メイドと武器商人

るーるー

メイドとメイドのお仕事5

クルクルと血を飛び散らせながらジャルダンの首が宙を舞います。


「せい」


さらに軽い掛け声と共にジャルダンの首へと向かい両の手に握られた刀から斬撃が放たれ、ジャルダンの首は瞬く間に肉片というかミンチみたいになってしまいました。
正直気持ち悪いです。おかげでジャルダンの事務所の床には雨が降った後のように水たまりが出来上がってますし。まぁ、その水たまりは赤いわけなんですが。


「あ〜あ、弱かったなぁ」
「アオイ」


またスカートで刀の血を拭おうとしていたアオイを睨み付けるとアオイは慌てたようにして刀を振るい血を軽く落として鞘へと納めました。
ま、拭わなかっただけマシというものでしょうか。


「さて仕事の続きをしますよ」
「はいはい、といってもあとはなにをするんだ?」


ここのボスであるジャルダンは殺っちゃいましたし後は雑務のようなものです。


「まずはこの事務所から金目のものを全て奪います。その後に床に転がしてる奴隷要員を全部売払いに行きますよ」
「鬼だな」


若干引いたような素振りを見せたアオイでしたが私が無言で事務所の中の金に変換できそうなものを袋に詰め始めたのを見て同じように詰め始めます。


そんな作業を始めて早一時間。
ジャルダンの事務所にはほとんど物がなくなっている状態でした。


「こんなもんでしょうかね」
「…… 俺、元暗殺者であって泥棒じゃないんだがなぁ」
「アオイは奴隷要員を外に放り出していてください。逃げたら首とっていいですよ」
「弱いのを狩ってもなぁ」


なにやらアオイが横でぼやいていますが今は無視です。アオイが奴隷要員をつかんでは外に放り投げていくのを横目で確認した私はスカートを軽くたくしあげるとそこから丸くゴツゴツとした球体を幾つか取り出して行きます。


「お、なんだそれ」


奴隷要員を放り投げ終えたようでアオイが私の手元にある球体を興味深そうに覗き込んできます。


「これはご主人様が作った手榴弾と呼ばれるものです。この安全ピンを引き抜いて暫くすればボンっ! というわけです」
「物騒なもん持ってるな」
「証拠隠滅には最適ですので」


取り扱い、運びやすさに破壊力。
どれを取っても抜群の使いやすさです。それになによりこれを使うとその派手な爆発にご主人様がめちゃくちゃ喜びます。
ご主人様は派手なものが大好きですからね。メイドとしてはそういう要望にも答えていくべきでしょう。


「じゃ、さっさと爆破しますよ」
「はいよ」


アオイが出口に向かって歩いていくのを確認したのちに私もそちらに向かい歩いて行きながら手榴弾の安全ピンを引き抜くと背後に向かい次々と投げて行きます。
ご主人様お手製の手榴弾は今頃放物線を描きながら宙を舞っているところでしょう。
緩やか手榴弾を投げた後に私は出口までたどり着くとすぐに振り返り魔導液体マジカルリキッドを使い大きな透明な壁を生成。爆発の余波がこちらに来ないように配慮します。
透明にしたのはこれからなにが起こるかを奴隷候補の連中とアオイに見せるためです。アオイもなんだかこういうの好きそうですしね。
そして、僅かな間を置いて轟音と地響きを鳴らしながら透明な壁越しに見えていたジャルダンの事務所が一瞬にして弾け飛び、代わりに空へと向かい巨大な火柱が立ち上がります。
壁のおかげで熱気は感じませんが炎が蜷局を焼きながら立ち上がる様というのは圧巻の一言に尽きます。
私としては綺麗だなぁ、というレベルなのですが奴隷候補達は違うようで皆顔が真っ青です。


「さて、あなた達にはこれからご主人様に会ってもらい後に売られるわけですが。くれぐれもご主人様に無礼のないようにお願いしますね? もし無礼な動きがあれば死ぬよりも辛い目に合わせます」
『り、了解しました!』


皆が一斉に元気よく返事をしてくれます。
やはり話し合いで解決するというのはいいことですね。


「いや、思いっきり脅しだろう?」


なんのことかわかりかねます。


その後、屋敷に奴隷候補をぞろぞろと引き連れて帰るとご主人様が嫌そうな顔をしましたがすぐに奴隷商人に連絡し少なくないお金を手に入れたので僅かにご満悦でした。

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