魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女は決闘の準備をする
「ボクはやりたくない」
「アキらめテください」
メルセデスのげんなりとしたような呟きを何処か怪しげな口調のアィヴィがそんな事を言ってきた。
アリプルプスとベロニクの宣言のせいか他の魔女達は進んで戦いの場を作りつつあった。
しかも巨大な結界付きで。
普通の人ならばわからないだろうがこの場にいる魔女達が魔力を注いで作り上げた結界である。その強度は砦にすら匹敵するものだ。
そんなものを魔女達は必死に作っているのであった。
というわけで決闘参加者であるメルセデスとベロニクは決闘場となる結界を挟んで椅子に座り、結界が出来上がるのを待っている状態だった。
「ところでアィヴィ、どうしてそんな変な声なの?」
「ヘンとイいマすか、アィヴィにハ雷耐性がありまセンので」
「あ〜」
ベロニクの放ったライトニングスピアが床に突き刺さった結果、雷の魔力が床を伝い何人かの魔女を痺れさしたようにゴーレムであり、雷耐性が低いアィヴィはその雷を受けて機能の幾つかをショートさしているようだった。
「デスのでアィヴィは役にハ立ちまセン」
「まあ一応決闘だから一対一なんだろうけどさぁ」
ため息をつくメルセデスと結界を挟んだ向かい側には杖を手にしたままの状態で目を閉じ、瞑想を行なっているベロニクの姿が見て取れた。
もうやる気満々であった。
「回路調整、声帯回復。我輩は猫である。調整完了。元に戻りました」
よくわからない事を呟いているアィヴィであったが声が元に戻ったようだった。
「マスター、ここは魔女界です。これだけ魔力の満ちた空間であれば魔法の使えないマスターでも軽い魔法くらい使えるのではないでしょうか?」
「あんまり関係ないかなぁ。ファイヤーボール」
メルセデスが気怠げに手のひらを上に向け魔法を唱える。手のひらに幾つもの魔方陣が現れ、一瞬だけ火の玉のような物が姿を現したがそれもすぐに軽い爆発を引き起こして姿を消した。
「ね? 爆発するだけだし」
「勝算はあるんですか? ポーションしかないマスターなどアィヴィでも楽々と縊り殺せますが?」
アィヴィなら相性にもよるだろうが大体の魔女を縊り殺すことができるだろう。
なにせ魔法を食らっても突き進めるわけだし。
アィヴィの言葉にメルセデスは困ったような表情を浮かべる。だがそれなりに付き合いの長いアィヴィは理解していた。
(今のマスターの顔、できるけどやりたくないといった顔ですね)
とりあえず無謀な自殺にならないことがわかったのでアィヴィは一安心した。
魔法が使える魔女と魔法が使えない魔女の決闘というのはいわゆる私刑に等しいものだからだ。
「まあ、切り札使うし一方的にはならないよ」
メルセデスがアイテムボックスから取り出した物をいつもフラスコを下げているベルトの左右に吊るす。
「それ、死傷者出ませんよね?」
なんとなく、本当になんとなく嫌な予感がしたアィヴィが椅子から立ち上がり軽い運動をしているメルセデスへと恐る恐る声をかけた。
「はは、アィヴィもたまには冗談言うんだね? 魔女は簡単には死なないよ?」
一瞬キョトンとしたような表情を浮かべたメルセデスであったがそれが冗談だと思ったのか愉快そうに笑う。そう、やたらと簡単、という言葉にアクセントを強めに施して笑っていた。
ケラケラと壊れたように笑いながら決闘場である結界の方へと歩いて行く主人を見てアィヴィの危機感知センサーが最大限に危険を知らせてくる。
「このままではアィヴィが危ない」
そしてアィヴィが次に取った行動は主人の戦いを見届けることではなく、安全地帯を探すということであった。
「アキらめテください」
メルセデスのげんなりとしたような呟きを何処か怪しげな口調のアィヴィがそんな事を言ってきた。
アリプルプスとベロニクの宣言のせいか他の魔女達は進んで戦いの場を作りつつあった。
しかも巨大な結界付きで。
普通の人ならばわからないだろうがこの場にいる魔女達が魔力を注いで作り上げた結界である。その強度は砦にすら匹敵するものだ。
そんなものを魔女達は必死に作っているのであった。
というわけで決闘参加者であるメルセデスとベロニクは決闘場となる結界を挟んで椅子に座り、結界が出来上がるのを待っている状態だった。
「ところでアィヴィ、どうしてそんな変な声なの?」
「ヘンとイいマすか、アィヴィにハ雷耐性がありまセンので」
「あ〜」
ベロニクの放ったライトニングスピアが床に突き刺さった結果、雷の魔力が床を伝い何人かの魔女を痺れさしたようにゴーレムであり、雷耐性が低いアィヴィはその雷を受けて機能の幾つかをショートさしているようだった。
「デスのでアィヴィは役にハ立ちまセン」
「まあ一応決闘だから一対一なんだろうけどさぁ」
ため息をつくメルセデスと結界を挟んだ向かい側には杖を手にしたままの状態で目を閉じ、瞑想を行なっているベロニクの姿が見て取れた。
もうやる気満々であった。
「回路調整、声帯回復。我輩は猫である。調整完了。元に戻りました」
よくわからない事を呟いているアィヴィであったが声が元に戻ったようだった。
「マスター、ここは魔女界です。これだけ魔力の満ちた空間であれば魔法の使えないマスターでも軽い魔法くらい使えるのではないでしょうか?」
「あんまり関係ないかなぁ。ファイヤーボール」
メルセデスが気怠げに手のひらを上に向け魔法を唱える。手のひらに幾つもの魔方陣が現れ、一瞬だけ火の玉のような物が姿を現したがそれもすぐに軽い爆発を引き起こして姿を消した。
「ね? 爆発するだけだし」
「勝算はあるんですか? ポーションしかないマスターなどアィヴィでも楽々と縊り殺せますが?」
アィヴィなら相性にもよるだろうが大体の魔女を縊り殺すことができるだろう。
なにせ魔法を食らっても突き進めるわけだし。
アィヴィの言葉にメルセデスは困ったような表情を浮かべる。だがそれなりに付き合いの長いアィヴィは理解していた。
(今のマスターの顔、できるけどやりたくないといった顔ですね)
とりあえず無謀な自殺にならないことがわかったのでアィヴィは一安心した。
魔法が使える魔女と魔法が使えない魔女の決闘というのはいわゆる私刑に等しいものだからだ。
「まあ、切り札使うし一方的にはならないよ」
メルセデスがアイテムボックスから取り出した物をいつもフラスコを下げているベルトの左右に吊るす。
「それ、死傷者出ませんよね?」
なんとなく、本当になんとなく嫌な予感がしたアィヴィが椅子から立ち上がり軽い運動をしているメルセデスへと恐る恐る声をかけた。
「はは、アィヴィもたまには冗談言うんだね? 魔女は簡単には死なないよ?」
一瞬キョトンとしたような表情を浮かべたメルセデスであったがそれが冗談だと思ったのか愉快そうに笑う。そう、やたらと簡単、という言葉にアクセントを強めに施して笑っていた。
ケラケラと壊れたように笑いながら決闘場である結界の方へと歩いて行く主人を見てアィヴィの危機感知センサーが最大限に危険を知らせてくる。
「このままではアィヴィが危ない」
そしてアィヴィが次に取った行動は主人の戦いを見届けることではなく、安全地帯を探すということであった。
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