魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女は胸元をぶち抜かれる
決闘場が爆発して爆裂して爆散する。
メルセデスはちょこまかと走り回り呼吸を乱しながらもとりあえずはベロニクへと向かいポーションを撃ち続ける。
それは外れることも多いのだがベロニクの雷の斧と化した杖を振り回しながら放たれた魔法へと当たるものもあり至る所で爆発が起こる始末であった。
決闘は完全な膠着状態、のように若い魔女達には見えたことだろう。
なにせどちらも致命傷と言えるような攻撃を放っているのだが両者には当たっていないのだから。いや、メルセデスには当たっているのだが意味をなしていない。
だが、それなりの年月を魔女として過ごした者達から見ればこの決闘は互角とは程遠い物だとすぐに気づいたことであろう。
メルセデスはというと魔法を食らっても吹っ飛ぶだけですぐさまゾンビのごとく立ち上がって来るものだからベロニクにとっては脅威でしかない。
対してベロニクはメルセデスのポーションを避ける事と迎撃することにかなりの集中力を注いでいた。
攻撃の手段である雷魔法はメルセデスのポーションに触れると効果が打ち消され衝撃波を放つだけとなるが、もし迎撃できずに躱せなければ致命傷に至るようなダメージを受けることがわかりきっていたからだ。
(なんなんですの! あの馬鹿げた魔法耐性は⁉︎ こちらの最大魔法を喰らっても傷一つ負わないなんて!)
内心の焦燥感を顔に出さないようにしながらもベロニクの行動には徐々に焦りのようなものが混じり始める。
攻めても攻めきれず守っても守りきれないという状況で平静を装っているというなもまた難しいものであり、それを行うにはまだベロニクは魔女として若すぎた。
そしてついにメルセデスのポーションがベロニクの肩へとかかり、右肩の一部を吹き飛ばす。
肩が吹き飛ばされたことにより杖を持っていた右手が音を立てて床へと落ちる。
「ひぃ! 血が! 血がぁ!」
なぜか攻撃した側であるメルセデスの方が顔面蒼白になっていた。自分から意識して攻撃などしたことがない彼女にとっては他者の血を見るだけでも卒倒するレベルの衝撃らしかった。
(ここですわ!)
血を見てポーションを撃つてが止まったメルセデスの僅かな隙を瞳を輝かせたベロニクが逃すはずがなかった。
全身を雷の魔力により強化し、間合いを詰めるべく踏み込んだ。
右肩から血を撒き散らしながらも踏み込んで来るベロニクにメルセデスは信じられないものを見るような視線を向ける。
それでもほぼ反射と言える状態で銃口を向ける。
だが水鉄砲の銃口をベロニクへと向けるよりもベロニクが間合いに入る方が速かった。
「とったぁぁぁぁぁ!」
残りの雷の魔力を左手へと集中力。
集まりすぎた魔力は手が見えなくなるほどに輝き、その威力はすでに上級魔法を上回るだろう。
ベロニクはその左手の指を揃えメルセデスの胸元へと叩き込むべく、体が全身のバネというバネを使い左手を繰り出した。
体術の心得などないメルセデスは慌てたように体を動かすが時すでに遅し。
メルセデスの胸元へとベロニクの貫手が叩き込まれた。
いかに異常なまでの魔法耐性を持っていたメルセデスと言えども上級魔法の上を行くほどの魔力で強化された貫手を防ぐことは出来ず、ベロニクの左手はメルセデスの背中へと生える羽目となった。
「ぐぇぇぇぇぇ⁉︎」
普通の人なら絶命するような一撃であったのだがさすがは腐っても魔女というべきかメルセデスは苦悶の声を上げるだけですんだ。
胸元を貫かれているので普通ならば吐血しそうなものであるがベロニクの雷の魔力が傷も血も焼いているため血も流れない。
「やった! やりましたわ!」
貫いたままの姿勢のままベロニクは勝利を確信する。
普通の魔女ならば、詠唱をして魔法を使うような魔女ならば、唱える事ができないような今のような状況ならばベロニクの勝利は確定していたかもしれない。
そう、魔法を主体としている魔女ならば。
コツンという軽い音がベロニクの額から響いた。
「え……」
勝利を確信した笑みを浮かべたままのベロニクは突然自分の額に押し付けられたものが認識できなかった。
それは幾度も自分の魔法をぶち壊し、さらには右肩をも吹き飛ばした武器であったというのに浮かれていたベロニクはきっちりと理解できなかったのだ。
「ぼ、ボクはね…… 痛いのは嫌いなんだ。でも師匠のとこにいると嫌でも耐性ができるんだよ」
口に赤黒い塊をつけたメルセデスが息絶え絶えといった様子で口を開く。そんなメルセデスの頭の中では過去にアリプルプスによって施された修行という名の拷問に近いイジメのような日々が思い返されていた。
「大丈夫、死ぬっていうのは意識がなくなって寝るようなものだからね。師匠がいるし、多分結界もあるからすぐに生き返るよ。だからさ」
安心してね。とメルセデスは血で口元を汚しながらも笑顔を浮かべるとベロニクの額に押し付けていた物、ポーション入りの水鉄砲の引き金を引いた。
「まっ⁉︎」
密着された状態からすでに全魔力を使いきり疲労困憊といった様子であったベロニクが必死に反応するが回避などできるはずなどない。
カチン
だが軽い音が鳴るだけで水鉄砲からポーションが発射されることはなかったのだった。
メルセデスはちょこまかと走り回り呼吸を乱しながらもとりあえずはベロニクへと向かいポーションを撃ち続ける。
それは外れることも多いのだがベロニクの雷の斧と化した杖を振り回しながら放たれた魔法へと当たるものもあり至る所で爆発が起こる始末であった。
決闘は完全な膠着状態、のように若い魔女達には見えたことだろう。
なにせどちらも致命傷と言えるような攻撃を放っているのだが両者には当たっていないのだから。いや、メルセデスには当たっているのだが意味をなしていない。
だが、それなりの年月を魔女として過ごした者達から見ればこの決闘は互角とは程遠い物だとすぐに気づいたことであろう。
メルセデスはというと魔法を食らっても吹っ飛ぶだけですぐさまゾンビのごとく立ち上がって来るものだからベロニクにとっては脅威でしかない。
対してベロニクはメルセデスのポーションを避ける事と迎撃することにかなりの集中力を注いでいた。
攻撃の手段である雷魔法はメルセデスのポーションに触れると効果が打ち消され衝撃波を放つだけとなるが、もし迎撃できずに躱せなければ致命傷に至るようなダメージを受けることがわかりきっていたからだ。
(なんなんですの! あの馬鹿げた魔法耐性は⁉︎ こちらの最大魔法を喰らっても傷一つ負わないなんて!)
