雑食無双ヨルムン
ヨルムン、ガマンする…… けど無理だった
「あん? お主帰るの早かったんじゃな」
またボロボロになと服のせいでちじょ認定とやらをされつつある我は宿屋ゴートゥヘルへと帰ると酒場の片隅で膝を抱えな蹲っているルーの奴を発見する。よく見ると剣も鞘に収まっているようじゃな。同じように移動したんじゃろうか。
というかあやつ、服の準備は任せろ! みたいなことを抜かしておったくせに服を我に渡す前に『ぼうけんのしょ』の力で生き返りよってからに。
死ぬならちゃんと服だけ残して死んで生き返って欲しいものじゃ。
「急に光りながら姿を見せたと思ったら奇声をあげながら端に行ってうずくまりやがった」
我が帰ってきたことに気づいたクマの奴がグラスを磨きながら顎でしゃくりよる。
ブリューフルはというと意も介さずにやってきた客に笑顔を振りまき注文をとっていた。
いいのか元天使。下界にそんなになじんで。
まぁ、本人はいたって幸せそうだからよいのかもしれんが。
「おい、ルーなにしとるんじゃ」
我が足音を抑えることもせずに近づき声をかけるとうつむいていたルーの体が大きく揺れる。
そして恐る恐るといった様子であげた顔は青く、憔悴しきっているようじゃ。
「なんちゅう顔をしとるんじゃ? せっかく経験値が手に入ったんじゃろ?」
どれくらい入ったかは知らんがルーは死なずに経験値を入手したわけじゃからどう考えてもプラスだっ思うんじゃがな。
我なんて土しか食べておらんからな。本当に微々たる量しか入っとらん。
「せ、ぜんぜいぃ!」
「うわ、こら近寄るでないばっかちい!」
涙と鼻水を垂れ流しながら飛びついてきたルーの奴を反射的になぐりとばす。対して速くはなかったルーの胸へと容赦なくめり込んだ拳を振り抜くと面白いくらいに弾け飛んだルーは幾度も壁や床、天井にぶつかり周り涙や鼻水の他にも大量の血を撒き散らし、床へと沈む。
「む、あれくらい避けんか」
手についた血を手を振ることで払っているとルーの腰の『ぼうけんのしょ』が光を放ち、ルーの体が消失。
「ん? もしかして死んだのか?」
そんなに全力で殴ったわけではないんじゃがな。まさか死ぬとは…… 『ぼうけんのしょ』を渡しといてよかったというものじゃ。
しみじみと考え頷いていると、我の後ろから眩い光を感じたために振り返るとそこにはより一層顔色を悪くし、体を震わしているルーの姿があった。
「寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒いああああああれれがががししししし?」
なんか様子が変じゃな?
もしやページをつまみ食いしたからちゃんと起動せんかったのか?
「おい、ルー大丈夫か?」
ちょっとばかし心配になったので我は手を伸ばしながらルーへと近づくとルーのただでさえ見開いていた瞳がさらに見開かれる。
「ギャァァァァァァァァァァァァ⁉︎ くるなぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
今までで一番と言えるであろう速度でルーは腰に差していた剣を抜きはなち我に向かい一刀。
あまりの速さ、そしてまさかこの状況で切りつけてくるとは考えていなかった我は一瞬反応が遅れ、ルーの繰り出した最速の一撃を我はなすすべもなく頭へと受ける羽目となった。
ゴン、と剣で切ったにしては鈍い音が響く。ついでに衝撃も頭に響き我は頭を抱えながら蹲る羽目となった。
「〜っ⁉︎」
声を出すことが叶わぬ激痛。久々に感じる痛みに思わず涙目になる。
衝撃耐性3では耐えきれんほどの痛みじゃ。
しかし、我は我慢した。
そう、ここで癇癪をおこして手を出すほどに我は精神的に子供では……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
子供で……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
子供……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
「しつこいんじゃぁぁぁぁぁぁ!」
あまりのしつこさにキレた我は再び渾身の力を込めた拳を振りかざす。
唸りを上げた拳は涙を浮かべながら必死に剣を振り下ろしているルーの顎を下から打ち抜き、粉砕。
周囲に紅い雨を降らしたわけなんじゃが、それでも気が収まらなかった我は反対で作った手刀を縦へと振り下ろす。
すると顔が無くなったルーの体は真っ二つに別れ、再び『ぼうけんのしょ』が光だしよる。
「おい、ルーのやつ凄い勢いでレベルが上がってるぞ?」
「なんじゃと?」
我が手刀で今度は首をはねてやろうと構えをとっていると驚いたような口調でクマが光り輝き蘇生されているルーを見ながらそんなことを告げる。
「なんでそんなことがわかるんじゃ?」
見た目の変化なんぞ全くわからんからのう。
「鑑定のスキルがあるからな。まあ、レベルがわかるくらいだがな」
かんていってなんじゃ……
とりあえずはここで聞くとまた世間知らずといわれそうなのでなるほど、と頷いておくかのう。
「なんでぶっ殺されただけでレベルが上がるんじゃ?」
「さあな、一説には死にかけると経験値がバカみたいに手に入るって話だがな」
死にかける、というか死んでおるんじゃがな。そこからの蘇生じゃし。
「ぁぁぁぁぁぁ!」
「やかましい!」
手刀の構えを拳に作り変えると唸らせながら放ち、復活し奇声を上げるルーの腹に風穴をあけてやる。
いいじゃろう。
まともな話ができるようになるまで何度でも殴り倒してくれるわ!
