メイドと武器商人
メイドとアルテマウェポン
「着きました!」
私は石畳の上を滑るようにして静止。周りに焦げた匂いを撒き散らします。ふふふ、以前の靴のように溶けたりはしていません。ちゃんと溶けにくい火蜥蜴の皮を使ったブーツを履いていますからね。
所要時間はざっと五分といったところでょうか?
結構頑張りましたからね。
「早かったね〜」
抱っこしていたご主人が離れてしまったことに寂しさを覚え、そしてあることに気づき膝を折りました。
もっとゆっくりと走れば至福の時間が長く続いたというのに!
ああ、なんてバカな私……
しかし、そんな至福の時間を提供してくださったご主人様はというと特になにも感じていないのかすでに屋敷の玄関へと向かい歩き始めています。
そこに寂しさを感じていると私の背後で何かが倒れるような音が響きましたが特に警戒せずに振り返ります。
母様であるメルエムアンの屋敷に生半可な実力では侵入できませんからね。大体が屋敷にたどり着いた段階で死にかけてるわけですし。今回もそんな愚者であると推測していたわけですが……
「あ、姉様…… 死ぬ…… フィルはそんな体力バカな設定じゃないから死ねる……」
しかし、振り返った視線の先には誰もおらず声のする方、すなわち少しばかり視線を下へと向けると体のいたるところから煙をあげ、トランクケースの上に倒れこんでるフィルの姿が目に入ります。
「あ、遅かったですねフィル」
「姉様とは設定がち…… が……」
やがて声も小さくなりぴくりとも動かなくなったわけですがさしたる心配はしていません。おそらくはエネルギー切れでしょうし。
そんなフィルから視線を外し、私は目の前のバカみたいな大きさの屋敷を見上げます。
「リップス、早く〜 扉が重い〜」
「はいご主人様」
ご主人様が両手を扉に当てて顔を真っ赤にしながら私を呼びます。またその顔も素晴らしい物でしたので残像すら残さない速度で胸元からカメラを取り出し一瞬で撮影、そして再び同じ速度でカメラを胸元へとしまい、何食わぬ顔でご主人様が必死に押す玄関の扉へと向かいます。
「前から思ってたけどなんでこの屋敷の扉は重いの……」
「母様、メルエムアンが力至上主義ですので」
ご主人様が今必死に押してる扉、片方だけで一トンありますからね。この扉を開けれぬものは屋敷に入る資格なしと判断されるわけです。
顔を赤くしたご主人様と場所を変わりながら私は扉に手をかけると力を込めて押していきます。
すると扉がやたらと重苦しい音を響かせながら中へと開いていきました。
「ご主人様、どうぞ」
「やだなぁ、こんな脳筋な屋敷に入るのやだなぁ」
ぶうたれるようには入るのを拒否していたご主人様でしたがあきらめたようにため息をつくと屋敷の扉を潜ります。
それと同時に私も玄関を潜り、さらに魔法を発動させご主人様を守ります。
ご主人様は気づいてはいませんが母様、メルエムアンの屋敷には玄関から屋敷に入った瞬間に別世界とも言える空間へと変わっているのです。
重力魔法『筋肉の宴』
悍ましい名前の魔法が常時、母様の屋敷には展開されているのです。
筋肉の宴の効果はいたって単純。
重力を五倍にするというものですが普通の人間では耐え切れるようなものではありません。
そのためこの屋敷に招かれ滞在できる人物というのは非常に稀なのです。
魔法により自分を守れる者か、もしくは身に纏う筋肉で抗う者かの二択になるわけですから。
前者は私がご主人様に使ったように一部の空間を正常化する魔法のように、そして後者は……
「待ってたよ!我が愛しの娘とその愛らしき主人!」
数人の私と同じ顔をした小柄なメイド、妹達を引き連れそれは階段から姿を現します。
動くたびに揺れる、というか暴れる兵器をだらしなくも惜しげもなく見せびらかしながら、全く重力の影響を受けずに軽やかな足取りで向かってきます。
金の髪、そして無駄に露出の多い服からの間から見える白い肌に人族ではあり得ない鋭く尖った耳。
五倍の重力下にあっても垂れず、むしろ歩むたびに弾む巨大な究極武器を携え、特徴である丸メガネを掛けた我が母にして館の主人、メルエムアン・ワィトが魔法も発動させずに自然とご主人様と私の前に姿を現したのでした。
私は石畳の上を滑るようにして静止。周りに焦げた匂いを撒き散らします。ふふふ、以前の靴のように溶けたりはしていません。ちゃんと溶けにくい火蜥蜴の皮を使ったブーツを履いていますからね。
所要時間はざっと五分といったところでょうか?
