メイドと武器商人
メイドとアオイ
「…… おい、なんだこの服装は」
「なにって仕事ようの服ですが?」
どことなく怒気を含ませた声でアオイが私に声をかけてきたので答えを返してあげます。
アオイとご主人様が契約をしてから数日。
義手の調子が悪かったというのは本当のようでご主人様が作った義手へと交換したアオイの腕の動きは驚くほど滑らかでした。
そうこうして話している間にも一息でどこからともなく取り出したナイフを八本ほど私へと投げれるほどに快調です。
「なにが不満なんですか? さすがにあんな如何にも怪しいですと宣伝するような真っ黒な服でご主人様に仕えるのはないと思うんですが?」
飛んできたナイフを全て指の間に挟むようにして受け止めながら私はアオイの方を呆れ顔で見ます。
「化け物だな」
「こんな美少女に向かって化け物とはなんですか化け物とは」
ナイフを投げた姿勢で激昂しているアオイに対して私はため息をつきます。もう一日のうちに何回ナイフを受け止めればいいのでしょうか。幸いなのはご主人様に対しては攻撃的ではないということですがその分、私に容赦がない気がします。
「一体なにが不満だというのですか?」
仕方なしに私はアオイへと向き直りながら要望を聞くことにします。
「おい、どさくさに紛れて俺のナイフをパクろうとするんじゃない」
意外とみみっちい暗殺者ですね。まぁ、持たれても脅威でもなんでもありませんので投げて返します。もちろんアオイが投げてきた速度と同じくらいの速さで投げてやりますが、アオイは軽々と受け取ります。さすがですね。
「で、不満は?」
「まずは話が違うだろう! この屋敷にきて早十日だ! 相手にしてるのは屋敷の庭までくる雑魚ばかりではないか! もっと歯ごたえのある奴はいないのか!」
「いや、警護する側がそれじゃダメでしょう? 警備が楽なのはいいことですよ? 他にないなら私は仕事に戻りますよ」
どうでもいいことでしたので私は踵を返してご主人様の仕事する姿を観察する任務に戻ろうとしましたが恐ろしい程の速さで回り込まれ行く手を遮られました。
「なんですか、またぶっ飛ばされたいんですか?」
「違うわ! まだ言いたいことがあるからに決まってるだろうが!」
まだあるんですか。
というかなぜアオイはご主人様にではなく私に言うのでしょうか? 命じているのはどちらかというと私ではなくご主人様だというのに。
「この服だ! これはなんだ!」
「由緒正しい使用人の服ですが?」
「これがだと⁉︎」
アオイがその場でクルリとその場で一回転します。するとそれに合わせるように黒くヒラヒラとしたスカートが円を描くようにして宙を舞います。
「ええ、よく似合っていますよ。メイド服」
私は目の前でどこからどう見ても愛らしい赤髪のメイドへと微笑みかけます。
「まあ、私とご主人様には敵いませんがいい美少女ぷりですねアオイ」
「俺は男だぞ!」
アオイが紅い髪を振る回すようにして怒りますがメイド服を着ているせいか全く怖くありません。それどころか愛らしいくらいです。
「俺は警備担当なんだぞ!」
「あなたの担当は炊事洗濯でしょう?時間があれば侵入者の迎撃です」
「迎撃はお前が一人でやってるだろうが!」
今度はその場で軽く飛ぶと回し蹴りを繰り出してきます。スカートが花のように広がり、パンツがもろに見えます。
繰り出された回し蹴りを片手で止め、ブーツから飛び出してきた刃を躱すためにさらに首を背けます。
「確かに準備はしましたがまさか女物の下着まで履くとは思いませんでしたよ」
「風呂に入っている間に俺の替えの服と下着を全て捨てたのは貴様だろうが!」
いえ、それはご主人様が「どうせ女の子みたいな感じ顔出し女の子な格好でいいよね? ついでに似合わない男物の服とかは全部処分しちゃおう!」とか嬉々として言ったからですよ。私は一応は止めましたがテンションが高かったご主人様と同じように悪ノリをしたフィルを止めれるわけないじゃないですか〜
まぁ、楽しそうだったから止めなかったのは否定しませんがね。
「執事服とかでもいいだろ! あれも使用人の服なんたから!」
確かにあれも使用人の服にあたります。ですが!
