雑食無双ヨルムン
ヨルムン、けいこをつけさせられる
「先生」
「ふぁんじゃ?」
なにやら真剣な顏で我をみてきとるわけなんじゃが……
まさか、以前ルーへ渡した『ぼうけんのしょ』をつまみ食いしたのがバレたのか? ちゃんとバレないように一ページ丸々食べたというのに。
「稽古をつけて下さい」
うむ、どうやらつまみ食いはバレてはいなかったようじゃ。
ルーに『ぼうけんのしょ』を与えてから数日、ゴートゥヘルで山盛りのぱすたとかいう麺類を口いっぱいに頬張っている最中に唐突に姿を見せたルーは完全装備と言えるほどに見事な鎧を着込んで姿を現した。
「ふぁふぃふぃふぁっふぇふろ」
「食いながら喋るんじゃねえ」
む、確かに食いながら喋ったところで伝わるわけはないかのう。
クマに指摘されそのことに気づいた我は口の中のものをとりあえず飲み込むことにする。
『未知の味を取得しました。経験値を153入手しました』
うむ、やはり料理となると経験値の実入りがよいのう。
ここ最近わかったことじゃが素材だけを食べるよりも料理されたものを食べた方が経験値が良く入るようじゃ。
つかっている素材の数にもよるのかもしれんがこれはかなり有効じゃな。今後も料理は積極的に食べていくべきじゃろう。
「それで? なんで我がお主とたたかわないといかんのじゃ?」
「稽古です。昨日先生から頂いた『ぼうけんのしょ』がありますので多少のことでは死なないでしょうし、これを機に先生の力を私は感じたいので」
いや、そんなもんはいい迷惑なんじゃが…… なにより我には全くと言っていいほどにいいことがない。
動いたぶんだけ腹が減るだけではないか。
「え〜 ルーさんはいたぶられて快感を感じるようなドMだったんですね〜」
柔かな笑みを浮かべながら姿を現したのはクマと同じような宿屋の服を着たブリューフルであった。
食うも住むも困った彼女はさんしょくすまい付きいう好条件とやらでゴートゥヘルで働き始めたのだ。
初めは我に金を借りようとしていたのだが我の金は我の物ゆえにしつこく迫ってきたブリューフルの腹に数発拳を叩き込んでやるとすぐに静かにぐったりしおったからのう。
「Mではありません! ですが美少女にいたぶられるかと思うとドキドしま…… ってなんで稽古をつけてもらうことがなぜいたぶられるということになるんですか!」
此奴、我のことをそんな目で見ておったのか……
「ブリューフル、しっかり働けよ。そしたら餌…… 食事の時間だからな」
「了解ですマスターさん!」
我らの会話を聞いていたクマが仕事を忘れて話しこもうとしていたブリューフルに水をさし、ブリューフルは了解の意を示した後に再び酒場の給仕へて戻って行きおる。
ほのぼのとした会話ではあるが今明らかにクマの奴はブリューフルに与える食事のことを餌といったような気がするんじゃがな。
それでいいのか? 元天使よ。
「そもそもの話がお主は一度我に鎧ごと吹き飛ばされてるはずじゃろうが」
勝手に弟子入りしてきたのもその時だったと我は記憶しておるわけなんじゃがな。
「あの時の私とは違います!」
「さして日にちも立っとらんじゃろうが」
強いてお主が我と出会って変わったことといえば腰に吊るす武器が二度変わっておることくらいじゃ。
今のルーの腰にはこれまた見事な細工が精緻に施されているいかにも高そうと言わんばかりの剣を吊るしておるわけなんじゃが、人間というのは無駄に手先が器用じゃな。
その精巧な細工に釣り合うほどの名剣かどうかは我にはわからんわけじゃからな。
「それにあの時に負けたお主は本来なら命はないはずなんじゃぞ?」
当時、一撃で吹き飛ばされたルーは壁へと飛ばされておったわけじゃからな。
追撃すれば確実にぶっ殺してしまったじゃろうしな。
「世の中は焼肉定食じゃ、我はそれを学んだのだ」
「弱肉強食だ。それに焼肉定食は今日のランチだ」
「む、それは楽しみじゃな」
どうやら看板に書いてあった文字のインパクトが強くて無意識にいってしまったようじゃな。
「先生、すでに意味がわからないんですが……」
まだわからんとは察しが悪い奴じゃのう。
「つまり一度負けとる奴と戦うなんていうのは無意味じゃろ?」
「戦うんではありません! 稽古です!」
どっちにしろ戦う羽目になりそうじゃから一緒だと思うんじゃがな。
「なにより我に得がないぞ? 何もないのに動くのは嫌じゃ」
「な、なら我が家にて食事を用意させていただきますので!」
「食事だと!」
食事の方が経験値の入りが良いとわかったからにはこの提案は非常に魅力的なものじゃのう。
ルーを殺さん程度にしばきあげればいいだけで食事、もとい経験値が手に入ると考えると非常に楽なことじゃし。
「よいじゃろう。ならば、けいことやらをつけてやろう」
「ありがとうございます! あ、あと服もこちらで準備ときますね」
「ん?」
なんで服の準備がひつようなんじゃ? ちゃんと我は服を着ているというのに。
「いや、どうせ先生は戦闘になると服をぼろぼろにするでしょ?」
「言われて見ると確かにいつもぼろぼろじゃな」
我の身体には一切傷はついて居らぬが服だけはぼろぼろになっとるしのう。
「ですので私が精一杯先生に似合う服を選ばせていただきます!」
「う、うむ、まかせる」
なんでそんな鼻息荒く意思を込めたような口調で言ってくるんじゃろうか?
