エルフさんが通ります
苦手な接近戦
「腕の一本、二本、三本は覚悟してもらうぜ!」
ミノタウロスがよくわからない言葉を言いながら私に殴りかかってきます。
普通に考えて腕は二本しかないでしょうに。
右へ左へと避けながらどうしたものかと考えます。
私は避けるのはできますが接近戦は得意ではないのです。
とりあえず身を守るべく魔法のカバンから先程購入したナイフを取り出し構えます。
そしてミノタウロスが拳を私に向かい突き出してきた瞬間、横に躱すと無防備に晒された腕に対して殴りつけるようにナイフを叩き込みました。
なんとも言えない不快な感触が伝わってきますが、それを無視し、引き抜こうとします。しかし、流石は安物のナイフ。パキンという安っぽい音を立てて折れてしまいした。
「さすがは安物です」
「ギャァァァァァァァァァ!」
私が折れて柄だけになったナイフを見ながら呟いた独白を打ち消すかのようにミノタウロスが悲鳴を上げます。うるさいですね〜
そんな風に悲鳴を上げ腕を抑えながら転がり回るミノタウロスを無視して他の男たちが再び私に迫ってきます。
私は柄だけになったナイフを迫る男に向かい放り投げ疾走。自分から距離を詰めつつ再び魔法のカバンから安物ナイフを取り出します。
「くーちゃん」
『はーい』
私の呼びかけに適当そうな声でくーちゃんが答えます。
瞬時に私の持つ安物ナイフに風魔法が付与され淡い碧色の光を放ちます。風魔法は貫通力、斬れ味を上げるという効果のものが多く、私が使える唯一の魔法でもありますが私が使うのとくーちゃんの使う風魔法ではかなりの差が出ます。そのため、今や大量に購入した安物ナイフはナマクラからかなり切れるナイフにレベルアップしていると言えるでしょう。
走りなが軽くナイフを振るうとそれだけでかなりの勢いの風が発生しています。直接斬りつけるとなかなかの威力になりそうですね。首とかはやめときましょう。
「死ねぇぇぇぇ!」
「え⁉︎ 殺すなと言われてませんでしたか⁉︎」
まさかの殺人宣言に私は驚きながらも振り下ろされる剣を目をつむりながらもナイフを上にすくい上げるように放ちます。しかし、いつまで立っても衝撃がきません。恐る恐るといった様子で目を開けると顔を青白くした男が後ろに下がっているところでした。刀身が半ばから消えている剣を持った状態で。
「な、なんなんだそのナイフは!」
「ん? この街で買った安物ですよ」
男が震えるようなか声で尋ねてきた質問に答えているとドスっと鈍い音が私の背後で響きました。
「なんの音です?」
疑問に思いながら後ろを振り返るとそこには床に突き刺さる半分だけの剣がありました。
切断面は異常なくらい綺麗なものです。
「……」
私は無言で手に収まる碧色に光るナイフを見下ろします。そして再び視線を攻めあぐねている男たちに向けるとニヤリと笑います。
「ヒィ!」
私の笑顔を見た瞬間、男たちがびくりと震えます。
『リリカ、顔が完全に悪役』
「そんなことはありません。私は被害者ですから」
ナイフを構え、腰を落とします。里ではこんな感じに構えていた気がしますし。
「よって今から行うことは正当防衛です!」
宣言と共に一気に駆けます。とりあえずは近くにいた男の元に。
男が大柄なおかげで私の小柄な体はあっさりと死角に入ったのか完全に私を見失っている。なんともいえない間抜けな顔である。その間抜けな顔に向け手に持ったナイフを振り切った。
先程のような不快な感触は無く何も無かったかのようにナイフが空を走りました。遅れて紅い線が走り、更に遅れてゴトリという音が響き渡ります。
「……想像以上ですね」
ナイフが切断した男の頭部を眺めながら私は感嘆の声を上げます。
「このぉ!」
ようやくロゼットが男が切断されたことに気づいたのか顔色を変えて魔法道具をこちらに向けてきます。
あれはやばそうです。直感でそう感じ取った私は頭部の無くなった男の体をロゼットのほうに向け蹴りつけ自分は右に飛びます。
次の瞬間、ロゼットの手元の魔法道具から轟音が再び鳴り響き男の死体に大きな穴が開きます。
「どういう原理なんでしょう?」
「てめえ、俺の後ろに隠れるんじゃねぇ! 俺が姉御に狙われちまうだろが!」
「いや、私もあれをどうすればいいかかんがえてるとこでね?」
原理はわからないし見えないものが飛んできているのはわかるんだけど。それだけじゃどうしようもないんですよね。
男の背中に隠れながら様子を伺っているわけなんだけど。
ロゼットの手元にある魔法道具は黒い筒が曲がり手元に納まる形になっていて引き金のとうなものが付いていると言う奇抜なものです。弓とは別の遠距離から攻撃するものなんでしょう。
「そこか!」
むぅ!見つかりましたか。ロゼットがこちらを向き声を上げながら魔法道具の引き金を引きます。今回は引き金を引く瞬間を見ることができました。
「てい!」
すかさず私は盾にしていた男を蹴飛ばし自分は逃げます。後ろを振り返るとあら不思議。男は胸に拳大の穴を空け倒れこむところでした。
「撃ち出してるのは自分の魔力ですね」
煙を上げる魔法道具を指差し、私は確信します。
くーちゃんにも見えず、私のエルフの眼ですら見えない。魔法なら確実に見えますがただの魔力の塊なら見えないようです。
「ふん、それがわかったところでこの魔法道具フリングは止められないでしょ!」
ロゼットがやたらと自信満々に言ってきます。なぜか少しムカつきますね。
「はぁ、主義ではないですが…… 少し見せて上げましょう」
