魔女メルセデスは爆破しかできない
魔女は泣きながらメイン武器を手に取る
「相変わらずの規格外ゴーレムよねぇ。アーちゃんは」
巨大ゴーレムの放った拳をその場から動くことなく片手で止めているゴーレム、アィヴィに興味深そうな瞳をアリプルプスは向ける。
しかし、その視線は無表情メイドであるアィヴィには特に関心がないようだった。
巨大ゴーレムが拳を止められたことに苛立つかのように体を震わせ、さらに力を込めて拳でアィヴィを潰そうとしているのだがアィヴィの無表情は変わらない。
「マスターの師匠。マスターを虐めるのはやめていただきたい」
「アィヴィ!」
自分を労わるようなアィヴィのセリフに思わずメルセデスは瞳が潤んだ。
「マスターで遊んでいいのはメイドであるアィヴィだけです」
「返せよ! ボクの感動した気持ちを返せよ!」
アィヴィは決して労ってはいなかった。
それに対してメルセデスの瞳が、別の意味で潤んだ。
「それなら師匠である私も遊んでいいはずよ!」
「師匠も黙ってよ!」
慌てたようにメルセデスで遊ぶ権利を主張して来たアリプルプスについにメルセデスが声を荒らげながら泣いた。
そして腰にいつの間にか補充してあるフラスコへと手を伸ばすのを見てアリプルプスとアィヴィ、そして一部の魔女は同時に顔を青く染め上げた。
メルセデスが泣く事自体が珍しいのもではない。
アィヴィに泣かされたり、精霊に泣かされたり、転んで泣いたり…… つまりは日常茶飯事ではある。
だが一番の問題はメルセデスが自らフラスコを手に取ったということだ。
この場にいる大半の魔女がメルセデスが爆裂ポーションを武器にするということを知っているのだが、ほとんどの魔女がメルセデスがドジをした場合での被害しか知らないのだ。
しかし、一部の顔を青くした魔女達だけは知っていた。
メルセデスが被害を出す時、本当に酷いのはドジで爆発した時ではなく、泣いて自分でフラスコを手にした時であるということを。
「まずい、まずいわ」
「この距離なら…… 死ねる!」
すでに一部の魔女は屋敷の入り口に向かい徐々に移動を開始しし始め、被害を受けないように立ち回り始めている。
そんな中でメルセデス、アリプルプス、アィヴィ、巨大ゴーレムを取り囲むようにして野次馬と化している魔女達は命知らずというかメルセデスの爆裂ポーションの威力をその目で見たことがないという魔女達だけだった。
一方のアリプルプス、アィヴィも動きを止めていた。
二人の視線は泣いているメルセデスの両手に握られている爆裂ポーションが満たされたフラスコである。
山のような巨大なゴーレムの拳を片手で易々と受け止めることのできるメイドゴーレムであるアィヴィ、そして幾重にも強力な魔法を収め、魔女の中でも高位の魔女と呼ばれるに至った虹色の魔女アリプルプス。
この両名が一番下位の魔女であるメルセデスの前で動けずにいた。
「VVVUUUUUUU!」
そんな中、空気を読むという機能が入っていないであろうアリプルプスの巨大ゴーレムが動いた。
アィヴィに止められた拳を無理やり引き、そしてアィヴィに向けた以上の速さを持って拳を開きメルセデスに向かい横に払うように張り手を繰り出した。
「あ……」
「やめなさいケイオス!」
アィヴィは咄嗟にしゃがみ込み、巨腕回避し、アリプルプスは静止の声を上げるが時すでに遅し。
巨大ゴーレム、ケイオスの張り手が唸りあげて迫っていったのだが。
「ひぃぃぃぃぃ!」
ヒョイっ
メルセデスの悲鳴とそんな音だけがケイオスの張り手が風を唸らせている音以外に響いた。
そして、ケイオスの手がメルセデスに当たるという寸前で放物線を描きながら投じられたフラスコがケイオスの手へ当たり、
ドォォォォォォォォォォォォン!
『ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァ!』
爆発音とその場を取り囲んでいた野次馬全魔女の悲鳴が屋敷全体に響いた。
いや、響いたのは悲鳴だけではない。
その場に立っていられないほどの衝撃波も同時に放たれ、悲鳴を上げた魔女を嘲笑うかのように軽々と吹き飛ばしていき、壁へ、床へ、天井へ、柱へと次々に叩きつけていった。
そして次に上がるのは呻き声だ。
なまじ不死なんてものを持ってる魔女なものだからそう簡単に死ねないのだ。
そう、首が180度回転していたり、腕や足が吹き飛んでたり、上半身と下半身がサヨナラしててもだ。
「うぅぅ」
「私の腕は…… 腕はどこ?」
「衛生兵、衛生兵はどこだぁ!」
どこかの戦場に紛れ込んだかのような地獄が一瞬にして生成されたのだった。
ビビりながら投じられたたった一つのポーションによって。
巨大ゴーレムの放った拳をその場から動くことなく片手で止めているゴーレム、アィヴィに興味深そうな瞳をアリプルプスは向ける。
しかし、その視線は無表情メイドであるアィヴィには特に関心がないようだった。
巨大ゴーレムが拳を止められたことに苛立つかのように体を震わせ、さらに力を込めて拳でアィヴィを潰そうとしているのだがアィヴィの無表情は変わらない。
「マスターの師匠。マスターを虐めるのはやめていただきたい」
「アィヴィ!」
自分を労わるようなアィヴィのセリフに思わずメルセデスは瞳が潤んだ。
「マスターで遊んでいいのはメイドであるアィヴィだけです」
「返せよ! ボクの感動した気持ちを返せよ!」
アィヴィは決して労ってはいなかった。
それに対してメルセデスの瞳が、別の意味で潤んだ。
「それなら師匠である私も遊んでいいはずよ!」
「師匠も黙ってよ!」
慌てたようにメルセデスで遊ぶ権利を主張して来たアリプルプスについにメルセデスが声を荒らげながら泣いた。
そして腰にいつの間にか補充してあるフラスコへと手を伸ばすのを見てアリプルプスとアィヴィ、そして一部の魔女は同時に顔を青く染め上げた。
メルセデスが泣く事自体が珍しいのもではない。
アィヴィに泣かされたり、精霊に泣かされたり、転んで泣いたり…… つまりは日常茶飯事ではある。
だが一番の問題はメルセデスが自らフラスコを手に取ったということだ。
この場にいる大半の魔女がメルセデスが爆裂ポーションを武器にするということを知っているのだが、ほとんどの魔女がメルセデスがドジをした場合での被害しか知らないのだ。
しかし、一部の顔を青くした魔女達だけは知っていた。
メルセデスが被害を出す時、本当に酷いのはドジで爆発した時ではなく、泣いて自分でフラスコを手にした時であるということを。
「まずい、まずいわ」
「この距離なら…… 死ねる!」
すでに一部の魔女は屋敷の入り口に向かい徐々に移動を開始しし始め、被害を受けないように立ち回り始めている。
そんな中でメルセデス、アリプルプス、アィヴィ、巨大ゴーレムを取り囲むようにして野次馬と化している魔女達は命知らずというかメルセデスの爆裂ポーションの威力をその目で見たことがないという魔女達だけだった。
一方のアリプルプス、アィヴィも動きを止めていた。
二人の視線は泣いているメルセデスの両手に握られている爆裂ポーションが満たされたフラスコである。
山のような巨大なゴーレムの拳を片手で易々と受け止めることのできるメイドゴーレムであるアィヴィ、そして幾重にも強力な魔法を収め、魔女の中でも高位の魔女と呼ばれるに至った虹色の魔女アリプルプス。
この両名が一番下位の魔女であるメルセデスの前で動けずにいた。
「VVVUUUUUUU!」
そんな中、空気を読むという機能が入っていないであろうアリプルプスの巨大ゴーレムが動いた。
アィヴィに止められた拳を無理やり引き、そしてアィヴィに向けた以上の速さを持って拳を開きメルセデスに向かい横に払うように張り手を繰り出した。
「あ……」
「やめなさいケイオス!」
アィヴィは咄嗟にしゃがみ込み、巨腕回避し、アリプルプスは静止の声を上げるが時すでに遅し。
巨大ゴーレム、ケイオスの張り手が唸りあげて迫っていったのだが。
「ひぃぃぃぃぃ!」
ヒョイっ
メルセデスの悲鳴とそんな音だけがケイオスの張り手が風を唸らせている音以外に響いた。
そして、ケイオスの手がメルセデスに当たるという寸前で放物線を描きながら投じられたフラスコがケイオスの手へ当たり、
ドォォォォォォォォォォォォン!
『ヒギャァァァァァァァァァァァァァァァ!』
爆発音とその場を取り囲んでいた野次馬全魔女の悲鳴が屋敷全体に響いた。
いや、響いたのは悲鳴だけではない。
その場に立っていられないほどの衝撃波も同時に放たれ、悲鳴を上げた魔女を嘲笑うかのように軽々と吹き飛ばしていき、壁へ、床へ、天井へ、柱へと次々に叩きつけていった。
そして次に上がるのは呻き声だ。
なまじ不死なんてものを持ってる魔女なものだからそう簡単に死ねないのだ。
そう、首が180度回転していたり、腕や足が吹き飛んでたり、上半身と下半身がサヨナラしててもだ。
「うぅぅ」
「私の腕は…… 腕はどこ?」
「衛生兵、衛生兵はどこだぁ!」
どこかの戦場に紛れ込んだかのような地獄が一瞬にして生成されたのだった。
ビビりながら投じられたたった一つのポーションによって。
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