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雑食無双ヨルムン

るーるー

ヨルムン、頭の中で会話する

「くそ! 抜けねえ!」


 我が聖剣に近づくと今まで柄を掴んでいた男が肩で息をしながら悪態をついておった。見るからに全身が筋肉の塊といった風貌の男であるが抜けなかったようじゃな。


「次は我にやらしてくれ」


 聖剣を囲むようにしていた者どもの間を声をあげながら抜ける。聖剣の前までたどり着くと周りにいる輩が声をあげて笑い始めよった。


「お前みたいな小娘に抜けるものかよ」
「勇者になりたいのはわかるがやめといたほうがいいぞ?」


 にやにやとバカにしたような表情を浮かべながら我を見てくる輩が多いのぅ。やはり我が可憐な美少女だからか? 妬ましいのじゃろうか。
 しかし、まぁ、今の我が仮に聖剣が抜けたとして勇者になれたとしても誰も信じてくれん気がするのぅ。だって仮に我の前に美少女が自分よりバカみたいにデカイ剣を背負ってやってきて「どうも、勇者です」なんて言われても微塵も信用できんからのぅ。
 いや、それ以前に我が聖剣抜いて勇者になるという可能性はあるんじゃろうか? 一応、我って昔話に出てくる世界蛇なわけなんじゃし。
 そんな我が勇者7なんてなったらかなりやばいと思うんじゃがな。


「おい、やらねえのかよ嬢ちゃん?」


 思考に沈んでいた我が再び意識を前へと戻すと口ではいろいろと言いながらも我を待ってくれているらしい男の姿が目にはいる。なんだかんだ言ってやさしいんじゃないかのう?


「やるわい」


 考えるのはとりあえず止めじゃ。どうせ考えたところでいい考えや解決法が出るわけではないからのぅ。
 明らかに我よりも大きな聖剣の柄を握りしめる。すると掴んだ我の手を弾くように聖剣からなにか放たれているような感じがするのう。


「なんじゃ? たかだか剣のくせに我に抵抗しとるのか?」


 我はいまいちわからんのだがこれは魔力と呼ばれるものなんじゃろう。


 なまいきじゃ


 そう思うと今まで軽く握っていた聖剣を本気で握る。


『忌々しいん気配と思えば貴方ですが。世界蛇』


 ん? なんじゃ? この男か女かよくわからんような頭に響く声は。
 周りを見渡すもそれらしき輩は見当たらんし。聞き間違いかのう。


『どうしました世界蛇。ついに頭もやりましたか』
「この口の悪いのはお前か聖剣」


 どうやら我が引き抜こうとしておる聖剣の声のようじゃな。


『私のような崇高な存在にあなたのようなモンスターに触れられるとは大変憤慨です』
「ガラクタのくせに生意気な」
『ガラクタとはなんです! 私にはフラバランフという素敵な名前があるんです!』


 ああ、そういえばそんな名前でしたねぇ。お前なんかよりその使い手である勇者のほうが頭に残っとるからのぅ。
 我を斬れはしなかったが傷を残した奴らが多かったからのぅ。


『しかし、世界蛇よ。いつの間に転生を? あなたは蛇であり人ではなかったはずでしょう? そもそもあなたは天使により封印されていたと記憶していますが』


 ぺらぺらとよく喋る奴じゃな。なんじゃこいつ寂しかったのか?
 確か聖剣と脳内で会話するには波長だったり適性だったりが必要じゃったはずじゃし。そういったものがある輩は大体が勇者じゃったしな。


「つい最近まではの。天使の言葉を借りるのなら釈放というやちらしいんでの。この体は神から貰ったアイテムの効果での」


 きゃらめいきんぐ、なんて言葉を言ってもこの聖剣が理解するとは思えんからの。


「で、抜いていいのかのぅ? お前を抜けばかなりのお金が入ると聞いたんじゃが?」
『私を金のために抜くと?』


 あ、多分少しイラついてるのぅ。


『この勇者の武器である私、聖剣フラバランフを金のために抜くというのですか?』
「うむ」


 あっさりと頷くと手にかかる抵抗を無視して一気に力を込めて引き抜こうと試みる。


『させません!』


 抜かさないと言わんばかりに手にかかる抵抗と聖剣が地面に突き刺さる力が強まっていってるようじゃな。


「ち、しつこい」


 聖剣の割に小さなことを気にするやつですね。
 舌打ちしながら力をさらに注ぎ込んでいくと少しずつではあるが台座から浮いているようじゃ。


『あなた! 人に転生したなら人相応の力を使いなさいな!』
「だから転生なんぞしとらんと言っとるじゃろがぁぁぁぁぁ!」


 大声を上げ、ムキになった我はついに全力をだす。両足が床にめりこみながらも柄を片手で握り、さらには鞘も握りしめ一気に引き抜くために力一杯・・・握りしめる。


『な、ちょっとやめなさ……』


 フラバランフの焦ったような声が聞こえてくるが我は腕に込める力を抑えることなく握りしめ続け、全力で引き抜く。
 瞬間、何かがひしゃげるような音が我の耳に入ってくる。


「あ……」


 音の鳴る方へ震えながら眼を向けてみると台座がくっついたまま引き抜かれ、全力で握りしめたちめにひしゃげた聖剣フラバランフの姿が目に入った。
 全力で力を入れた結果、柄と鞘が半端から折れ曲がってしまったようじゃな。


「え、聖剣もろくないかの?」

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