ため息を尽きながら私はナイフを構え、くーちゃんがそれをワクワクしているような瞳で見つめるのでした。
ミノタウロスがよくわからない言葉を言いながら私に殴りかかってきます。
普通に考えて腕は二本しかないでしょうに。
右へ左へと避けながらどうしたものかと考えます。
私は避けるのはできますが接近戦は得意ではないのです。
とりあえず身を守るべく魔法のカバンから先程購入したナイフを取り出し構えます。
そしてミノタウロスが拳を私に向かい突き出してきた瞬間、横に躱すと無防備に晒された腕に対して殴りつけるようにナイフを叩き込みました。
なんとも言えない不快な感触が伝わってきますが、それを無視し、引き抜こうとします。しかし、流石は安物のナイフ。パキンという安っぽい音を立てて折れてしまいした。
「さすがは安物です」
「ギャァァァァァァァァァ!」
私が折れて柄だけになったナイフを見ながら呟いた独白を打ち消すかのようにミノタウロスが悲鳴を上げます。うるさいですね〜
そんな風に悲鳴を上げ腕を抑えながら転がり回るミノタウロスを無視して他の男たちが再び私に迫ってきます。
私は柄だけになったナイフを迫る男に向かい放り投げ疾走。自分から距離を詰めつつ再び魔法のカバンから安物ナイフを取り出します。
「くーちゃん」
『はーい』
私の呼びかけに適当そうな声でくーちゃんが答えます。
瞬時に私の持つ安物ナイフに風魔法が付与され淡い碧色の光を放ちます。風魔法は貫通力、斬れ味を上げるという効果のものが多く、私が使える唯一の魔法でもありますが私が使うのとくーちゃんの使う風魔法ではかなりの差が出ます。そのため、今や大量に購入した安物ナイフはナマクラからかなり切れるナイフにレベルアップしていると言えるでしょう。
走りなが軽くナイフを振るうとそれだけでかなりの勢いの風が発生しています。直接斬りつけるとなかなかの威力になりそうですね。首とかはやめときましょう。
「死ねぇぇぇぇ!」
「え⁉︎ 殺すなと言われてませんでしたか⁉︎」
まさかの殺人宣言に私は驚きながらも振り下ろされる剣を目をつむりながらもナイフを上にすくい上げるように放ちます。しかし、いつまで立っても衝撃がきません。恐る恐るといった様子で目を開けると顔を青白くした男が後ろに下がっているところでした。刀身が半ばから消えている剣を持った状態で。
「な、なんなんだそのナイフは!」
「ん? この街で買った安物ですよ」
男が震えるようなか声で尋ねてきた質問に答えているとドスっと鈍い音が私の背後で響きました。
「なんの音です?」
疑問に思いながら後ろを振り返るとそこには床に突き刺さる半分だけの剣がありました。
切断面は異常なくらい綺麗なものです。
「……」
私は無言で手に収まる碧色に光るナイフを見下ろします。そして再び視線を攻めあぐねている男たちに向けるとニヤリと笑います。
「ヒィ!」
私の笑顔を見た瞬間、男たちがびくりと震えます。
『リリカ、顔が完全に悪役』
「そんなことはありません。私は被害者ですから」
ナイフを構え、腰を落とします。里ではこんな感じに構えていた気がしますし。
「よって今から行うことは正当防衛です!」
宣言と共に一気に駆けます。とりあえずは近くにいた男の元に。
男が大柄なおかげで私の小柄な体はあっさりと死角に入ったのか完全に私を見失っている。なんともいえない間抜けな顔である。その間抜けな顔に向け手に持ったナイフを振り切った。
先程のような不快な感触は無く何も無かったかのようにナイフが空を走りました。遅れて紅い線が走り、更に遅れてゴトリという音が響き渡ります。
「……想像以上ですね」
ナイフが切断した男の頭部を眺めながら私は感嘆の声を上げます。
「このぉ!」
ようやくロゼットが男が切断されたことに気づいたのか顔色を変えて魔法道具をこちらに向けてきます。
あれはやばそうです。直感でそう感じ取った私は頭部の無くなった男の体をロゼットのほうに向け蹴りつけ自分は右に飛びます。
次の瞬間、ロゼットの手元の魔法道具から轟音が再び鳴り響き男の死体に大きな穴が開きます。
「どういう原理なんでしょう?」
「てめえ、俺の後ろに隠れるんじゃねぇ! 俺が姉御に狙われちまうだろが!」
「いや、私もあれをどうすればいいかかんがえてるとこでね?」
原理はわからないし見えないものが飛んできているのはわかるんだけど。それだけじゃどうしようもないんですよね。
男の背中に隠れながら様子を伺っているわけなんだけど。
ロゼットの手元にある魔法道具は黒い筒が曲がり手元に納まる形になっていて引き金のとうなものが付いていると言う奇抜なものです。弓とは別の遠距離から攻撃するものなんでしょう。
「そこか!」
むぅ!見つかりましたか。ロゼットがこちらを向き声を上げながら魔法道具の引き金を引きます。今回は引き金を引く瞬間を見ることができました。
「てい!」
すかさず私は盾にしていた男を蹴飛ばし自分は逃げます。後ろを振り返るとあら不思議。男は胸に拳大の穴を空け倒れこむところでした。
「撃ち出してるのは自分の魔力ですね」
煙を上げる魔法道具を指差し、私は確信します。
くーちゃんにも見えず、私のエルフの眼ですら見えない。魔法なら確実に見えますがただの魔力の塊なら見えないようです。
「ふん、それがわかったところでこの魔法道具フリングは止められないでしょ!」
ロゼットがやたらと自信満々に言ってきます。なぜか少しムカつきますね。
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