メイドと武器商人
メイドとメイドの確率論
魔導列車駅。
大陸間を移動するために昔の暇な賢者が作り上げたと言われている移動用の乗り物のことです。
暇なだけで今の技術と同等、いやそれ以上のものを作り上げるなんて過去の賢者がとは一体どんな人物なのか気になるところですが、今は置いておきましょう。
そんな過去の遺物を予約し、一部を貸切にした魔導列車を探しながら私と母様のところから借りたフィルと二人で荷物を持ちながら駅を歩きます。
「姉様、どれに乗るの?」
「あれですね」
両手に持った荷物の重さに腕をプルプルさせているのにも関わらず、必死に無表情を貫いているフィルに微笑みかけながら私は目的である魔導列車を指さします。
目の前にあるのはやたらと紅い分厚い装甲に包まれ、先頭が鋭く尖ったパーツが取り付けられた魔導列車。
今回の取引はなかなかに危なそうな感じますので重装甲の魔導列車を選択しましたからね。ただの襲撃ではビクともしませんよ。
「なんかごつくない?」
「見た目でご主人様の安全を買えるならば安いものですよ」
一部を貸切にしたのでそれなりにコストはかかりましたが赤字ではありません。ご主人様の儲けもまた莫大ですからねぇ。
一応は軽く外を見回り何も問題がないことを確認しておきます。
「問題もないようですし荷物を詰め込みますよ」
「了解。ところで問題ってなに? いつも通り旅行に行くくらいならこんな魔導列車を貸切にすることはないはず」
魔導列車の中に荷物を放り込んでいるとフィルが首を傾げ小動物のような素ぶりをしながら問うてきました。
そう言えばフィルには旅行に行くとしか告げていませんでしたね。
「旅行の行き先は魔導国家アルバーンです。旅行は取引のついでですね」
「なんでアルバーン? あそこは魔導主義の国のはず。明らかになにかある」
アルバーンという国名を出しただけで無表情であるはずのフィルの顔に僅かに嫌そうな色が浮かびます。
確かにアルバーンでは私たち機械人形は過ごしにくいものですからねぇ。一部魔導系のパーツを使っているとはいえ私たちの体は機械が大半を占めるわけですからね。あの国では嫌な顔をされてしまうわけです。
一度母様に付いてアルバーンに行ったことがあるフィルはそれがよくわかって入りるからこその嫌そうな顔なんでしょうね。
「じゃ、フィルは用事あるから」
素早く片手を上げ挨拶をするようにして逃亡を図ろうとしたフィルの首元をすかさず掴み上げ逃亡を阻止。脚をバタつかせながらフィルは必死に逃亡を試みますが戦闘用ではないフィルに私の拘束から逃れるすべなどありません。
「やだ! アルバーンに行くのはやだ!」
「あなたは人間の子供じゃないんですから駄々をこねないでください」
「アルバーンに行くのなら付いて行くなんて言わなかった」
諦めたように力を抜いたフィルですが私は力を緩めません。こちらが油断した時を狙いすまして逃げるのはフィルの得意技だからです。
「今回はアオイもいます。あなたはご主人様の身の回りにのみ注意を払っていてくれればいいんですから」
「姉様、ダウト。以前もそう言ってフィルを放り投げたり弾除けの盾に使ったりしてた。姉様、フィルの眼を見てもう一度何もないと言ってみて」
そういえばそんなこともありましたね。
「何もありません」
「姉様、姉様、なんでフィルの方に顔を向けずにそんなこというの?」
「フィル、世の中に絶対なんて事はないのです。例え天文学的数字であってもありえることはありえるのです」
「信じれない…… フィルは姉様の確率論の方が信じれない」
ブツブツとまだ信じれないだなんだと言い続けるフィルの姿に周りの乗客からの視線が痛いです。
首元を掴んでいたフィルを今度は脇へと抱え直し、逃げられないようにした後に逃げるようにしてご主人様の方へ向かうことにします。
「アオイは優秀です。彼女のそばにいる限りは滅多なことでは傷つかないでしょう」
「フィル的には盾にされないかが心配」
まぁ、そこは臨機応変ですよね。確約はできません。
