視されるような気がしますので再度蹴り飛ばすのはやめておきました。
しかし、ここがまともな空間でないことはよく分りました。普通なら怒ります。
少なくとも私なら相手をぶっ飛ばす自信があります。
「どうしたものでしょうね」
何とかして元に戻りたいところですが方法が全く分りませんね。
川辺に座りため息を付きながらも仕方なしに見るものもないので石を積み上げている子供を眺めます。
あ~、まさか異世界でも退屈とは。
リーンリーン
「ん、何の音です?」
鈴の音のようなものが聞こえましたけど。
何処から聞こえたのかを確認するために周囲を見渡します。
「あ、あれですかね?」
何処から音が鳴り響いているかはわかりませんが行列がこちらのほうに向かい歩いてきています。
もしや出口のほうに向かうんですかね?
「しかし、服装のバラバラな行列ですね」
統一感がありませんね。
騎士であったり平民みたいな服装であったり、あ、あそこの人は貴族っぽいですね。ドワーフまでいます。
……なんなんですか、この行列は。
あ、エルフまでいますね。あの背の小ささ、うちの長老みたいですね。ハハハ、顔まで長老に……
「ってあれ長老だ!」
異様に小さい身長、無駄に長い金の髪、頭部には皿上のハゲ! 何処からどう見ても長老です。
しかしなぜ長老があんなわけの分らない行列に?
だが、これはチャンスです。
「この誰もいない空間なら積年の恨みを果たすチャンスです」
どこかわかりませんがここは完全に外界とは拒絶されている様子。
つまりここで行ったことは外には漏れない。
やったことがバレナイ。すなわち完全犯罪です。
「ちょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
私は雄たけびを上げながら一気に駆け出します。
もちろん死んだ魚の瞳をした長老に向かってです。
勢いをつけて走りますが長老は一切反応を示しません。
行列に向かい跳躍。
勢いの付いた私はとどまることを知らずに完全無欠に寸分違わず長老の頭に吸い込まれるように美しい美脚を叩き込み、鈍い音を響かせながら御老体を宙高くに跳ね上げました。
あ…… 全く回避をしようとしませんでしたね。
私の知ってる長老ならば絶対に避けれると思ったんですが…… つまりこの長老は長老の形をした別人なんでしょうか?
「別人殺っちゃいましたか?」
ぐしゃっと何かがつぶれたような音を耳に捕らえながら着地した私はおそらくは肉塊になっているだろう長老? に視線を向けます。
明らかに死ぬような角度で攻撃は入りましたが相手は長老? 飛び掛ってきてもおかしくありませんからね。警戒しておくにこしたことはありません。
しばらく警戒しているとゆっくりと長老? が起き上がりました。
そして私の方に向かい瞳を向けてきます。
「ひぃ!」
瞳を向けられた私は無様な悲鳴を漏らしました。
長老? が私に向けてきた眼。
あの殺意が軽く混じったような瞳を浮べれるのは長老でしかありえません!
「リィィィィィィィィィィリィィィィィィィィィィカァァァァァァァッァァァァァ!」
ほら、怨嗟の声を上げて凄まじい形相でこちらに走ってきますよ。
あの爺、まだ戦えますね!
「老体は労わらんかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「上等です! 今度こそ棺桶に叩き込んでやります!」
私に拳を振りかぶってきた長老に対し私も構えた拳を振りかざし死に底ないに殴りかかったのでした。
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