「あれはだめです、可愛くないですし。あなたならかっこいいかもしれませんが私が却下します!」
「おまえ、何様だよ⁉︎」
「この屋敷のメイド様ですが? というか先輩メイドに対して口が悪くないですか?」
可愛くないのはだめですからね。そこは私の持てる力全てを使って介入してやります。
「お前のどこに尊敬できる要素があるんだよ!」
「愛くるしさ?」
「ただの殺戮メイドだろがぁぁぁぁぁ!」
アオイがメイド服姿のままで絶叫しています。
ツッコミ上手さんがうちにいらしたかもしれない!
「あ、アオイ〜 丁度よかったよ〜」
「ご主人様」
スキップをするようにご機嫌な感じでご主人様が廊下を歩いてきます。それに対してアオイは血走った眼をご主人様へと向けます。
「主、この服装は一体どういう……」
「壊した君の武器の代用品のことなんだけどね」
武器と聞いた瞬間にアオイの言葉が詰まります。それが分かっていたかのように笑みを深めるご主人様。なんたる策士!
「どれがいいか選んでもらおうかと思ってね」
「選んでもいいのか!」
「うん、だからついてきてほしいんだ」
「了承した!」
ウキウキとしたような感じでご主人様の後ろについて行くメイド服姿のアオイ。すでにメイド服であることに対する怒りを完全に忘れているアオイはおそらく獣人ならば尻尾がちぎれんばかりに振りまくっていたことでしょう。
「あっさりとアオイを手懐けるとはさすがですご主人様!」
猛獣をあっさりと手懐けたご主人様に私は尊敬の目を向けるのでした。
「なにって仕事ようの服ですが?」
どことなく怒気を含ませた声でアオイが私に声をかけてきたので答えを返してあげます。
アオイとご主人様が契約をしてから数日。
義手の調子が悪かったというのは本当のようでご主人様が作った義手へと交換したアオイの腕の動きは驚くほど滑らかでした。
そうこうして話している間にも一息でどこからともなく取り出したナイフを八本ほど私へと投げれるほどに快調です。
「なにが不満なんですか? さすがにあんな如何にも怪しいですと宣伝するような真っ黒な服でご主人様に仕えるのはないと思うんですが?」
飛んできたナイフを全て指の間に挟むようにして受け止めながら私はアオイの方を呆れ顔で見ます。
「化け物だな」
「こんな美少女に向かって化け物とはなんですか化け物とは」
ナイフを投げた姿勢で激昂しているアオイに対して私はため息をつきます。もう一日のうちに何回ナイフを受け止めればいいのでしょうか。幸いなのはご主人様に対しては攻撃的ではないということですがその分、私に容赦がない気がします。
「一体なにが不満だというのですか?」
仕方なしに私はアオイへと向き直りながら要望を聞くことにします。
「おい、どさくさに紛れて俺のナイフをパクろうとするんじゃない」
意外とみみっちい暗殺者ですね。まぁ、持たれても脅威でもなんでもありませんので投げて返します。もちろんアオイが投げてきた速度と同じくらいの速さで投げてやりますが、アオイは軽々と受け取ります。さすがですね。
「で、不満は?」
「まずは話が違うだろう! この屋敷にきて早十日だ! 相手にしてるのは屋敷の庭までくる雑魚ばかりではないか! もっと歯ごたえのある奴はいないのか!」
「いや、警護する側がそれじゃダメでしょう? 警備が楽なのはいいことですよ? 他にないなら私は仕事に戻りますよ」
どうでもいいことでしたので私は踵を返してご主人様の仕事する姿を観察する任務に戻ろうとしましたが恐ろしい程の速さで回り込まれ行く手を遮られました。
「なんですか、またぶっ飛ばされたいんですか?」