「ふぁんじゃ?」
なにやら真剣な顏で我をみてきとるわけなんじゃが……
まさか、以前ルーへ渡した『ぼうけんのしょ』をつまみ食いしたのがバレたのか? ちゃんとバレないように一ページ丸々食べたというのに。
「稽古をつけて下さい」
うむ、どうやらつまみ食いはバレてはいなかったようじゃ。
ルーに『ぼうけんのしょ』を与えてから数日、ゴートゥヘルで山盛りのぱすたとかいう麺類を口いっぱいに頬張っている最中に唐突に姿を見せたルーは完全装備と言えるほどに見事な鎧を着込んで姿を現した。
「ふぁふぃふぃふぁっふぇふろ」
「食いながら喋るんじゃねえ」
む、確かに食いながら喋ったところで伝わるわけはないかのう。
クマに指摘されそのことに気づいた我は口の中のものをとりあえず飲み込むことにする。
『未知の味を取得しました。経験値を153入手しました』
うむ、やはり料理となると経験値の実入りがよいのう。
ここ最近わかったことじゃが素材だけを食べるよりも料理されたものを食べた方が経験値が良く入るようじゃ。
つかっている素材の数にもよるのかもしれんがこれはかなり有効じゃな。今後も料理は積極的に食べていくべきじゃろう。
「それで? なんで我がお主とたたかわないといかんのじゃ?」
「稽古です。昨日先生から頂いた『ぼうけんのしょ』がありますので多少のことでは死なないでしょうし、これを機に先生の力を私は感じたいので」
いや、そんなもんはいい迷惑なんじゃが…… なにより我には全くと言っていいほどにいいことがない。
動いたぶんだけ腹が減るだけではないか。
「え〜 ルーさんはいたぶられて快感を感じるようなドMだったんですね〜」
柔かな笑みを浮かべながら姿を現したのはクマと同じような宿屋の服を着たブリューフルであった。
食うも住むも困った彼女はさんしょくすまい付きいう好条件とやらでゴートゥヘルで働き始めたのだ。
初めは我に金を借りようとしていたのだが我の金は我の物ゆえにしつこく迫ってきたブリューフルの腹に数発拳を叩き込んでやるとすぐに静かにぐったりしおったからのう。
「Mではありません! ですが美少女にいたぶられるかと思うとドキドしま…… ってなんで稽古をつけてもらうことがなぜいたぶられるということになるんですか!」
此奴、我のことをそんな目で見ておったのか……
「ブリューフル、しっかり働けよ。そしたら餌…… 食事の時間だからな」
「了解ですマスターさん!」
我らの会話を聞いていたクマが仕事を忘れて話しこもうとしていたブリューフルに水をさし、ブリューフルは了解の意を示した後に再び酒場の給仕へて戻って行きおる。
ほのぼのとした会話ではあるが今明らかにクマの奴はブリューフルに与える食事のことを餌といったような気がするんじゃがな。
それでいいのか? 元天使よ。
「そもそもの話がお主は一度我に鎧ごと吹き飛ばされてるはずじゃろうが」
勝手に弟子入りしてきたのもその時だったと我は記憶しておるわけなんじゃがな。
「あの時の私とは違います!」
「さして日にちも立っとらんじゃろうが」
強いてお主が我と出会って変わったことといえば腰に吊るす武器が二度変わっておることくらいじゃ。
今のルーの腰にはこれまた見事な細工が精緻に施されているいかにも高そうと言わんばかりの剣を吊るしておるわけなんじゃが、人間というのは無駄に手先が器用じゃな。
その精巧な細工に釣り合うほどの名剣かどうかは我にはわからんわけじゃからな。
「それにあの時に負けたお主は本来なら命はないはずなんじゃぞ?」
当時、一撃で吹き飛ばされたルーは壁へと飛ばされておったわけじゃからな。
追撃すれば確実にぶっ殺してしまったじゃろうしな。
「世の中は焼肉定食じゃ、我はそれを学んだのだ」
「弱肉強食だ。それに焼肉定食は今日のランチだ」
「む、それは楽しみじゃな」
どうやら看板に書いてあった文字のインパクトが強くて無意識にいってしまったようじゃな。
「先生、すでに意味がわからないんですが……」
まだわからんとは察しが悪い奴じゃのう。
「つまり一度負けとる奴と戦うなんていうのは無意味じゃろ?」
「戦うんではありません! 稽古です!」
どっちにしろ戦う羽目になりそうじゃから一緒だと思うんじゃがな。
「なにより我に得がないぞ? 何もないのに動くのは嫌じゃ」
「な、なら我が家にて食事を用意させていただきますので!」
「食事だと!」
食事の方が経験値の入りが良いとわかったからにはこの提案は非常に魅力的なものじゃのう。
ルーを殺さん程度にしばきあげればいいだけで食事、もとい経験値が手に入ると考えると非常に楽なことじゃし。
「よいじゃろう。ならば、けいことやらをつけてやろう」
「ありがとうございます! あ、あと服もこちらで準備ときますね」
「ん?」
なんで服の準備がひつようなんじゃ? ちゃんと我は服を着ているというのに。
「いや、どうせ先生は戦闘になると服をぼろぼろにするでしょ?」
「言われて見ると確かにいつもぼろぼろじゃな」
我の身体には一切傷はついて居らぬが服だけはぼろぼろになっとるしのう。
「ですので私が精一杯先生に似合う服を選ばせていただきます!」
「う、うむ、まかせる」
なんでそんな鼻息荒く意思を込めたような口調で言ってくるんじゃろうか?
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