大陸間を移動するために昔の暇な賢者が作り上げたと言われている移動用の乗り物のことです。
暇なだけで今の技術と同等、いやそれ以上のものを作り上げるなんて過去の賢者がとは一体どんな人物なのか気になるところですが、今は置いておきましょう。
そんな過去の遺物を予約し、一部を貸切にした魔導列車を探しながら私と母様のところから借りたフィルと二人で荷物を持ちながら駅を歩きます。
「姉様、どれに乗るの?」
「あれですね」
両手に持った荷物の重さに腕をプルプルさせているのにも関わらず、必死に無表情を貫いているフィルに微笑みかけながら私は目的である魔導列車を指さします。
目の前にあるのはやたらと紅い分厚い装甲に包まれ、先頭が鋭く尖ったパーツが取り付けられた魔導列車。
今回の取引はなかなかに危なそうな感じますので重装甲の魔導列車を選択しましたからね。ただの襲撃ではビクともしませんよ。
「なんかごつくない?」
「見た目でご主人様の安全を買えるならば安いものですよ」
一部を貸切にしたのでそれなりにコストはかかりましたが赤字ではありません。ご主人様の儲けもまた莫大ですからねぇ。
一応は軽く外を見回り何も問題がないことを確認しておきます。
「問題もないようですし荷物を詰め込みますよ」
「了解。ところで問題ってなに? いつも通り旅行に行くくらいならこんな魔導列車を貸切にすることはないはず」
魔導列車の中に荷物を放り込んでいるとフィルが首を傾げ小動物のような素ぶりをしながら問うてきました。
そう言えばフィルには旅行に行くとしか告げていませんでしたね。
「旅行の行き先は魔導国家アルバーンです。旅行は取引のついでですね」
「なんでアルバーン? あそこは魔導主義の国のはず。明らかになにかある」
アルバーンという国名を出しただけで無表情であるはずのフィルの顔に僅かに嫌そうな色が浮かびます。
確かにアルバーンでは私たち機械人形は過ごしにくいものですからねぇ。一部魔導系のパーツを使っているとはいえ私たちの体は機械が大半を占めるわけですからね。あの国では嫌な顔をされてしまうわけです。
一度母様に付いてアルバーンに行ったことがあるフィルはそれがよくわかって入りるからこその嫌そうな顔なんでしょうね。
「じゃ、フィルは用事あるから」
素早く片手を上げ挨拶をするようにして逃亡を図ろうとしたフィルの首元をすかさず掴み上げ逃亡を阻止。脚をバタつかせながらフィルは必死に逃亡を試みますが戦闘用ではないフィルに私の拘束から逃れるすべなどありません。
「やだ! アルバーンに行くのはやだ!」
「あなたは人間の子供じゃないんですから駄々をこねないでください」
「アルバーンに行くのなら付いて行くなんて言わなかった」
諦めたように力を抜いたフィルですが私は力を緩めません。こちらが油断した時を狙いすまして逃げるのはフィルの得意技だからです。
「今回はアオイもいます。あなたはご主人様の身の回りにのみ注意を払っていてくれればいいんですから」
「姉様、ダウト。以前もそう言ってフィルを放り投げたり弾除けの盾に使ったりしてた。姉様、フィルの眼を見てもう一度何もないと言ってみて」
そういえばそんなこともありましたね。
「何もありません」
「姉様、姉様、なんでフィルの方に顔を向けずにそんなこというの?」
「フィル、世の中に絶対なんて事はないのです。例え天文学的数字であってもありえることはありえるのです」
「信じれない…… フィルは姉様の確率論の方が信じれない」
ブツブツとまだ信じれないだなんだと言い続けるフィルの姿に周りの乗客からの視線が痛いです。
首元を掴んでいたフィルを今度は脇へと抱え直し、逃げられないようにした後に逃げるようにしてご主人様の方へ向かうことにします。
「アオイは優秀です。彼女のそばにいる限りは滅多なことでは傷つかないでしょう」
「フィル的には盾にされないかが心配」
まぁ、そこは臨機応変ですよね。確約はできません。
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