「店が汚れる。外でやれ」
……外でな!
またボロボロになと服のせいでちじょ認定とやらをされつつある我は宿屋ゴートゥヘルへと帰ると酒場の片隅で膝を抱えな蹲っているルーの奴を発見する。よく見ると剣も鞘に収まっているようじゃな。同じように移動したんじゃろうか。
というかあやつ、服の準備は任せろ! みたいなことを抜かしておったくせに服を我に渡す前に『ぼうけんのしょ』の力で生き返りよってからに。
死ぬならちゃんと服だけ残して死んで生き返って欲しいものじゃ。
「急に光りながら姿を見せたと思ったら奇声をあげながら端に行ってうずくまりやがった」
我が帰ってきたことに気づいたクマの奴がグラスを磨きながら顎でしゃくりよる。
ブリューフルはというと意も介さずにやってきた客に笑顔を振りまき注文をとっていた。
いいのか元天使。下界にそんなになじんで。
まぁ、本人はいたって幸せそうだからよいのかもしれんが。
「おい、ルーなにしとるんじゃ」
我が足音を抑えることもせずに近づき声をかけるとうつむいていたルーの体が大きく揺れる。
そして恐る恐るといった様子であげた顔は青く、憔悴しきっているようじゃ。
「なんちゅう顔をしとるんじゃ? せっかく経験値が手に入ったんじゃろ?」
どれくらい入ったかは知らんがルーは死なずに経験値を入手したわけじゃからどう考えてもプラスだっ思うんじゃがな。
我なんて土しか食べておらんからな。本当に微々たる量しか入っとらん。
「せ、ぜんぜいぃ!」
「うわ、こら近寄るでないばっかちい!」
涙と鼻水を垂れ流しながら飛びついてきたルーの奴を反射的になぐりとばす。対して速くはなかったルーの胸へと容赦なくめり込んだ拳を振り抜くと面白いくらいに弾け飛んだルーは幾度も壁や床、天井にぶつかり周り涙や鼻水の他にも大量の血を撒き散らし、床へと沈む。
「む、あれくらい避けんか」
手についた血を手を振ることで払っているとルーの腰の『ぼうけんのしょ』が光を放ち、ルーの体が消失。
「ん? もしかして死んだのか?」
そんなに全力で殴ったわけではないんじゃがな。まさか死ぬとは…… 『ぼうけんのしょ』を渡しといてよかったというものじゃ。
しみじみと考え頷いていると、我の後ろから眩い光を感じたために振り返るとそこにはより一層顔色を悪くし、体を震わしているルーの姿があった。
「寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒いああああああれれがががししししし?」
なんか様子が変じゃな?
もしやページをつまみ食いしたからちゃんと起動せんかったのか?
「おい、ルー大丈夫か?」
ちょっとばかし心配になったので我は手を伸ばしながらルーへと近づくとルーのただでさえ見開いていた瞳がさらに見開かれる。
「ギャァァァァァァァァァァァァ⁉︎ くるなぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
今までで一番と言えるであろう速度でルーは腰に差していた剣を抜きはなち我に向かい一刀。
あまりの速さ、そしてまさかこの状況で切りつけてくるとは考えていなかった我は一瞬反応が遅れ、ルーの繰り出した最速の一撃を我はなすすべもなく頭へと受ける羽目となった。
ゴン、と剣で切ったにしては鈍い音が響く。ついでに衝撃も頭に響き我は頭を抱えながら蹲る羽目となった。
「〜っ⁉︎」
声を出すことが叶わぬ激痛。久々に感じる痛みに思わず涙目になる。
衝撃耐性3では耐えきれんほどの痛みじゃ。
しかし、我は我慢した。
そう、ここで癇癪をおこして手を出すほどに我は精神的に子供では……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
子供で……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
子供……
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!
「しつこいんじゃぁぁぁぁぁぁ!」
あまりのしつこさにキレた我は再び渾身の力を込めた拳を振りかざす。
唸りを上げた拳は涙を浮かべながら必死に剣を振り下ろしているルーの顎を下から打ち抜き、粉砕。
周囲に紅い雨を降らしたわけなんじゃが、それでも気が収まらなかった我は反対で作った手刀を縦へと振り下ろす。
すると顔が無くなったルーの体は真っ二つに別れ、再び『ぼうけんのしょ』が光だしよる。
「おい、ルーのやつ凄い勢いでレベルが上がってるぞ?」
「なんじゃと?」
我が手刀で今度は首をはねてやろうと構えをとっていると驚いたような口調でクマが光り輝き蘇生されているルーを見ながらそんなことを告げる。
「なんでそんなことがわかるんじゃ?」
見た目の変化なんぞ全くわからんからのう。
「鑑定のスキルがあるからな。まあ、レベルがわかるくらいだがな」
かんていってなんじゃ……
とりあえずはここで聞くとまた世間知らずといわれそうなのでなるほど、と頷いておくかのう。
「なんでぶっ殺されただけでレベルが上がるんじゃ?」
「さあな、一説には死にかけると経験値がバカみたいに手に入るって話だがな」
死にかける、というか死んでおるんじゃがな。そこからの蘇生じゃし。
「ぁぁぁぁぁぁ!」
「やかましい!」
手刀の構えを拳に作り変えると唸らせながら放ち、復活し奇声を上げるルーの腹に風穴をあけてやる。
いいじゃろう。
まともな話ができるようになるまで何度でも殴り倒してくれるわ!
「店が汚れる。外でやれ」
……外でな!
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