メイドと武器商人

るーるー

メイドとスカート

「あんまり品のよくない悲鳴だね」
「私の屋敷に無断で入ってくる輩が品のある奴なわけないじゃないかフルーティちゃん」
「それもそうだね」


 銃口から煙りを上げるサブマシンガンを下ろしながらご主人様と母様が呑気に話を続けています。
 ご主人様がサブマシンガンの銃弾を叩き込んだ扉はすでにただの残骸へと成り下がっていますがそんな中に死体が一つ転がっているわけなんですがそんなことを気にしている素振りも全くありません。
 転がっている死体に妹達が慌てていますがそれも仕方ながないことと言えます。
 母様はご主人様との取引のために筋肉の宴マッスルパーティの他にももう一つ音を遮断する魔法を使っていたわけですし侵入者に気づかなかったなは仕方がないと言えるのです。
 私は戦闘特化なので普通に気づきましたがね!
 そして私が感知した気配は全部で六つ。トラップだらけの母様の庭を抜けてきたなかなかの手練れと言えるでしょう。
 私ならば瞬殺できるのですがここは妹達の手際を見るとしましょう。


「それでフルーティちゃん。そのサブマシンガン幾ついただけるのかしら?」
「とりあえず五つでどう?」


 襲撃者なんて関係ないと言わんばかりにご主人様と母様は取引を続けています。
 そんな二人を守るように妹達が次々と武器を手にして扉を警戒します。
 うん、動きは合格ですね。ですが妹達よ。なぜ手にしている武器が全て箒やモップといった掃除道具なんですか?
 そんな私の疑問など知らず妹達は警戒の姿勢を崩しません。そんな警戒している扉から五つの影が飛び出してきます。
 影は素早く動き姿を隠すロープをはためかせながら部屋へと侵入を果たしてきます。
 それを武器…… と呼んでいいのかわからない掃除用具を構えた妹達が飛びかかり、迎撃を開始します。


 ふむ、今回はフィルは参加していませんが他の妹達でも問題なく戦えていますね。
 いやー、少し心配だったんですよね。
 母様の元にいる私の妹の中で家事用メイドの癖に一番の戦闘力を持つのはフィルですが今は魔力切れで倒れてますしね。


 影はどうやら小振りのナイフが主な武器のようですが繰り出される刃を日頃から使い慣れている掃除用具で捌いていくわけなんですが本当に戦闘特化じゃないかと思うほどの箒、モップ捌きです。
 あ、隙があったのか妹が繰り出した拳が物凄い音を響かせながら影の一人の腹へと突き刺さるといろいろな物を吐き散らしなが吹き飛ばされ壁へとめり込んだりしています。


「過剰戦力ですね」


 侵入者がリビングに突入してきて二、三分といったところでしょうか?
 すでに突入してきた侵入者は四人が捕縛、またメイドパンチを喰らい意識を飛ばしているような状態です。


「さて、リビングにいるのはあと一人なわけなんですが」


 残り一人はすでに手の空いた妹'sに包囲網を形成されつつあり壁際へと追い込まれているので問題はないでしょう。
 さて問題はと。
 とりあえずはスカートの下着を見えることも覚悟でご主人様を隠すように翻します。その際に母様が「おお!」と興奮したような声を上げていますが無視です。
 そして翻したスカート目掛けて四本ものナイフが飛び込んできます。が、私のスカートは特別性。飛来したナイフはスカートを貫くことなく弾き、五本目のナイフと言えるほどの速度で扉から駆けてきた侵入者に目をやります。
 どうやら最後の六人目が姿を現したようですね。最後の侵入者だけは顔を隠すように狐を模した銀の仮面を装着しています。


「申し訳ありませんがご主人様はお取引の最中ですので」


 スカートを回転するように動かし、弾いたナイフを手元に納めた私はにこやかな笑みをこちらに駆ける侵入者に向けて差し上げると体を震わせて動きは一時的に鈍くなりました。
 そんな隙を逃す気はなく私は手元で遊ばしていたナイフを一挙動で投げつけて差し上げます。
 しかし、私が投じたナイフは侵入者が懐から取り出したのは物により全て粉砕されます。


「おお!」


 思わず感嘆の声を上げてしまいました。なにせ侵入者が取り出したのは銃。しかも放った銃弾は全て無駄なくナイフに叩き込まれ破片へと変わっているわけなんですから。
 さらに走るたびに揺らめくマントで死角を作ってきているので放たれるまでどこを狙っているのか全くわかりません。
 そして再び放たれる凶弾。
 聞こえた音は一つ。
 ですが私の完璧なるメイドアイは放たれた三発の銃弾を捉えています。
 二発はご主人様へと向かい、もう一発は母様へと向かっていきます。いずれも何もしなければ確実に頭を貫くコースです。これは母様のほうではなくご主人様のほうを狙ってきている?
 そんな事を考えながらも私は体を翻し体内を巡る魔導液体マジカルリキッドをコントロール。両手に魔導液体マジカルリキッドにより先ほど砕いたナイフと同じ物を作製。両手で握りしめるとご主人様へと向かう銃弾をナイフを閃かす事でご主人様を守ります。


「母様!」


 妹たちがようやく五人目の侵入者を捉えることに成功したようですが六人目の襲撃者にようやく気付いたようです。
 ご主人様への凶弾は私が退けました。ですが母様の頭に向かい、放たれた銃弾は唸りを上げながら迫っていくのでした。

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