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雑食無双ヨルムン

るーるー

ヨルムン、たかる

 宿屋ゴートゥヘルに入った我の目に飛び込んで来たのは『お代わり自由』という看板じゃった。
 ふむ、お代わり自由というのはあれか? 幾ら食べても問題ないということなんじゃろうか。


「良いタイミングじゃな」


 笑みを浮かべながら賑わっている場所へと進んでいくとお腹を刺激する良い匂いが周りに満ちているのがよくわかる。


「すまんがやどやに泊まりたいんじゃが?」


 我にとってやたらと高いカウンターに登り受付を済まそうとしたしたんじゃがしがみつき、登りきった我は眼を丸く見開いた。


「クマか?」
「誰がクマでぇ⁉︎」


 我の目の前にいたのは顔中が髭に覆われた顔、さらには我の目に入るぶっとい腕と胸板にも見える毛むくじゃら感。どっからどう見ても昔よく食べ、なかなかに良い食感であったクマにしか見えん。


「で、なんでクマが受付をしとるんじゃ? ん、まてよ? クマの獣人か?」
「いや、どう見ても人間だからな⁉︎」


 バカな。こんな毛むくじゃらな人間がいるわけないじゃろ。獣人と言われた方がまだ納得できるというものじゃ。


「まぁ、クマでも獣人でもなんでもいいんじゃがな」
「おい!」


 なんじゃか抗議の声を上げてきよったが今はそんなものは些細な問題なんじゃよ。


「ここに泊まりたいんじゃが?」
「…… 金はあるのか?」
「心配せんでもあるぞ」


 手にしていた金の入った袋をカウンターへと放り投げてやるとカウンターの上に袋から溢れた硬貨が音を立てて姿を見せた。


「なんでお前みたいなチビがこんな大金を持ってやがるんだ……」
「闘技場で遊んできただけじゃよ」


 おかげで懐は暖かいんじゃがな。


「それでじゃな。我はあれを頼みたいんじゃよ」
「あれ?」


 我が指差すのは『お代わり自由』と書かれている看板じゃ。それに気づいたのかクマのおっさんも納得の表情を浮かべとる。


「ああ、お代わり自由のやつか」
「それじゃ!」


 食べてレベルを上げるしかない我としてはこの機会を逃すことはできんからのう。それに空腹も満たされるわけじゃし完璧じゃよな。


「悪いがあれは明日からなんだが……」
「なんじゃと⁉︎」
「明日からのものだから看板はもう出しておいたんだがすまんな」


 むぅ、無い物は仕方がないからのう。


「代わりと言ってはなんだが大量に入荷したはいいが全く売れない肉ならあるが?」
「む、質より量ということか」


 しかし、我のレベルアップに必要なのは量より質なんじゃが……


 ぎゅるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ


 しかし、腹がへっている状態というのは非常にまずい。となると質より量をとるというのは至極真っ当なことじゃよな?


「わかった、わかったからとりあえずヨダレを拭え」
「ハっ!」


 指摘されて気づいたがカウンターがヨダレまみれになっておる。
 やはり食欲には勝てんということじゃろうか? ヨダレが自然に溢れてくるしの。


「よし、では今日のところはその肉で勘弁してやるから早くよこすのじゃ」
「なんでそんなに上からなんだよ!」
「あん? そんなの我が貴様より年う…… 格上じゃからに決まっとるじゃろ」
「なんで言い直した! 格上ってなんなんだよ、俺のほうが年上だろうが!」


 いや、人間と世界蛇だと世界蛇である我の方が確実に種族的には格上じゃろ? いや、今の我は誰もがびっくりするほどの美少女ではあるんじゃが。美少女とクマ、比べるまでもなく美少女の方が上じゃろうて。
 こやつ、我の見た目が可愛い美少女じゃからと自分より年下と勝手に決めつけよったな。こう見えても我は三千年以上を生きる世界蛇だというのに。人を見かけで判断してはいけないと親に教わらなかったのかのう。
 しかし、確かに見た目は完全にお主のほうが年上…… のよう…… に。
 年上?


「ところでクマって何歳で成人したことになるんじゃ?」


 生じた疑問を口に出すと目の前のクマおっさんは一瞬にして目尻を釣りあげよる。


「俺はクマじゃねぇって言ってるだろがぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いや、それはもうどうでもよいのぅ。早く肉をよこすのじゃ」
「人の話をきけよぇぉぉぉぉぉ⁉︎」


 いや、聞いておるんじゃがな。

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