結構頑張りましたからね。
「早かったね〜」
抱っこしていたご主人が離れてしまったことに寂しさを覚え、そしてあることに気づき膝を折りました。
もっとゆっくりと走れば至福の時間が長く続いたというのに!
ああ、なんてバカな私……
しかし、そんな至福の時間を提供してくださったご主人様はというと特になにも感じていないのかすでに屋敷の玄関へと向かい歩き始めています。
そこに寂しさを感じていると私の背後で何かが倒れるような音が響きましたが特に警戒せずに振り返ります。
母様であるメルエムアンの屋敷に生半可な実力では侵入できませんからね。大体が屋敷にたどり着いた段階で死にかけてるわけですし。今回もそんな愚者であると推測していたわけですが……
「あ、姉様…… 死ぬ…… フィルはそんな体力バカな設定じゃないから死ねる……」
しかし、振り返った視線の先には誰もおらず声のする方、すなわち少しばかり視線を下へと向けると体のいたるところから煙をあげ、トランクケースの上に倒れこんでるフィルの姿が目に入ります。
「あ、遅かったですねフィル」
「姉様とは設定がち…… が……」
やがて声も小さくなりぴくりとも動かなくなったわけですがさしたる心配はしていません。おそらくはエネルギー切れでしょうし。
そんなフィルから視線を外し、私は目の前のバカみたいな大きさの屋敷を見上げます。
「リップス、早く〜 扉が重い〜」
「はいご主人様」
ご主人様が両手を扉に当てて顔を真っ赤にしながら私を呼びます。またその顔も素晴らしい物でしたので残像すら残さない速度で胸元からカメラを取り出し一瞬で撮影、そして再び同じ速度でカメラを胸元へとしまい、何食わぬ顔でご主人様が必死に押す玄関の扉へと向かいます。
「前から思ってたけどなんでこの屋敷の扉は重いの……」
「母様、メルエムアンが力至上主義ですので」
ご主人様が今必死に押してる扉、片方だけで一トンありますからね。この扉を開けれぬものは屋敷に入る資格なしと判断されるわけです。
顔を赤くしたご主人様と場所を変わりながら私は扉に手をかけると力を込めて押していきます。
すると扉がやたらと重苦しい音を響かせながら中へと開いていきました。
「ご主人様、どうぞ」
「やだなぁ、こんな脳筋な屋敷に入るのやだなぁ」
ぶうたれるようには入るのを拒否していたご主人様でしたがあきらめたようにため息をつくと屋敷の扉を潜ります。
それと同時に私も玄関を潜り、さらに魔法を発動させご主人様を守ります。
ご主人様は気づいてはいませんが母様、メルエムアンの屋敷には玄関から屋敷に入った瞬間に別世界とも言える空間へと変わっているのです。
重力魔法『筋肉の宴』
悍ましい名前の魔法が常時、母様の屋敷には展開されているのです。
筋肉の宴の効果はいたって単純。
重力を五倍にするというものですが普通の人間では耐え切れるようなものではありません。
そのためこの屋敷に招かれ滞在できる人物というのは非常に稀なのです。
魔法により自分を守れる者か、もしくは身に纏う筋肉で抗う者かの二択になるわけですから。
前者は私がご主人様に使ったように一部の空間を正常化する魔法のように、そして後者は……
「待ってたよ!我が愛しの娘とその愛らしき主人!」
数人の私と同じ顔をした小柄なメイド、妹達を引き連れそれは階段から姿を現します。
動くたびに揺れる、というか暴れる兵器をだらしなくも惜しげもなく見せびらかしながら、全く重力の影響を受けずに軽やかな足取りで向かってきます。
金の髪、そして無駄に露出の多い服からの間から見える白い肌に人族ではあり得ない鋭く尖った耳。
五倍の重力下にあっても垂れず、むしろ歩むたびに弾む巨大な究極武器を携え、特徴である丸メガネを掛けた我が母にして館の主人、メルエムアン・ワィトが魔法も発動させずに自然とご主人様と私の前に姿を現したのでした。
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