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雑食無双ヨルムン

るーるー

ヨルムン、危機を覚える

「先生、今日はどうするんですか?」
「あん? 特になにもせんわ」


 ルーが勝手に弟子になって数日かすぎた。
 我は別になにか教えることなく過ごしておるわけなんじゃがな。
 ここ数日やったことといえばランキング目当てで襲いかかっくる奴らを片っ端からぶっ飛ばしたくらいじゃしな。それでもルー曰く、とても勉強になるということなんじゃが、一体なにを勉強しておるんじゃろうか?
 そして何より驚いたのがルーの性別がわかったことじゃったな。こやつは女じゃったんじゃ。我が着込んでいるもらったローブのように上と下が繋がっているドレスのようなもの、わんぴーすとかいうやつを着てきたしの。まぁ、腰には以前叩き折られた宝剣の代わりか別の剣が下げられておるがの。


 そういうわけで我は宿屋ゴートゥヘルのカウンター席に座りダラダラと過ごしているわけなんじゃが……


 カリカリカリカリカリ


 ダラダラするというのにもなかなかにコツがいるのじゃ。世界蛇である時はこんなことをするなど考えもせんかったじゃろうがな。
 無音の空間でダラダラするというのもなかなかに苦痛じゃ。適度に音があったりした方がまったりと過ごせるというもの。


 カリカリカリカリカリ……


 我的にはそこに規則正しい音が入ってくるとアウトじゃな、そちらが気になって仕方なくなる。


 カリカリカリカリカリ……


「…… で、お主は一体なにをしとるわけなんじゃ?」


 我の横の席に座り、我的にアウトな音を出しておるルーの方をジト目で睨む。
 何かを必死な形相で書いていたルーは我の視線に気づいたのか顔を上げ、我の方を見る。


「あ、はい! 先生のだらけ方の極意を記しておこうかと思いまして」


 ルーが書いていたものを覗き込むとなにやら今の我の姿勢がやたらと細かく紙に書き込まれておった。所々に角度が重要! やら力を抜いて! などとよくわからんことが書かれておる。


「先生と一緒にいると勉強になりますね!」
「……ヨカッタノ」


 こやつが一体なにを目指しておるか全くの謎である。


「お前ら…… 一応食事処なんだからなにか頼んでからダラダラしてくれ」


 相変わらずゴツく、さらには毛むくじゃらのクマが呆れたように言ってくる。


「じゃ、水」
「先生が水なら私も水で」
「水は注文じゃねえんだよ! 食事を頼めと言ってるんだよ!」


 それならそうと言えばいいものを。言葉が少なすぎるというものじゃ。渋々といった様子でメニューを取り何を頼もうかと目を走らせる。


 牛肉の丸焼き 入荷待ち
 山菜炒め        入荷待ち
 新鮮魚な塩焼き 入荷待ち
           ・
           ・
          ・
 不味い肉    大量にあり


「おい」
「これは酷い」
「注文しろといってきたくせに食い物がほとんどないというのはどういうことじゃ!」


 思わず持っていたメニューを放りなげてしまったわ!
 というか大丈夫か⁉︎ この宿屋! まともな食事か出せておらんではないか!


「お前が毎日毎日バカみたいに食うからだろうが!」
「何を言いおる! 最近は半分、いや四分の一以上に抑えておるんじゃぞ!」
「仕入れた矢先にばくばく食うからだろが! 今やこの宿はお前以外に飯を食ってる奴がいねえんだよ!」


 そう言われてから周りを見渡してみれば確かに席に座っている奴らが手にしているのは飲み物ばかりじゃな。


「じゃがあいつらはなにか食っとるぞ?」
「ありゃ酒の肴だ! それすら食いたいのか⁉︎」


 我が食べ物に目をつけたことに気づいたのか客が自分の食べ物を守ろうと体を屈めとるが、我は素早く動くとその客のテーブルの前へと移動し、隠そうとしていた皿を手にし、再び素早く動きカウンターへと戻り皿の上のものを口へと放り込んだ。


「なむかコリコリュしとるゅな」
「な⁉︎ いつの間に⁉︎」


 別段上手くはないが歯ごたえだけがいい感じじゃな。


『未知の味を取得しました。経験値を35入手しました』


 ちゃっかり経験値ももらえたし本当の意味では美味しいもんじゃな。


「しかし、食事が出ないというのは問題じゃな」
「ようやく気づいたのか……」


 そんなため息をつきながら言わなくてもいいと思うんじゃがな?
 材料、材料があれば食事が出てくるわけじゃし。
 あ、我が狩ってこればいいわけじゃな!
 なんていい考えなんじゃ。というか今までなぜこんなことに気づかなかったんじゃろうか。


「よし、クマよ! 我が自分の分は自分でとってきてやろうではないか!」
「お前、やる気があるのはいいが狩りなんてしたことあるのか?」
「あるわけなかろう? じゃがなんとかなるじゃろ」


 堂々と宣言してやるとなぜかクマは深〜いため息をつきよった。これはあれじゃな。微塵も期待をしておらんな。
 狩りなんてしたことあるわけないじゃろうが。世界蛇の時は口を開けて海を泳げば魚が勝手に口の中に入ってくるんじゃから。あれは狩りではなく捕食じゃな。


「先生! ついに実戦ですね!」 


 ウキウキしたようにして腰から下げてる剣を鞘から出したりしまったりしてカチャカチャと音を鳴らすでない! あと嬉しそうにするな



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