内心の焦燥感を顔に出さないようにしながらもベロニクの行動には徐々に焦りのようなものが混じり始める。
攻めても攻めきれず守っても守りきれないという状況で平静を装っているというなもまた難しいものであり、それを行うにはまだベロニクは魔女として若すぎた。
そしてついにメルセデスのポーションがベロニクの肩へとかかり、右肩の一部を吹き飛ばす。
肩が吹き飛ばされたことにより杖を持っていた右手が音を立てて床へと落ちる。
「ひぃ! 血が! 血がぁ!」
なぜか攻撃した側であるメルセデスの方が顔面蒼白になっていた。自分から意識して攻撃などしたことがない彼女にとっては他者の血を見るだけでも卒倒するレベルの衝撃らしかった。
(ここですわ!)
血を見てポーションを撃つてが止まったメルセデスの僅かな隙を瞳を輝かせたベロニクが逃すはずがなかった。
全身を雷の魔力により強化し、間合いを詰めるべく踏み込んだ。
右肩から血を撒き散らしながらも踏み込んで来るベロニクにメルセデスは信じられないものを見るような視線を向ける。
それでもほぼ反射と言える状態で銃口を向ける。
だが水鉄砲の銃口をベロニクへと向けるよりもベロニクが間合いに入る方が速かった。
「とったぁぁぁぁぁ!」
残りの雷の魔力を左手へと集中力。
集まりすぎた魔力は手が見えなくなるほどに輝き、その威力はすでに上級魔法を上回るだろう。
ベロニクはその左手の指を揃えメルセデスの胸元へと叩き込むべく、体が全身のバネというバネを使い左手を繰り出した。
体術の心得などないメルセデスは慌てたように体を動かすが時すでに遅し。
メルセデスの胸元へとベロニクの貫手が叩き込まれた。
いかに異常なまでの魔法耐性を持っていたメルセデスと言えども上級魔法の上を行くほどの魔力で強化された貫手を防ぐことは出来ず、ベロニクの左手はメルセデスの背中へと生える羽目となった。
「ぐぇぇぇぇぇ⁉︎」
普通の人なら絶命するような一撃であったのだがさすがは腐っても魔女というべきかメルセデスは苦悶の声を上げるだけですんだ。
胸元を貫かれているので普通ならば吐血しそうなものであるがベロニクの雷の魔力が傷も血も焼いているため血も流れない。
「やった! やりましたわ!」
貫いたままの姿勢のままベロニクは勝利を確信する。
普通の魔女ならば、詠唱をして魔法を使うような魔女ならば、唱える事ができないような今のような状況ならばベロニクの勝利は確定していたかもしれない。
そう、魔法を主体としている魔女ならば。
コツンという軽い音がベロニクの額から響いた。
「え……」
勝利を確信した笑みを浮かべたままのベロニクは突然自分の額に押し付けられたものが認識できなかった。
それは幾度も自分の魔法をぶち壊し、さらには右肩をも吹き飛ばした武器であったというのに浮かれていたベロニクはきっちりと理解できなかったのだ。
「ぼ、ボクはね…… 痛いのは嫌いなんだ。でも師匠のとこにいると嫌でも耐性ができるんだよ」
口に赤黒い塊をつけたメルセデスが息絶え絶えといった様子で口を開く。そんなメルセデスの頭の中では過去にアリプルプスによって施された修行という名の拷問に近いイジメのような日々が思い返されていた。
「大丈夫、死ぬっていうのは意識がなくなって寝るようなものだからね。師匠がいるし、多分結界もあるからすぐに生き返るよ。だからさ」
安心してね。とメルセデスは血で口元を汚しながらも笑顔を浮かべるとベロニクの額に押し付けていた物、ポーション入りの水鉄砲の引き金を引いた。
「まっ⁉︎」
密着された状態からすでに全魔力を使いきり疲労困憊といった様子であったベロニクが必死に反応するが回避などできるはずなどない。
カチン
だが軽い音が鳴るだけで水鉄砲からポーションが発射されることはなかったのだった。
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