「違うわ! まだ言いたいことがあるからに決まってるだろうが!」
まだあるんですか。
というかなぜアオイはご主人様にではなく私に言うのでしょうか? 命じているのはどちらかというと私ではなくご主人様だというのに。
「この服だ! これはなんだ!」
「由緒正しい使用人の服ですが?」
「これがだと⁉︎」
アオイがその場でクルリとその場で一回転します。するとそれに合わせるように黒くヒラヒラとしたスカートが円を描くようにして宙を舞います。
「ええ、よく似合っていますよ。メイド服」
私は目の前でどこからどう見ても愛らしい赤髪のメイドへと微笑みかけます。
「まあ、私とご主人様には敵いませんがいい美少女ぷりですねアオイ」
「俺は男だぞ!」
アオイが紅い髪を振る回すようにして怒りますがメイド服を着ているせいか全く怖くありません。それどころか愛らしいくらいです。
「俺は警備担当なんだぞ!」
「あなたの担当は炊事洗濯でしょう?時間があれば侵入者の迎撃です」
「迎撃はお前が一人でやってるだろうが!」
今度はその場で軽く飛ぶと回し蹴りを繰り出してきます。スカートが花のように広がり、パンツがもろに見えます。
繰り出された回し蹴りを片手で止め、ブーツから飛び出してきた刃を躱すためにさらに首を背けます。
「確かに準備はしましたがまさか女物の下着まで履くとは思いませんでしたよ」
「風呂に入っている間に俺の替えの服と下着を全て捨てたのは貴様だろうが!」
いえ、それはご主人様が「どうせ女の子みたいな感じ顔出し女の子な格好でいいよね? ついでに似合わない男物の服とかは全部処分しちゃおう!」とか嬉々として言ったからですよ。私は一応は止めましたがテンションが高かったご主人様と同じように悪ノリをしたフィルを止めれるわけないじゃないですか〜
まぁ、楽しそうだったから止めなかったのは否定しませんがね。
「執事服とかでもいいだろ! あれも使用人の服なんたから!」
確かにあれも使用人の服にあたります。ですが!
「あれはだめです、可愛くないですし。あなたならかっこいいかもしれませんが私が却下します!」
「おまえ、何様だよ⁉︎」
「この屋敷のメイド様ですが? というか先輩メイドに対して口が悪くないですか?」
可愛くないのはだめですからね。そこは私の持てる力全てを使って介入してやります。
「お前のどこに尊敬できる要素があるんだよ!」
「愛くるしさ?」
「ただの殺戮メイドだろがぁぁぁぁぁ!」
アオイがメイド服姿のままで絶叫しています。
ツッコミ上手さんがうちにいらしたかもしれない!
「あ、アオイ〜 丁度よかったよ〜」
「ご主人様」
スキップをするようにご機嫌な感じでご主人様が廊下を歩いてきます。それに対してアオイは血走った眼をご主人様へと向けます。
「主、この服装は一体どういう……」
「壊した君の武器の代用品のことなんだけどね」
武器と聞いた瞬間にアオイの言葉が詰まります。それが分かっていたかのように笑みを深めるご主人様。なんたる策士!
「どれがいいか選んでもらおうかと思ってね」
「選んでもいいのか!」
「うん、だからついてきてほしいんだ」
「了承した!」
ウキウキとしたような感じでご主人様の後ろについて行くメイド服姿のアオイ。すでにメイド服であることに対する怒りを完全に忘れているアオイはおそらく獣人ならば尻尾がちぎれんばかりに振りまくっていたことでしょう。
「あっさりとアオイを手懐けるとはさすがですご主人様!」
猛獣をあっさりと手懐けたご主人様に私は尊敬の目を向けるのでした。
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