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雑食無双ヨルムン

るーるー

ヨルムン、泣きつかれる

「しかし、狩りをすると言ってもどうすればいいかもわからんのぅ」


 宿屋ゴートゥヘルを後にし、クマから貰った古ぼけたリュックを背負った我であるがどうすればいいかを思い出したわけなんじゃが、全くわからん。カバンのなかにはお腹が減った時用の食料を詰め込みまくったからずっしりと重い。
 そもそも我は船でここに来てからこの街から出たことすらないわけじゃからな。
 しかもこの街でも知っとる場所はかなり限られておる。
 ご飯が売られている場所じゃろ? あと闘技場の場所とゴートゥヘルの場所。
 これさえ抑えておけば我が生活するのにさほど苦労するわけではないからのぅ。


「先生は異国の出身ですか?」


 そう尋ねて来たのはなぜか我の後ろをニコニコと笑いながらついて来たルーである。


「あー我と似たような髪の色は見たことはないからのぅ」


 周りを歩く輩を見ても我と同じ黒い髪の奴らは見ないしのう。いや、そもそもの話、我の場合は世界中の海を泳ぎ回っていた元世界蛇じだったわけだからのう。異国と言えば異国なんじゃろうがな。


 しかし、こやつもなぜついて来とるのかが全くの謎じゃがな。


「せっかくの先生が戦闘する機会なのですから色々と勉強さしていただきます」


 なんでそんなに興奮気味なんじゃ?
 いや、よく考えたらこやつの武器は剣じゃろ? 我から一体何を学ぶというんじゃろうか? 我素手なんじゃが。


「そもそもどこに向かえばいいんじゃ?」
「なんでしたらまずは冒険者ギルドにいって色々と説明を受けて冒険者の資格をとってみてはどうです?」
「却下じゃ」
「え、即答⁉︎」


 ルーの提案をすぐに我は蹴り飛ばす。するとルーは動揺したように目を泳がせよる。


「な、なんで却下なんです?」
「上から目線で説明されるのはなんか腹がたつからのぅ」


 いや、人間だからとバカにしているわけではないんじゃよ。そもそも今の我の容姿が完全に子供だからということもあるんじゃが、我に話しかけてくる奴らが完全に子供扱いしてくるんじゃよ。


「じゃから行かん」
「そ、そんなこと言わないで登録をしときませんか? 登録したら他国に行く際に関所とかのお金払わなくていいんですから、ねっ? ねっ?」


 こいつなんなんじゃ?
 我が断ったら一瞬で顔が青くなりよったしなんか企んどるのはまるわかりなんじゃがな。


「だって面倒じゃし」
「ででしたら私が代わりに先生な冒険者の登録を行って来ましょう」
「ん? 別に本人が行かなくてもいいのか?」


 それなら登録するくらいはやってもいいかもしれんのぅ。


「はい、先生は国が要注意指定を出すほどですから。天教騎士団を歯牙にも掛けない実力ですしね。それに私は一応ガル家、貴族な訳ですしそこから推薦を受けた優秀な人物であるならば冒険者ギルドも喉から手が出るほどでしょう」


 うーん、怪しすぎるここまで優遇してくることがすでに怪しすぎる。


「で、本当はなんなんじゃ?」
「な、な、なんのことですか」


 今度は目を合わさなくなったんじゃが。我が音が鳴るならばジーという音が上がりそうなほどに凝視をしてやると額から一筋の汗が流れとる。


「っ」


 小さく声を漏らすと我の視線から逃れるようにして顔を高速で背けておるが我がその顔の正面に行くように高速で移動をしてやります。


「ジー」
「ジー」
「ジー」


 声を上げながら高速で移動しながら凝視してやると口を震わし始めておるようじゃしもう少しかのう。


「だ、だって先生を冒険者にしないとお父様に怒られるんです! ま、またかみなり魔法で強化された手でお尻ぺんぺんされるんです! 使用人達の前ですよ⁉︎ あれ痛いし食らったらしばらくまともに椅子に座っとけないんですからね!」


 いや、そんな涙を流しながら言わなくてもいいと思うんじゃが、おしりぺんぺんとはそこまで怖いものなんじゃろうか?


「まぁ、我には関係ないことじゃな」
「待ってください! 登録だけしといてくださいよぉ!」


 我には関係ないということで歩き出そうとした我の足にルーがしがみついてきおった。


「ええい! 離せ!」


 こやつ意外と力があるのう! 足を振り回しておるのに離しおらん。


かみなりでぺんぺんはいやなんでずぅ!」
「泣くな! お主それでも大人か⁉︎」


 我の足にしがみつくルーは我よりも体が大きいくせに精神年齢は明らかに我よりも低…… いや、冷静に考えれば我は生まれて三千年以上経っとるわけだし当然じゃな。
 じゃが、今この場には我の実年齢を知るものはおらんわけで。現状を見ると幼女にすがりつく大人の女なわけなんじゃよな。
 視線が痛い。向けられているのは確実にルーなわけなんじゃが。なんかヒソヒソと話もされとるし。


「ぱちぱちはいやなんでずぅ」
「わかった! 登録してやるから泣き止むんじゃ! あと立ち上がらんか!」


 泣きじゃくり顔を歪めたルーに声をかけながら我は深々とため息をつくのであった。

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